労働少年あきら☆シヌナ ~人が絶望する時それは過労死する時~   作:まゆげ剃り機

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どうもまゆげ剃り機です。

大学が忙しいのとスランプ気味だったのを理由に全然更新できませんでした。申し訳ありません。

今回はまどか側を焦点に三人称視点で進みます。

次回から主人公の一人称視点になると思います。


This Chapter
始業①空気読めない奴


「ハァ……ハァ……ハァ……」

 

”鹿目まどか”は走っていた。

 

「ハァ……ハァ……ハァ……」

 

全てがモノクロの不思議な回廊を鹿目まどかは息を切らしながらも走っていた。

 

走り、階段を上り、屋上の扉を開ける。そこに広がっているのは破壊しつくされた見滝原市とそのはるか上空に逆さまに佇む巨大で異形な化け物であった。

 

そして、そんな化け物と対峙している少女が一人。

 

黒くて長い髪を靡かせていて、冷たい表情の中には確かな決意が表れていた。

 

黒髪の少女は化け物に肉薄するが、化け物によるビルや魔法の炎などの苛烈な攻撃に少女は近づく事さえ出来ないでいる。

 

「……ひどい……」

 

まどかは顔を歪めながら呟く

 

「仕方ないよ」

 

そんな呟きにある存在が返答する。キュウベェだ

 

「彼女一人では荷が重すぎた……でも、彼女も覚悟の上だよ」

 

キュウベェの言葉は少女を気遣っているような言葉のはずなのに、何処か無機質に感じられた。

 

少女は吹き飛ばされる。

 

「そんな!! あんまりだよ!! そんなのって無いよ!!」

 

まどかは彼女のあまりに救われない運命に対して悲痛に叫ぶ

 

「諦めたらそれまでだ」

 

「え?」

 

「でも……君になら運命を変えられる」

 

「……」

 

「避けようの無い滅びも……嘆きも……全て君が覆せば良い。その為の力が君には備わっているのだから」

 

キュウベェはまどかを唆す

 

「ほ……ほんと? ……」

 

化け物と戦っていた少女は満身創痍で上空から落下していく。

 

「……私なんかでも……本当に何か出来る? こんな結末を変えられるの?」

 

「もちろんさ! だからさ、僕と契約して……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……魔法sy『新人アルバイターになってよ!!!!』!!? 君は誰!!?」

 

「え……ええと……どちら様?」

 

キュウベェとまどかの会話に突如誰かが割り込んできて、まどか、そしてあのキュウベェでさえ戸惑う。割り込んできたのは……

 

「俺か? 俺はただの配達途中のバイトリーダーだ!!」

 

某有名ピザ会社の制服を着て、片手にピザが入った箱を持っている少年だった。

 

「えええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バサ!!!!

 

まどかは勢いよく布団から起き上がる

 

「あ……れ?……」

 

鳥のさえずりが聞こえ、朝日がカーテンの隙間から漏れる。

 

「……」

 

まどかはあたりを見回し……

 

「夢落ち??……我ながらおかしな夢だったなー……」

 

 

 

 

 

 

起床後、まどかはいつものように母親を起こし、朝食を食べ、家を出る。

 

途中友達の”美樹さやか”と”志筑仁美”と合流して見滝原中学校へ登校する。

 

学校のベルが鳴る。

 

「今日は皆さんに大事な話があります!! 心して聞くように!!」

 

まどかの担任の”早乙女和子”はひどくイライラした様子でホームルームを始めた。

 

「目玉焼きとは固焼きですか? それとも半熟ですか? はい!! 中沢君!!!」

 

「ええ!!? え……えっと……どっちでも良いんじゃないかと……」

 

急に名指しされた中沢君はびくびくしながらも律儀に答える。

 

「その通り!! どっちでもよろしい!! たかが卵の焼き加減なんかで女の魅力が決まるなんて大間違いです!!!」

 

ボキッッッ!!!!!

