魔法少女救命計画   作:先詠む人

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新年あけましておめでとうございます。
一昨日は間に合わなかったんで初売りに行って物を買う金もないし、カルデアにアクセスできないし、時間もあるのでちょっと趣向を凝らした短編を書いてみました。
短いです。
※大我がまだ高校生の時のお話です。


Illegal stage The first shrine visit of the new year

「あけおめー。あとわりぃ、ちと遅れたわ。」

 

 結家と書かれた表札が付いた門をくぐってユウトに挨拶する。

 

「おぅ大我。ことよろ~お前で最後だぜ~」

 

 ユウトは今日が正月と言うことでだろうか、玄関で着物に身を包み妹のみやちゃんと一緒に立っていた。

 

「それにしてもお前もそれか~」

 

 ユウトはそう言いながら俺の様子を上から下までじろじろと見る。

 

「うっせーな。しゃぁないだろ俺は着物着るような学なんざねーし、その上持ってもねーんだから。」

 

 俺はそれに対して軽く拳をかざしながらユウトの方へと振るう。

 

「おっと。相変わらずキレのいいことで。」

 

 ユウトはそう言って笑いながら俺の拳を掴んだ。

 

「「ハハハハ」」

 

 2人そろって玄関でゲラゲラと笑う。それを見てみやちゃんは

 

「はぁ……」

 

 とため息をついていた。どうせ、また親に対する心象とかそんなことばかり考えているんだろう。ぶっちゃけ俺たち二人はそんなこと全く気にしないけど、この子はいつもそんなことばかり考えている。

 

 ため息をついているみやちゃんをほっといてユウトと2人で肩を組み交わし、そのまま玄関を上がって、家の中へと入る。

 

「おぅ、遅かったじゃん。」

 

「いつも時間通り行動が基本なお前には珍しいな。」

 

「一人で寂しく〇〇〇〇(ピー)でもしてたか?」

 

「喧嘩でもしてきたか~?」

 

「わりぃわりぃ。ちょっと大掃除を年明けた今更してて家出んの遅れてさ。あと、カルマ。お前今からしばき倒す。」

 

 家の中に入ってユウトの部屋に入るとユウトの部屋の真ん中に置かれているこたつの4辺全てを埋めるようにカズ、カルマ、アキト、シンジの4人がくつろいでいた。

 他の3人に向けて軽く挨拶と事情説明をしてから部屋に入るなりとんでもない下ネタをぶち込んできたカルマを照準に合わせて左手で右手首をもって回す。

 

 コキッ

 

 そんな音がした。

 

「お……おい、お前まさか……」

 

 俺が結構真剣(ガチ)で怒っていることに俺の様子で気づいたカルマは慌てた様子でこたつから飛び出してそのまま壁の方へと逃げた。

 

 1メートルほどの距離を一気に詰める。

 そしてそのまま

 

「ふぃ~」

 

 俺はカルマがいなくなったことで空いた場所からこたつへと足を突っ込んだ。

 

「「「「「………」」」」」

 

 沈黙が場を支配する。

 数秒ほどだっただろうか、不意にカズが

 

「プッ…」

 

 と噴き出したのを皮切りにカルマを除いた4人全員が

 

「「「「ヴァッハッハッハ!!」」」」

 

 大きな声で笑いだした。

 

「へ…?」

 

 カルマはその急な展開についていけずに壁際でぽかんとした顔をしている。

 そんな状態で俺はただひたすら

 

「ふぃ~あったけ~」

 

 網の上に乗った餅のようにだらけていた。

 正直に言って下ネタをぶち込んできたことに関してはそんなに怒ってない。あれぐらいのことで怒ってたら毎日数十回おこることになるから脳の血管が切れちまうよ。

 だからこうやって判断しづらいフェイクを入れてほどほどにするのが一番いいのさ。

 

「つか、餅なってる奴いるけどぼちぼち初詣行こーぜ。早めにしないと人多すぎてまた去年みたいに帰るの遅くなっちまうし。」

 

