歴代最強大魔王は平和を望んでいる   作:個人情報の流出

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シャドウバース、新弾出ましたね。ヴァンプ使いの私としては、昏き底より出でるものを使った昆布が楽しくて仕方ありません。ナーフされるかも知れないけど、ナーフされるまで楽しもう……


訂正とお詫び

前回の話で、キスカさんはシトロンの自警団100人を殲滅した、と書きましたが、500人の間違いでした。すでに訂正済みです。
申し訳ありません。


ユージーンの本心

 どっ、と鈍い音がした。しかし、血は流れない。彼女のナイフは何も切り裂いていない。

 

 強い衝撃を受けてオンブラさんは吹き飛び、そのまま玉座の間の壁にぶつかった。

 

「かはっ……!?」

 

 オンブラさんは何が起こったのかわかっていないようで、荒い息を整えながら唖然とした顔をしている。

 たった今の鈍い音は、僕が速度強化魔法を使い、瞬時にオンブラさんに接近。そのまま速度の乗った蹴りを叩き込んだ音。彼女の襲撃は失敗に終わったのだ。

 

「僕があなたの居場所がわかるの、忘れてました?オンブラさん」

 

 なぜだろうか。僕には彼女のいる場所がわかる。彼女の姿を見ることが出来る。そのため、僕にはオンブラさんが奇襲をかけようとしていたことに気づいていた。そのため、彼女が一番油断するとき、姿を現した瞬間に攻撃をしかけた。結果は大成功。奇襲は防がれた。

 オンブラさんはただ黙って僕を睨みつける。

 

「……これで、終わりだ。魔王様。ウチと人型の勝ち」

 

 その言葉を聞いて、ユージーンは目を閉じて両手を上げた。だんだんとその姿が人型へと戻っていく。降参だろう。

 キスカさんは安心したように空砕きをユージーンの喉元から離して鞘に戻す。

 

 ユージーンが負けた。魔界第2位たる魔王が、強靱な種族たるリザードマンが、赤肌のオーガに負けたのだ。

 

「っとと……」

 

 キスカさんがふらりと倒れる。僕は慌てて両手で彼女の体を支える。

 

「キスカさん、大丈夫ですか?」

 

 僕はキスカさんの顔をのぞき見る。見るからに辛そうだ。戦闘が終わったことで、今までの疲労やダメージが一気にきたのだろう。息は荒いし、体温は高い。きっと熱がある。

 

「……あー? 人型かぁ。……あれ、ウチ倒れてる? ごめんごめん、すぐ立つから……」

 

 そう言ってすぐに立とうとするが、力が入らないのかすぐに倒れてしまう。キスカさんはこほこほと咳をすると、口から血を吐いた。

 

「無理しないでくださいよ! そもそも、あなたは今動ける状況じゃないんです」

 

「大丈夫、大丈夫……全盛期のウチは、このくらいのダメージなら……あっ! アニタぁっ!」

 

 キスカさんが唐突に大魔王様の名前を叫ぶ。無理しないでと言ったばかりなのに……! キスカさんに強く注意しようと口を開きかけたとき、ユージーンの声が玉座の間に響き渡った。

 

「解放」

 

 ただその一言。一瞬僕は何が起こるかわからなかった。だけど、すぐに気づくことになる。

 

 ユージーンの手から凄まじい熱量を持つ火球が繰り出され、大魔王様へと迫る。これは……ファイアボールじゃない、フレイムボールも違う。上級のフレアボールだろうとあんな熱量は持たないはずだ。……なら、この魔法は。

 

「ヘルフレア」

 

 最上級魔法。一時的に冥界の炎を魔界に呼び出す大魔法。そこで僕は思い出す。ユージーンが詠唱を妨害されてから、一言も喋らなかったこと。まだ、解放の呪文を唱えていなかったことを。

 

 彼は詠唱を待機にして、この時を待っていたのだ。大魔王様に最上級魔法を叩き込むこの時を。

 

 だが。

 

「解放。アクアプリズン」

 

 大魔王様は同様もせず、躱す素振りも見せず、ただ解放とだけ呟いた。一瞬、凄まじいプレッシャーを感じた気がした。

 次の瞬間。ユージーンの火球を水の膜が包み込む。水の膜はヘルフレアを完全に包むと、収縮し、破裂した。

 

