親の妨害によって観ることが叶わないかと思われていた平成ジェネレーションズFINALを観に行けて、しかもアンクと映司を見ることができて大満足だったが、親の妨害によって今度は執筆ができなくなっていた先詠む人です。
年内に無印最終話まで持っていくつもりでしたけど…いかんせん間に合わん。まぁ、年内が無理でも来年1月にはたどり着く…この手に掴めるはずです。
※完全に原作死亡シーン崩壊。原作よりも下手したらひどいことに……
「ぐぅ……」
「スイムちゃん大丈夫…?」
利き腕をなくし、苦悶の表情で脂汗がにじみ出ている
「……絶対にみんな殺してやる」
そんな光景を見ていても私の頭の中にはもういなくなってしまったユナエルの敵を討つことでいっぱいいっぱいでそれ以外何も頭が回らない。
「たま、
冷徹に、自分が飲むことも考えてたまにあの薬を買わせようとする。
「あの薬……って駄目だよ!どう考えてもあの薬普通じゃないもん!」
唯一あの薬を飲んでいないたまはそんなふぬけたことを言う。無理やりにでも飲ませてやろうか。
そう思うのと同時に溜まりにたまったストレスが爆発する。
「うるさい!いいから黙って従えよ!!」
大声で怒鳴りつける。
「ひゅぅ!?」
怒鳴りつけたことでたまは恐る恐る…と言った表情でショップメニューを開いてある薬をキャンディと引き換えに購入。実体化させた。
それはおどろおどろしい色をした液体が入ったフラスコ。
そのフラスコをぶんどるかのように奪い取り、その封を破って、ふたを開けて中身の一部を口に含んでから残りをリーダーの口に当て、一気に飲み干させる。
「んくっ……ふぅ…」
飲み干すのと同時にリーダーの額に次々と浮かんでいた脂汗が止まる。
それを尻目に私自身は身体に刻まれた小さな傷が回復していく快感に包まれていた。
リーダーの断面図が荒く塞がれている右肩に光が集まり、そこから腕が生えてくる。
最初にその異常な回復能力がこの薬にあることに気付いたのはウィンタープリズンを殺した直後のこと。
リーダーがウィンタープリズンから受けた傷を治そうととりあえずたまに買わせたまま放っておいていたあの”きょうか薬”を飲んでみたことでわかった。
蒼く染まった打ち身は赤子のように瑞々しい肌の色へと変わり、即座に新しい細胞で覆われて”そこに打ち身の後があった”という痕跡そのものが消滅する。
「「おぉ~」」
そんな風に声を挙げながらリーダーと二人顔を見合わせて驚いたのはついこないだのことだ。
それからずっと何か傷を負うたびにこの薬を飲んで回復している。たまはキャンディが減るのが嫌なのかあまり飲ませようとしないけれどそんなの関係ない。
たまを脅して無理やりにでもこの薬を買わせることによる損失よりも、どちらかというと早く他の魔法少女たちを殺さないといけない気持ちの方が上なのだから……
無意識のうちに口元が半月状に開き、口端からよだれが垂れる。
それに気づかないまま私は月を見上げ、笑っていた。
「次に殺すのは……あいつだ」
まともに思考が働かない状態で脳裏に浮かぶのは、陰鬱そうな顔をしたどこかの小学校の制服姿の少女。
魔法少女にさえ変身させなければ、こちらのものだ。
黒い靄がかかったような思考にすべてが満ちていく……
◇ ◇
「………」
何かにとりつかれたかのように、そして授業で習った違法の薬物を使用した人のような状態になってしまったミナちゃんとスイムちゃんの2人に気付かれないようにそっと建物から出る。
「もう嫌だよぅ……」
そう呟きながら頭を抱えて崩れそうな境内の欄干に背中を預け、そのまま座り込んだ。
ルーラ様がいなくなってから、みんなおかしくなった。
スイムちゃんは「私がルーラになる」と言って私たちのことを物としてみるようになったし、ユナちゃんたちはほかの魔法少女を積極的に殺そうとしている。
その結果ユナちゃんが死んだ。
人間、あんな簡単に人を殺せて、そしてあんな簡単に人が死ぬんだってその光景を見て思ってしまった自分が嫌になる。
スイムちゃんはあの日、私たちにこういった。
『とりあえず、戦力になりそうなウィンタープリズンを今夜この境内に誘いだす。』
その言葉を聞いて私は
『あぁ、仲間になってみんな死なないようにするんだろうな。』
って思っていたけれど、実際は殺し合いになった。
ウィンタープリズンがやって来るなりいきなりスイムちゃんは
『すべてのキャンディーを私たちに渡してその上で私たちの支配下になりなさい。』
