公務員試験の勉強もあるから最低でも無印を今年中に終わらせて、更新停止するにしてもそれからにしたいと思っています。
※マンガ版のシーンを一部参考にしたのでグロ注意です。あと時間が行ったり来たりします。唐突にホームに侵入してくる紫色の複眼を持った非正規のデンライナーにご注意ください。
「たいが……」
昇一が帰ってくる前に夕飯を作ってから昨日夜遅くに帰ってきてこっそり放り込んだ押入れを開けて大我がそこにいるのを確認し、呟く。
引き戸を開けた俺の私物が結構入っていた押入れの中には規則正しい寝息の音が響いており、昨日見たあのときのように血にまみれることもなく、透けていることもなかった。
だけど、未だにその目は開かず、放り込んだ時の体勢のままピクリともしていない。
「……ちゃんと生きてるんだよな…?」
心配になって口元に手を添えてみる。スゥ…スゥ…と、時計が時刻を正確に刻むようにきれいな口元からこぼれた吐息がまったく同じリズムで手に当たっていた。
口元に添えてみた手で手首を握ってみるとほんのりと温かい。
だとしたらきっと生きてるんだろう。そう思って俺は音を立てないようにして扉を閉めた。
「……あー、それにしても
押入れの扉から離れて台所でさっきまで下ごしらえをしていた煮物の味を調えながら煮ていきつつ呟いた………その時だった。
ポーンとメールが届いた音がする。最初はテーブルに置いていたスマホにメールが届いたのかと思って
振動していたのはエプロンのポケットの中のマジカルフォンだった。差出人として書かれている名は
「……リップル?」
今日も何か用事でもあって一緒に行動しないとでも言うのだろうか。そうだとしても今作ったかぼちゃの煮物を食わせる気は十分だけど。そんなことを考えながらメールを開き、その内容に固まった。
「………これって!?」
リップルから送られてきたメールの内容を理解して即座に俺はトップスピードになって家を出る用意を始める。かぼちゃとは別の煮物を煮ていた火を止め、ガスの元栓を閉める。
そのままかぼちゃの煮物を入れたタッパーを手提げ袋に放り込み、窓を開けてベランダへと飛び出す。箒をこの手に引っ張り出した時にふと思い立って一瞬だけたいがを匿っている押入れの方を見る。だけど
「………アイツはもう十分傷ついてる。今は寝かせておくべきだよな…」
そう首を振ってさっき思いついた考えを捨て、俺は箒に飛び乗った。
だってそうだろう。昨日原因もわからないとはいえ消滅しそうになっていた子に、リップルが心配だからついてきてくれなんて言えないじゃないか。
「飛ばすぜ!!」
だから俺はたいがに何も言わずに窓の鍵を外から閉めて、箒を全速力で駆る。
今はただ、リップルのもとに急いで行かないといけなかった。
『
from.リップル
sub.無題
カラミティ・メアリと決着をつけてくる。
急いで閉じたマジカルフォンの画面にはそんな表示が浮かんでいた。ただ、俺の行動は遅すぎたのかもしれない。
「え…?」
とんでもない爆発音が聞こえたと思ったのと同時に遠くに炎の壁が生まれた。
その壁は名深一帯を取り囲むかのように広がりを見せる。そして
「嘘だろ……」
空を飛ぶ自分の下で炎の壁で包まれた名深を真っ二つに裂くかのように国道が……
「誰か冗談だと言ってくれよ……」
国道が大量の炎上した車で赤く灯されていた。
「…っそうだリップル!!」
慌てて箒をカラミティ・メアリの姿を稀に見かける中宿へとむけ、
「リップルー!リップルー!!」
その名を叫びながら飛び回る。
幸いなことにすぐにその特徴的なくノ一衣装の影は爆発の影響だろうか、上の階が崩れた高層ビルの中に立っているのを見つけれた。だけど、
「やっと見つけた!おいリップル!!」
「………」
やっと見つけたけれども、何故かその背中は震えていた。
「お前メアリの姐さんと決着付けるって一体何がどうなったんだよ。それにこの状況についても何か知ってることあるのか?」
なぜ震えているのか。その理由はわからないけれど声をかけながらすぐ近くに降り立ち、この状況について何か知らないか聞いてみる。
「………」
「おいってば!!」
