それに俺も明日明後日で連続してエグゼイド生で見るし…
「さぁ、ゲームを始めようぜ!!」
<♪~><
右手にしっかりと握ったドラゴナイトハンターZを前に突き出すかのように構えてから起動スイッチを押し込む。スイッチを押し込んだことでガシャットが起動し、起動音を流しながら俺の後ろにスクリーンが現れる。そしてそのスクリーンから星のマークなどが入っている中身が空の170㎝ぐらいの大きさのドラゴンが咆哮をあげながら飛び出してきた。
<カァーン!!>
「MXAAAAAAAAJUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUU!!!!!!」
俺の周りを一周してから後ろの方に回り、ホバリングしながらドラゴンが咆哮する。それに呼応するかのように目の前の魔獣も大きな声で奇声を上げた。
突き出した右手の中でくるんとガシャットを回転させる。上下反転させるかのように回転させたことでドラゴンを模したガシャットの尻の部分が上になる。俺は逆手で剣を持つかのように腰をわずかにおろし、左手を前に突き出しながらガシャットをドライバーに装填する。
<ガシャット!!>
装填されたことでガシャットから認識音が鳴り響くが、それ以降何も鳴らない。他のガシャットのことを知っている人ならばその事実に対して疑問に思うだろう。しかし驚くなかれこれは仕様だ。それは何故か。
その答えは簡単なことだ。なぜならこのガシャットにはレベル1は存在しない。だからレベル1変身音はならないし、俺の周りに15のライダーアイコンを書き込んだ窓が浮かび上がることはない。
そして俺は装填した右手でそのままドライバーの扉についているグリップを握り締め、
「変身!!」
その握りしめたハンドルを引っ張って扉を開いた。
<ガッチャーン!!> <レベルアーーーップ!!>
<
後ろでホバリングしていた龍が俺を包み込むように覆いかぶさる。その瞬間、目の前にいる龍人は俺めがけて炎の
一瞬だけ俺の身体が炎に包まれる。しかし、次の瞬間
「はっ!!」
炎によってつくられた台風を切り裂くかのように手刀が空間を奔り、それに続いてまるで
包み込んだ炎がすべて吸収されたとき、その場にいたのは
その頭部は中世時代の騎士たちが身に纏っていた鎧のようにフルフェイスで覆われており、本来目がある場所は龍の瞳のように縦に引き伸ばされた琥珀を加工したものが埋め込まれていた。
さらには所々に龍の意匠を施した鎧に身を包み、背中にはバスターソードとも呼ばれることがある刃が広いがしかし何らかの線がたくさん入っている大剣を装着している。
そして先ほど大量の炎を吸い込んだからか、胸に施されている龍の顎の意匠は赤く染まり、その背中側の大剣を装着していない箇所から炎の羽を宙に描き出していた。
「「………」」
無言で両者ともに睨みあう。
先の炎の攻撃によって近くの着にあった葉はすべて引火した。それゆえに火を撒きながら葉がひらひらと落ちて行く。幻想的な風景のさなかで俺は後ろへ手を回し、足をずらして体制を低くした。
俺と龍人との間で燃えながら落ちてきた木の葉が燃え尽きてジュッと音を立てる。
「「!!」」
その瞬間、両者同時に動き出す。
<ガシャコンブレイザー!!>
「おおおおおおおお!!!!!!!」
「Rxaxaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa!!!!」
雄たけびを上げながら俺が振るう大剣と目の前の龍人が振るう大剣が衝突し、周囲一帯には衝撃波がまき散らされる。
その余波によって木が吹き飛び、小規模のクレーターが発生した。そのとき俺の後ろの方から悲鳴が聞こえた気がしたがそんなのを気にしている余裕はない。なぜなら
「GXAAAAAA!!」
「やっぱりその能力は反則だろ!!」
<ピュピュピューン!!>
ブレスなしの咆哮とともに
それを剣を受け止めている大剣の滑り止めの所のすぐ上についているBボタンを連打することで衝撃波を剣から放ち、延びてきた剣を破壊することで防御する。
