今回は多分次回辺りでOPの映像にちょっと変更が入るとかそんな感じの回になる……と思う。多分、メイビー。
…………おっしゃ間に合ったぁああああああああああああああああ!!!(投稿時点での最新の活動報告見てもらえたらなんでこんなシャウトしているのかわかる)
「ふぅーふぅー」
体に大量のノイズを描きながらラ・ピュセルを吹き飛ばした攻撃や爆発からワタシを守ってくれた魔獣さんの姿は見たことのないものに変わっていた。
「………『ジジジッ続けるのもそジッそろ限界だ。ジッにかく時ジッがなジッ。』」
呆然としながら白と黒の半分こ怪人みたいな姿に変わった魔獣さんを見ているとノイズ交じりなそんな声が聞こえた。
(これって……誰の声?)
そう思いながらもいまだに危険な状況に変わりない前を見る。すると
「……後ろに行っとけ。」
そう言いながら魔獣さんはワタシを庇うかのように立って撃たれた真っ黒い魔法少女をポイっとこちらへ投げた。
そのせいでもっと大変なことになると魔獣さんも思ってはいなかったんだとは思うけれど……その行動が実際私にとって恐怖な映像を作り出してしまったのは事実だった。
「退避トカさせまセン!!」
そう言いながらさっきまで地に倒れ伏していたマジカロイド44さんが何かを引っ張るかのような動作をする。すると近くに残っていた倉庫の壁の残りからちょっと離れた壁の残った場所へと甲高い音とともに数本の光る線が走った。
そしてそのうちの一本が感情を感じさせないままこちらへと投げ飛ばされていた黒い魔法少女の体と頭を分かつかのように赤く染まる。
「ヒッ!!」
投げ飛ばされながらに引っかかって虚ろな目をした首だけが体からポロリと落ちながらこちらへと投げ飛ばされてくる黒い魔法少女の姿に気を失いそうになる。
ドシャリと首と体が離れながら地に落ちる。地に落ちた二つの物体はそのまま大量の
一瞬だけ見えてしまった切断面から気道や骨、筋肉、そして血管がはっきりと見えていたが、それもすべて赤に染まって見えなくなった。
「イヤァァァァァァーーーーーーーーーーー!!!」
目の前で起きたことに顔に手を当て、悲鳴を上げる。
だけど、恐怖はそこで終わらなかった。
分かたれたことで体から離れた首がトントンと転がりながらこちらへとやってくる。そして虚ろな目をしていた頭は不意に動いた。
「
狂気に満たされたかのように首だけの少女は口の端を孤にゆがめながらそう音を放った。
「-----!!!」
私は恐怖のあまり意識を手放してしまった。
「チッ……なんだぃその姿は?」
目の前で
オレは
「さぁな」
とだけ答えた。
今のオレが変身しているのは仮面ライダーゲンムゾンビゲーマーレベルX。
「ただまぁ、一つ言えるのは…」
そう言いながらオレは
「ここから簡単に終わると思うなよ?」
一気に数メートル離れた距離を詰めるため、地面を蹴りとばした。
距離を詰めるために駆け出すオレを妨害するために
紫色のモヤ、すなわち魔法を纏って強化された弾丸がオレの胸で火花を上げた。
「!!」
魔法によって通常ならあり得ないほど強化された威力によって吹き飛ばされ、そのまま一瞬だけ意識が跳びそうになる。
本来ならばそれだけの威力の攻撃を受けた場合今の攻撃のみで
銃口から煙をくゆらせ、弾倉に入っていた数発を一気に狙い撃ちした銃のグリップを叩き、回転シリンダー式の弾倉を叩き出す。
一番武器入手として効率が良いのはやくざから回してもらっている
(さすがに死んだろゥ?)