シカトを決めているのか全く答えないリップルの肩を掴んでこっちを向かせ、気づいた。
「リップル……お前……」
……その瞳は怒りと涙で染まっていた。
「……ごめんトップスピード。私は……」
やっと口を開いた。そう思ったらリップルはこう続けた。
「前にアンタが認めてくれてた魔法少女に
「え?」
そうこぼすなり俺の横を通り過ぎてそのままその場からすごい勢いで離れてしまう。
「おい!?どういう意味だよ!!」
それを追いかけようと思って振り返って気づいた。いや、気づいてしまった。
「なんだよコレ……」
……爆発に巻き込まれてしまったであろう辛うじて子供と分かる大きく損壊してしまった頭とその頭の持ち主のものであろう部屋の残骸中に飛び散った
そして肘から先の腕だけが血を垂らしながら障壁か何かで雑に切り取られたかのように形を残してその場に落ちていた。
「一体どうしちまったのさリップル……ここで何があったんだよ……」
猟奇的な現場をじかに見てしまい、俺はその場にへたり込んでしまう。
トップスピードがへたり込んでしまったのと全く同時刻。トップスピードの正体である室田つばめの夫、室田昇一は慌てた様子で帰宅した。
「ただいま!!……電気がついていない……?つばめ、居るのか!?」
必死に走って帰ってきたのであろう、汗をたくさん掻いて張り付いているスーツ姿でカバンを片手に持ち、部屋の電気を点けてから奥へと近所迷惑にならない程度に走って向かう。その部屋は彼ら夫妻の寝室でもあり、妊娠6か月の若妻が疲れてテレビをつけたまま寝たときにもいる場所だった。
「もう寝てればいいんだけど………って誰だ!?」
覗いた寝室には妻はおらず、その代わりにテレビの前にオレンジ色のノイズのようなものを走らせながら影が立っていた。
『………から』
「え?」
町が大変なことになってると知って慌てて帰ってくれば妻ではなく見知らぬ影が部屋に居り、その影が何かを零したかと思った次の瞬間その影は一片のノイズを残してテレビに吸い込まれるかのように消えた。
「………そうだつばめ!!」
目の前で起こった超常現象に驚いて昇一はわずかばかりの間固まっていたが、すぐに妻を探しに部屋を飛び出した。
その背後で一片のノイズが、散らばるかのように部屋の中で舞い散った…
「”面白いこと”ってこういうことかっ!!」
目の前で爆発した高層ビルに取り残された人を救おうと最初に爆発したビルに近づきながら悪態をつく。正直、こんなことをするなんて頭がイカれてるとしか思えない。
ひとまず先に地上に降り立ち、落下した破片の下敷きになった人を助けてから人が噴出する水のように飛び出してくるビルの入口に足をかけて爆破の影響でできた大穴へと飛び込む。
爆発により火災も発生し、黒煙が充満しつつある建物の中で私はなんでついさっきのことを思い出していた。
最初の爆弾が爆発するほんの少し前、
「なんで行かないといけない……」
『それをファブに言われても~。別に今のファブはただのメッセンジャーですし~。』
「じゃあ、こう伝えてよ。”嫌だ”って。」
『それはファブが困るぽん!!』
「私は別に困ることなんてない。」
いつもトップスピードに拾ってもらうビルの上で私はファブと問答していた。
問答の内容はカラミティ・メアリが送ってきた会合への参加を渋っている私の説得。
あんなキチガイババアに付き合ってる暇があるならそれこそキャンディーを集めている方が良い。
『………仕方ないぽん。これにはファブもこの手を使わざるを得ないぽん。』
「は?」
『リップル……もし行かなかったら……』
「行かなかったら?」
無駄にためる鬱陶しいキャラクターにうんざりしながら尋ねる。その答えは
『今リップルがどこにいるのか24時間ノンストップでネットに情報を流出するぽん。』
と言う、どうでもいい感じのものだった。
「……魔法少女は認識されないから別に問題ないと思うけど?」
変身解除していたら
『ところがどっこい!最近魔獣のせいで魔法少女がガンガン認識されてしまっているぽん!因みに言うと、一番その影響で被害にあってるのはたまだぽん!』
なんてトンでも発言をファブは返してきた。