衝撃波を放ちながら一気に重さを生かして斬り払う。切り払った際に180度俺を囲うようにアーチを剣先が描き、地面に刃が食い込む。そしてその衝撃は大きな亀裂を生みだすことになった。
「どらぁッ!!!」
ザシュッ!と水っぽい音がするとともに目の前の龍人の身体から大量のオレンジ色の粒子とともに朱が零れ落ち、俺の顔にもそれがかかる。
返り血で真っ赤になった視界を乱暴に手でぬぐい、そのまま俺は一気に距離を詰めようとするが、相手もそのままやられるようなタマではない。
「a@:ap,i:w@e ovi:maw@ia:」
最早音とも言えそうにない雄たけびを上げながら体中から尖った何かを大量に発射した。
「チッ!」
飛んでくる
「クソっ!」
大剣に隠しきれずに露出していた体の箇所を貫通するかのように何かが貫いたせいで
シールドバッシュによって目の前の龍人の体がわずかに浮かび上がる。俺はそのわずかな隙間に大剣の切っ先をねじ込ませ、近くにあった石を剣先の方へ蹴りこむ。蹴りこまれた石は狙い通り剣と地面との隙間を埋めるかのようにはまり、握っている大剣の持ち手に急に大きな負担がかかる。
そして俺は勢いよく持ち手を下に上下レバーを下に下ろすかのように引き下ろした。大剣にとてつもない重みが加わり、ミシミシと嫌な音がする。しかし、俺はそのまま全力で地面と大剣が平行になる位置まで一気に引き下ろす!!
その次の瞬間、目の前で大剣越しに俺を殺そうと剣を伸ばしていた龍人は宙に浮いていた。
今目の前で
<ガッシューン!!>
大剣から手を放し、スロットに入っているドラゴナイトハンターZのガシャットをドライバーから左手で抜き出す。
そして抜き出したガシャットをそのまま左腰についているキメワザスロットホルダーに装填した。
<ガシャット!!>
ガシャットが認識されたことで認識音が鳴る。俺はガシャットを装填した手でそのままスロットホルダーのわきについている銀色のスイッチを押し込んだ。
<キメワザ!!>
1回目。キメワザをすると認識されてシステムが起動する。
両の手を開いた状態で腰を下ろし、右足に白いエネルギーがたまっていくのを確認する。その右足にたまって言ったエネルギーが可視化し、光輝いてまともに見えるような状態じゃなくなったタイミングで俺は再びスイッチを押し込んだ。
<
俺はその音と共にエネルギーがたまっていた右足を勢いよく振り上げた。
龍の咢が振り上げた俺の足に追随するかのように現れ、宙に浮かぶ龍人を喰い散らかすかのように暴れまわる。
そして俺が振り上げた足をおろし、右手を顎の下に構えるかのようにしながら半回転するのと同時に光の顎が四散する。そして龍人の体中に<Hit!!>の文字が浮かび上がるのと同時に龍人は爆発した。
<会心の一発!!>
「うしっ!」
その音声とともにこの戦いに勝ったことを確信する。しかし、それは慢心だった。
「\:,.@p;\]@/.\]p;[]!!!!」
断末魔のような叫びが聞こえた……と思ったのと同時に後ろから衝撃に吹き飛ばされる。
「カハッ!」
吹き飛ばされたことで肺から空気をまき散らしながら前方へと回転し、数回転ほどしたところで大の字になりながらやっと止まった俺が見たものは
「嘘だろ…おい………」
わずかに伸長を含めて体積こそ減ったものの、こちらへ向けて未だに戦意満々な様子の龍人が剣を構えている光景だった。
「だったら!」
それを見てすぐにハンドスプリングの要領で跳ね起き、構える。
その手の中には先ほどまで使っていた大剣はない。先ほど必殺技をする際に投げたせいで近くにないからだ。
「俺に……俺に狩れないものはない!!!………多分!」
構えた龍人に対してそう叫びながら俺は全速力でその距離を詰めた。龍人は先ほどまでと違って動かない。しかし、その手に持った剣を伸ばしてきた。
「フッ!はっ!」
駆け寄りながら伸びてきた剣を避け、その剣から飛び出した棘も避ける。そうして距離を詰め切りあとはこの手を放つだけ……と思った瞬間だった。
<♪~><