 

と、もの凄い音とともに先生が持っていた指示棒がへし折れた。

 

明らかに彼氏と別れたのがわかる為、生徒全員は苦笑いをしてしまう。

 

「コホン……後それから、今日は皆さんに転校生を紹介します」

 

「あはは……そっちが後なんんだ……」

 

「じゃ、暁美さん。いらっしゃい」

 

コツコツと革靴を鳴らし、転校生が教室に入ってきて黒板の前で止まる。

 

教室の生徒達は転校生がとても美しかった為騒々しくなる。

 

「うわ、すげー美人」

 

さやかもつい感嘆してしまう中、まどかだけは全く違う理由で驚いていた。

 

「ええ!? ……うそ……まさか……」

 

その転校生は今朝まどかが夢で見た化け物と戦っていた少女だったからだ。

 

「それじゃあ自己紹介いってみよう」

 

生徒全員が転校生に耳を傾ける。

 

「”暁美ほむら”です。よろしくお願いします」

 

…………。

 

「んん?」

 

余りにあっさり過ぎて一瞬時が止まった。そして、まばらに拍手が鳴る

 

「……」

 

「え?」

 

転校生の暁美ほむらはじろりとまどかの方を見る。が、すぐに目線を戻す。そのままホームルームは終了した。

 

 

 

 

 

休み時間中暁美ほむらは質問責めにされていたが、途中気分が悪くなり保険委員のまどかを連れて保健室に行った。

 

その間にまどかはほむらと奇妙な会話をした。

 

『鹿目まどか。あなたは自分の人生が尊いと思う? 家族や友達を大切にしてる?』

 

『もし本当に大切なら……今とは違う自分にはなろうとはしない事ね』

 

『さもなければ……全てを失う事になる。あなたは鹿目まどかのままでいれば良い……今まで通り……これからも』

 

まどかからしてみれば初対面の人から人間関係についていきなり忠告されたようなものだった。

 

 

 

ショッピングモール内の喫茶店でまどかはその会話の事を一緒に来ていたさやかと仁美に話した。

 

「ええ!? なにそれ!!」

 

「訳わかんないよね……」

 

「文武両道で才色兼備かと思いきや、実はサイコな電波さん……くぅぅ!!! どこまでキャラ立てすれば気が済むんだ!! あの転校生は!! 萌えか!! そこが萌えなのか!!」

 

さやかは言い終わると同時にテーブルに突っ伏す。

 

「まどかさん。本当に暁美さんとは初対面ですの?」

 

「……ん~……常識的に考えてそうなんだけど……」

 

「なにそれ? 非常識なとこで心あたりがあると?」

 

さやかはガバッ!!と起き上がりまどかに聞く。

 

「あ、あのね……夕べあの子と夢の中であった……よう……な」

 

…………

 

「「あはははははは」」

 

「すっげぇ、まどかまでキャラが立ち始めたよ」

 

「ひ、ひーっどいよ!! 私真面目に悩んでいるのにーー!!」

 

「あー、もう決まりだぁ。それもう前世の因果だわ。あんた達、時空を超えて巡り合った運命の仲間なんだわ!!」

 

「夢って、どんな夢でしたの?」

 

「それが……なんだかよく思い出せないんだけど……とにかく変な夢だったってだけで……あ!!」

 

どこか曖昧な感じだったまどかが急に声を上げた。

 

「何々? なんか思い出したの?」

 

「うーん……あの子の他に……その……ピザを配達してる人が私の隣にいた……と思う……」

 

「な、なにそれ!!? アッハハハハハハ!!!まどかの夢面白すぎ!!」

 

「ぷっふふふふ……す、すみません……私から聞いておきながら笑ってしまって……ふふふ」

 

「もーーーー!!!! 二人ともしらない!!!」

 

プイっとまどかは頬を膨らましてそっぽを向く。

 

「ふふふ、ごめんなさい。それでもしかしたら暁美さんとどこかで会ったことがあるのかもしれませんわ」

 

「え!?」

 

「まどかさん自身に覚えていないつもりでも、深層心理には彼女の印象が残っていてそれが夢に出てきたのかもしれません」

 