今手に持っている銃はやくざから流してもらっている通常の銃と違って基本性能の時点でおかしい威力を持っている。それに関しては初めて魔法少女になったときにファブを的にして試し撃ちをした際に魔法による強化なしで近くの銅像を木っ端みじんにしたことからわかっていた。
それだけの威力を持つ銃で魔法で強化した弾を放つ。そんなことをしたらどうなるのか………楽しみでしかなかった。
さっきの一発で全弾空になった
そして銃から顔を上げてみたものにワタシは得体のしれない感情を覚え、震えた。
「………」
そこには体中から黒い煙を出しつつ、ゆらりゆらりと昔テレビか何かで見た覚えがあるアメリカ製の映画に出てきたゾンビのように立ちあがり、こちらへと歩いてくる魔獣の姿があった。
「な!」
即座に6発すべてに弾を込め、全力で魔法の強化しながら連射する。
その弾丸全ては大きな火花を上げながら迫る魔獣の脳天、首、胸、腹に2か所、そして急所の全6か所に命中した。
今度は吹き飛ばされることなく、その場に魔獣が倒れこむ。
「ハァ……ハァ………ハァ………」
魔法少女として強化された五感と身体能力。それらすべてを用いて,1秒程度で行った装填作業のせいで息を切らした。
今度こそ死んだろと内心何故か願いながら魔獣が倒れた場所を見る。
そこにはピクリともしない魔獣が……………いなかった。
「ッ!!」
その状況に気付き、再び高速で装填作業をしようとした……その時だった。
「センパイ!!」
足元から上を見上げたマジカロイド44の悲痛な叫びが聞こえる。
「上かィ!!!」
空になった弾倉の装填は間に合わない。そう判断してすぐ近くに置いていた
タタタタン!!タタタタタタタタタタン!!!
軽やかな音に対して一発一発が対戦車ミサイル並みの威力を持った弾丸が発射される。それらすべてが魔獣に直撃し、魔獣はワタシたちの後方の方に飛ばされていった。だが、
「これでゲームは終わりだ。」
そんな声とともに魔獣は立ちあがり、腰につけていたさっきまでワタシの武器だったモノについていたAとBと書かれたボタンを同時に押した。
<~♪>
やけに耳に障る甲高い音が周囲一帯に鳴り響くせいで耳を反射的に抑えてしまう。足元にいるマジカロイド44も同様のようで唸り声をあげていた。
そんな中で魔獣は紫色のボタン_Bボタン_を何も言わずに叩く。
<
そんな男性の低い声が聞こえてきたかと思ったのと同時に魔獣の足元を中心に紫色の円が描かれ、それが広がっていく。
そしてその円が通った後の地面は黒く染まり、その中から大量の魔獣が生えてきた。
まるで
反射的に足元で未だにダメージから動けないでいたマジカロイド44を蹴り上げて盾にする。
「センパイ何ヲ!?」
突然のワタシの行動にマジカロイド44の抗議が飛んでくるか関係ない。
あの魔獣に触れてはならないと直感が告げている。だからこその行動だった。
そして生えてきた大量の魔獣は盾にしたマジカロイド44を捕まえる。
「アァアアァァアアアアァアアアアァァアアァアァア!!!!」
マジカロイド44の腕を最初の魔獣が捕まえた瞬間、マジカロイド44の体中に紫色の電流が走るような様子が見えた。
そしてつかまれたところからマジカロイドの体は勢いよく錆びていく。
生きたまま錆びていくという通常ならば与えられることなどありえない痛覚を与えられているせいだろう、マジカロイド44から聞こえる叫びはすぐに声帯が切れたのではないかとでも思うほど甲高いものへと変わった。
少し後ろの方に立つワタシの目の前で悲鳴を上げながらマジカロイド44の全身が錆びて地に落ちる。
赤い光を放っていた瞳はすでにその色を消していた。
「こいつは……」
目の前で起きた現象におののきながらそう漏らした瞬間、
<RE:programing!!>
そんな音声とともにマジカロイド44が桃色の半透明な長方形で構成された球体に包まれる。そしてその長方形が激しく光ったかと思った瞬間、
音もなく、風もない。ただその周囲一帯にとてつもない威力の衝撃波がまき散らされ、ワタシはすぐ近くにいたせいで数十メートルも吹き飛ばされる羽目になった。
「痛いねェ!!」
吹き飛ばされて背中から地面にたたきつけられるもすぐにガバリ!!と起き上がる。
吹き飛ばされたせいか腹部に、地面にたたきつけられたせいか背中に痛みが走るものの、即座に立ち上がってさっきまでいた倉庫跡地へと戻ろう………としたところでふとあることに気付き、足を止める。
(さっきの攻撃について情報がない時点で今挑んでもマズいんじゃないのか?)
と。
さっきは
なら
肉壁がいない以上直撃する可能性が高い。
となると、ワタシも錆びることになるんじゃないだろうかィ?