そんな聞きなれている音が耳元で聞こえた。
嫌な予感を感じつつ顔を上に上げる。そしてはっきりと見た。
龍人の体のさっき俺が大剣で切り裂いた奥の所に青色のタドルクエストガシャットが確かに埋め込まれているのを。
「返せ!!それは俺/オレのだ!!」
本当に反射だった。その時の俺の頭の中には今が戦闘中だということも完全に抜けていた。
貫手のように構えていた右手を無理やりその傷の奥の方へねじ込む。放った際の体勢が不十分だったためにしっかりと手が傷口の奥の方に刺さらない。しかし、俺はそのまま腰がイカれるのもいとわずに無理やり力づくで力の進むベクトルをそのまま流れていくものから突き進む方へと変え、傷口の奥の方にあったタドルクエストガシャットをしっかりと握りしめた。
「.@]@;]@p]p:p:@\o:@\l:p:@p.ol:@pl:lo:@o!!!!!!」
ガシャットを握りしめた途端龍人が大きな声で悲痛な叫びをあげる。そしてがむしゃらに手を振るい俺の顔に直撃する形で俺を吹き飛ばした。
<ガッシューン!!>
その一撃により本来ライダーガシャットについているセーフティ機能が働いてドライバーからドラゴナイトハンターZガシャットが排出され、俺から少し離れた位置へ落下する。
「イテテテ……」
殴られた頬をさすりながら俺はその手に握りしめたものを確認した。握りしめたガシャットの色は水色。クリアパーツの裏面を見れば何かの人型がうっすらと浮かんでいるのが見える。
そしてガシャットの側面に貼られているゲーム名表記は<
このガシャットに見覚えがあるなんてものじゃない。むしろこの間これの
「なんでこれがあそこに…?」
だからこそ困惑を隠せない。このガシャットはあの時他のガシャットと同様に俺の
だからこそきっと俺がこのガシャットを使う日は当面来ないのだろうと思っていたのだが……
「いつの間にラ・ピュセルの中に……」
そうぼやいている暇など本当はなかった。俺が言えたのはそこまでだった。
右側から竜鱗のせいで所々が尖った拳が俺の顔に突き刺さり、右から左へと流れる力に沿って俺自身も吹き飛ばされていく。
「ガッ!アガッ!!アガッチャッ!?」
変な声を上げながら俺は数メートルほど地面に何度もバウンドしながら飛ばされた。泥まみれ血まみれになりながらバウンドがやっと止まり、ふらつく視界の中で立ち上がる。
客観的に自分を
顎はあれほどの衝撃を持つパンチを受けたにもかかわらず外れておらず、一応無事だった。バウンドしている間に擦り傷をたくさんこさえたらしく体中がじんじんと痛んでいる。
そして一番個人的にはつらいと思ったのはどうやら最後に跳ねた際に切ったか何かしたらしく左目の視界が真っ赤に染まってまともに見えないことだった。
そんな状態だから肉体的にはドクターストップがかかってもおかしくない状態にまで俺は追い詰められていた。
だから最後の賭けとして俺は吹き飛ばされていても決して離すことはなかった
「やってやるよ……勇者って奴を!!」
右手に握ったガシャットを2回ほど手首のスナップを生かして回転させ、握りなおす。そしてそのスイッチを押し込んだ。
<♪~><
スイッチを押し込んだことでオーケストラによるものなのだろうか、荘厳なBGMが流れ出す。ガシャットはあの時と違って無事起動した。
そしてその音に対応するかのように俺の後ろに中世ヨーロッパの城のような建物の影が描かれたスクリーンが現れ、『TADLE QUEST(Tの文字が剣で描かれている)』の文字がそのスクリーンに出現する。
ゲームタイトルがスクリーンに表示された直後、一瞬だけスクリーンが発行するとその中から大量の古き良きRPG、ドラゴン〇エストに出てくる宝箱を体現したかのような宝箱が飛び出し、ありとあらゆるところへ設置された。
そんな風に一気に様変わりしていく戦場を見ながら俺は右手に持ったガシャットをスッと顔の左側へと持っていき、上下反転させた。
「変身。」
その言葉を
<ガシャット!!>
ガシャットを差し込んだ瞬間、差し込んだスロットを中心に光の輪が一種だけ現れて広がる。そして