とルーラ様のように言った。当然、そんなことを言われて誰しも納得できるわけがない。ウィンタープリズンは
『何をバカなことを言っている!』
と、怒りに声を荒げてシスターナナの前に出た。それを見たスイムちゃんは無言のまま首筋に手を当ててトントンと二回たたき、こういった。
『じゃあ、いらない。ゴー』
その瞬間、何故か物陰に隠れていたユナちゃんたちがシスターナナに襲い掛かった。
『ナナ逃げろ!!』
襲い掛かった二人からシスターナナを守るかのようにウィンタープリズンがさらにもう一歩前に出る。
シスターナナがウィンタープリズンに庇われるかのようにしている間に境内の外へと逃げていく。
……それすらもスイムちゃんが立てた計画ってことを知ったのは全てが終わってからだった。
スイムちゃんがウィンタープリズンを足止めしている間にユナちゃんが境内の外へと逃げ出したシスターナナをナイフに魔法で変身したミナちゃんを使って首を切り裂いて殺した。
それでそのままユナちゃんがシスターナナに化けてナイフに化けたミナちゃんでウィンタープリズンの首筋を斬り裂いた。ウィンタープリズンは信じられないって表情でこちらを見ていたけど、ユナちゃんが優越感に浸りながら変身を解いたことで怒りの表情に染まり、そのままユナちゃんを地面に押さえつけえて地面から大量に生み出した壁で……。
あの時の音はやけに響いたから覚えている。
グシャッと何かが潰れる音がしたのと同時に大量の液体がプレスするかのように合わさった壁の隙間から噴き出して、それを見て満足したかのような顔のウィンタープリズンが倒れる音が続いた。
ミナちゃんが悲鳴を上げながら壁へと駆け寄る。私も急いで駆け寄って魔法を使って、壁を削る。
数分ほど掘ってやっと見つけ出したミナちゃんは……
『………』
体中があり得ない方向へと曲がり、その上口周りや鼻の穴の近く、そして履いていたスカートを含めたすべてが真っ赤に染まっていた。
『ユナ!ユナ!!』
必死な形相で叫ぶミナちゃんの前でユナちゃんの姿が光に包まれて変わる。
光が晴れるとそこにいたのは、大学生位の女の人だった。
体中があり得ない方向へと曲がり、着ている服は血まみれ。そして一番重要なのは
『ユナァアアアア!!』
それを認めた瞬間、ミナちゃんの悲痛な叫びが境内に響き渡った。
ユナちゃんが、死んだ。
シスターナナも、ウィンタープリズンも死んだ。
「こんなこと望んでないのに……」
小さくつぶやく。
あの日以来、ミナちゃんは一度も変身を解いていない。
スイムちゃんは、「がっこうがある」と言って毎日帰ってる。
私も、学校もあるから帰るけれどミナちゃんは一度も家に帰ってないらしい。
ずっと、あの境内で虚ろな目をしたままどこか遠くを見てる。
私はただ、昔のようにみんなで仲良く一緒に紅葉狩りをしたりしていたかっただけなのに!!
「誰か助けてよ………って痛い!!」
そんなことを呟きながら顔を体育すわりの膝の方に押し付けようとするとそのまま欄干が外れて頭から地面に落ちてしまった。
「痛いよぉ……」
落ちた拍子に強く頭を打ち付けたらしく、じんじんと痛む。
ぶつけた場所をなでながらぺたんと座っていると後ろで何かが爆発するような音がした。
「っ!?」
突然の轟音に驚いて振り向く。音の発信源にいたのは………
「負けてたまるかぁあああ!!」
クレーター状にへこんだその場所の中心で、銀色の大きな鎧に身を包んだ見たことのない存在が吠えていた。
「……魔獣さん?」
その銀色の大きな鎧の中にかすかに見える顔らしきものが、あの日見た魔獣さんと重なった気がした。
◇ ◇
「……どこまで行っても俺は結局死神扱い化け物扱い……か。」
展望台の手すりに身を預け、ひらがなの「て」の字を描く自分の右掌の手相を見ながらそう呟く。
あの時トップスピードたちがしていた目は、俺を殺そうとしていたアイツらが俺を見ていた時の目と全く一緒だった。
あの目を見るたびに思い出す。
『この死神が!!お前が死ねばよかったんだよ!!』
———自分の都合でしか物事を認識せず、俺の首を絞める瞳孔が開いた目。
『こっちにくんなこの死神が!俺達まで殺す気か!!』
———俺を見下す蔑んだような目。
『殺ってやる……殺られる前に殺ってやる』
———俺を睨みつける血走った目。
『死ねェえええええ!!』
———口から泡を吹きながら俺をトラックが迫る道路へと突き飛ばすキチガイじみた目。
……俺が一体何をしたというんだ。ただ、生きてここにいるだけじゃないか!!