そこまで考えたところで今この瞬間は引いて、情報を集めることに注力した方がいいと判断できた。
「チッ!面倒なことになってきたねェ!!」
激しく舌打ちをし、一旦ねぐらへと戻るためにその場から離れる。
遠くからは最初の爆発のせいで110番通報でも入ったのだろうか、
「チッ!逃げられたか。」
体中ノイズまみれのオレの目の前にあるのは桃色の光の柱。
その中にはマジカロイド44の変身前である中卒フリーター、安藤真琴が収められていた。
「でもまぁ……ある意味では成功か?」
そう言いながら柱に手を触れる。その瞬間、柱がはじけて中にいた安藤真琴の姿はどこかへと転送されていった。
きっと家にでも送られているだろう。多分。メイビー。
これに関しては
そこまで考えたところで腰に当てたバグヴァイザーから煙が出てきた。
「?」
疑問に思いながらバグヴァイザーをバックルから外し、左手に持った……その瞬間だった。
「アガガガガガガ!!!!」
液晶面から紫色の電流が放出され、バグヴァイザーは木っ端みじんになってしまう。
ドライバーの構成要素であるバグヴァイザーが壊れてしまったということは当然ゲンムからの変身も解除されてしまうことにつながった。
変身解除した生身の体に放たれた電流が襲いかかったのだ。
「ッつー!!」
体中を焦がすかのように走った電流による痛みをすぐにでも意識の埒外に出すために手を振りながら首を振った。
少しの間、そうしていると痛みが引いてきたのでオレは白い魔法少女の方を向いて、歩いていこうとした……その時だった。
プツン!!
まるでテレビの電源を落とすかのように目の前が真っ暗になる。
そしてその次の瞬間、
「な!?」
オレの知覚は体を乗っ取る前までの闇の中に押し込められてしまった。
「時間切れ……か。」
闇の中、オレは一人そう呟いた。
「っと!?」
急に体が前につんのめるような感じがするのと同時に意識が覚醒する。
「……どこだよここ?」
意識がなくなる前にいたのはどこかの公園。
そして今いるのはどう見ても廃墟。
公園から廃墟までの記憶が完全に断絶している。
そんな状況で俺がそう呟いてしまうのも無理はなかった。
「………(クィッ)」
瞬間移動でもさせられたのかと言いたいぐらいの場面転換に呆然としながらも、状況を把握するために周囲を見渡そうと首を回した時にコートの裾を引っ張られた。すぐに引っ張られた方を向く。
「ぅん……って。」
コートの裾を引っ張る手は青白く、不健康に見えた。
そこから視線を上げていくと全身真っ黒で目が虚ろ、目の下には隈ができている少女。
そう………そこにいたのは16人目の魔法少女であるハードゴア・アリスだった。
「…………私だけだと彼女を傷つけてしまいそうなので彼女を運ぶのを手伝ってください。」
そう言って気絶したせいか、白目をむいて完全に脱力してしまっているスノーホワイトの方を指さす。
この世界に来る前からその性格を知っていたことでそうだろうと予想こそしていたが、死なない魔法少女が俺の前で初めて喋ったのはやっぱり
「……よっと。」
魔法少女になったせいか年頃の少女としては軽い感じを受けるスノーホワイトを背中に負ぶい、膝裏に手を引っかけて、ハードゴア・アリスの手を借りて首にスノーホワイトの手を添えてもらう。
「さて、行こうか。……ってあれ?竜騎士の子は?」
俗に言う”おんぶ”の体勢になった状態でとりあえず下ろしていた膝を伸ばした時にふと気づいた。
まだラ・ピュセルは死んでいないはずだから背中で気を失っているスノーホワイトとコンビを組んでいるはずだ。
なのに、今この場にいるのは彼女自身とハードゴア・アリスの2人だけ。
スノーホワイトを自らの命に代えて守ると魔法の騎士剣に誓っていた
「どこにいるか知ってる?」
多分知らないだろうと思いながら隣に何も言わずに立つハードゴア・アリスに尋ねる。すると
「………」
無言で海の方を指さした。
「そうそう海ね……って海!?」
慌ててスノーホワイトを地面におろし、腰にゲーマドライバーを当て、赤いガシャットを取り出す。そしてラ・ピュセルを少しでも早く助けるために変身しようとした………が。
「プハッ!!死ぬかと思ったぞ!」
そんな声とともに港沿いの足元にあるブロックに籠手を着けた手がかかる。
「あ。」
それをみて俺は後ろに数歩下がった。なんでかっていうと、その手に見覚えがあったからだった。
逆に前に進む者もいた。ハードゴア・アリスだ。
彼女は俺が下がって空いたスペースにもぐりこむといきなり
「これまでお疲れさまでした。あなたの代わりはもういますので。」
と言ってブロックの端に引っ掛けてあるラ・ピュセルの手のひらを踏みつけた……って何してんの!?
