女ヶ島の念能力者   作:C3PO

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こんにちはC3POです。
感想で主人公の発の制約の事を指摘されたので原作を読み返したところ私が制約部分を理解できていなかったことが分かりました。

ですので3話に書いてある念能力の制約部分を少し変えています。


第5話

 意味が分からない。

 

 海軍本部元帥コングは部下からの緊急連絡があまりにも常軌を逸したものだったため一時的に思考停止してしまった。

 

 数時間前に九蛇海賊団が天竜人及び各国の貴族、富豪達が居たシャボンディ諸島のオークションを襲撃し中にいた者達のほとんどが死亡または重傷。 死亡者には天竜人も含まれておりシャボンディ諸島駐在の海兵から直ちに応援を求む、と。

 

 そして現在九蛇海賊団は1番GRのヤルキマン・マングローブに火を放ち宴会中であると。

 

 眩暈がした。

 

 「コ、コング元帥! 大丈夫ですか!」

 「あ、ああ。大丈夫だ」

 

 思わず倒れそうになるコングを部下が支える。

 

 「…なぜ九蛇海賊団はヒューマンショップを襲撃したのだ…?」

 襲撃の動機が分からなかったためコングは部下に質問する。

 どんな動機があれば世界貴族を殺害するというのだ。

 

 「おそらくですが…一週間前に九蛇の女がヒューマンショップで売られたらしいので、そのことでしょう…。仲間を取り返すためと、報復のためかと思われます」

 

 コングはいったん深呼吸しこの大事件の対処に動く。

 

 「世界貴族が殺されたのだ。大将が始末に行かなければならん。今はマリンフォードにいるのはセンゴクだったな……よし! センゴクに伝えろ! 今すぐシャボンディ諸島に行き九蛇海賊団を殲滅せよと!」

 「ハッ!」

 

 部下の海兵はコングに敬礼するとすぐさまセンゴクのもとへ向かう。

 

 もうすぐ自分は世界政府総帥に就任すると言うのになぜこんな事件が起こるんだ…

 

 そう思うが嘆いていても仕方がないと首を振り事件の後に天竜人から来るであろうクレームへの対処を考え始めたのだった。

 

 

 

 

 時は少し遡る。

 

 

 

 現在九蛇海賊団がオークションの客や警備兵を蹂躙している最中、ベルゼリスはオークションのオーナーを引きずってある物を探していた。

 

 「ひぃ…そ、そこにある扉が武器庫だ! お前が探しているものもそこに一つ入ってるよ! 聞かれた事は全部話したんだから助けてくれよぉ…なぁ…頼むよぉ…」

 

 鼻はへし折れ顔中から色んな汁を垂れ流しオーナーはベルゼリスに懇願する。

 「いいよ。私は殺さない」

 

 ベルゼリスのその言葉に男はホッっと安堵の息をつくが内心では腸が煮えくり返っていた。

 

 ──必ずこのガキぶっ殺してやる……!!

 

 そう決意したが突如自分の頭をベルゼリスに掴まれ困惑する。

 「え!あ、あの…助けてくれるんじゃ…」

 「だから、私は殺さないよ…私は」

 そう言ってベルゼリスは未だ暴れ続ける九蛇達がいる客席に向かってオーナーを投げ飛ばす。

 

 「う、うわああああぁあぁあああぁぁぁ!!!」

 

 ちょうど飛んだ先には剣を振り回している仲間の姿が見える。

 

 ザシュッ

 

 そんな音と共にオーナーの体は上下に両断され絶命する。

 

 それを見てベルゼリスはそろそろ終わりそうだと思い探していた物を手に入れて仲間たちのもとに戻って行った。

 

 「つまらんのう…もう終わりか…」

 グレイスは不満げな表情を隠しもせず呟く。 

 

 ここにくるのは金持ちばかりなどだ。中には腕の立つ護衛を連れて来ている者もいたが覇気使いの九蛇の戦士に勝てるはずもなくほとんどが一合で地に沈んだ。

 

 「グレイス様。この店のオーナーに話を聞いたところ世界貴族の天竜人を私達が殺害したためもうすぐ中枢の最高戦力と言われている海軍大将が私達を討伐しに来るそうです。以前戦った海軍中将よりも遥かに強いと聞きましたので、そろそろ撤退しませんか? ここにはユーリンは居ないようですし一度ッ!」

 そこまで言いかけた所でグレイスからとんできた蹴りを片手で受け止める。

 