いつも心が悲鳴を上げていた。
だから俺は心を閉ざした。
そうすれば、楽になれたから。
心を殺せば、死んだ心が痛むことなんかないのだから。
………そう、思っていた。
あの日までは。
『しけた
中学に入って数日が経ったあの日、俺の前にアイツが現れた。
自分の妹がプリキュアを見ていたのもあってニチアサを見ており、
それからずっとアイツに振り回されて。
如月弦太朗に対する歌星賢吾みたいにアイツに対するブレーンみたいな扱いにされて。
それで、最終的には
今になって思えば俺の身軽さが判明したのはその頃ぐらいだ。
たまたまあいつと一緒にいたときにアイツが近くで起きていたけんかに飛び込み、首根っこを引きずられる形で巻き込まれて、拳の嵐の中に放り込まれたときに反射的に体をよじって全部回避したことで気づけた。
そうやって振り回されていくうちに自分だけじゃ気づけないことに気付いたりとか、アイツの友達とかの間で発生したトラブルを解決したりとかする中で色々と濃い一年間を過ごしていた。。
売り上げばかり気にして個人情報保護法?なにそれ美味しいの?と言わんばかりに人の過去を暴き立てて、その上で
自分よりも目立つことが気にくわないというガキ以下の発想を持ったアホから俺へのいじめが始まったりもした。
それにブチ切れたアイツが、いやアイツらが俺のためにそいつら相手に喧嘩を起こして公立中学校なのに停学処分を喰らっていたりした。
そして……あいつらが停学を受けたその次の日、俺は全校集会を
『俺が気にくわないなら影から女みてーにこそこそやってんじゃなくて正面から来いやくそが!!』
左手の中指を突き立て、アイツらとけんかした関係で判明していた主犯格の男子たちの方を見て俺ははっきりと宣戦布告した。
きっとその時だろう。心を閉ざし、何もかもから逃げ出していた過去の俺を打ち破った今の俺が始まったのは。
それからケンカして、勉強して、主犯格全員を多面的な意味でぼこぼこにして、ぐぅの音も言わせないようにして教師も封殺した上で完全勝利した。
目を閉じてあいつらの顔を思い出す。
影がやけに薄かったけど、その分情報収集に長けていた
中学生と言うお年頃だとしてもそれを十分に上回る性欲をいつも発露して、総ツッコミを受けていた
線細いんだし男の娘としてもいけるんじゃね?というカルマの悪ふざけの結果、女装にはまってしまった
口が悪くて俺の悪口、及び煽りのボキャブラリーの大半がコイツから来ている
そんで、弦ちゃんにはまって俺を散々に振り回した結果俺の殻を破るきっかけを作った
アイツらみんな、俺の抱えている事情を知っても『それがどうした?』と笑って流す始末だった。
俺はそんなアイツらに救われたんだ。
目を閉じたまま右手の手首を左手で握りしめて回しながらゆっくりと息を吸いこみ、吐きだす。
それは俺が中学生のころから自分に暗示をかけるように行っているスイッチともいえる行動。
脳裏に聞こえるのは主犯格を物理的にぼこぼこにしたときにユウトが言っていたあの言葉。
『お前らは自分のこと正義って言うけどな!!見返りを求めてする行動なんざ正義とは到底呼べねーよ!!』
「大丈夫。もともと、俺は見返りなんか求めているわけじゃない。ただ、自分のために戦っているだけだ。」
自分に言い聞かせるように、はっきりと言い切る。
「だから恐れられたとしても大丈夫。………大丈夫だ。」
何度も、何度も繰り返し呟く。その最中だった。
「本当に大丈夫って言えるのか?」
そんな問いが耳元から降ってきた。
「ッ!?」
くすぐったさと、気持ち悪さから反射的に数メートルほど距離をとる。
「ハハハ、そんなに驚くことはねーだろうが。」
「なんでここにいるんだ……お前は画面の向こうの存在のはずだろ!?」