「………え。」
言っていることの意味が理解できずにそう呟く。そんな私を嘲笑うかのようにファブは
『ついでに伝えておくけど~、今現在進行形でSNS上にリップルの現在地、要はここのことを分単位で流しているぽん!多分近くにいる人はそろそろ来るんじゃないかな~』
「なんてことするんだ!」
相手が端末上に浮かぶホログラムと言う実像がない存在であることを忘れて握りつぶそうとする。しかし、実像がないせいでその伸ばした手は空を切るだけだった。
「……チッ!」
舌打ちを無意識にしてしまい、その上で周囲を警戒しようとした……その時だった。
「やっぱり屋上じゃね?例のくノ一娘がいるって流れてるの。」
「ん~、GPSの座標はここで合ってるから後は高さだけだと思うんだがな~。と考えるとやっぱりそうなんだろうな。」
「それにしてもおれたち運がよかったな。たまたま残業してたらその真上にくノ一娘がいるなんてな!!」
身を預けている屋上への入口を兼ねた階段棟の中からそんな声が聞こえてきた。
「っ!?」
驚いて身を預けていた建物から離れてそのまま屋上の端へと移動し、光あふれる空へと飛ぶ。
身を宙に預けて数秒後に隣のビルへと飛び移れ、そのまま私はさらに隣のビルへと飛び移った。
「………ファブ。」
どんどんビルとビルの間を飛び、先ほどまでいたビルからそれなりに離れた所へたどり着いたタイミングで私はファブに声をかけた。
『はいだぽん。』
「話に出る。だから今すぐわたしの位置情報を流すのをやめて。」
『わかったぽん。最初からそう素直じゃないと困るぽん。』
「……」
うるさい。心の底からそう思った。
「ファブ。トップスピードにメールを送るから一回どっか行って。」
『わかったぽん。じゃあ、ファブはカラミティ・メアリにリップルが参加することを伝えてくるぽん。』
そう言い残してホログラムの白黒饅頭は消える。私はメーラーを開いて少しだけ考え、覚悟をもって打ち込んだ。
『
from.リップル
sub.無題
カラミティ・メアリと決着をつけてくる。
「……送信完了。」
画面上に表示される<送信完了>の文字。それを見て私はすぐに
「ファブ。場所を教えて。」
と、ファブからババアが指定してくるであろう場所を聞こうとしたが、現れたファブは
『終わったぽん?だけど、
「何を言って………!?」
何かを含んだような言葉を言い放つ。その言葉に疑問を覚えて込められた何かを聞き出そうとしたその時だった。
私が立っていたビルのすぐ目の前。恐らくオフィスが下層を占めて、上層はマンションであろう建物が
「ッ!」
顔をよぎる熱風を反射的に腕を交差して防ぐ。
強烈な爆風が私を襲い、それが過ぎるとさっきまで人の営みや働いている未だこの時間になっても働いていたサラリーマンのためについていた電気で光っていた目の前のビルは、黒煙を上へ上げながら崩れかけている墓標となっていた。
「一体何が……」
一瞬で変わってしまった目の前の光景に固まっているとファブがマジカルフォンから現れて告げる。
『カラミティ・メアリから伝言だぽん。”これは始まり。これからもっと面白いものを見せてやるよ”だって。』
「!?」
ファブが伝えてきたカラミティ・メアリの伝言に驚いてファブの方を向いた瞬間だった。
カッ!!
閃光が走ってさっき爆発したビルから十数メートル左右に離れた場所に立つ2つのビルが同時に爆破された。
最早下から悲鳴が聞こえてくるどころじゃない。私が立っているこのビルもいつ爆破されるかわからない状況になっていた。
『メールだぽん!』
こんな人がたくさん死んでいてもおかしくない状況だというのにファブの呑気な声がマジカルフォンから届いた。
「こんな状況で!?」
こんな状況でのんきでいるファブに文句を言う。しかし返ってきた返事は
『カラミティ・メアリから場所の指定のメールだぽん。場所は今リップルが立っているビルのすぐ目の前。あのビルの奥、十数メートル先にあるビルだぽん。』
この爆発の元凶の可能性が高いババアが今いるであろう位置を指定してくるメールだった。
(被害が広がるのを抑えたかったら最短距離で行くしかない!!)