<
聞きなれた音声が流れ出し、その音に呼応するかのようにドライバーから銀色の大円に乗った15の窓が現れ、そのうちの一つが?マークで表示されていた灰色の窓から青色の光を放ちながら変わっていく。
数回転ほどしたのちに、その灰色の窓は青色の枠に騎士然としたキャラクターが描かれた窓へと変わっていた。
俺はその窓が左へ来たタイミングを見計らって軽く突き飛ばすみたいに窓を選択する。
<Select!>
と窓が選択された瞬間にとても太いフォントで描かれた黄色い文字が踊り、回転しながら俺の前に躍り出る。そしてその窓が俺にかぶさるかのように俺を通り過ぎると俺の姿は再び変わっていた。
カラーリングが白を基調としているのと、ご当地ゆるキャラそっくりのずんぐりむっくりさは他のレベル1と変わらない。
この状態での他のレバル1との差として挙げられるのは水色の小盾を左手に持っているということが1点。そして胸のライダーゲージの背景色が黄色でゲージの下に書かれている絵が雪の結晶と炎のマークになっているということだった。
「これより新型バグスターに感染したと思わしきラ・ピュセルに処置を開始する!」
両の手をこれからオペをする執刀医のように掲げ、俺は駆け出した。
「術式レベル2!!」
駆けながらドライバーについているハンドルを握って扉を開く。扉の下から水色のワイヤーフレームで構成されたスクリーンが出現し、俺の前に立ちふさがるかのように展開された。
それを某オンドゥルの
スクリーンに飛び込んだ瞬間上から水色のワイヤーフレームで構成された大きな円が覆いかぶさり、俺の周りの空間は森の中から藍色ベースのたくさんの扉がある空間へと変化する。
<
扉の向こうに様々な景色が現れては通り過ぎていく空間を上昇し、その先にある一つの扉の前で止まる。
そしてその扉を開くかのように手を開くと扉が開くのと同時にレベル1の身体がはじけ、頭部パーツから体のパーツが生える形で3頭身から6頭身へと姿を変え、この世界に復帰する。そしてこの世界に復帰する鳴り俺は再び地面を駆けだした。
距離を詰めながら左手を横に突き出す。突き出した左手の先に淡い光が迸りその光は拡大しておもちゃの剣のような絵が描かれている窓となる。
<ガシャコンソード!!>
窓はその音と共に俺の周りを半周を描くように移動し、そのまま描かれていた剣を実体化させこの手に納めさせた。
現れたその剣は持ち手の所のすぐ上にある逆台形の形の座にははAとBのボタンが取り付けてあり、その上に続く刃は炎を連想させる意匠と氷を連想させる意匠の半分半分で構成されている。
そしてその剣を俺はBボタンを3度叩いてから勢いよく振り払った。振り払われた剣の切っ先から3つの火の玉が飛び出していく。
それらはすべて俺のさらなる変身を見て硬直していた龍人の体の正中線に沿うように直撃した。
「\:,.@p;\]@/.\]p;[\!!!!」
龍人の顎が上へと跳ね上がり、口からは悲鳴が上がる。
「イメージしろ…………俺に斬れないものは………ない!!」
その隙に懐へもぐりこんだ俺は彼の天才外科医の言葉を自分に言い聞かせるかのように言い放ち、剣を大きく振るった。
その一撃は龍人の体を焼き焦がしながら食い込んでいく。そしておれはそのまま
「ぶっとべやぁあぁあああ!!!」
野球選手がホームランを打つように全力で剣を振り抜いた。
「マジュウゥゥゥゥゥゥゥゥ!!キサマァァァァァアァァァァァァ!!!」
先ほどまでと違い、いくらか認識しやすい言葉で目の前の龍人が叫びながら少しばかり吹き飛ばされていく。その隙に俺は跳び前転しながらあるものを回収していた。
「よし。」
さっきまでと違って水色の手甲に包まれたこの手に握られているのは金色のガシャット。
「さて、さっきまでとは一味違う狩りを魅せてやるぜ。」
そう言いながら俺はその場に立ち、再びその手のガシャットを起動した。
<♪~><
今回も先ほどと同様に星のマークがついたドラゴンが後ろに現れた炎をバックにした背景の中で現れるドラゴンのシルエットから現れた。