ついさっきまで俺が立っていたところにいたのはもじゃもじゃした頭に色とりどりのケーブルが走る黒いコート。紫色のストレートパンツを履いている男だった。
その姿を見た瞬間、俺は信じられないものを見た思いを隠しきれずにその名前を叫ぶ。
「
その場所に立っていた男は、仮面ライダーエグゼイドにおいて主人公宝生永夢に感染しているバグスター、パラドだった。
しかし、目の前に立つパラドは俺のその問いに対して顔の前で指を横に数回振りながら「違うんだなこれが」と答えた。
「違う?どこからどう見てもお前はパラドだろ。」
言っている意味が分からず指を上から下へと動かしながらそう問い返す。
「まず誤解の一つ目だ。俺は、永夢に感染しているんじゃない。お前に感染しているんだ。」
「え」
パラドがそう言った瞬間、言っている意味を理解できずに固まる。
「そして二つ目。俺はパラドそっくりであってパラドじゃない。」
「なんだって……禅問答でもお望みなのか?」
俺の前に立つパラドは俺がそう言うとニヤリと笑って
「俺はお前の記憶から生み出されたパラドの劣化コピー版だよ、大我。
「
自称偽物のパラド、アラドはそう言って俺の方へと寄ってくる。
「お前はなんでトップスピードとリップル、そしてスノーホワイト以外の魔法少女全員を殺さないんだ?そうすれば命を狙われることもなくなり、お前の目的も果たされるはずだ。」
「今のお前は強いだろ!少なくとも水着の痴女や大剣を持った龍人の娘たちよりは確実に強いはずだ!」
悪魔のささやきのように恐ろしいことを言いながらこちらへと寄ってくる。
「……」
「敵対するならば殺すのが簡単だ。なのになぜ?どうしてお前はその簡単なことを躊躇する?」
「……がう。」
思考を刷り込むかのように耳に入って来るその言葉のせいで頭の中がぐるぐるしてくる中で俺はそう呟く。
「なんだって?」
俺が零したその言葉を上手く聞き取れなかったのかアラドはこちらのすぐそばまで寄ってくる。
「違う……違う違う違う!!」
「俺の望みは……」
「俺の望みは!誰もがみな笑って終われるハッピーエンドだ!!」
「だけどそれはすでに崩壊している!!」
「っ……」
俺の言葉を断ち切るかのように告げられたアラドの言葉に言い返すことができず、口ごもってしまう。そんな俺にアラドは近づき、
「諦めろよ。お前の望みは、既に終わっているんだ。」
そう言いながら俺のみぞおちに拳をめり込ませた。
「ガ……」
口から空気が漏れ、呼吸が困難になる。
「お前の望みはかなわない。だから俺が俺なりのやり方で終わらせてやるよこのゲームを。そしてお前を。」
アラドがそう言いながらコートの中より見覚えがある大きめの青いガシャットを取り出す。
「ま…て……や…」
鳩尾に入った拳のせいで呼吸がうまくできない。だが、俺はその中で無理やり立ち上がった。
「お前は……俺に感染したバグスターだっていうのは本当か?」
鳩尾を手で押さえ、倒れそうになりながらもそうアラドに尋ねる。
「そうだぜ?それがどうかしたか?」
アラドは余裕そうな表情で俺に対して答えた。
「そう……か……」
俺は一度目をつむり、左手で右手の手首をつかむ。そしてそれをゆっくりと回した。
意識の切り替えが終わる。
無意識のうちに戦闘用のギアに意識が切り替わる。
「なら、お前がやることは全部俺の不始末になる…」
「!?」
急に雰囲気が変わったことにアラドは動揺を隠せていない。
「……」
俺は無言で自分の腰にゲーマドライバーをつけた。
そして右手を横に突き出し、現れたそれをしっかりと握りしめる。
「俺は、
俺が宣言するとアラドは一瞬だけ呆けた顔をして
「へぇ~……いいぜ。相手してやるよ。」
ニヤリと笑ってこう続けた。
「さぁ、救うんだろう?