私はビルを突き抜けるために一度ビルから飛び降りた。
ビルに飛び込み、がれきの下敷きになって取り残された人を助けながら奥へと進む。
どうせ最終的にスノーホワイトが一番人助けをするんだろうから私は私がしないといけないことをやるだけだ。
奥へとたどり着いたら窓を蹴破って外へと飛び出した。
そのまま下へと飛び降りて今度は地上からファブが出す指示に沿って向かう。
魔法少女の脚力で、指定された場所へは数秒程度でたどり着くことができた。
『この建物の上だぽん。』
そう言ってくるファブの言葉に従って私は目の前にそびえたつ電気が一つもついていないビルの中へと足を運んだ。
もしこのとき私がトップスピードと一緒に行動していれば彼女はきっと気づいて
『このビルはメアリの姐さんが根城にしていたところだから罠があるに違いない。慎重に行けよ。』
とでも言ってくれただろう。
しかし、この時私はラ・ピュセルの一件のこともあって一人で行動していた。
そしてこの後起きたことのせいで私は一人で、しかも冷静でいたふりをしながら頭に血が上った状態で行動していたことを一生後悔することになる。
脇刺しを片手に手裏剣を逆の手に。
不意打ちを警戒しながらその状態で真っ暗なビルの中を進む。所々割れたガラス窓から入って来る光によって明るかったりするもののそれでも暗いことに変わりはなかった。
「……」
相手に自分の位置を知らせないためにも高下駄を静かに上下させて音を立てないように歩く。
そうしてファブがメールを表示してきた階までたどり着いた。
「……ここか。」
構えを解くことなく階段のフロアを出て奥に入っていく。その時だった。
「んー!んー!!」
小さいけれど、助けを求めるような声が聞こえた。
放っておいてもいいと一瞬だけ思ったけれど、それでももしこの階でカラミティ・メアリとの戦いが始まったら巻き込まれるかもしれない。
「……先に助けておいた方が良いかも。」
そう自分の中で結論づけて声が聞こえる方へと向かう。薄暗い廊下を進み、それなりに拾いが暗い部屋に出た。
この場所から人がいなくなる時に廃棄されたのだろうか、たくさんの分解された机や椅子があたりに置いてある。
それらで作った円陣の真ん中に手を後ろに組んだ状態で縛られ、目元を布で隠され、さるぐつわを嚙まされている小さい少年の姿があった。
「待ってて。今助けに行くから。」
「いつカラミティ・メアリに襲われるのかわからない。」そんな恐れから碌に確認もせずに少年の方へと足を向ける。
その時トップスピードに前に言われた言葉が頭をよぎった。
このゲームが始まる少し前にカラミティ・メアリに絡まれたときのことだ。
たまたまトップスピードに無理やり箒の後ろに乗せられて町を巡回しているときに暴力団同士の抗争が真下で発生し、その中にカラミティ・メアリが混ざって人を文字通り銃弾で粉砕しているのを見た。
その中で数発ほど掠っていたせいか憂さを晴らしたかったのだろうって思う。
その弾を掠らせた敵側の暴力団の構成員をひたすら銃の的にしてから真上を飛んでいる私たちを見つけたカラミティ・メアリは、「降りてこい」とでも言わんばかりにこちらへ向けて銃を乱射してきた。
弾丸を当てられたら困るので仕方なくトップスピードは箒を下へと向ける。そしたらカラミティ・メアリは私たちに謝罪を要求してきた。
当然そんな理不尽な要求に納得できずに私は突っぱねようとしたけれど、トップスピードは私の頭を掴んで無理やり頭を下げさせた。
それを見て留飲でも下がったのかカラミティ・メアリは悠々と迎えに来たらしい黒い車に乗ってどこかへ立ち去ってしまう。
無理やり理不尽なことで謝らされたせいで腹を立て、その場でトップスピードに詰め寄るとトップスピードは
『リップル~、お前気づいてなかったのか?』
と言ってから
『あの時のメアリの姐さん。謝らなかったらお前を的にして遊びかねなかったぞ?』
と青ざめた表情で続けた。
『それでもかまわない。逆に
と、私が言うと
『お前だって、誰かを守ったりしたいから魔法少女になったんじゃないのか?だったら自分の命を大切にしない奴が人の命を救えると思うか?怒りで動くんじゃねぇ、”魔法少女リップル”なら。』
トップスピードはそう返してきてから箒を呼び出し
『帰ろうぜ。今日はもうさすがに俺もしんどいからさ。』
歯をむき出しにした笑顔を私に向けながらそう言った。
トップスピードに言われたあの言葉を私はあと少し早く思い出せていれば事態は変わったと思う。
踏み込んだ右ひざにピンと張られた何かが引っかかり、すぐに抵抗がなくなる。その時『遅いよお嬢ちゃん』の言葉とともにピッと何かが起動する音が右側からした。
反射的に音のした方を見る。見えたのは山積みにされた机の部品の山に埋もれて赤い光を放つ00:00の文字だった。
(しまった……罠か!?)