「痛ぁぁぁぁぁ!!」
「チョッ!!何してんの!?」
ラ・ピュセルの悲鳴と、俺の困惑の声がその場に鳴り響いたのだった。
結局、俺が手を差し伸べ、ラ・ピュセルを引き上げた。
どうやら何らかの原因で海に落ちたようだが、何故か俺に対して怒っている。
「それにしても魔獣、お前がスノーホワイトをカラミティ・メアリから守ってくれたみたいだけど、それは本来私のやることだ。我々に害をなす存在である君はおとなしく狩られてくれ。」
と言うなり、大剣を掲げて襲い掛かってきたが
「何もできずにすぐに海に落ちた癖に偉そう」
と、ハードゴア・アリスがつぶやいたのを聞くとその動きが止まった。
「……おしゃべりな人から聞きました。あなたはスノーホワイトの盾とか言ってるそうですが、
「なんだと!!」
中身が男子中学生だからって言うのもあるんだろうが、ラ・ピュセルはその言葉に激高した。
「おいおい落ち着け!!」
一応、この場にいる中では最年長(21歳)なので慌てて仲裁するかのように間に入る。その瞬間、
ウゥゥゥゥゥゥゥゥウウウウウウウウウウ!!!!
「このサイレンって……」
「………」
「パトカー!?」
3人顔を見合わせる。
最初に口を開いたのは俺だった。
「公的機関にお世話になるとか俺嫌だぞ!?(身分証明できるものが多分ねぇし!!)」
次に口を開いたのはラ・ピュセル。
「魔法少女が警察に捕まるのはちょっと色んな意味でまずいな…」
そして最後に
「……逃げましょう。」
ハードゴア・アリスがそう締めて俺たちは急いでその場を離れだした。
もちろん、スノーホワイトをラ・ピュセルが背負い直すのを手伝ってからだ。
ある意味で人外である魔法少女のスピードに若干息を切らしながらも必死で追随する。
ラ・ピュセルとハードゴア・アリスの2人が近くの倉庫の屋根の上を飛んだり跳ねたりしながら加速していくのに対して俺は
「ハッハッハッハ」
ツートンカラーに染め上げられた自転車を漕いで必死に追いすがる。
「ハッハッハッハはえーよホセ。ハッハッハッハ」
若干酸欠状態になってきたせいだろうか、記憶のどこかからそんな昔聞いた覚えがあるネタ発言が上がってきてそれを呟いてしまった。
呟いたせいで呼吸が乱れ、負担が増える。
それでもなお、俺は必死に自転車をこいでいた。
「もう港からは十分離れただろーが!!」
少し先の屋根を軽やかに跳ぶ2人へと声をかける。しかし、
「まだここは危ない!!もう少し頑張ってくれ!!というか、そもそもなんでお前がついてきてるんだ!!」
と、ラ・ピュセルに怒鳴り返されてしまった。
「こっちだって状況把握したいんだよ!!