それはいつか見た夢に出てきたセリフ。
アラドは俺の前で夢に出て来ていた通りに腰にゲーマドライバーを当て装着する。
その状態でガシャットギアデュアルの黄色い円盤部を左手でこちらに見せるかのように持ち、そのままゲーマドライバーに差し込んだ。
ゲーマドライバーにガシャットを差し込んだことで認識音性が鳴り響き
<The strongest fist!! What's the Next Stage! >
<The strongest fist!! What's the Next Stage! >
<The strongest fist!! What's the Next Stage! >
けたたましい待機音声がそれに続いた。
「お前の望みと俺が叶える手段。どちらが正しいのか勝負だ!!」
アラドはそう言って俺の前で両の手を交差し、それを動かして体の左側へCを描く。
その一方で俺は
「俺は救う!!たとえこの命をここで使い果たしたとしても!!」
無理やり体を動かしているうえにさっきの戦いでのダメージも抜けていない。だからここで死ぬ可能性もあった。
だけど、これは譲れない。
叫びながら右手に持った銀色のガシャットを顔のすぐ横へと移動させて起動させる。
<♪~><
起動音が鳴り響き、俺の後ろにマキシマムゲーマーが描かれたゲーム開始画面が浮かび上がる。
それを確認することなく俺はドライバーにマキシマムマイティXガシャットを差し込んだ。
<最大級のパ~ワフルBODY! ダリラガーン!!ダゴスバーン!!>
<最大級のパ~ワフルBODY! ダリラガーン!!ダゴスバーン!!>
<最大級のパ~ワフルBODY! ダリラガーン!!ダゴスバーン!!>
認識音が鳴り響き、待機音がそれに続く。
俺はその最中に両の手を身体の右側で十字に交差させ、それを90°回転させながら体の左側の方へと動かした。
そして両者ともに図ったかのように同じタイミングで叫ぶ。
『MAX大変身!!』
二人同時に俺たちはゲーマドライバーの扉を開いた。
<ガッチャーン!!マザルアーップ!!>
<♪~><赤い拳 強さ!! 青いパズル 連鎖!! 赤と青の交差!!
<ガッチャーン!! レベルアーーーップ!!>
<
アラドの周りに赤と青の光で描かれた円が浮かび上がり、そしてその後ろに格闘ゲームのタイトル画面のようなものとパズルゲームのタイトル画面のようなもの二つが浮かび上がってそれが背後で一つになる。
そしてアラドの前には赤と青、一つの長方形をトランプの絵札のように斜め半分にその二色で割った光の壁が浮かび上がり、それにパズルのピースのような絵と炎が移動しながら上半分には赤い色をした格闘家のような絵が、そして下半分には青い何か変な頭をした上半分の格闘家の色違いのような絵が出て、それがかぶさるのと同時にアラドは仮面ライダーパラドクスレベル99に変わっていた。
俺は最初に俺の周りに現れたライダーの絵柄が書かれた窓の中からエグゼイドのものを選び叩く。
その瞬間、<SELECT!!>の文字が躍ると同時に桃色の光のワイヤーフレームで描かれたMIGHTY ACTION Xのクリア―パーツに描かれている文様に重なる様にクリーム色の光のワイヤーフレームで描かれたもう一つの画面が現れる。
その重なった画面を通り抜けると俺の身体はエグゼイドレベル2のものへと変わるが、その背後に巨大なマキシマムゲーマーが空間を割って出現する。
「はっ!!」
それに吸い込まれるかのように俺はマキシマムゲーマーの中へと入り、折り畳み式になっている手足が広がった。
「ノーコンティニューでぶっ倒してしてやるぜ!!」
「俺の心を躍らせろ!!」
両者ともに同じタイミングで走り出し、その拳がぶつかり合うことで衝撃波が生じた。
拳がぶつかり合った場所のすぐ真下を中心に放射線状にひびが入っていく。
「ただの拳のぶつけ合いは同格か!ならこれならどうだ!!」
パラドクスは楽しそうにそう言ってぶつけていない左手を動かす。その瞬間周囲に散らばっていたエナジーアイテムが動き出す。
「させるか!!」
それを防ぐために俺も空いている左手をムチのように伸ばし、パラドクスの頭を殴り飛ばした。