慌てて少年の元へと駆け寄ろうとする。縛られている少年の右手をどうにか掴めたと思ったその瞬間
ピー!!
と言う大音量の電子音とともに私は爆風で吹き飛ばされた。
握った少年の身体を自分の身体で庇うかのようにしながら数回バウンドしつつ転がってしまう。
最後に大きくバウンドして爆発の威力で崩壊したフロアの端で私の回転はやっと止まった。
「っー!おい大丈夫か!?」
何度も回転したせいで三半規管が狂ってしまっている中、少年がいるはずの方へ声をかける。
「………」
返事はない。
いくら少年だからと言ってやけに軽い手元への負担に嫌な予感を感じながら頭を振ってどうにか歪まないようになった視界で少年の手を握っている左側を見ると
「そん…な……」
そこには少年の右ひじから先しかなかった。
腕が千切れただけでまだ生きているかもしれない。そんな希望を信じてゆっくりと立ちあがり、周囲を見渡す。
「……」
「あ…あ……」
内臓をぶちまけて周囲一帯に血染めの瓦礫を生み出した胴体が。
「あぁああああああ」
そして血に染まったせいで認識できるようになった大量の細いワイヤーの残骸が。
「あぁあぁああああああああああああああああああ!!!!」
崩壊したビルの床に膝をつき、慟哭する。
私のせいだ。
私がカラミティ・メアリに目をつけられたから何の罪もない子が殺された。
ならばこの子が死んだ原因は私だ。
だったら、
『ザッザザー』
何処からかノイズ音が聞こえた。
『あーあーテステス。聞こえてるねお嬢ちゃん?』
突然今一番聞きたくないハスキーな声が聞こえた。この声の持ち主は一人しかいない。
「カラミティ……メアリ!!」
憎しみを隠しきれずにそう叫ぶ。
『爆発したってことは仕掛けは十分機能したってことかィ。
「……」
こちらの反応など知るかとでも言わんばかりに煽るようなカラミティ・メアリの言葉が一体どこから聞こえてくるのか周囲を睨みつけながら探す。しかし見つからない。
『あたしの使う武器は魔法で精製してあってねェ。普通の
ただひたすらに探す。
『悔しいだろゥ?私が憎々しいだろゥ?』
……やっと見つけた。だけどその音源は
「お前は一体どこにいるカラミティ・メアリ!!」
あの爆発でも壊れずに済んでいたスピーカーだった。それが意味することはただ一つ。
『ククク……やっと気づいたのかィお嬢ちゃん。あたしはお嬢ちゃんが今いるところから東に1キロほど離れたところにいるよ。魔女でも魔獣でも何でも連れてきなァ!!』
ブッツン。そんな音を残してカラミティ・メアリのハスキーな声はそこで途切れた。
「………」
こんな事態を引き起こすカラミティ・メアリと、助けられなかった自分へのふがいなさに腹が立つ。
「……てば!!」
突然肩を引っ張られて無理やり向きを変えさせられる。目の前にいたのは心配そうにこちらを見る
「……ごめんトップスピード。私は……」
いつもよりも重く感じる口を開く。だけどこれは伝えないといけなかった。
「前にアンタが認めてくれてた魔法少女に
「え?」
そう一方的に告げてトップスピードの横を駆け抜け、奴がいる場所へと目指し身を宙に躍らせた。
後ろの方でトップスピードが名前を呼んでいるが振り返る権利なんて私にはない。
全力で、今の自分に出せる最大限の速さで、私は東へと走った。
パン!!