 もうそこには何もなかった。ユージーンの最高威力であろう魔法は、大魔王様のちっぽけな水で消え去ったのだ。

 

「何……!?」

 

 大魔王様が使った魔法はアクアプリズン。相手を水の膜で包み込み、水を満たすことで窒息死させる結界防御魔法。中級魔法である。到底最上級魔法を押さえ込めるような代物ではない。

 

「うー……ん。魔王、不意打ちは良いんですが、流石にここまで露骨だと誰だって魔法待機中だと気づきますよ?アサシンとの二段構えの奇襲で魔法へと意識が向かないようにする作戦は悪くはないんですが、30点くらいですかね?」

 

 大魔王様はまるで先生か師のように、ユージーンの作戦を評価した。

 

「なんだ……!? なんだお前は! 俺の、最大の魔法をアクアプリズンで消しただと……?」

 

「なるほど……あれで最大ですか。残念ながらそれじゃ私にはダメージすら与えられません。そもそもあれくらいなら一割のプレッシャーで吹き飛ばせます」

 

「大魔王……もしかして、今までプレッシャーを使用していなかったとでも言うつもりか?」

 

 ユージーンの声が震える。無理もない。いくら歴代最強と呼ばれていようと、ここまで規格外だとは思わない。

 

「はい。当然使っていません。1割も出せばここにいる全員の意識が飛ぶでしょうから」

 

 ユージーンは目を見開いた。僕も少しだけ驚いている。大魔王様は今とんでもないことを言った。1割のプレッシャーでここにいる全員が気絶すると言うことは、実質魔界2位の魔王ですら1割の実力で上回ると宣言したようなものなのだ。

 

「……なぜだ」

 

 ユージーンはしばらく絶句していたが、やがて絞り出すように声を出した。

 

「なぜそれだけの力を持ちながら、人と戦わないなどと言うのだ、大魔王。それだけの力があれば、人間を……皆殺しにだって出来るだろうに!」

 

 ユージーンは叫ぶ。その言葉には悔しさがにじむ。自分の実力が大魔王様に到底及ばないという現実。そして、このままでは兄の敵討ちを果たすことが出来ないという思いが混ざっているのだろう。

 

「魔界はもう限界だ。各地で争いが起こっている。血気盛んな魔物達が戦いに飢えているのだ。このまま人と戦わないなら、魔界は内側から崩壊する! 俺が人に攻め込まねばならないと思う理由は私的なものだけでは決してない! 魔界は! 争いを求めているのだ!」

 

「だからこそ変えるのです。魔界内ですら争いはある。憎しみもある。同族殺しや派閥争いでの小競り合いがたくさん生まれている。それを誤魔化すために人と戦うのでは魔界は何も進歩しないでしょう! このままではどっちみちいつか魔物は滅びます。人間と違い本能を優先し、争いを望む物が多いままでは、きっと長くは保たない。魔王、あなたの配下はあなたに従い、あなたの街には法を守る民が大勢いる。……中枢都市は平和です。中枢都市が平和であるならば、魔界全土を中枢都市と同じにすることも出来るはずなのです。……私は、そう信じています」

 

 2匹の主張がぶつかり合う。きっと、どっちの言っていることも正しいのだと思う。

 

 正直、僕には大魔王様の考えが理解できない。

 魔物同士の殺し合いは深刻な問題だと思う。一向に人との戦いが始まらないことに苛立ちを覚えている魔物が多いのだろう。それこそ、戦争を始めなければ弱い物はどんどん虐げられていき、結局本人の求める平和など手に入らないのに。戦争を始めるだけで、これらの問題が片付くのに、なぜそれをしないのか、と。

 魔王5眷属という大切な物たちを奪われているのに、なぜ怒り、復讐をしようとしないのか、と。

そう思ってしまう。

 

 だが、なぜだろう。大魔王様の話には不思議な説得力があるのだ。

 

 ユージーンは何も言い返さず、ただ黙って何かを考えていた。大魔王様はその間に、キスカさんの治療を始める。「解放」と呟くと、キスカさんの傷は癒え、辛そうだった顔が心なしか楽になったようだ。

 

「……大魔王」

 

 ちょうど治療が終わったとき、ユージーンは口を開いた。

 

「俺には、憎しみを断ち切るなんていう考えが理解できない。その願いは、人に恨みを持つ全ての魔物を否定しているようなものだと、理解できているのか?」

 

