歴代最強大魔王は平和を望んでいる   作:個人情報の流出

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女子2人の風呂シーンを書くことに定評のある作者。
最初はアラン視点。途中からキトン視点です。


キャットとオーガのバスタイム

「あなたの名前は?」

 

「キトン」

 

「傷だらけだったけど、何があったの?」

 

「黙秘」

 

「どうやって、ここに入ってきたんです?」

 

「答えにゃい」

 

 ケットシーの少女。キトンと名乗った彼女の、事情聴取が始まった。

 最初の絶叫から数分。キトンは思ったよりも立ち直りが早く、また物怖じしない性格のようだった。大魔王様を睨みつけながら質問にまったく答えない。……初対面の大魔王様を相手にこの態度なんて、そうそうとれるものではない。

 

「ふむ……困りましたね。あなたは何一つ、答えてくれないと」

 

 一応、真面目モードで話していた大魔王様は、自分のこめかみをぐりぐりしながら唸った。そうしてしばらく考えた後、

 

「じゃあ、キトン。お風呂に入ってきなさい。何も言いたくないなら聞かない。落ち着くまでここにいていいので、しばらく休んでください。カミラ。キトンのお部屋を用意して。キスカはキトンをお風呂に案内してください」

 

と2匹に指示を出した。

 

「了解しました」

 

「はーい。じゃあ行こっか、キトンちゃん?」

 

 キスカさんがキトンを連れて寝室から出て行く。キトンは戸惑いながらも、覚悟を決めた様子で着いていった。カミラさんは、寝室の出入り口である扉の方を向きながら動かない。……しかし、キトンを案内できるチャンスがふいになったのに、カミラさんはよくも素直に応じたものだ。いつもだったら、『なぜ!私に!お風呂を任せてくれないのか!』とか言い出しそうなものなのだが。

 あんまりにも動かないので、カミラさんの顔をのぞき込むと。

 

「うわっ!?カミラさん!?」

 

 カミラさんは、血の涙を流していた……。

 

 

 

 

 

 

 アタシはキトン。ケットシーにゃん。

 目が覚めたら大魔王城にいた。にゃにをいっているのかわからねーと思うが、アタシにもわからねー。

 

 目が覚めてすぐ、大魔王に質問攻めにされたんだけど、めっちゃ怖かった。にゃんだあのプレッシャー。半端じゃにゃいにゃん。……だけど、にゃにも答えにゃかった。答えたら、にゃにされるかわからにゃいから。ここで殺されるのも怖いけど、ここに来てしまったのが運の尽き。だから、答えて死ぬくらいなら答えずに死のうって。そう思ったんだけど……。

 

「なぁにやってんだよぅ。キトンも早く脱ぎなよ。ウチ体洗ってあげるよ?」

 

 にゃぜかアタシは風呂場にいる。

 

「脱がないのー? あ、ウチが脱がせてあげよっか?」

 

「だ、大丈夫! 大丈夫……自分で脱ぐにゃん」

 

 というか、あの大魔王が言ってたのは『風呂に案内しろ』にゃのに、にゃんでこいつは一緒に入ろうとしてるんだろうか。……恥ずかしい。こう、にゃんとか、どうにかいろいろと隠しつつ服を脱いだはいいものの。これ、体洗うんだから結局こいつに全部見られるんだよにゃ……

 アタシは観念して、恥ずかしさをこらえながら隠すのをやめた。

 

 

 

 

 

「や、やめ……触るでにゃい!わ、ちょっと!どこ触って……」

 

 ハロー。アタシはキトン。ケットシーにゃん。

 観念してお風呂に入ったら、案内してきた魔物に体を洗われていた。しかしこいつ。さっきから妙におっぱいばかり揉んでくる。アタシのこと洗ってにゃい。どっちかっていうとおっぱい揉んでる。

 

「すっごい。柔らかい。ずっしりくる。」

 

「か、感想を言うにゃ!触るのをやめろー!」

 

 こいつの揉む手は止まらない。ばたばたと暴れても、絶妙にゃ力加減で痛くにゃるほど揉んでるわけじゃにゃいのに振りほどけにゃい。……結局、観念してこいつが満足するまで待つことにした。……うう、恥ずかしい。

 

「ううううう、にゃんでアタシのおっぱい揉むんだよぅ、あんただって女にゃのに……」

 

「いやー、ウチおっぱいちっちゃいからさ。おっきいのってどんな感じがするのか気になっちゃってね?でもカミラには手を出せないからさぁ……手を出したら確実にあの世行きだよ。社会的に」

 

 説明ににゃってにゃい。ていうかカミラって最初の部屋に居たあの銀髪の魔物だよにゃ? ……あいつ、どんな魔物なんだにゃん。もしかしてサキュバス?

 

「ってにゃあ! ちょ、ちょっと、もう無理!やめてー!」

 

 おっぱいを揉む手はさらに激しさを増す。アタシは、質問に答えて殺されていたらこんにゃことににゃらにゃかったのかも知れないと思って、何も答えなかったことを少しだけ後悔した。

 

 

 

 

 

「汚された。もうお嫁に行けにゃいにゃん」

 

 湯船につかりにゃがら、アタシはつぶやいた。それ位酷いことされた。殺すにゃら早く殺して欲しいにゃん。

 

「たははー、ごめんごめんちょっとやり過ぎたよ。やー、なんとなーくカミラの言ってたことがわかる気がするなぁ」

 

カミラと同類!? やだ! なんて騒ぎながら、セクハラ犯は私の横に来た。

 

「……どうせ、情報を聞き出して殺すにゃら、こんにゃ茶番、無駄にゃ」

 

 ぼそっと。それだけ口からこぼれてしまった。しまった、と思って横のセクハラ犯を見ると、驚いたように目を丸くしていた。だけど、セクハラ犯はすぐに優しい笑顔になった。

 

「あー、殺さない、殺さない。アニタはそんなことするやつじゃないって」

 

「……信じられにゃいにゃん」

 

「まあ、噂があんなんだからね。ウチも最初は警戒してたけど……。あいつ、ただのゆるふわだから」

 

「え」

 

 ゆるふわ……? ゆるふわした性格ってこと? にゃにそれ興味出てきたにゃん。

 

「アニタの話、聞く?あいつ本当に面白いやつでさー」

 

 そうして、セクハラ犯から大魔王との思い出話を聞く。色んにゃ話を聞いているうちに、最初にあった大魔王城への警戒は少しだけ薄れていた。


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