今回メッチャヘタクソです。待ってくれた方本当スミマセン!
何故かって…?クライン書くの難しいからさ…(白目)
その他、訳分からん所や、物申したい事がありましたら、感想に書いて下さい…修正します…( ´•̥̥̥ω•̥̥̥`)
斬る。刺す。殴る。抉る。殺す。殺す。殺す。殺す。
他の事は考えない。無駄な思考は必要ない。
この時だけは、どんな感情も介入しない。嫌な思い出も、忘れたい過去も。
決して忘れてはいけない記憶も。
この時だけは、何も考えなくていい。
ただひたすらに、目の前に広がる飛龍の群れを、殲滅するだけ。
「──死ね」
<レイジスパイク>
片手用直剣のスキルの中でも初期に使える単発技。だがその威力は、78層のワイバーンすら一撃で沈める程のものだった。
アキトのSTR値の高さが垣間見える。
斬り伏せ、砕け散ったワイバーンの影から、またさらに2匹。
だが──
「───死ね」
<ホリゾンタル>
白銀に光るティルファングを、横に一閃。
それだけで、その2匹のワイバーンはその体を輝かせ、やがてポリゴンとなった。
アキトの、モンスターを見るその瞳は、まるで親の仇でも見るようだった。
目の前には、まだモンスターが蔓延る。オーク型が3体、ワイバーンが2匹。
アキトはその瞳を見開かせ、一瞬でオークに迫った。ワイバーンの真下にいるオークに向かって一気に駆ける。
途中2体のオークは、<バーチカル・アーク>で吹き飛ばした。
残ったオークの顔に蹴りを入れ、そのまま上空に飛び上がる。真上にいるワイバーンに目掛けて、その剣を光らせる。
<ヴォーパル・ストライク>
その突進力で、アキトはさらに飛び上がり、その剣はワイバーンの胸に深く突き刺さる。
ワイバーンが雄叫びを上げた瞬間、アキトの体が動く。
コネクト・体術スキル<飛脚>
両の足をワイバーンに突き立て、そのままワイバーンを蹴り飛ばす。ティルファングはワイバーンから勢いよく引き抜かれ、さらにダメージが換算された。
アキトはそのスキルの反動で横に飛んでいく。その進行方向の先には、2匹目のワイバーン。
コネクト・<シャープ・ネイル>
片手用直剣三連撃技。その突進力がそのままダメージに乗り、ワイバーンはやはり初撃で破片と化した。
だが、まだこのスキルは続いている。
アキトはそのまま落下していき、その真下には、先程ジャンプ台に使ったオークがコチラを見上げていた。
オークは咄嗟に盾でガードするが、拙い。
「死ね」
落下と共に繰り出されたそのスキルは、オークの盾を吹き飛ばし、最後の一撃でオークをポリゴンに変えてしまう。
あまりにも無慈悲に。あまりにも冷酷に。
あれだけの数を、ほんの数秒で。
そのモンスターの破片が空気中に霧散していく中、アキトは静かにその景色を見つめていた。
だがその瞳に感動は無く、ただただ怒り、哀しみのような。
そんな表情を浮かべていた。
─── らしくない。分かっている。
いや、分かってない。自分らしいとはなんだろう。
どれが本当の自分?アキトはティルファングを地面に突き刺し、顔を俯かせる。
少なくとも、モンスターであったって、こんなに軽々しく『死ね』なんて言うような奴では無かった筈だ。
この世界は偽物なんかじゃない。アスナには逆の事を言って傷付けたが、本当はそんな事思っちゃいなかった。
この世界だって、もう一つのリアル。だからこそ、今まで倒してきたモンスターにだって、きっと命があった。
いつもあんな狂気的に、殺人を楽しむラフコフみたいに。モンスターを斬り伏せた事があっただろうか。
「…全部偽物だったら…どんなにいいか…」
ある筈もないタラレバが口から零れる。そんな事を無意識に言ってしまう自分の弱さに、自嘲気味に笑った。