「それ出来すぎてない? どんな偶然よ」

 

「ちょっとまって仁美ちゃん!! それじゃあ私はあのピザ屋の男の子にもどこかで会ったことがあるかもしれないの!!? 絶対会ったこと無いよ!! すっごいインパクトあったもん!!」

 

さやかと仁美は再び大笑いし、まどかも再び怒る。

 

その後仁美はお稽古の為二人と別れ、まどかとさやかはCDショップに向かった。

 

 

 

 

まどかはヘッドフォンで音楽を聴いている時、声が聞こえた。自分に助けを求める声が……

 

「え……誰?……」

 

まどかは声が強く響く方へ向かっていく。

 

店内改装をしてるフロアに来たまどか。頭に響く声がさらに強くなっていく。

 

「誰? 誰なの?」

 

まどかが来た場所は非常に薄暗く、まるで廃墟のようだ。

 

「……どこ? どこに居るの?」

 

ガタン と天井から聞こえてきて、そこから何か白い生き物が落ちてきた。

 

「きゃあ!!」

 

まどかは驚いて尻餅をついてしまう。落ちてきた生き物はよく見たら全身ボロボロで息も絶え絶えだった。

 

まどかはすぐさまその生き物に駆け寄り、抱き上げる。

 

「あなたなの!?」

 

「ハァ……ハァ……たす……けて……」

 

まどか自身何が何なのかわかってないが、とにかくこの生き物を助けないといけないと思い、立とうとする。

 

が……

 

 

「ヒッ!……」

 

 

重厚な鎖が落ちる音が響いた。

 

その音にまどかは驚き咄嗟に顔を上げると、今日転校してきた暁美ほむらが不思議な恰好で佇んでいた。

 

「……ほむらちゃん?」

 

「そいつから離れて」

 

「だ、だって……この子、怪我してる……」

 

「ハァ……ハァ……」

 

「駄目だよ……酷い事しないで!!」

 

まどかは生き物をほむらから隠すように抱きしめる

 

「あなたには関係ない」

 

「だ、だってこの子私を呼んでた!! 聞こえたんだもん助けてって!!」

 

「……そう」

 

ほむらとまどかの目線が交差する。片方は暗く鋭い瞳で、もう片方は弱弱しく目を泳がす。

 

しかし、次の瞬間ほむらの横から猛烈な勢いで消化器の粉末がかかる。

 

「まどか! こっち!!」

 

「さやかちゃん!!」

 

消化器を噴出していたのはさやかで、まどかを助け出す。

 

さやかは消化器を投げ飛ばし、まどかと共にに逃げる。まどかはまどかで白い生き物を持って走る。ほむらは不思議な力で煙を消し飛ばす。

 

しかし、ほむらの周りの景色が一瞬にして変化し始める。摩訶不思議で奇妙奇天烈な景色に変わってしまった。

 

「……こんな時に」

 

その空間は逃げていたまどか達にも覆い始める。

 

「あれ!? 非常口は!? どこよここ!?」

 

「変だよ…ここ……どんどん道が変わっていく……」

 

あまりにあり得ない光景に二人は狼狽えてしまっている。

 

「ヒッ…何かいる!?」

 

そこにいたのは綿にポテトチップスの表紙に載っているキャラと同じ髭がついている謎生物がたくさんいた。

 

「冗談だよね……あたし変な夢を見てるんだよね!? ねぇ!? まどか!!?」

 

二人の恐怖感が最高潮に達するその瞬間

 

「なんじゃこりゃァァァァァァァァァ!!!!!!」

 

ここにいるはずのない男性の叫び声が響いた。

 

「「!!!?」」

 

二人は咄嗟に振り向くと……

 

「迷って適当に歩いてたら何かすっごいファンタジーに遭遇したんですけどォォォォォォォ!!!!!!!」

 

そこには有名牛丼屋チェーン店『吉〇家』の制服を着て、驚愕の表情をしている青年がいた。





久しぶりに書いたので少し不安。


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