全然時間が取れなかったせいで今回短いですが、これ以上遅くなるとまずいと思ったので投稿再会します。
時間(曜日はコロコロ変わると思いますが)は今回からビルドと一緒にお引越しで21時になります。
「オラぁああああああ!!!」
雄たけびを上げながら手に持った片手中から光弾を放ちつつ屋上を駆けるのは白を基調とした中世の鎧よりもさらに頑丈に見える鎧に身を包んだ3頭身の戦士。垂れ下がる髪のようにも見える黄緑色のパーツのせいで片方しか見えないその眼は闇の中で赤く光っていた。
「あたしに楯突くんじゃないよォ!!」
大量に跳んでくる光弾に応えるかのように鉛の弾を放ちながら悪態を吐き、3頭身の戦士から離れるように動くのは西部劇から飛び出してきたかのように見えるテンガロンハットをかぶった女性。
遮るもの一つないとある廃ホテルの屋上で繰り広げられる光弾と鉛玉の応酬は過激さを増して行っていた。
屋上にピチュンピチュンと光弾の熱によって鉛玉が蒸発する音だけが響き渡る。
戦士と女性の間には赤色の線で縁取られた黄色いHit!の文字が大量に浮かび上がっていた。
「くぅッ!!」
持っている銃の弾が尽きたのか悪態をつきながら女性は持っている武器を捨て、腰につけたきんちゃく袋へと手を伸ばす。
それを見初めた瞬間、戦士は手に持っている銃の本体部分についているBのボタンを連打し始めた。
ピュピュピュピュピュピュピュピュピュピュピュピュ……
辛うじて視認できる速さで高速でボタンを叩き続けるせいなのか、ボタンを叩くたびに流れる音が最後までならずに間抜けな音を立てる。
「あたしをなめるなァ!!」
そんな直立不動でボタンを叩き続ける行為の意味を理解できなかった女性は怒りとともにきんちゃく袋から取り出したのはどうして袋の中に入っていたのかわからない大きさの大量に弾倉が装てんされたベルト状のものが付いている物体。
それは本来戦場などで見られるものであり、この平和な日本の一都市で見られるはずがないものだった。
地面に置いて反動を限りなく抑える本来の使い方から遠く離れた腰だめに構えて女性は引き金を引く。
ズガガガガガガガガガガガガガガ!!!
鼓膜が破れるのではないかと思いそうなほどの大きな音を立てながら人一人を殺すには明らかなに多すぎる殺傷力を持つそれ_マシンガン_は動き始めた。
その一方で戦士はボタンを叩き続けていた銃を構え、告げる。
「知るか。」
その一言と共に自らへと飛んできていたマシンガンの弾めがけて銃_ガシャコンマグナム_のトリガーを引いた。
トリガーを引くのと同時に女性と戦士の間、ちょうど中間地点に再びHit!の文字が乱舞し始める。
乱舞の中で光弾がはじけるのと同時に近くにはへしゃげた弾丸が落下し、カランカランと音を立てる。
数秒ほど中間地点での銃弾と光弾の応酬は釣り合っていただろうか。しかし、その数秒の内に装てんされていたはずのマシンガンの銃弾はほぼ撃ち尽くされ、その一方でガシャコンマグナムが放ち続ける光弾は終わりを見せる気配がなかった。
しかし、運命の女神と言うものが実際にいるとするならばここで微笑んだのは戦士ではなく、女性のほうにだった。
光弾で作った弾幕の隙間。それはほんの数センチほどのものだったが、その隙間を縫うように飛び込んだ弾丸が戦士の胸元に当たり、魔法で強化されたその威力を十分すぎるほどに発揮した。
「アガッ!?」
そう零した声とともに胸元から大きな火花が上がり、Hit!の文字が浮かび上がった。
直撃した弾丸の衝撃でのけぞった瞬間に秒速単位で放たれ続ける銃弾は戦士に殺到し、戦士の体を削り切る………はずだった。
「ちぃッ!」
のけぞった状態からバク転でもするかのように体をよじり、戦士はハンドスプリングの要領で
纏っている鎧のアシストもあってか上腕二頭筋から今にも抜けそうになっている床へと伝えられた力はきれいに伝わりそのまま戦士を上へ。空へと打ち上げた。
空でも再び回転して銃口の向きを合わせながら戦士は再び引き金を引く。
宙で放たれた光弾は一発目は脳天を狙って放たれていた銃弾を弾き飛ばし、二発目は女性の足元に直撃して砂埃を巻きあげた。
そして三発目は…
「やってくれたねェ!!」
女性が手に持っているマシンガンの心臓部に直撃して大きな穴をあけていた。これにより過剰なる殺傷能力を持つマシンガンは銃弾を放つことができない邪魔な
女性、カラミティ・メアリは手に持っていた鉄塊を横に再び放り投げ、今度は先ほどとは違い取り回しのよさそうな
「いい加減死になァ!!!」
パパパパパパパパパパパパパ!!
