パチュリーさんは現代の家で居候しています。   作:閏 冬月

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若干のメタ発言が含まれます。
ご注意ください。


7話 パチュリーさんはハウスダストにも弱かったようです。

「ねえ、煉。話があるのだけれど」

「はい?なんですか?」

 

パチュリーさんがこのように指示することってあるんだ。

この考えはとても失礼なことだとは思っている。

ただ、俺が読んでいる二次創作では小悪魔に向かって、上司命令しているような人だったから。

そして、その小悪魔は張り切ってその仕事をこなす。あの小悪魔のキャラはドMだったのだろう。

いや、今はそんなことはどうでも良い。

 

「煉、私はもう一切外に出ないわ。さっきの外出で私はもうこの世界には適応出来ない身体なのだわ」

「いやなんで、悟った風に言ってるんですか。体力が足りないだけなんで、散歩とか、家の周り一周するだけでも体力つきますから」

 

パチュリーさんは大きく驚いた顔を見せた。

まるで、そんな方法があったなんて!とでも言いたそうな表情だ。

魔法のことやその他のことに対しての知識しか無さそうだ。

小悪魔さん、上司にこき使われる社畜だったのだろう。今は鬼畜上司のパチュリーさんはこちらにいますよ、小悪魔さん。

心の中で小悪魔さんへと敬礼を送る。

 

「けど……日光にも弱いし……」

 

パチュリーさんは言い淀みながら、両手を胸の前で合わせて人差し指をくるくるさせる。

何この可愛い生物。

 

「ある程度は俺も付き合いますんで、少しずつ体力つけていきましょ?」

「ありがとう、煉」

 

そう言って、パチュリーさんは笑顔を少しだけのぞかせた。

その時の俺の心情を述べると、

守りたい、この笑顔。

一生懸命パチュリーさんの笑顔を守りますか。

 

 

 

 

 

 

 

 

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随分とメタい話になってしまうが、ここまでに俺が言ってきた東方の二次創作というのは、どこかで見たことのある二次創作だ。題名とかを聞かれても一切、答えることが出来ない。

 

「煉、何してるのかしら?」

「いえ、何も」

 

パチュリーさんは自動販売機で買った烏龍茶がいたく気に入ったようなので、キンキンに冷えた烏龍茶をコップに注ぐ。

烏龍茶って美鈴さんが飲んでそうなんだけど、違うらしい。自販機の午前の紅茶は、雑味がある。という理由で却下されましたとさ。

パチュリーさんは何でもかんでも、紅魔館のメンバーと比べたがる。

紅茶だって咲夜さんが淹れた方が美味しいって言われたけれど、あの人はプロのメイドだから……。メイド長はやはり偉大であった。

 

「ねえ、そろそろ苦しいんだけど」

「苦しい……?」

 

パッと思いついたのは、空気の汚濁による体調の変化かな?とは思った。

しかし、それならそろそろ苦しいとは言わない。つまりは、ハウスダストによる喘息だろう。

 

「ちょっと待っててください!」

 

家を飛び出し、そのまま自転車をかっ飛ばして薬局へと向かう。喘息に関する市販薬を買い、そのまま会計に。

そして、また自転車をかっ飛ばして帰宅。

この間僅か30分。いつもなら1時間ぐらいかかる。

 

「パチュリーさん、これ飲んでください」

「ありがとう。だいぶ楽になったわ」

 

そう言って貰えるだけで幸せを感じている俺は手遅れなのだろう。

パチュリーさんはそういった思考には気付かずに、パチュリーさんは薬の副作用か、コクコクと眠り始めた。


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