「わかっています。この考えが魔界の皆に受け入れられるものではないことくらい。でも、これから10000年、100000年経ったとき……皆が笑っていられるような世界を作れたら、それは幸せで、とても素敵なことだなって、思ったんです」

 

 その言葉に、ユージーンは吹き出した。豪快に笑う姿に、大魔王様は顔むっとさせる。

 

「なんですか! 何がおかしいんですか!」

 

「いや、すがすがしいまでの夢物語だなと思っただけだ。……大魔王」

 

「……なんです?」

 

 僕はその光景に目を疑った。実質的に魔界を束ね、政を司る魔界の王の1匹。魔王の名を冠するユージーンが。大魔王様に、傅いたのだ。

 

「私は敗北した。あなたの配下に負け、自身の最強の魔法も簡単に止められたのではあなたに勝つことなど到底不可能だろう。私は、あなたよりも弱い」

 

 顔を上げ、言葉を丁寧にしてユージーンは言う。彼は魔王として、自分の負けを認めたのだ。

 ユージーンはそのまま言葉を続ける。

 

「敗者は勝者に従うもの。私はしばらくあなたに従い、魔界の平和化に協力しよう。……だが、これ以上は無理だ、魔界を平和にすることなどできないと思ったら、私はあなたに提案する。『人と戦おう』と。その時は、人との戦争を起こして欲しい。負けた身で条件を付けるのは非常識だが、これだけは譲ることが出来ない。条件を呑めないのなら、今ここで私を殺すがいい」

 

「わかりました。つまり、行動で示せ、と。そう言うことでしょう?望むところです。いいでしょう、あなたの提案を受けます。あなたの知識を貸していただけるなら、出来ないことなどないのですから」

 

 そう言って大魔王様は微笑む。そのままユージーンの許へ行くと、「解放」と呟く。ユージーンの傷が癒えていく。大魔王様はユージーンの治療をしたのだ。

 

「……これは、回復魔法か……?」

 

「これは、あなたを信用すると言う証です。私の回復魔法はどうですか?」

 

「……上質だ。ここまで気分の良い回復魔法など初めてだよ」

 

 大魔王様はユージーンに手を差し出す。ユージーンはその手をしっかりと握る。

 

「とりあえず、あなたの考えを全て話してもらおう。何をどうしたいのかがわからなければ政策も立てられんからな」

 

「はい! はい! 今からお話しします!」

 

 大魔王様は握った手をぶんぶんと振る。今までと態度ががらっと変わったことにユージーンは戸惑っているようだ。

 今この瞬間から彼らは協力者となった。魔界の政を司る魔王が味方になったことで、これから魔界は平和化へと向けて急速に動いていくだろう。

 

 

 

 

 大魔王様とユージーンは、ボロボロになった謁見の間で今後の打ち合わせを始めた。僕は少し離れた場所で、キスカさんのことを見ていた。

 キスカさんは今は眠っている。大魔王様の回復魔法は凄まじい。外傷は完全になくなっていて、破裂した内臓も修復されているのだろう。今は体力がないために寝ているだけで、しばらくしたら目を覚ますはずだ。

 

「さっきは随分とやってくれましたね、アラン・アレクサンドル」

 

 唐突に天井から声が聞こえる。今玉座の間にいる魔物の中で、天井に張り付く物なんて1匹しかいない。

 

「なんの用ですか? オンブラさん」

 

 ユージーンの側近、オンブラさんだ。

 

「別に。せっかく久しぶりに会ったんですし、挨拶に来ただけです」

 

 オンブラさんは、僕の問いにそっけなく答えた。

 彼女は結構変なところに居る。天井に張り付いていたり、ユージーンの真後ろに居たり。一番驚いたのは、絨毯に張り付いていたときだろうか。僕の姿を見たオンブラさんは『絶対に喋るな』っていうオーラを出していた。面白いからユージーンに話したのだが、ユージーンもその時謁見の間に居た魔王軍の皆も信じてくれなかった。その後、僕の部屋にオトギリソウの花束が置いてあった。花言葉は恨みらしい。

 

「しかし相変わらず、加速しか能が無いんですね。アラン・アレクサンドル。それで本当に人間なんか殺せるんでしょうか?」

 

「隠密しか能が無いくせに簡単に見破られて攻撃を食らってしまうような側近さんには言われたくないですね。それで本当にユージーンを護れるんですか?」

 