その甲高い音共にマズルフラッシュ、銃口が火を噴き、銃弾が放たれる。しかし相対する戦士も即座に銃を構え
チュチュチュチュチュチュイーン!!
そんな気の抜けそうな音とともにすべての銃弾を撃ち落としながら逆にカラミティ・メアリに何発も直撃させ、左の肩から血を流させていた。
「魔獣ゥぅうううう!!」
血走った眼でこちらを睨み、怨嗟を込めながらカラミティ・メアリが叫ぶ。
「………てめぇはここで仕留める。第弐戦術。」
俺はそれを無視してアクチュエーションレバーを右手で握りしめて引っ張った。
<レベルアーーーップ!!>
その叫ぶような音声とともにメインガシャットスロットに装てんされたバンバンシュミレーションガシャットから強化プログラムが読みだされ、それがGDハイパーモジュール経由でハイフラッシュインジケータ内部へと送信される。
ハイフラッシュインジケータがそのデータを読み込み終えるのと同時にアクチュエーションレバーの裏側に書かれたGAMER DRIVERの文字があらわになると同時にフラッシュインジケータから藍色の光の
<♪~><
レベルアップ音声が流れる中、何処とも言えない、重力もない空間で横八方位+縦四方位。合計十二方位に光弾を放ち鈍重な白いアーマーを脱ぎ捨てる。
白いアーマーの下から現れたるは紺色のスーツに身を包んだ
最後に上へと光弾を放ってからふわりと俺は着地した。
「なッ!!またかィ!?」
以前ギリギリチャンバラを用いて変身したチャンバラゲーマーでレベルアップしたことがあるのを見たことがあるカラミティ・メアリには今俺がしたことが何なのか想像がついたらしい。口端をひきつらせながらこちらへ銃を構える。だが
「遅い。」
首を振るって首元に巻かれているマフラーを伸ばしながら突貫する。マフラーに描かれている
バチチチッ!!
ため始めてからが一瞬だったとはいえかなりの量が充電されていたらしく、一気に電気が流れたことでカラミティ・メアリの身体がしびれ、動きが止まる。
「終わりだ。」
<ガッシューン!!>
死刑宣告でもするかのように冷酷に告げながら俺はガシャコンマグナムを構え、そのガシャットスロットに今先ほどドライバーから抜き取ったバンバンシューティングガシャットを差し込んだ。
<ガシャット!!>
刺し込んだガシャットが承認されたことを意味している音声が鳴り響き、
<
その音とともに銃口に光がたまり始める。そしてあとは引き金を引くところだけ……と言うタイミングだった。
横から
「この絶好のタイミングで邪魔すんな!!」
その叫びの答えは後ろから返ってきた。首筋に沿って紺色のウェア越しに冷たい感触が奔る。
「嫌だ!そいつは……そいつは私の獲物だ!!」
後ろから聞こえたそれは憎悪に満ちた声。あの
別に今が違う状況で、あのアホが
「邪魔すんなって言ってるだろうが!!」
首筋に当てられた感触の長さから推測して当てられているのは小刀と判断。一瞬だけ体重を小刀が当てられている右側へとかけながら腰の高さを低くする。細腕一本、細い小刀一本に全体重をかけるように動くことで右腕の高さが下がる。その瞬間体重を一気に逆方向へと振りなおし、その反動で上下を反転する。
半時計をなぞるかのように円を描きながら首は下へ足は上へ。足が上に上がった瞬間そのまま手をぼろぼろになった床につけ、ブレイクダンスでも踊るかのようにそのまま足を時計回りに振り回しながら体幹を軸に回転する。
振り回された足のうち左足はきっかりと俺に小刀を突き付けていたリップルの顔に当たり、くノ一少女の肢体を吹き飛ばしていた。
「フンッ」
鼻を鳴らしてスタン状態が未だに継続されているはずのカラミティ・メアリがいる方を見る……が
「くそっ!」
目を放していた数秒の間に何らかの手段で回復したらしく、こちらへとアサルトライフルを突き付けようとしていた。
「死になァ!!!」
「ッ!!」
バババババババババ!!