これが、これまでの2年間が全て瞞しで、全て偽りで、全て幻想だったならば。
今まで目の前で消えていった数多の命が、偽りのものだったら。
全てドッキリで、このゲームをクリアすれば、また皆に会える仕様だったなら。
「…そんな世界だったら」
どんなに良いだろう。
アキトは、何気無くティルファングを見つめる。
「…耐久値も、そろそろ限界かな」
あのボス戦以来、一度もリズベット武具店に顔を出していないアキト。その為、ティルファングの耐久値が回復しておらず、77層の時の状態であった。
リズベットから平手打ちを食らったあの日から、なんとなく顔を合わせる事に躊躇いを覚える。実際、平手打ちを食らうに値する事をしたのだ、そう考えるのはお門違いというものかもしれない。
だけど。
「……」
アキトはティルファングをストレージに仕舞い、別の武器を取り出した。
それは、何処にでもあるようなデザインをした刀だった。
刀カテゴリ : <琥珀>
クリティカルに補正がかかるだけの武器。とてもティルファングの代わりは務まらない。
最近宝箱で見つけたものだが、現在売られているものよりも少し性能が良いというだけのもの。
だけど、今は彼女に顔を見せるより、この刀に頼りたかった。
「…次はアイツか」
目の前にはリポップしたオークの群れが。コチラを確認してゾロゾロと集まっていく。
アキトはその質の劣った刀を構え、一心不乱にソードスキルを叩き込んだ。
まるで、八つ当たりをする子どものように───
それから数時間、ひたすらにモンスターを倒した。
火力が出ない分、多少ダメージは負ったが、それすら気にならない。
リポップするまでの時間が惜しく感じて、すぐさま別のエリアへと走って、見たもの全てを刀の錆に変えるかの如く。
「……」
だけど、斬っても斬っても、別に優越感に浸れた訳じゃない。
ただただ虚無感に襲われた。
その瞳は、前髪に隠れて見えはしない。だけど、唇を噛んでいるのは分かった。
『…どうして、お前はここにいるんだ?』
「…どうして、だろうな。俺でも、何か出来るかもしれないって思ったからかも。お笑い草だよな、俺は英雄なんかじゃ…君なんかじゃない、ただの一プレイヤーなのにさ」
卑屈に笑う。その幻聴に。
刀を鞘に収め、帰路に立つ。
攻略組に来て、毎日こんな事を繰り返している。変わり映えの無い、在り来りな毎日。
元々はこの世界が非日常だった。それなのに、今はこれが当たり前になっている。
いつからだろう。モンスターに怯える事無く、彼らをレベル上げの材料と感じるようになったのは。
いつからだろう。強敵を倒しても何も感じなくなったのは。
「変わらなくてもいい所ばかり変わってるな…」
変わりたい所は、何一つ変わってないのに。
そう呟いても現状は変わらない。目の前には、また新たにモンスターが現れていた。
アキトは再び刀を構える。この層は飛龍型のモンスターが多い。上空にいると倒すのは至難の技ではあるが、倒せないわけじゃない。
「──っ!」
アキトは上空へと飛び上がり、刀スキルの<緋扇>を放つ。
やはり、ティルファングのステータスよりも弱い為、一撃というわけにはいかなかった。
「っらあ!」
力任せに刀を振り抜く。その連撃に、やがてワイバーンは消滅した。
その表情は、先程よりも冷静なものだったが、心は晴れない。
『私には!もう、生きてる意味が無いの!生きているのが辛いの!だから…!』
なら、自分は?生きている意味を、存在意義を失った自分は?
俺は、何の為に此処にいる?俺が今、すべき事は何?
俺という人間が、この世界に在り続ける理由は何?
