歴代最強大魔王は平和を望んでいる   作:個人情報の流出

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学校の方が忙しくて、なかなかやる時間がとれないのとやる気が出ないので遅くなりました。

時間が無い中で書いていると、自分の文章力の無さが浮き彫りになってきますね。

誰か文章力をください


後日談:魔界平和化とキトンの処分について

 キトンをユージーンに引き渡してから、1週間が経った。

 あの後大魔王様とユージーンの話はまとまったみたいだ。ユージーンはキトンの処分を決めた後、魔界平和化に向けての準備を進めるらしい。

 政に関して大魔王様に出来ることはない。全ての権限はユージーンにあるため、僕たちは今待つしかない状況になっていた。

 今僕は、大魔王様に報告があって謁見の間に向かっている。まあいつものくだらない報告だ。キスカさんとイグナシオさんがケンカして、訓練場の壁をぶち破った、というだけ。ほんの些細なことだ。……訓練場の壁をぶち破るっていうのを些細なことに感じてしまうというのは、もしかして僕、この城に慣れてきてしまっているのだろうか。魔王城に居たときは、壁が崩れるっていうのは大事だったような……?

 いやいや、僕はこの規格外の城に慣れてなんかいない。まだ僕は普通の魔物だ。

 

 そんなことを考えているうちに、玉座の間にたどり着いた。バカでかくて重い扉を開けて中に入る。

 

「大魔王様、報告があります!」

 

 かなり遠い玉座に届くよう、声を張って言う。すると、すぐに大魔王様から返事がきた。

 

「アラン! ちょっとちょっと、早くこちらへ来てくださいな!」

 

 かなりテンションの高い声だ。いや、大魔王様はいつもテンションが高いのだが、今回はいつもよりテンションが高い。

 

「はい! わかりました!」

 

 そう言うと、僕は移動のために風魔法を使用する。

 ここまでは普通に歩いてきたのだが、流石に玉座までゆったり歩くのは面倒くさい。解放と唱えて魔法を使うと、一気に体が軽くなった。一歩、二歩と進むだけで遠かった玉座が目の前に。必然玉座の近くに居る魔物も目の前に。

 

「え、ユージ……魔王様!?」

 

 そこに居たのは大魔王様だけではなかった。ユージーンも居たのだ。

 

「ああ、1週間ぶりだな。アラン」

 

 紫色の短髪は相変わらず。鎧はキスカさんとの戦いの際に壊されてしまったため、今着ている物はユージーンのお気に入りだったらしい黒の鎧ではない。素材は恐らく銀。金色の装飾が施してあり、相当に高い物であることがうかがえる。性能も高そうだ。だが、あの漆黒の鎧と比較するとやや見劣りするか。

 

「謁見の途中でしたか? すみません、退室します」

 

「いや、いいんだ。まだ報告を始めてなかったからな」

 

「はい! アランもキトンがどうなったか気になるでしょうし、ついでにと思って」

 

「……わかりました」

 

 魔界のトップツーからそう言われては仕方ない。僕も一緒にユージーンの話を聞くことにしよう。

 

「では、魔王。報告をお願いします」

 

「ああ、いやその前に。私の報告は長いので、短いのであればまずはアランの報告から聞いた方が良いのでは?」

 

「そうですか? むぅ、せっかくわざわざ来て頂いているのに、なんだか申し訳ないですね」

 

 最初の時は大魔王として話していた大魔王様だが、いつの間にかなんだか砕けた口調になっている。

 ほとんど敬語で話している大魔王様だが、その中でも砕けた敬語と真面目な敬語の二つがある。まあ、聞き分けるのは簡単だ。話す前に『ああ』とか、『むぅ』とかついていれば砕けている。

 

「どうだ、アラン。お前の方は長くなるか?」

 

「いえ、一言で終わります」

 

「だ、そうだ。先に聞いてしまった方が良かろう。いいぞアラン。話せ」

 

 ユージーンに促されてしまったので、厚意に甘えて先に報告してしまうことにしよう。

 

「キスカさんとイグナシオさんが本気でやり合って、訓練場の壁をぶち抜きました」

 

「ああ、またですか。それじゃあ後で直しておきますね」

 

 僕がこともなげにそう言うと、大魔王様もこともなげに返してくる。まあいつも通りのやり取りだが、ユージーンは絶句していた。

 

 

 

 

「では、魔王。今度こそ報告をお願いします」

 

 気を取り直して、ユージーンの話を聞くことにする。ユージーンは大魔王様に促され、報告を始めた。

 

「まず、暴行を犯したキトンの処分について」

 

 大魔王様の生唾を飲み込む音が聞こえる。ほどよい緊張感の漂う中、ユージーンはしっかりと口を開いた。

 

「彼女の証言である、『魔王軍メンバーに友が強請られていた』という件。裏が取れた。恥ずかしながら、どうやら本当だったらしい。本当に申し訳ない」

 

 ユージーンが頭を下げると、大魔王様はほっとしたのか大きいため息をついた。

 

「それによって罪は軽くなる。彼女に科される刑は、10年の懲役になった。今回はこちらにも責任がある故、服役中もかなり優遇されることになるだろう。もちろん態度次第では扱いは悪くなるがな」

 

 なんと、異例も異例の懲役10年である。軽すぎて、暴行ではまず科されない刑だ。良かったと言うべきだろう。魔王軍の魔物が強請なんてしていたのは悲しいが……強請られていたキトンの友達も、キトンも、きっと報われる。

 

「よかった……本当によかった……! ありがとうございます。魔王」

 