 「ベルゼリスよ…お主まさか我らが負けるとでも思うておるのかッ! 男など我らの敵ではないわ! 向かってくるものはすべて蹴散らせばよい。ただそれだけの事じゃ」

 そう吐き捨てるグレイスは完全に海軍を舐めているようだ。

 

 この女今までに強い海兵と戦ったことがないのでは…? とベルゼリスは思うが口に出したらまた面倒な事が起きるので黙っておくことにした。

 

 いざという時は姉妹以外の九蛇は囮にし見捨てよう。そう思うくらいにベルゼリスは九蛇海賊団に嫌気が差していた。

 グレイスはバカだ。船員のほとんどもバカだ。戦う時も突撃一択。 

 

 おそらく今回の件でグレイスは死ぬだろうなぁ…とベルゼリスは思う。自分の姉達はグレイスをかなり慕っているのでできれば見捨てたくないが、姉の命には代えられないのである。

 

 問題は来るであろう海兵たちにどうやって対処するべきか…。

 とりあえず大将にはグレイスが突撃すると思うので時間稼ぎくらいにはなるだろう。

 しかしこっちは悪名高い九蛇海賊団だ。全員が覇気使いだと認識されているのでかなりの兵力を派遣するだろう。もしガープとセンゴクとゼファーの内二人以上来たら気絶させてでも姉達を連れて逃げようとベルゼリスは考えている時、自分を呼ぶハンコックの声に気づきハンコックのもとに駆け寄る。

 

 「ベル~今からでっかい木に火をつけた後海軍が来るまで宴だってグレイス様が言ってたわよ。今度は強い敵がいるといいわね!」

 

 何考えてんだあのバカ。

 

 

 

 

 

 

 シャボンディ諸島60番GR 海軍駐屯所及び、政府関係者出入り口にて

 

 

 「センゴク大将! 部隊の編制完了しました!」

 「そうか! ご苦労! 皆よく聞け! 世界貴族と各国の貴族達を殺害した九蛇海賊団をこれより殲滅に向かう! 絶対に油断するなよ! 敵は全員が一流の覇気使いだ! 白ひげの部下たちにも劣らん強敵だと思え!」

 『ハッ!!』

 

 そこには数百の海兵が整列していた。

 そこにいる海兵は皆センゴクが普段から率いている部下たちだ。

 白ひげや海賊王とも戦闘経験のある歴戦の強者揃いのセンゴク自慢の部隊である。

 

 「センゴクさ~ん…偵察に行った兵が戻ってきたよォ~…」

 

 部下たちを見ていたセンゴクに黄色いスーツを着た巨大な男が間延びした独特な口調で声をかける。

 

 「ボルサリーノか…」

 

 センゴクは自分より階級が一つ下の中将ボルサリーノを見て名前を呟く。

 そして確信する。大将である自分と自分が鍛え上げた部下たち。そして自然系悪魔の実『ピカピカの実』を食べたボルサリーノ。これだけの戦力があれば如何に戦闘部族九蛇といえど必ず勝てると。

 

 そして自分の前に偵察に行った兵が来て報告をする。

 

 「ほ、報告します! 現在九蛇海賊団は船を停泊してる41番GRにて宴会を行っております!」

 

 まだ宴会しているのか……

 

 思わずキレそうになるセンゴクだが怒りを抑え好機だと思う。

 九蛇は自分たちの強さに絶対的な自信があり実際に強いが慢心することも多い。

 

 海軍の資料や報告書に載っている事実だ。

 

 こっちにはボルサリーノが居るため九蛇は奇襲に対応できないだろうと考えて策を練っていく。

 

 「部隊を三つに分けろ! 一つは私と共に来い! もう一つは真正面から九蛇海賊団に向けて前進せよ! そしてボルサリーノ! 部隊を一つ率いて側面から奇襲をかけろ! タイミングはお前に任せる!最初の奇襲で船長のグレイスを狙え! 奇襲が成功しようが失敗しようが奇襲開始と同時に全部隊で突撃する!」

 

 『ハッ!』

 「了解~奇襲は得意だからわっしに任せるといいよォ~」

 

 こちらの戦力は充分だ。部下たちの士気も高い。 

 

 油断できる相手ではない。いままで九蛇には何度も煮え湯を飲まされ続けたのだ。

 

 これでようやく悪名高い九蛇海賊団を仕留められると思いセンゴクは口角を僅かに上げた。

 

 

 


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