「くっ…!」
ダメージを受けつつも、大した事は無いと吐き捨て、目の前にオークの四肢を切断する。
HPが尽きるのを見た瞬間、すぐに別のモンスターへと視線を切り替える。ポリゴンとなるモンスターの最後は看取らない。
倒したら、また次。殺したら、また次。そうして屍の山を作る。
アキトの心は、その度に傷付いていく。
「っ!?…あ、れ…」
アキトはその瞬間、糸が切れたように地面へと体制を崩す。
急いで起き上がろうとするが、体に力が入らない。
もう何時間も休まずモンスターを斬っていた為に起こった、当然の事だった。
「…っ!」
アキトはハッと何かを察知して振り向く。そこには、既に片手斧を振り上げるオークの姿が。
アキトは間に合わないだろうと感じつつ、それでも防御姿勢を取る。
だが。
そのオークの攻撃は、乱入してきたプレイヤーによって凌がれ、そのままポリゴンへと姿を変えた。
思わず目を見開き、乱入してきた人物を見上げる。
エギルの店で何度も顔を合わせた相手、だけどあまり話した事も無い人物だった。
「おい、大丈夫か!?」
「っ…<風林火山>の…」
そこには、野武士面の主張が強い、ギルド<風林火山>のリーダー、クラインが立っていた。
クラインは周りにモンスターがいない事を確認すると、コチラに走り寄って来た。
「…ったく、無茶しやがって…ほらよ」
「…必要無い、自分で立てる」
クラインから差し伸べられた手を無視して、ヨロヨロと立ち上がる。
クラインは心配するような眼差しをコチラに向けていた。
「お前さん、ちゃんと休んでるのか?こんな事ばっかしてると体もたねぇぞ?」
「いらん世話だ、無茶してないと言ったろう。それに、あの一撃が入ったくらい、大したダメージじゃない」
「っ…何言ってんだテメェ!自分のHPちゃんと確認しやがれ!」
クラインが怒気を孕んだ声でコチラを睨み付ける。
その尋常ではないクラインの覇気に、アキトは自分のHPバーを確認すべく、視界の左上へと視線をずらす。
すると、HPが危険域に入っているのが見て取れた。レッドになっているHPを見て、思わず目を見開く。
どうやらダメージが入る度に、『一撃くらい大した事は無い』と考えながら戦い続けたツケが回っていたようだ。ただ無心にモンスターを屠っていたので、アキト自身気付かなかったようだ。
いつもと違う武器、それも性能が低い刀で戦っていた為に起きた、ギャップのようなものだった。
だが、アキトはその事よりも、クラインがこうも自分を気に掛けてくれる事が気になった。
クラインからは、あまり好感は持たれていないだろうと思っていたから。
アキトはクラインを見て、卑屈に笑った。
「…随分とお優しいんだな。自分で言うのもアレだが、お前への印象は最悪だと思ってたぞ」
「こんな時に冗談言ってんじゃねぇぞ!」
クラインはアキトの胸倉を掴み、アキトを自分に引き寄せる。
そんな事をされるとは思っていなかったアキトは、クラインを凝視した。
「お前は目の前で死にそうな奴が嫌いなら助けねぇのかよ!生憎俺はそんな事考えてる余裕なんて無ぇんだよ!」
クラインのその目は、何かを訴えているようで。
アキトは何も言えなかった。
クラインは溜め息を吐くと、アキトから手を離し、一言謝った。
「…すまねぇ、カッとなっちまって」
「……」
「けどよ…俺はもう、誰かが死ぬのを黙って見てるなんて出来ねぇんだよ…」
クラインは顔を俯かせ、その拳を強く握る。悔しがるようなその表情を見て、アキトは目を逸らす。
そうか、彼は、自分と同じだったのか。
誰かが死ぬのを、見たくないと。
「…ゴメン」
思わず謝罪の言葉が、口から零れた。
クラインも素直にそう返されるとは思ってなかったらしく、コチラを見て目を瞬く。
キリトの仲間の一人である彼は、見たところかなり情の熱い男のようだ。
こんな見ず知らずのプレイヤーにも、手を差し伸べる事が出来る。
アキトはそんなクラインを見て、寂しそうに笑った。
─── クラインらしいな。
「っ…あれ…」
アキトはその考えに首を傾げた。
『らしい』ってなんだ。自分はクラインの事、何も知らない筈なのに。
アキトはふと疑問に思ったが、クラインが顔を上げたのを視界の端で確認し、顔を上げる。