それを確認することなく俺は
「術式レベル5」
<ガッチョーン!!>
と言いながらドライバーの扉を閉め、握ったドラゴナイトハンターZガシャットを2つあるスロットのうち、今はタドルクエストガシャットが入っている内側のスロットではなく、外側のスロットに装填した。
<ガシャット!!>
装填とともに音が鳴り、ドラゴンが先ほどまでと違って俺の周りを勢いよく周回しだす。俺の周りをまわるそれを気にせずに俺はドライバーの扉を開いた。
<ガッチャーン!!><レベルアーーーップ!!>
<
水色のワイヤーフレームで描かれたブレイブの線画が描かれたスクリーンがドライバーの扉の向こうにあった液晶部から出てくるが、それに続いてもう一枚。白のワイヤーフレームで描かれた狩りゲームに出ても出てきそうなデフォルメされたドラゴンの絵、すなわちハンターゲーマーレベル2に変身する際にドライバーの中心の液晶から出て来た物と同じものが水色のワイヤーフレームに重なる。
<アガッチャ!!>
<
重なった2枚のワイヤーフレームはその音声と共にブレイブクエストゲーマーレベル2に変身している俺を通り過ぎる。
先ほどのように後ろで待機しているハンターゲーマが俺を包み込むように被さるが、さっきまでと違って一部展開するかのように開く。
その間俺の周りには<
そして渦が消えるころにはさっきまで後ろにいたドラゴンを鎧として纏ったブレイブハンタークエストゲーマーレベル5へと俺は変身し終えていた。
それは先ほどまでの洗練されたデザインとは違うどこかチープな姿。しかし、その中に込められた力は先ほどまでと違って大きなものとなっている。
「さぁ、始めようぜ!!俺たちの
左手に装着されたレールガンを構え、挑発するかのように少しクイっと動かしてから俺はこの世界に来て初めて心の底からそう言って駆け出した。
俺の安っぽい挑発に俺に対してもとから殺意満々な龍人は当然反応する。
「シネシネシネシネシネェェェ!!」
ブチ切れたかのようにそう叫びながらこちらへ大きな音を立てながら駆け寄って来ながら剣を伸ばしながら突き出してくる龍人。それに対して俺は
「っしゃ!!」
前へ前へ進もうとする体のベクトルを
後ろへずれた重心を保ち、背筋にものすごい負荷を掛けながらこちらへと迫ってくる剣に対してマトリ〇クスのような避け方をして回避する。
勿論先ほど連射したレールガンの弾は龍人の瞳に直撃し、視界を塞いでいた。
顔の前すれすれを通過する剣に若干の冷や汗をかくも、そのまま今度は横回転して大剣の中心部の下から外れる。
大剣の中心部から外れると、片手で目に負った負傷を気にしていないかのようにこちらを睨みつける龍人と目が合ったのでファングから高温の火炎弾を発射する。
その火炎弾は龍人のて開いている右手によって防がれたが、その隙は懐へもぐりこむのには十分すぎるものだった。
「フッ!!」
距離を詰めたことでブレードもクローもともに攻撃できるようになる。
俺は右手をねじ込むように一度後ろへと振りかぶってから突き刺し、そのままクローで自分の体を固定した。
突き刺したブレードが折れないか心配になりつつもレベルが上がったことで増強したパワーを最大限に生かして思い切り縦に切り裂くかのように上に動かす。
その攻撃によって切り裂け具合こそ浅いが、かなりのダメージを負わせることができた。
「キサマァァァァァアァァァァァァ!!」
俺が近すぎるために武器である大剣を使えず、我武者羅に腕を振り回す龍人の拳を避け、蹴りを放ち、バク宙しながら距離を取る。
「クゥッ!!」
苦悶の声を上げながら龍人は後ずさりし、俺は宙にいる間に外側のスロットに差し込んでいた金色のガシャットに手を伸ばしていた。
<ガッシューン!!>
装填されていたドラゴナイトハンターZガシャットを外したことでそんな音が鳴り、そのあとすぐにキメワザスロットホルダーに差し込んだことで再びロード音声が鳴り響く。
距離を取りながら宙を舞い、体を動かして目当てのものがある場所へと着地地点を誘導する。着地地点はあるメダルが置いてある場所だった。