乾いた音が遠くから聞こえる。きっとカラミティ・メアリが銃をこちらへ向けて撃ったのだろう……と思ったが外したらしく私に掠りもしなかった。
パパパパパパパパパパパパパ!!
チュチュチュチュチュチュイーン!!
おい待て。
目の前で広がる光景と聞いたことがあるような無いようなな音に驚いて足を止める。
通り一つをはさんだ建物の屋上では幽鬼のような表情を浮かべて銃を乱射するカラミティ・メアリと相対するかのようにハンドガンを大きくしたような見た目の武器を握り、銃弾に対して光線を放って対応する見たことがあるようでない白いずんぐりむっくりがいた。
その見た目では到底考えられないような素早い動きでカラミティ・メアリを翻弄しつつ、その白いずんぐりむっくりはカラミティ・メアリを狙い撃ちしていく。
「魔獣ゥぅうううう!!」
「………てめぇはここで仕留める。第弐戦術。」
弾が切れたのか
魔獣とカラミティ・メアリに呼ばれた白いずんぐりむっくりはそう言いながら腰につけている大きめのバックルについているショッキングピンク色の扉を開いた。
その時まで廃ホテルの屋上で遠くのスピーカーと無線で繋いだスマホを使ってリップルを煽り、逆上させた状態で楽に狩れるだろうと考えていた。
「ククク……やっと気づいたのかィお嬢ちゃん。あたしはお嬢ちゃんが今いるところから東に1キロほど離れたところにいるよ。魔女でも魔獣でも何でも連れてきなァ!!」
「あ、そう。ならお前をここで倒すけどいいよな?」
その声が後ろから突然聞こえてくるまでは。
「!?」
ついさっきまで国道を逃げ回る人を撃つのに使っていた対戦車ライフルを横に放り投げ四次元袋から取り回しのいい軽機関銃であるRPKを引き出し背後に打ちながら振り向く。
「っと…。」
突然後ろを取ったその存在は四つん這いになりながら高速で移動して放たれた銃弾をすべてかわし、弾切れの瞬間後ろの方へと飛んで少し離れた場所へ着地した。
分厚く広がっていた雲が一部晴れ、隙間から除いた月明かりが襲撃者の顔を明らかにする。明かされたその面は殺したいほど睨みつけたものだった。
「魔獣!!」
背中の方に太い鈴のついた愛と白の2色でだんだらに染められたしっぽのようなものと頭に虎の耳のようなものが付いているように見えるがその顔は苛立たしさで手下に取らせた写真に穴を物理的に開けたほど見た魔獣のものだった。
「…答えは聞いてない、聞く気もない。」
魔獣はそう言いながら腰に見覚えのあるバックルを当てながら銃を構えるかのように何かをかざす。
(やらせるか!)
最初の戦闘の時のことを思い出しながらそう考え、弾を替え終わったRPKを再び構えて銃弾を放つ。しかし
放った銃弾はすべて魔獣の後ろに現れたSTGと黄色い文字で大きく書かれたパネルから出てきたドラム缶に防がれた。
跳弾が辺り一帯にまき散らされ、こちらにまで飛んでくる。
「!!」
慌てて手に持っていたRPKを盾にして防ぐが、弾を防いだ代償にRPKが壊れてしまった。
「チィ…」
脆い武器に腹を立て、舌打ちをしながら壊れたRPKを横に放り、四次元袋に手を突っ込む。その一方で魔獣の周りには魔獣を中心に広がった藍色のレーンをなぞるかのように窓が現れ、回り出す。
<♪~><
音と共に光に包まれ現れたのはあの日見たのと顔が違う白いずんぐりむっくり。それはあたしの方を見てどこからか取り出した銃を構えてから告げた。
「
「ふざけるなぁ!!」
感想をください。いつも同じ人ばかりなのでもっと多くの人からも欲しいです。
評価をください。できれば一言書いていただけるといろいろと考えれます。
それと、restartまだ読めてないです。漫画版の方は一巻買って読みましたけどあれシャドーゲールの視点のみなので話の流れの補填にしか使えないんで確実に無印を読んだ後に時間をいただきます。
最後に、くれくれ乞食でホントすみません。
掲示板回の時のぶち込んだライダーネタに反応がなかったので悲しかったんです……