「…それに、お前には俺のダチを助けて貰ったしな」
「……」
クラインにそう言われて、76層と77層でのボス戦を思い出す。
エギルの盾となった自分、アスナのピンチを凌いだ自分。
リズベットと、指切りした自分。
どれも全力を出した戦いだった気がする。あの時、皆を守りたいと思った気持ちに、きっと嘘は無かった。
アキトはクラインを視線から外し、ポーションを取り出した。
「…約束、したからな…リズベットと」
「…そうか」
クラインも、儚げに笑った。
アキトのその一言だけで、クラインのアキトに対する印象は変わっていた。
アキトは、きっと悪いヤツでは無いと、そう感じて。
それがなんだか嬉しかったのか、安心したのか、クラインはアキトにポーションを投げる。
アキトは放物線を描くそのポーションを慌てて受け取った。
どういうつもりなのか、アキトはクラインを見ると、クラインは頬を掻きながら口を開く。
「その礼と詫びだ。受け取ってくれ」
「…なら、これは助けて貰った礼にやるよ」
アキトはそう言って、元々持っていたポーションをクラインに放り投げる。
それを受け取ったクラインは、実質貸し借りゼロになった結果に、苦い顔をした。
「…ケッ、可愛くない野郎だぜ…」
「貸し借りは作らない主義なんだ」
アキトはクラインを見もせずに、そのポーションを口に突っ込んだ。
クラインはそれを確認し、アキトから貰ったポーションを飲んだ。
HPバーが回復していくのをお互いに確認し、漸く一息着いた所で、クラインが口を開いた。
「…にしてもよ、お前いつも一人で攻略してんのか?」
その一言は、アキトの胸に深く刺さる。
クラインに悪気が無いのは理解しているが、アキトにとってその話はある意味タブーだった。
「お前には関係無い。そっちこそ、ギルドのリーダーの癖に一人じゃねぇか」
「まあな。…最近は、一人の時の方が多いかもしれねぇ」
「…それでよく俺の事でとやかく言えたな」
その野武士面の男は、如何にも何か言いたそうな表情をコチラに向けて来ていた。
アキトはそんなクラインの顔を見て、息を吐いた。
クラインは身を乗り出すような勢いで話を続ける。
「けどよ、もうこんな上層の上に、モンスターのレベルも上がってる。一人じゃあ限界があるぞ」
「限界なんてのは諦めの早い奴が自分を慰めるのに使う言葉だ。嫌いな言葉だな」
かつての自分を、思い出す言葉だ。
「だけどよ、お前もギルドに入ってんなら………っ!?」
突如、クラインの言葉が途切れる。
不思議に思いクラインの方を向くと、その目を見開き、コチラを凝視していた。
いや、見ているのはアキトじゃない。どちらかと言うと、自分の頭上の辺り────
「…その、ギルドマーク…」
「っ…」
アキトは言葉を詰まらせ、体が固まる。
お互いに、その視線が動かない。
クラインが見ているのは、アキトのHPバー、その上に描かれた、ギルドに加入している事を表すエンブレムだった。
イラストは各自決める事が出来る為、自分達のギルドのイメージをそのエンブレムとして使う事が出来る。
即ち、その種類は無限。だからこそ、クラインが見間違える筈が無い。
一年前のキリトがギルドに加入していた時に見たのと、同じイラストだったのを。
アキトはしまったと思い、目を逸らした。
まさか自分で墓穴を掘ってしまうとは。自分の詰めの甘さが恨めしい。
気付かれて無かったのだから、ギルドの話なんて触れなければよかったのにと、凄まじい勢いで後悔した。
(そうだ…この人もキリトの仲間…なら、知ってても…)
クラインは、信じられないと、そういった表情で。
クラインはその表情のまま、震えるような声で言った。
「……お前さん、もしかして、キリトの……」
「……お前には、関係無い」
「っ…、お、おい!」
アキトは立ち上がり、クラインを背に歩き出した。その進行方向の先には、78層の街が。
クラインが咄嗟にその肩を掴むが、その肩は震えていて、すぐにその手を離してしまった。
「頼むから…やめてくれ」
「…分かった」
そのアキトの反応は、自分の考えが当たっている事を示していたみたいで。
お前の思っている通りだよと、そう言っているみたいで。
だが、アキトのそのか細い声を聞いて、クラインは離したその手を力無く落とす。