<分身!!>
そのメダル、エナジーコインに障るのと同時に俺は5人に増える。
横に俺と全く同じブレイブクエストハンターゲーマーレベル5が現れていくのを確認するのと同時にホルダーのスイッチを押す。
<キメワザ!>
俺の横に現れた4人と全く同じ動きをしながら俺は構えた。構えを保ったまま再びスイッチを押し込む。
<
さっきはレベル2で火力が足らなかった。今はレベルが3つも上がっている上に数も増えている。
「これで決まりだぁあああああああああ!!!!!」
俺の叫びとともに虹色の光線と火球が5つの砲台から発射された。
<Perfect!!>
その音声が流れるのと同時に龍人が光に包まれ、爆発する。
<GAME CLEAR!!><♪~>
今度の攻撃は完全に通ったらしい。クリア音とともにぼろぼろになったラ・ピュセルが炎の中から転げ落ちてきた。
恐らく空中に放り出されるような形であの姿から元に戻ったのだろう。
「よっと」
宙に放り出されたラ・ピュセルを俺は空中でキャッチし、そのままお姫様抱っこして着地する。
「ふぅ……」
そう呟いて立ち上がろうとすると後ろから
「……なぜ私を助けたのですか?」
そんな声が聞こえた。俺はそれに対して振り返らずに
「………あんたには償わなければならない罪がある。俺の責任になるような形で散ってもらっちゃぁ困るんだよ
適当に当てはまりそうな答えを考えだして告げ、振り返った。だが……
「誰もいない…?声はこっちからしてるのに…」
そこには誰もおらず、俺たちの戦いによってつくられたクレーターだけがあった。しかし、そこから声は響き続ける。
「……回復アイテム感謝します。これは借りとしておきますね。」
「おい待て!あんたどこにいるんだよ!?」
どこかからか聞こえるその声に追い打ちをかけるようにそう尋ねたが、結局答えは返ってこなかった。
「……ぁんだよ一体……ってあ。」
眉をひそめながらそう呟き、あることを思い出して固まり呟く。
「そっか……そう言えばクラムベリーの能力って音を操るから音が出る場所も自由自在だったわ……」
クラムベリーの能力は確か「音を自由に操れるよ」とか言ったもののはず。実際シスターナナとヴェス・ウィンタープリズンの百合カップルとの戦闘時にウィンタープリズンの背後からシスターナナの声を真似たものを聞かせて隙を創り出していた。
確か最終的にカウンターを受けて鼻血を出す羽目になっていたと思うが…………。
まぁ、それは置いておいて今はラ・ピュセルのことだと頭を切り替える。
未だに気を失っている彼女を放っておくわけにはいかないので俺は覚悟を決め、変身を解いた。左目を隠すように出ていた出血は戦闘中にどうにか止まったらしく、顔と手が汚れるのを分かった上で雑に左目の辺りを拭い、視界を確保しなおした。
「完治ってまでは言えないけど、ドラゴナイトハンターZとタドルクエストのバグスターウィルスは消えたか…」
スマホの画面に映っていたのは見たことのないマークが画面中を躍っている様子。
「………しゃぁねーさっき散々言われて腹立ってるけどこればっかりはどうしようもねぇか……」
どうなるかわからない以上誰かが近くにいないといけない。そんなことを思いながらふらふらとしなつつそう独り言ちてステージスイッチに手を伸ばす……その時だった。
「大我さん無事ですか!?……ってあれ?……そうちゃん!?」
「お、丁度いいとこに。こいつ頼むわ。こいつが暴走してそれ止めるのに俺もう限界でさ。また何かあったら教えてくれや。」
ついさっきまで使っていたタドルクエストガシャットの影響で設けたのか教会のステージへと飛ばされる。
教会の扉を開いてその建物の中に入ったとたん俺は膝が笑って崩れ落ちた。
(あ、やべ。)
体力、気力をともに使い切ってしまったのか、強制的に意識を奪うかのようにどんどん黒く染まっていく視界の中であることに気付いて自分のミスを悟る。
(教えてくれって言っても、俺への連絡方法がないから教えることができなくね?)