頭を殴り飛ばしたことで自然と距離が離れる。
「チッ、頭がぐわんぐわんするぜ……」
パラドクスはそう言って頭に手を当てながらわずかに振る。しかし、ダメージがしっかりと入った様子ではない。
「ダメージは軽いか……」
俺がそう言って拳を構えるとパラドクスも
「そう簡単に負けるわけねーだろ。」
と構え、再び走り出した。それに一瞬遅れるように俺も走り出す。
右こぶしと右こぶし、左足と左足……鏡合わせのように同じタイミングで同じ攻撃が同じ勢いで繰り出されて相殺される。
「クソっこうなったら!!」
らちが明かない。そう思った俺はガシャットの横側についているボタンを押してガシャット内部に埋まっていたエグゼイドの頭を模したボタンをポップアップした。それと同時に俺自身もエグゼイドレベル2の姿のままマキシマムゲーマーの身体からポップアップ、要は飛び出し、その勢いのままパラドクスへと右手に持つガシャコンキースラッシャーで斬りかかった。
「そう来るか!!」
当然、見え見えの攻撃であるためにパラドクスはそれを余裕そうに躱す。だが
「いつ俺の攻撃が俺自身のみだといった?」
「何?がっ!?」
俺のその言葉と同時に俺の後を追う様に迫ってきていたマキシマムゲーマーの拳がパラドクスの腹部に直撃する。
マキシマムゲーマーの99.0トンのパンチ力をもろに腹部に受けたことでパラドクスは数回ほどバウンドしながら奥の方へと転がっていき、止まった。
そんなパラドクスの様子を見ながら俺は再びボタンを押し込んでマキシマムゲーマーと食われるかのように一体化する。
「イテテ……まさか、そう来るとは思ってもいなかったぜ…」
奥の方で腹部を摩りながら立ちあがるパラドクス。その胸にあるライダーゲージは今の一撃で半分ほど減少していた。
「初撃決定とかのシステムとかだとこれで俺の勝は確定だろ。魔法少女を殺すのは諦めろ。」
俺はそう言ってパラドクスへと近寄る。しかし、
「まだゲームは終わってねーぞ大我!!」
パラドクスは諦めずこちらへと取り出したガシャコンパラブレイガンアックスモードで斬りかかってきた。
「おいおい、まさか完全決着、どっちかが死ぬまでに持ち込む気かお前!?」
攻撃を辛うじて避けた俺が戦慄しながら叫ぶと
「当たり前だろうが!!格ゲーにゲージ半分削ったら勝ちなんてルールはねぇぜ!!」
パラドクスはそう答えながらガンモードに切り替えたブレイガンから大量の光弾を放つ。
「だったら!!」
相手も命をかけてでも譲る気はない。そう確信を持った俺は持っていたガシャコンキースラッシャーを投げ捨て、ゲーマドライバーの扉を閉めた。
<キメワザ!!>
認識音が鳴り、待機音が鳴り始める。
「ここで決めるか?いいぜ!やってやるよ!!」
そんな俺の様子を見たパラドクスもゲーマドライバーの扉を閉めた。
<ウラワザ!!>
あちらも待機音が鳴り始め、そして俺とパラドクス、両者同時に扉を開いた。
<MAXIMUM CRITHICAL BRAKE!!>
<PERFECT KNOCK OUT!! CRITHICAL BOMBER!!>
同じタイミングで音声は鳴り響き、俺とパラドクスの必殺キックが宙でぶつかり合う。
必殺技の威力によるエネルギーで近辺の重力が一時的に不安定になり、ゲーマーライダーである関係上発生する大量のエフェクトが周囲にまき散らされる。
「ああああああああああ!!」
「おぉおおおおおおおお!!」
レベルは同じ99。
”勝つ”という意思は全く同等。
そのうえで後何かが違うとすれば……
「うわぁああああ!!」
バグスターウィルスへの親和性のみだった。
バグスターウィルスそのものであるアラド、感染しておかしな状態になってはいるものの大きなジャンルで見れば人間であることには変わらない俺。
俺が同等のエネルギーを生み出すバグスターウィルスから発生する負荷に耐えられるかどうかの耐久性が劣っていることは目に見えて分かることだった。
必殺技の反動で吹き飛ばされる。
変身こそ解除されてはいないもののライダーゲージが勢いよく減って行く音がする。
ズシン!!そんな巨大隕石が落下するような衝撃と音を立てながら俺はどこかの地面へと落下した。