と怒鳴りつける。
実際文字盤が狂っている時計をシャカリキスポーツのゲーマを出した時に見たら恐ろしいことに日付が1日変わっていた。
要は、
となると、俺の中から無くなった1日分の記憶を知っている人は誰かと言うことになる。そう考えると話を聞けそうなのは魔法少女ぐらいしか思いつかなかったんだ。
この名深市に16人いる魔法少女のうちで、カラミティ・メアリとマジカロイド44は選択肢から即除外。仮に話を聞きに行ったところで信じてもらえる気がしないしあの時の様子を見る限り協力体制のように見えた。
というか、俺自身がカラミティ・メアリとあまり絡みたくない。撃たれたし。
となると、残りの選択肢は14人。そのうちでルーラ一派の5人は一度戦闘になっているので除外。
残り7人の内でシスターナナとウィンタープリズンも多分俺が魔獣と言う誤った認識を抱いている可能性が高いから襲われる可能性が高すぎて除外。
そうやって考えていくと残ったのは5人。
今もなお屋根を翔けている2人と、ラ・ピュセルの背中に負ぶわれたスノーホワイトを含めた3人を除けばあとは今どこにいるのかわからないトップスピードとリップルのコンビだけだ。
そうすると頼れる選択肢はおのずと絞られる。
だからこそ俺は3人の中で特に心を読む力を持っているスノーホワイトに助けを求めるのと同時に俺の知らない1日間のことを何か知らないか聞こうと思ったのだった。
深夜と言う時間にもかかわらず、ギャーギャー騒ぎながら空間を爆走する。
そのせいか、ラ・ピュセルに背負われていたスノーホワイトが目を覚ましたらしい。
「スノーホワイト!!」
突然ラ・ピュセルが止まり、そのせいで勢いが付きすぎたのかラ・ピュセルと同じタイミングで屋根を飛ぼうとしていたハードゴア・アリスが無理やり止まろうとして屋根からこちら側へと転げ落ちる。
「マズッ!!」
いくら彼女がその魔法の特性上死ににくいのだとしてもそうそう何度も死ぬような経験をしたら精神的に変な影響が出るだろう。そう思って俺はゲーマを蹴飛ばしてから一気に落下してくる彼女の元へと滑り込んだ。そして……
ごすっ!
と言う鈍い音とともにハードゴア・アリスの頭が俺の腹部に突き刺さり、バウンドして家々の影に転がっていく。
「ガッ!!」
衝撃で臓器が損傷したのだろうか、口から若干の血を吐きながらも俺は彼女のキャッチに一応成功した。
「大丈夫ですか!!」
その様子を見てスノーホワイトが屋根の上から飛び降りてくる。
「あ!スノーホワイト!!!」
それを見たラ・ピュセルが慌てた様子で叫んでからスノーホワイトと同様に
「大丈夫かどうかって言われたらまあまあかな。」
口端についた血を手でぬぐいながらそう答えるも、スノーホワイトの体の周りに緑色のオーラのようなものが浮かんでいるのが見えた。
「嘘ですね、本当は結構苦しいはずです。」
そう言ってから彼女は優しい笑みを浮かべ、こちらを見た。そしていきなり真面目な顔になり、
「なんで、私を守るために動いてくれたんですか?私たちはあなたを追い回していたのに。」
真剣なまなざしをこちらへと向けながらそんな質問をした。
(守った?俺が?何時?)
その質問の意味がいまいちつかめずに困惑する。
正直言ってスノーホワイト自身とは今日あったのが初めてだ。リップルとかはあったことがあるからわかるけれど……
と思考の海のおぼれていると、目の前のスノーホワイトが息をのんだ。
「もしかして………あなたはさっきまでの事覚えていないんですか?」
その言葉を聞きながら目をそらし、下手な口笛を吹きながらスノーホワイトの方を見て固まる。目の前の少女の身体には緑色のオーラが未だまとわりついていた。それを見て確信し、息をのむ。そして
(やらかしたぁぁぁあああああああ!!!)
と内心絶叫した。
スノーホワイトの持っている魔法である『困った人の心の声が聞こえるよ』と言う魔法は結構やばい魔法である。
声が聞こえる程度ならともかく、
今はまだ修羅雪姫として覚醒する前なのでそれほど深くは聞き取れないみたいだが、下手したら俺が転生者だということまでばれてしまう。
内心そのことを考えないようにしながらも俺自身さっきまでのことを覚えていないのは事実だったので首を縦に振ることで肯定の意を見せる。すると少し残念そうにしながらも
「そうですか……どこから記憶がないんですか?」
と聞いてきたので
「昨日の夜に年増と戦闘してから記憶がない。」
と、正直に答えた。嘘を言ってもスノーホワイトにはすぐにばれてしまう。だからそんなことで嘘をついて信頼性を失うくらいなら正直に言ったもん勝ちだった。
「年増……?」
