白夜side
万由里の力を見て、少しの時間が過ぎた。
いつものように万由里たちと学校に行き楽しく過ごしていた。
しかし、ある日放課後の下校の時に
隼「白夜、今日少し話したいことがあるんだが、大丈夫か?」
「ああ、大丈夫だ。
万由里、そういうことだから先に帰っていてくれ。」
万「ん。」
万由里たちと別れて、隼人について歩いていくと、いつもの公園についた。
「で、話ってなんだ?」
隼「万由里のことだ。
俺は、アニメ2期までとゲームの或守インストールまでの知識しかないから、万由里の存在を知らないんだ。
万由里は、イレギュラーなのか?」
「ああ、イレギュラーだ。」
(本来ならもう少し後に出てくるからな。)
隼「そうか。
なあ、俺と本気で手合わせしてくれないか?」
隼人は、何か思いつめたような口調でそう言ってきた。
「どうしてそんなことを?」
隼「白夜は、あのイレギュラーに簡単に対処して見せた。
でも、俺は万由里の時もディザスターの時も何も出来ないと思わされた。
だから、あの時出せなかった本気でお前と戦えば、イレギュラーに対処できる力の目標が見えるかもと思ったんだ。」
「断る。」
隼「そういうと思ったよ。
なら、無理にでも相手をしてもらうだけだ。」
隼人は、そういうと殴りかかってきた。
その隼人の目の周りに隈取りが現れ、瞳孔が長方形になっていた。
「なるほど、仙人モードか。」
隼「そうだ。
これなら少しは、お前とも戦える。」
隼人は、数十体分身を作り殴りかかってきた。
何体もの分身の殴りや蹴るなどの攻撃を避けたり、受け流したりして全て対処していたが、見えないところから何発か入れられたことにより、他の攻撃の受け流しが失敗し何発か攻撃を食らってしまった。
「なかなかやるじゃないか。
今のが蛙組手か、確かに認識できない攻撃は厄介だな。」
隼「よくいうよ。
あれだけ打ち込んだのにダメージを受けたようには見えないぞ。」
「ああ、受けてないからな。」
隼「少しは本気を出してくれてもいいんじゃないか。」
「そうか。
なら、少し本気出してやるよ。」
隼人に言われた通り本気を出すために、魔神化した。
額に銀色の紋様が浮かんだ。
そして、隼人の分身を右手のみですべて倒し切った。
そのあとに、隼人の腹に軽く拳を打ち込んだ。
隼「ぐっ、仙人モードでもこれほどのダメージを受けるとはな。
その額の紋様、色と形は少し違うがやっぱりメリオダスの力だろ。」
「よくわかったな。」
隼「これほどまでに強いとはな。」
「お前も十分強いよ。
でも、俺からしたらお前も守る対象でしかない。」
そういうと、隼人はとても悔しそうな顔をして俯いた。
隼「俺は、お前と対等になることは出来ないのか。
俺は、お前のことを親友だと思っている。
なのに、俺はお前の力になってやるどころか、お前に守られるものの一人でしかない。
俺は、そんなのは嫌だ。
俺は、お前と対等になるための力が欲しい。」
「・・・。」
隼人の言葉に何も言えなかった。
万由里にしろ隼人にしろ、俺と対等になって俺を助けたいか。
(そんな風に思ってくれるやつが、二人もいるなんて嬉しいな。)
そんなことを考えていると、隼人の体から赤い霊力が湧いてきて体を包んで狐の耳と尻尾を形作った。
「まさか、九尾の力か。
力が欲しい思いを利用されて暴走したのか。」
尾は、あっという間に四本になり、禍々しい霊力が隼人の姿を覆い隠した。
隼「がああ。」
「はあ、やっぱり俺と対等な存在は現れないか。」
九尾化して、襲い掛かってくる隼人の腹を蹴り上げ空高く打ち上げた。
跳躍して飛んでいく隼人に追いついき、山の方に向かって蹴り飛ばした。
隼人は、山に打ち付けられ巨大なクレーターを作った。
隼人の倒れているところに近づいた。
隼「ぐああ。」
「まだ、意識を刈り取ろうと思ったんだが、思った以上に頑丈だな。
でも、俺が霊術で九尾を沈めれば大丈夫だろ。」
隼人の体に触れて、九尾を沈めようとした時、異変が起きた。
天宮市に結界が張られた。
そして、時間が巻き戻っているかのようにあたりがもとに戻っていった。
変化が終わった時に俺がいたのは、家の寝室だった。
万由里が、朝食を作るために出て行った直後だという記憶だけがあった。
「なるほど、始まったのか。
やっぱり、呪いのせいで俺の記憶は消えないか。
これから、記憶が消えた風に演技をしなきゃいけないのか、面倒くさいな。
幸い植え付けられた記憶があるだけましか。」
仕方ないので、気づいていないふりをしていつものように過ごすことにした。
いつものように朝食を食べて、家を出るといつも一緒に登校する士道たちと、もう一人今までいなかった人物がいた。
しかし、今まで一緒に登校していたという記憶もある。
その矛盾する二つの記憶に面倒くさいと思いながらバレないように演技をした。
「おはよ、凛音。」
凛「おはよう、白夜、万由里。」
万「おはよう、凛音。」
これから始まるループを面倒くさいと思う反面、万由里と過ごす時間が増えることをうれしく思いながらみんなと登校した。