アキトはクラインには目もくれずに歩き出した。
クラインはその背中を見て、心がざわめく。
あの背中を、あの去り際を、きっと自分は見た事がある。
ずっと後悔していた、助けられなかった少年の背中。今も悔やむ、一人にさせた友の背中。
それにとてもよく似ていて。
「な、なぁ!なぁおい、アキト!」
「……」
クラインは思わず飛び出す。
アキトは、背中から感じるその視線に足を止めた。
「…フレンド登録…しちゃくれねぇか」
クラインはそう言って、ウィンドウを動かす。
アキトの目の前に、フレンド申請の通知が表示された。
「っ…」
アキトはその瞳を開かせ、心臓の鼓動が強く打たれるのを感じた。
脳裏に焼き付くは、自身のフレンド欄。
もう二度と更新される事は無い、<DEAD>と表示されたフレンド。
シリカとリズベットとフレンド登録したその日も、その表記を見て我に返った。そして、後悔した。
(これを…これを押してしまったら…俺はまた…)
目の前のYESボタンを見て、瞳が揺れる。
これまでずっとそうだった。自分が欲したものが、この手から零れ落ちる感覚。
何度も味わってきた。失って感じる哀しみと絶望を。
また、失ってしまうのでは。
アキトのその手が、その指が、そのウィンドウに伸ばされては、引っ込められる。
フレンド登録をしてしまったら。仲間だと、感じてしまったら。
俺は…。
─── 約束…する、から…誰も…死なせないから…必ず、みんなで、現実の世界に……!───
「あ……」
アキトは、いつか誓ったその言葉を思い出した。その拳を、固く握り締める。
それは、誰と交わした誓いだっただろうか。
誰も死なせたくないと、そう思ったのは本当で。後悔だけはしないと、そう決めていた筈だった。
そんな大言を守れる保障なんて、何処にも無かった筈なのに。
絶対に、やり遂げると決めてしまったから。
この『誓い』だけは、決して破らないと誓ったから。
「…ほらよ」
アキトは、クラインからのフレンド申請を受けた。
フレンド欄に、新たに互いの名前が記される。
「…ありがとよ」
「…別に」
だからこそ、キリトの大切なものを守ると決めたからこそ、この行いに意味がある。
きっとこれが、今のアキトの此処にいる理由。
だけど、本当に大切なものは、遠ざけるべきだと、そう思った。
そうすれば、そうしておけば、こんな事にはならなかったかもしれないのだから。
目の前の男がこんな顔をするのも。アスナが哀しみにくれるのも。
俺が、大切なものを失う事も。
「…じゃあな」
「…最後に一つだけ、聞いてもいいか…?」
アキトの別れの挨拶を遮り、クラインがそう呟く。
アキトは再び振り返り、クラインの言葉を待つ。
「ギルドの名前、教えてはくれねぇか」
名前は知っているけれど、キリトから直接教えて貰った事は無かった。
いつか、共に攻略組で出会い、肩を並べ、互いに背中を預ける存在になると思っていた。
いつか、孤独だったキリトの背中に涙した。
もうきっと、キリトに仲間は出来ないのではないか、独りで死んでしまうのではないかと、そう思った。
だけど。
此処に、キリトのかつての仲間がいる。
ちゃんと聞いたわけじゃない。だけど、そう思う事にした。
そう思いたかった。キリトと共に歩いてくれたであろう、目の前の少年だと。
アキトはそのクラインの質問を聞いて、その口を開きかけて、気付いた。
別に隠している訳では無い。だけど、そういえば自分の口からこの名を出すのは初めてかもしれないと、そう思った。
いつか、このギルドにいる事が誇りになったら、自慢してやろうと思っていたのに。
最前線で、轟かせたかった筈の名前なのに、一度たりとも口にしなかった。
大切な場所の名前を、俺は口にした事が無かったんだなと、今更胸が痛かった。
「───《月夜の黒猫団》」
そろそろフィリアを出す時か…。
いや、今回の本当に何処かいつもと違う感じするんですよね…書いてて不審感あったと言うか…(´・ω・`)
慣れない事はするものじゃないな…( )
そういえば、本日の日間ランキング、なんと12位でした。
感無量です( இ﹏இ )
これから下がっていくんだろうな…(白目)
頑張ります!(`・ ω・´)ゞビシッ!!