「うるさいですよ。なんですか人型のくせに人間が憎いって。自分の血を否定しているようなものじゃないですか、矛盾してません?」

 

「好きで人型に生まれたわけじゃありません。僕だってもうちょっと筋力のある種族に産まれたかったですよ」

 

「ハッ、脳筋バカが」

 

「脳筋で何が悪いんですか? 隠れてないとまともに戦えないよりはマシだと思いますけど?」

 

「私がまともに戦えない? 何を戯れ言ほざいてるんでしょうこのバカは?」

 

「戦えないからこそこそ隠れているんでしょう隠密バカが」

 

「なんですか? このバカ」

 

「うるさい黙ってろバカ」

 

 悪口。そして、長い沈黙。

 僕とオンブラさんは仲が悪い。初めの方はそうでもなかった気がするのだが、いつの間にか険悪になっていた。口を開けばこのように、悪口合戦である。

 

「はぁ……あなたと話すときはいつもこうですね。今回は悪口合戦するためにあなたに話しかけたわけじゃないんです」

 

 あれ、珍しい。オンブラさんがちゃんとした目的を持って僕に話しかけてくるなんて。いつも悪口言ってくるだけなのに。

 

「なんだ、用事あったんじゃないですか。何が挨拶だけですか」

 

「うるさいです、そこに突っ込むんじゃありませんよ。また悪口合戦になるでしょう」

 

 どうやら本気で真面目な話があるみたいだ。そんな時までケンカするほど、僕も子供ではない。

 

「わかりました。では、改めて……なんの用です?オンブラさん」

 

 僕が聞くと、オンブラさんは僕の頭の上で大袈裟な咳払いをしてから答えた。

 

「魔王様の本心を伝えに、やってきました」

 

「ユージーンの本心?」

 

 って、なんだろう。さっきからずっと、ユージーンは本心で話していたように思えたんだけど……。

 

「今までの魔王様の話、本心に思えていたならまだまだですね。まあ私の方が魔王様と長く一緒に過ごしているから当然ですけど」

 

 オンブラさんは得意げな顔になって言う。

 オンブラさんは、まだユージーンが魔王ではなかった頃からユージーンと共に居るそうだ。僕が彼に拾われたのもまだ魔王ではなかった頃の話だから、オンブラさんとは地味に長いつきあいになるんだなぁ……としみじみと思う。でも、こうやってユージーンとの関係の長さをいちいち自慢されるのはウザい。

 

「あーはいはい、早く話を続けてください」

 

 オンブラさんの自慢を軽く流しつつ、話を急がせる。オンブラさんの得意げな顔がしかめっ面になる。

 

「……わかりました。ごほん。魔王様は、兄君であるイグニール様の仇討ち、そして、魔界全体の殺意の限界を感じたことから大魔王様に反発しましたね?」

 

「はい。そう言ってましたね」

 

「あれ、嘘です」

 

「はい!?」

 

 オンブラさんから衝撃発言が飛び出した。ユージーンはあの時、かなり本気で怒っていたように思える。あんなに怒る姿なんて見たことほどに怒っていたのに、その理由が嘘? そんなわけないでしょう。

 

「ふむ、嘘というのは言いすぎましたね。確かにそれらも魔王様が反発した理由ではありますが、一番の理由は違います」

 

「……なるほど。その、一番の理由って言うのは?」

 

「大魔王様が人と戦争をしないと、あなたが人に復讐できないからでしょう」

 

「はい!?」

 

 再び衝撃発言が飛び出した。僕のため、だって?

 

「まさか、そんな……それだけのために大魔王様と戦おうとしたんですかあの人は!」

 

「それだけのため、とか軽々しく言わないで。あの人はあなたを拾ったときから、ずっとあなたを一番に考えていたのだから」

 

「僕を、一番に……?」

 

 それを聞いたとき、僕はユージーンの口癖を思い出した。

 

『アラン、俺はいつもお前を想っている』

 

 僕に言えないことを誤魔化す時に使っていた言葉。そういえば、今回も言っていたっけ。

 

「思い出しました? 魔王様の口癖。俺はいつもお前を想っている……でしたっけ? あれを言ったときの彼は、いつもあなたのことを一番に考えて行動していました。親バカなんですよ。あの方は」

 

「……そうか。僕のため、だったのか」

 

