GOD EATER~神々の黄昏~   作:ヤトガミ・レイナ・マリー・エクセリア

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想いを爆発させし者達が白き少女と出会うとき
運命の歯車が回り出し運命の時を刻む

時の分岐はまもなくかの者達をふるいにかける

人が神になるが先か神が人に墜ちるが先か

それは神すらも知らず


少女と名前と重荷

 

 

 とある日、ヤマト達3人は第一部隊のリンドウとソーマと共にサカキに呼ばれ、ラボに着いた途端に鎮魂の廃寺までの護衛として連れて行かれ、ミッション終了直後の残りの第一部隊の面々と合流、ミッションのターゲットアラガミであるシユウのコアを取らずにそのまま隠れると色白の少女が現れシユウを補喰し始める

色白少女に接触し極東支部のラボまで連れてくるとサカキから爆弾が投下される

 

「あの…博士………今なんて……?」

「何度でも言おう。彼女はアラガミだよ」

 

 サカキから投下された爆弾は色白少女の正体は〝人に近づいたアラガミ〟であり、以前から支部長とサカキはそれぞれ別に捜していたことだった

 

「〝アレ〟が捜しているってことはこの子のコアは碌でもない代物なんだな?」

「そうだね。君の想像通り向こうに確保されたら大変なことになるね」

 

 〝アレ〟や〝向こう〟と言葉を濁すヤマトとサカキの意図に気がついたのはアナスターシャとリンドウ、ソーマの3人だけだった

 

 それから数日後

 

 

「オハヨウ!」

「ああ、おはよう」

 

 極東支部のアラガミが大分減っているためヤマト達や第一部隊の面々は非番が多くなりその分、サカキのラボに浸りつつアラガミの少女と頻繁に接触していた

アラガミの少女は言語をこの数日で大分吸収しかなりの成長を見せていた

 

「サカキ博士、大分この子も人らしく言葉を覚えましたね」

「君たちが毎日ここに通ってくれたからだろうね。私も彼女の成長速度には驚愕しっぱなしさ」

 

 そんなことを言っているサカキの眼は研究意欲からかギラギラしていたのをヤマトは見逃さなかった

 

「それで、俺たちと第一部隊の勢揃いで呼んだのは何か理由が?」

 

 今までは暇があれば来ていたところを今回はサカキに全員呼ばれていたのだった

 

「この子の名前をつけて欲しいんだよ。いつまでもこの子、あの子では可愛そうだからね」

「ふっ……オレ、こう見えてもネーミングセンスには自信あるんだよね……」

「……嫌な予感しかしないんですけど…」 

「同じく」

 

 アリサの予感はヤマトやユウ、アナスターシャも感じて、ユウは止めようと試みるが、コウタには意味を成さず…少し溜めを入れてから、自分が考えた名前を口にしてしまう

 

「そうだな、たとえば……ノラミとか」

「…………」

 

 コウタがドヤ顔で名前を口にした瞬間、部屋の温度が氷点下まで下がった

その場に居た全員が「それはない」と言おうとし言い止まったそんな時……

 

「……どん引きです」

「……それはなさ過ぎ」

 

 コウタに容赦がないアリサとアナスターシャだけは、絶対零度の冷たさを孕んだ声で、言い放った

 

「何だよー!!じゃあアリサとアナスターシャは何か良い名前でも思い付いたのか!?」

「な、何で私がそんな事を………!」

「……」

「ははーん…さては自分のセンスの悪さが露見されるのが恐いんだろな?」

 

 コウタの反撃開始、先程とは立場が完全に入れ替わり、アリサとアナスターシャは慌てふためき考えようとする

 

「え、えーと……ユウとリンドウさんは何かいい名前とかありますか!?」

「えっ?」

「おっ?」

「ヤトも何か無いかな!?」

「?」

「こらー何逃げてるんだよ!!」

「に、逃げてませんよ。私はただ部下として隊長であるリンドウさんとユウの意見を訊こうと思っただけです!」

「いや、あきらかに逃げじゃんそれ!!ってかリンドウさんは兎も角、ユウに押しつけただけじゃん!?」

「コウタ、俺なら兎も角とは酷くないか?」

 

 部下のコウタに若干ディスられ肩を竦めるリンドウをサクヤがなだめる中、部屋の隅にいたソーマに近づく小さな影…

 

「…なんだ」

「ソーマお兄ちゃん、何か隠してるよね?」

「そんなわけねえだろうが!!」

「うん、嘘。ソーマお兄ちゃん、嘘つくと声荒げるってお兄ちゃん言ってたよ?」

「ヤマト、テメェ……」

 