「だな~」

 

「でも、こたつの中から出たくない~」

 

「それもそれ~」

 

「おい!俺も入れてくれよ!!」

 

 カズが笑いすぎた結果半泣きになってたまった涙を目頭から拭いながら言うとシンジが横になりながらそう答え、アキトがそれに続く。

 俺もそれに続いて言葉を零し、カルマが必死にこたつに入ろうとしていた。

 

「それじゃあ、行くか。こたつの電源抜くぞ~」

 

 そんな俺たちの様子を見てユウトは手を二回ほど叩いてそう告げ、問答無用でこたつの電源を抜いた。

 

「「あ~!!」」

 

 俺とアキトの声が重なる。

 

「『あ~』じゃねーよ。ほら、早く行こうぜ。」

 

 ユウトが俺の、シンジがアキトを背中から抱っこするように手を回して無理やり立ち上がらせた。

 

「「ぶーぶー」」

 

 俺たちは二人そろってアイコンタクトをかわし、同時に抗議を始める…が。

 

「知らん。それに前みたく帰るのが遅れて怒られるのは嫌だっつーの!」

 

 シンジがそう一括して〆た。

 

 不平不満を漏らしながら背中を押される形で結家家を出て、近所の神社へと向かう。

 

 俺の格好は、普段から履いているジーパンに紺色と白の二色のチェックカラーが映えている上着の上にダークグレーのコート。

 シンジは虎が描かれているスカジャンになんか有名な企業のジーパン。

 カルマは紺色のコートに藍色の綿パン。

 カズはカーキ色の綿パンにジージャン。

 アキトは細身のスキニージーンズにふんわりとした服。

 そしてさっきも言った通りユウトは和服だった。それも結構ガチ目な和服。

 

「つかアキトさー。」

 

 神社に向かう途中、アキトの服を見ていてふと気づき、尋ねる。

 

「お前が着てるそれって女物の服じゃね?」

 

「「「おいおいそんなバカな……」」」

 

 俺が尋ねたことに対してアキトを除いた3人は息ぴったりにないだろと判断するが

 

「え?なんでわかったの?」

 

「ブハッ!」

 

「「「うっそだろお前!?」」」

 

 続くアキトの言葉に目を見開いて驚いた。そしてカルマは何を想像したのか鼻血を吹き出した。

 

「いや、だってお前が来てるそれ今朝のテレビで女優の〇〇〇〇が着てた服に似てるから…」

 

 俺がそう言うとアキトは照れながら

 

「可愛いかなって思って買ったんだけど女優さんが着てるなら良いね」

 

 と言う。その仕草は女性と言っても過言でないほど可愛かった。

 

「「「「「………」」」」」

 

 それを見て俺たち五人は固まり、即座に円陣を組んで顔を近づけた。

 

 「おいカルマ‼おめーのせいだろあれ‼どうするつもりだよこのアホ‼」

 

 「いや、ごめんて!俺もあんなんなるとは思ってもなかったんだ‼」

 

 「そんなことよか今あっちでアキト見てた自転車乗った奴がこけたんだが……」

 

 「そんだけ破壊力がつえーってことだろ。」

 

 「で、どーすんだよ」

 

「「「「「…………」」」」」

 

 「今どうこうできることでもねーから放置で」

 

 「「「「是」」」」

 

「もー一体なんの話をしてるのさ‼」

 

 唐突な俺たち五人の行動に困惑しているアキトをよそに円陣を解き、

 

「よし、じゃあ参るか!」

 

「「「「応!」」」」

 

「だね!」

 

 ユウトの声に応じて境内へと通じる階段へと足を向けた。

 

 

 その後、境内で売ってた餅を喉に詰まらせてカルマが目を白黒させるはめになったが、それは蛇足だろう。

(※直後にたまたま参拝していた救命退院の指示のもとに無事、掃除機で餅を吸い出せました)




正月なのでお餅と正月太りには気を付けてください。

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