避けようと動き出すのと同時に前方全てへまき散らすかのようにマズルフラッシュとともに銃弾が放たれる。
リップルは大丈夫なのかと避けながらの一瞬で確認すると、俺が蹴り飛ばした時に顎にでも入っていたのかふらふらとして、そのまま伏せている。そんな状態だとまともに銃弾を避けたり防いだりすることはできないはずだ。
「ちィッ!」
あのアホの願いの関係上必然的に俺の行動することができる選択肢は限られる。
あのアホがあの時願ったのは『個人的快楽のせいで殺される人たちに救済を』のただ一つ。
主役を張ってたエムみたいに遊び相手を望んだわけでもなく、欲望の器となる資格を得ていた青年のようにどこまでも届く手を望んだわけじゃない。その願いがあるからこそ今俺が勝手に体を使ってここにいるわけだし、戦っている理由でもある。
しかもあのアホは本人は無自覚だが一度決めたら自分の命を簡単に天秤に要らない方へ乗せて判断してしまう悪癖がある。
だからこそあのアホが目を覚ます前に俺がカラミティ・メアリを殺す必要があった。
リプログラミングと言う機能が確かにあるのは知っているが、それを使おうとするならばまたあのアホは死ぬ必要があるだろう。なぜならあの銀色のガシャットを使うには誰が決めたのかあのアホが
その条件を決めた奴はある程度予想はついているが、元が悪意の塊である以上底意地が悪いにもほどがあった。自分に対抗できる唯一の手段への通過点を塞ぐことで自分の優位性を保とうと考えるなんてな。
だが、それでもあのアホの一部が元になっているせいか条件の見通しが甘い。
どうせあのアホはそれを知っていようと知らなくてもきっと死ぬ。
そう、例えば今この瞬間のように。
身体が勝手に動き、リップルを庇うような立ち位置へと移動する。そして魔法で強化されたすべての銃弾の内の数発は俺の体を貫いた。
Hitどころの話じゃない。ウェアで守られていたはずの肉が突き破られ、焼き鏝を押し当てられたかのような激痛が体中を奔る。
もう残りがあまりなかったライダーゲージは一瞬で全損寸前まで追いやられ、
<ガッシューン!!>
俺の変身は強制的に解除された。
左肩、右わき腹、そして腹部。この3つの箇所から血を流しながら俺は血に倒れ伏す…寸前で左から高速で来た何かに跳ね飛ばされるかのように空中へと放り出された。
流れ出る血でアーチを描きながら俺はホテルの屋上から道路の上空へ、そしてそのまま何かに掴まれたかのような感触とともにすごい勢いでその場から離脱させられた。
しかし離脱する際の速度、それがいくらなんでも早すぎる。
まだまだ上がる速度と比例するようにますます強くなる風圧のせいもあってか、俺の意識が擦れてきた。
(まずい……このままじゃあのアホに全部背負わせちま……う……)
欠けつつあった視界が急速に暗くなり、意識が暗転する。それと同時に俺の横を誰かが駆け抜けていくような気配がした。
それが意味することはただ一つ。俺のターンが終わった。ただそれだけのことだった。
四方八方どこを見ても暗闇の中で、俺は流れ続ける血にまみれながらため息を吐き、漏らした。
「やっぱり生存本能と搾りかすの融合である俺じゃあどうしようもなかったか…」
と。
ここは一切の光も届かない闇の中。
地面を構成しているのは大量の血まみれの死体と後悔。
そしてまた一つ。上から死体が落ちてきてぐしゃりと音を立てて潰れた。
…………この世界は
感想、評価を楽しみにしております。
過去の経験のせいで大我の中身は複雑怪奇かつ、地獄になっています。
その上バグスターウィルスに適合した際に起きたことのせいでもっと複雑なことに……
とはいっても、大我の中身がとんでもないことになっている原因は心無い大人たちの理不尽が原因です。
被害者遺族の気持ちがわかるとは言うつもりはないですしそう設定した俺が言える義理ではないと思いますが、『それは小学校一年生の、しかもその時に別の事故で死に掛けていた子供に背負わせる罪じゃねェよバカ野郎。』と言いたくなります。
まだまだ投稿スパンが変になると思いますがこれからもよろしくお願いします。