ご注意ください。
「ねえ、煉。話があるのだけれど」
「はい?なんですか?」
パチュリーさんがこのように指示することってあるんだ。
この考えはとても失礼なことだとは思っている。
ただ、俺が読んでいる二次創作では小悪魔に向かって、上司命令しているような人だったから。
そして、その小悪魔は張り切ってその仕事をこなす。あの小悪魔のキャラはドMだったのだろう。
いや、今はそんなことはどうでも良い。
「煉、私はもう一切外に出ないわ。さっきの外出で私はもうこの世界には適応出来ない身体なのだわ」
「いやなんで、悟った風に言ってるんですか。体力が足りないだけなんで、散歩とか、家の周り一周するだけでも体力つきますから」
パチュリーさんは大きく驚いた顔を見せた。
まるで、そんな方法があったなんて!とでも言いたそうな表情だ。
魔法のことやその他のことに対しての知識しか無さそうだ。
小悪魔さん、上司にこき使われる社畜だったのだろう。今は鬼畜上司のパチュリーさんはこちらにいますよ、小悪魔さん。
心の中で小悪魔さんへと敬礼を送る。
「けど……日光にも弱いし……」
パチュリーさんは言い淀みながら、両手を胸の前で合わせて人差し指をくるくるさせる。
何この可愛い生物。
「ある程度は俺も付き合いますんで、少しずつ体力つけていきましょ?」
「ありがとう、煉」
そう言って、パチュリーさんは笑顔を少しだけのぞかせた。
その時の俺の心情を述べると、
守りたい、この笑顔。
一生懸命パチュリーさんの笑顔を守りますか。
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随分とメタい話になってしまうが、ここまでに俺が言ってきた東方の二次創作というのは、どこかで見たことのある二次創作だ。題名とかを聞かれても一切、答えることが出来ない。
「煉、何してるのかしら?」
「いえ、何も」
パチュリーさんは自動販売機で買った烏龍茶がいたく気に入ったようなので、キンキンに冷えた烏龍茶をコップに注ぐ。
烏龍茶って美鈴さんが飲んでそうなんだけど、違うらしい。自販機の午前の紅茶は、雑味がある。という理由で却下されましたとさ。
パチュリーさんは何でもかんでも、紅魔館のメンバーと比べたがる。
紅茶だって咲夜さんが淹れた方が美味しいって言われたけれど、あの人はプロのメイドだから……。メイド長はやはり偉大であった。
「ねえ、そろそろ苦しいんだけど」
「苦しい……?」
パッと思いついたのは、空気の汚濁による体調の変化かな?とは思った。
しかし、それならそろそろ苦しいとは言わない。つまりは、ハウスダストによる喘息だろう。
「ちょっと待っててください!」
家を飛び出し、そのまま自転車をかっ飛ばして薬局へと向かう。喘息に関する市販薬を買い、そのまま会計に。
そして、また自転車をかっ飛ばして帰宅。
この間僅か30分。いつもなら1時間ぐらいかかる。
「パチュリーさん、これ飲んでください」
「ありがとう。だいぶ楽になったわ」
そう言って貰えるだけで幸せを感じている俺は手遅れなのだろう。
パチュリーさんはそういった思考には気付かずに、パチュリーさんは薬の副作用か、コクコクと眠り始めた。