「くそっ……」
小さい声で悪態をつきながら立ちあがる。
体中は悲鳴を上げ、立っているのもやっとだ。だけど、負けるわけにはいかない。ここで倒れてしまえば待っているのはアイツが言っていた3人を除いたすべての魔法少女が死ぬ未来だ。
「負けて……」
それだけは絶対に譲れない。それは俺が、俺自身がこの世界に立ってから確固たる思いに変わったものだ。
俺は誰かが死ぬのを見たくない。それがたとえ俺自身を狙ったやつの死だとしてもだ。
この世界に生きる全ての人が老衰とか病気とか以外で死ぬのを防げるなんて傲慢な感情は抱いていない。
けど、一度でも、何らかの形でかかわった以上その時点で俺は当事者に立っている。
だからこそ、当事者として立つ案件ぐらいは……人の死を見たくない。
「負けてたまるかぁあああああああ!!」
腹の底から叫ぶ。
それは獣の咆哮のように周囲に響いた。
それに呼応するかのように俺の意識も獣のように攻撃的に変わる。
だからこそ気づけなかったんだろう。
「魔獣さん…?」
そんな小さなつぶやきに、少女の震えに、そして……
「…!!」
こちらへと躍りかかるパラドクスの仮面の下の笑みに。
◇ ◇
「詰まんないぽん。」
0と1、その2つの数字のみで構成されたかりそめの世界でそれはつまらなそうに口をとんがらせていた。
「さっきまでのカラミティ・メアリがしてた大規模テロは抱腹絶倒ものだったけどそれも解決しちゃったし、スイムスイムたちはなんかトリップしてるしマスターはなんか寝ちゃったし詰まんないぽん。」
無邪気そうな声でとんでもないことをそれはのたまう。
「あ~あ、ファブもこんな体じゃなければ事件を起こしてみんな殺すのに~」
その独り言だと思って零した言葉は
「では、こちらを使ってみますか?」
唐突にその空間に現れた恐らく少女のものと思われる艶のある声の持ち主が聞き届けていた。
その声の持ち主が纏っているのは十二単のような着物。
顔には黒子のような黒色のうっすらとしたベールをかけており、その顔色を読むことはできない。
手に持っているのは正面に翡翠色のパーツを被せられた全体的に灰色のバックルのようなものと、黒と緑の2色で構成されたゲームのカセットのようなもの。
「これを使えば、あなたはこの0と1のみで作られた電子の檻から解き放たれて自由に自らのしたいことをできますよ。」
少女はそう言ってファブに2つのアイテムを渡そうとするかのように見せる。
「君は……いったい何者?」
ファブは、突然このクローズされているはずの空間に現れた少女を警戒しながら尋ねた。
少女は手を口元に添えてただ笑うのみ……
感想、評価を楽しみにしています。
ねむりん以外の死亡者は現在全てとある状態になっています。早苗さんを思い出すといいかも。ちなみに早苗さん、今はアラドと一緒に居ません。
何でこんなに投稿が遅れたのかと言うと、25日までイベント走っていたので書く暇がなく、25日が過ぎたら今度は親が「年賀状書くからパソコン借りるよ」と言って26日まで取られました。27日にようやくパソコンが返ってきたのですが、今度は後期末レポートを書かなければいけなかったためにそちらに時間を取られ(ちなみにまだ書き終わってない)、「これじゃあマズイ」と29日に書き始めたら「年賀状印刷するからパソコン借りるよ」と言って今朝俺が回収するまでずっと取られていました。
兎に角2つ確実に言えることは、「データ移植ができないシステムを組んでいる某年賀状用印刷ソフトとCTRL+Rがアカン。」です。
それさえなければ多分遅くても昨日時点でこれを更新して、この次の話も更新してた。
スマホを使えっていう人もいるかもしれませんが、俺が使っているスマホは型落ちでかなり安く買い替えた物なので1万字以上のテキストを書こうとするとフリーズ&クラッシュしてまともに書けません。最近FGOアプリが落ちずに遊べてているのが奇跡…(ひどいときは頼光さんの宝具撃つたびにアプリ落ちてた)
今年はありがとうございました。来年もよろしくお願いします。
もし間に合えば今日中(ガキ使が始まるまでには間に合わせたい)にもう1stage更新します。