 この場での最年少のナナに嘘を見抜かれたソーマ、ソーマの嘘を見抜く方法をナナに教えたヤマトを睨み付けた……そんな時だった

 

「シオ!!」

 

 アラガミの少女が自分の名前ぽいのを元気に口にした

 

「それが君の名前かい?」

「ソーマがつけてくれた!!」

「お、おいお前!?」

 

 既にソーマによって名前がつけられていたアラガミの少女、シオがソーマが隠そうとしていた爆弾を破裂させた

 

「そっか、シオちゃんって言うんだね!私はアナスターシャ、ターシャと呼んでね!」

「ターシャ!よろしくな!」

 

 ソーマをアリサとコウタが茶化そうとする前にアナスターシャがシオに話しかけて自己紹介するとアナスターシャにシオが抱きついた

 

「ここに来てからアナスターシャに異様に懐いてるよな?」

「そうですね、ヤマトさん達はシオちゃんに会ったことが?」

「いや、視線を感じたことはあったこの子……シオに会ったのはあの時が初めてだ……」

 

 ラボに来てから毎日のように誰かどうか来ておりそれぞれさほど頻度が変わらなかったがなぜかソーマとアナスターシャの二人には他のメンバーに比べて早く、アナスターシャに限っては会ったその日に懐いているようだった

 

「多分、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()だからじゃないかな?」

「「ッ!!」」

「「え……」」

「どういうことだ?」

「アナスターシャ君のデータだけ毎回ヤマト君がとっていたからね、何かあると思い極秘裏に調べさせてもらったら、驚くことにアナスターシャ君の()()()()()()()()()()()していたんだよ。それに詳しく調べたら()()()()()()()()()()()していることもね」

 

 サカキの言葉にこの場の全員が静まり返った、ヤマトとアナスターシャ、ナナの中でも秘密にしておいたほうが良かったことをサカキは平然と語る

 

「博士、あまりその辺のことを言わないで下さいよ。私の中でも極秘中の極秘なんですから」

「すまないね、気になったら調べたくなる研究者の悪い癖でね」

「まあ、いいですよ、何れは話さないといけないとは思っていましたから……バレたから話しますけど誰にも言わないでね?」

 

 研究者の悪い癖はアナスターシャもよく知っていたからか溜息1つでサカキは許されたのだった

アナスターシャは第一部隊の面々に一言言うと話し出した

 

「私はほんの半年くらい前までみんなと同じ神機使いだったんだ。何処の支部かは言わないけど、日々アラガミを倒すための力を培っていた。ある日のミッション中に想定外の大型種に出くわして仲間を逃がそうとして……」

「囮になったと…………」

「うん。そして、戦闘中に腕輪を破壊されてアラガミ化が始まって激痛で動けない私を目の前のアラガミが補喰しようとしたときにその場に居合わせたヤトが助けてくれたんだ」

 

 アナスターシャは一部を隠して本当のことを話し出した、ここで嘘をついても余り意味が無いからでもあったがここにいる面々には信頼を寄せていたからでもあった

 

「大型種からは助かったけど、アラガミ化は止められて無かった。その頃、ヤトが研究、開発していた()()()()()()()()()()布で今もこうして()として生きてるんだ…布は抑制するだけだから博士が言ったように少しずつアラガミ化は進行してる」

「布の効力も今では1週間続くが最初の頃は1時間くらいしか保たなかった。アラガミ化に遭遇するなんてことも普通はありえない、アナスターシャを助けたのと同時に人体実験のモルモットにした、それは今も変わらないが…」

 

 ヤマトとアナスターシャは平然と話していたが第一部隊の面々にサカキは耳を疑うような話がチラホラあった

 

「黙っていたのは簡単に信用信頼の問題では無くてあまりいい話じゃ無いからなのとおいそれと人に話せないから……いや、話したくないからかな。アナスターシャが…」

「うん。ヤトとナナちゃんに背負わせてる重荷を他に背負わせたくないなら……」

「重荷……ですか?」

 

 黙って聞いていたアリサが〝二人に背負わせた重荷〟と聞いて聞き返した

アナスターシャは深く頷いてこう言った

 

「アラガミ化は止まっていない。いつか必ず私はアラガミになって周りを襲う……だから私は、ヤトとナナちゃんに()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()って重荷を背負わせた…」

「「「……ッ!!」」」

「……」

 

 〝アラガミ化した自分を殺せ〟言うことは簡単だろう。だが、もしその時がきたらどれくらいの人が言われた通りに出来るだろうか……家族と言って差し支えない人をアラガミ化したからと殺せるだろうか……だからこそアナスターシャは〝重荷〟と言っていたのだった

 

「みんなには出来る?アラガミ化した私を

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

()()()()

 

 

 

 

 

続く


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