「そもそも我が兵が強請などを行わなければ起こらなかった件だ。……罪を軽くするのは、当たり前だよ」

 

 ユージーンは苦しそうに言う。この件は強請がなければ起こらなかった。だから、そもそも刑を科すということ自体が、本当は間違っているのだ。

 しかし実際に暴行は起きている。起きてしまった。

 

 ユージーンは前に言っていた。

 

 どんな状況だろうと、罪は罪。情状酌量の余地があろうと、罰は受けるべきだ。と

 

 彼はルールを守る男だ。そして、厳罰主義でもある。個人的には無罪にしたいところを抑えてキトンに罰を与えたのだろう。

 

「……さて。ここからは魔界平和化の話だな。今回の政策は大がかりになる。何しろ魔界全土を全く同じ方針にするわけだからな。流石に我々も、ここにいながら政策を徹底することは出来ないだろう。前代未聞の魔界平和化。地方領主たちが黙って従うとも思えんしな」

 

「ええ。今の魔界の状況を見ても明らかです」

 

 魔王は魔界の政を取り仕切る。だが魔界は広い。流石に魔王一匹では全てを見ることなど出来はしない。

 

 だからこそ魔界には地方領主がいる。魔界を北西、北東、南西、南東の4ブロックに分け、それぞれに配置された都市に一匹ずつ領主が居るのだ。

 領主は魔王の政策を受けとり、それに沿った形でそれぞれの領地を治める。

 魔王が弱肉強食の世界を目指せば殺し合いの世界になる。

 魔王が理性ある統治を望めば、善と悪が区別され、悪の裁かれる世界になる。

 

 ならば魔界を平和にするのは簡単だ。魔王がこう言えば良い。

 

『これより内戦や種族間争いを全面禁止。誰かを傷つけたり、何かを壊したり盗んだりした物は罪に問われる。これは権力者も例外では無い』

 

 と。

 だがそうはいかないのが魔界である。

 

 基本、地方領主は魔王に従わないのだ。特に理性的な政策に関しては、まったくといっていいほど従わない。

 

 今ユージーンが設けている政策は、理性ある統治である。暴力や略奪を罪とし、善悪をはっきりと区別する。

 しかし、法が機能しているのは中枢都市くらいのもの。他の都市では法律に違反し、罰を与えられた例はほとんど聞かない。

 

 魔王の作った法を適用してはいても、それを守っているわけではないのである。

 

「地方領主たちに、新たな法を守ることを強制させる。そのために4つの都市に出向き契約を結ぶことにしようと思うのだが、どうだろうか?」

 

「……彼らと契約を結ぶ? ……そんなことが出来るのでしょうか?」

 

 大魔王様は渋い顔をする。だが、それも仕方の無いことだ。今の地方領主たちは、長い魔界暦で見ても間違いなく最悪のメンバーなのだから。

 

 権力を愛し、自らの権力を守ることのみを優先する領主がいる。

 

 領内の村から根こそぎ食料や資材を奪い取り、贅の限りを尽くす強欲な領主がいる。

 

 語り継がれる神を妄信し、全ての選択を神にまかせるような無責任な領主がいる。

 

 何をするのも面倒くさがり、領地が完全なる無法地帯になっている、怠惰な領主がいる。

 

 地方領主は最近新しくなったばかりだが、治安は前回の戦争から悪くなる一方だ。魔界を平和にするための契約など結べるような奴らでは無い。

 

「やらねばなるまい。俺と大魔王だけで魔界全土を統治するなど不可能だ。確実に彼らの協力は必要となる」

 

「……そう、ですね。我が大魔王軍から4大都市へ使いを送り、契約を結ばせましょう。メンバーの選定はこちらでやります」

 

「都市に使いを送るなら魔王軍からも1匹ずつ同行させてやれないだろうか? 彼らにも場数を踏ませたいからな」

 

「わかりました。では、大魔王軍から2匹、魔王軍から1匹の3匹で小隊を組みましょう。魔王軍からは4匹選んで連れてきてください」

 

「了解した」

 

 僕の目の前で話はずんずんと進んでいく。そろそろ、僕がいても意味が無いところまで進んできたところで、大魔王様が僕の方を見た。

 

「あ、アラン、ここからは私と魔王で話しあうことなので、あなたは下がっていいですよ。時間かかると思いますし、大体の話の流れはわかったでしょう?」

 

「あ、はい。わかりました。失礼します」

 

 一礼をして、玉座の間の出口へと歩き出す。

 部屋の真ん中辺りを過ぎてもなにやら話し込む声が聞こえるので、相当熱心に話を進めている様子だ。

 

「……本当に、魔界平和化が動き出したんだな」

 

 僕の願いが叶わないかも知れない。人に復讐できないかも知れない。そんな状況の中で、少しの焦りと、少しの諦めと。

 

『なら、僕はどうしてここにいるんだろう?』

 

 なんていう、自分への疑問が頭の中を支配していた。




アニタ「お詫び!お詫びです!」

アラン「なんのお詫びかを言わないと皆さんわかりませんよ」

アニタ「作者に本当に時間と気力が無くて、今回の用語解説はお休みさせていただきます。そうしないとモチベが死ぬとか何とか言ってました!」

アラン「1度始めたことはちゃんとやり遂げなきゃ駄目ですよもう……」

アニタ「皆さん、本当に、ほんっとうに申し訳ありません!以上、アニタ・アウジェニオ・シルヴァと?」

アラン「アラン・アレクサンドルでした!」

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