「ええ。まあ、あなたが大魔王様に味方したのを見て、考えを変えたみたいですけどね。しかし、復讐バカのあなたが、どうして魔界平和化なんてのに付き合うことにしたんですか?」

 

 オンブラさんは何気なくそれを聞いてきた。今、その事についてはあまり触れられたくないのだが……。

 

「……別に。付き合ってる気はありませんよ。僕は大魔王城で、自分の力不足を思い知ったんです。今は大魔王城の物たちに学んで、充分に力を付けたら1匹で人界に突っ込もうと思ってました。それまでは大魔王様に協力するって話です。今回あなたを蹴飛ばしたのも、今の僕は大魔王軍の兵士だからっていう、それだけです」

 

「……なるほど」

 

 そう言って、オンブラさんは天井から降りてきた。この魔物が僕が見てる前で戦闘でもないのに動くなんて珍しい。

 オンブラさんは黙って僕の顔を正面から見つめていた。眼光は鋭く、何か怒っているのか、気に食わないようだ。

 しばらくにらめっこを続けていると、オンブラさんはため息をついて目線を外した。

 

「あなたの考えはわかりました。アラン・アレクサンドル。まあ復讐バカのあなたらしい。まったく、無駄な時間を使いました。私は魔王様の護衛に戻ります」

 

 オンブラさんはそう言うと、ユージーンの許へと歩いていく。

 

「ユージーンを裏切るような真似はしないことね。足りない頭でよく考えなさい、復讐バカ」

 

「え?」

 

 僕の横を通り過ぎる時、彼女は耳元でそうささやいた。その後何事もなかったかのようにユージーンの許にたどり着き、また天井に張り付く。

 

 ……ユージーンを裏切る、か。どういうことなんだろう。

 オンブラさんは、僕が魔界平和化に協力すると思ったからユージーンもそれに協力した。だから彼を裏切るな……と、言っているのだろうか? でも、僕には今ユージーンが考えていることはわからない。ユージーンが本当にその理由で大魔王様の味方になったのかも、わからない。

 

 僕はまだ、人に復讐したい。でも、どうなんだろう? 

 それはユージーンを裏切ることになるのだろうか? 今の僕には、どれだけ考えても答えを出すことができなかった。




用語解説コーナー!

アニタ「やってきました用語解説、今回もお相手は、大魔王のアニタと?」

カミラ「大魔王が側近、カミラだ」

アニタ「……あの、なんでカミラが居るんです?聞いてないんですけど」

カミラ「アランは、そのー、あれだ。えっと、風邪引いたって、言ってたよ?うん」

アニタ(カミラが嘘ついてるのはわかりやすいんですよね……あとでアランに問いたださねば)

カミラ「えっと、アニタ様。今回解説する用語はなんなのです、?」

アニタ「ああ、えっと、今日は人型の魔物について解説しようと思ってます」

カミラ「なるほど。ところで、天の声を待たなくても良かったのか?」

アニタ「あ!忘れてた!ごめんなさーいナレーターさん、合図出すので仕切り直しでお願いしますー!」

了解しました

カミラ「いよいよ世界観が壊れてきたな……天の声と喋るとか……ダダ滑りだと思うぞこれ……」

アニタ「では気をとり直していきましょう!今回はこちら!」

人型の魔物について!

カミラ「人型とは。基本スペックがほぼ純粋な人間でありながら、僅かに筋力の高い種族のこと、だな」

アニタ「その通りです。形だけは人だったり、人のような姿になることも出来る種族も居ますが、それらは一様にスペックが高いですし、特殊な能力を持ってたりもします。。やけに高い魔力を誇っていたり、竜に変身できたり。でも、人型は違います。人間とは魔力が高く、筋力が低めの種族です。人型魔物は人間の血が混ざっている種族であり、魔力がなかなか高く、魔物の血のおかげで筋力もオーク並みにある。アランは自分の人型という種族が気に入らないみたいですけど魔界で確実に上位に入る強さの種族です」

カミラ「アニタ様も人型ですよね?」

アニタ「ええ。といっても私は正確には人型変異種ですけれど」

カミラ「変異種……。初めて出てくる単語ですが、読者の皆様はわからないのでは?」

アニタ「はい!なので、次回の解説は、『突然変異種について!』です」

カミラ「随分と段取りが良いのだな……」

アニタ「ではでは、今回はここまで。バイバーイ!」

カミラ「皆さん、また会おう。さらばだ」

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