そんなことを考えている途中でも大理石で作られた床が迫ってくる。そして俺はベチャッというカエルが潰れたような音を立てながら倒れ伏し、ゴンっと鈍い音を耳にし、おでこに鋭い痛みを感じながら深い眠りに落ちた。
眠りに落ちた瞬間から体中にノイズが走り、オレンジ色の光とともに負傷した個所がすさまじい勢いで治癒していく。
その最中、エリア内に設置された月が放つ光によってできた陰から赤と青の光を放ちつつ何かが分離したことに気付く者は誰もいなかった……
「ん……んん」
「あ、そうちゃん起きたの?」
目をしばたかせながら異様に重たい瞳を開けると心配そうな瞳で泣きそうになりながらこちらを見るスノーホワイトが映った。
「スノーホワイト……どうしたんだい?そんなにつらそうな顔をして…」
そっと右手を彼女の顔に添えようとする。そして気づいた。
(な……何だこの腕は!?)
花のようなふくらみを見せていた私の腕の装飾が、まるで中学のサッカー部の同級生が薦めてきたドラゴンをはじめとしたモンスターを狩るゲームに出てくる古龍そっくりのものになっており、柔らかなシルクのような指先だったはずなのにそちらも龍のように尖り、鱗の生えたものへと変化していた。
(戻れ戻れ戻れ戻れ戻れ!!!)
焦って内心念仏のように叫ぶ。すると、スノーホワイトが急に焦った表情を浮かべた私のことを心配するかのようにそっと私がしていたように顔に手を当ててきた。
その冷たさにほっとしてしまう。その瞬間、私は自分の手がおかしなことになっていることを忘れていた。
「そうちゃん……」
不安そうな彼女の呼びかけを聞いて我に返る。
「な……何もない!うん。何もないから!!」
そう言いながら右手を隠そうとしたときに元に戻っていることに気付いた。
(どうなっているんだ……?)
得体のしれないものになってしまったかもしれない自分の体に不安を覚えながら立ちあがる。
「もう月も沈みかけている。帰るとしようか。」
そうスノーホワイトに声をかけて不安そうな彼女を家まで送ってから自分の家に帰った。
鍵を開けて出ていた自室の窓を開けて中に入る。そしていつものように変身を解除して龍騎士ラ・ピュセルから岸部颯太へと戻ろうとした……が
「なんでだ!?」
いくら戻れと念じても姿が戻らない。
この緊急事態に焦って私は窓から部屋を飛び出して、屋根へと飛び移る。そして屋根の上で必死に変身を解除しようとしていたが、無情にも日が昇り出してしまった。
登って来る陽を見ながら魔法少女育成計画をしていて初めて魔法少女になったときにファブに注意されたことが頭をよぎる。
『魔法少女はその正体を明かしてはならないぽん』
(変身を解除できない以上このまま母さんと鉢合わせするのはマズイ!?)
そう考えたときに下の自分の部屋の扉が開く音がした。
「颯太~朝だけど……颯太!?どこに行ったの!?颯太!!」
階下から母さんの半狂乱で叫ぶ声が聞こえた。
See you Next Stage!!
感想、評価を楽しみにしています。
「戻れない……どうして!!」
元の姿に戻れなくなったまま狂乱状態で失踪した龍騎士
「そうちゃん…」
「任せとけって!俺が捜してやるからさ。お前も手伝え大我!!」
「わーってる。さすがにこれは俺も関係ありそうだしな」
彼女を心配して鉄塔の上で黄昏る白雪姫を見かね、お人好しの魔女が若干人間不信になりかけている彼を連れて龍騎士を探し始める
そして…
「……さて、アイツを止めねーと」
闇の中で潜伏していた存在がついに動き出す。
お楽しみに!!