そんな俺の返しにスノーホワイトは首をかしげて考える。
「ねぇ、ラ・ピュセル。年増って誰だと思う?」
「え!?それを急に私に振るのか!!………そうだなぁ……カラミティ・メアリがしゃべり方とかからかなり年いっているんじゃないかって話を前に聞いた覚えがあるが………」
ラ・ピュセルはそう言ってうんうん唸りながら恐らく尾てい骨あたりから生えているのであろう竜のような意匠を施してあるしっぽを振り回しつつ考え込み始めた。
………そのしっぽが未だに女の子座りの状態で影の中から出てこようとしていないハードゴア・アリスの顔にビシビシ当たっているにもかかわらず。
痛覚神経がかなり鈍いのか、それともいう気がないのかハードゴア・アリスは何も言わない。だが、若干不機嫌そうな顔をしていながらスノーホワイトの方をじっと見つめていた。
その一方で俺がそんな様子のハードゴア・アリスをじっと見つめていると
「わからない。とにかく情報が少なすぎ………スノーホワイト、どうしたんだ?」
考えることを一旦放棄したラ・ピュセルが顔を真っ白にしたスノーホワイトに気付いた。
「あ……あ………あ…………きゅぅぅ」
きっと、「鬱陶しい」でも何でも彼女にはそんな声が聞こえたのだろう。そして、闇の中に女の子座りをしている怖い少女を見てしまって恐怖したのだろう。
「スノーホワイト!?大丈夫かスノーホワイト!!」
後に魔法少女狩り、読者からは修羅雪姫とも呼ばれるようになる白い魔法少女は、今この時点では夢にあふれる少女でしかなかった。気絶するのも仕方がない。
意識がない間のことをまったく知らないがためにスノーホワイトとハードゴア・アリスの間に何があったのかわからない俺は、そんなまったくもって見当違いなことを考えていた。
「クッ!私はこれで帰る!!明日、一番高い鉄塔に来い!!そこで決着をつけてやる!!」
いきなり気絶したスノーホワイトを見て混乱したのか、そう言い残してラ・ピュセルはスノーホワイトをお姫様抱っこして空へと飛ぶ。
そしてそのまま素早く屋根屋根に足をかけて加速していくことでその場から離れていった。
「………何あれ。」
それを見てついそう漏らしてしまう。
「ねぇ、どう思う?」
と、陰に隠れるかのように立っている少女に聞いてみると、
「………あの二人はお付き合いでもしているんでしょうか?」
と、逆に聞き返してきた。
「いや、それは知らないけど……」
その質問に対して原作で結局結ばれなかった二人のことを思い出しながら答えると
「そうですか…」
と言うなり、彼女もその身体能力をフルに発揮してその場から離れてしまった。
「ぁんだよ一体。」
ただ一人その場に取り残された俺はそう呟き、口をとんがらせながらその場にノイズと<STAGE SELLECT!!>の音声をかき鳴らして俺自身もその場から消えた。
そして一夜明け、昼の間図書館で新聞を読んで昨日のことがどうなったのかを調べる。
どうやら昨日の俺が立っていたあの廃墟はもともと港沿いの倉庫だったらしく、地方紙の大見出しに「暴力団の抗争か?」の文字とともに廃墟の中でたくさんの鑑識がいろいろ調べている様子の写真が掲載されていた。
記事を読む限り、元々その倉庫は警察が
「………なんでそんな場所に俺いたんだよ……」
その瞬間までの記憶がないがゆえになぜ自分がそんな場所に居たのか理由がまったくわからない。
夢遊病か?夢遊病なのか?それとも………
「……その答え合わせは今夜まで待つか。」
意識がなくなる前に見た夢のようなものを思い出して、一つの仮説を立てる。だが、それが正しいかなんて
そのためにそう呟きながら手に持った新聞を今朝の朝刊を含めて俺がこの世界に現れてから今日までに発刊された大量の新聞を積み上げたテーブルの上に軽い調子で放り投げたら
「そこ!!書物は大事に扱って!!」
警備員の腕章をつけた青い服を着たおっさんに怒られた。
………解せぬ。いや、本を大事にせいって言うのはわからなくはないけど図書館で大声で怒鳴る必要性はないと思う。
ほら、そこの小さい子だっていきなり大きな怒鳴り声が響いたもんだから驚いて泣いちゃったよ!!
そして夜が来る。
魔法少女たちが動き出す夜が。
「一番高い鉄塔……てかまほいくで”鉄塔”ったらあそこしかないよな。」
そんなことを言いながら閉館時間ぎりぎりに図書館を出たフードを下ろした青年がふらふらとしながら動き出す。
「やっと動いたね」
「そうだね。ルーラ様に伝えなきゃ。」
それを遠くから見ているものがいるなんてことに彼は気づ…………
(絶対後ろに二人ほど誰かいるよな………………盗聴目的か?それとも監視か?追い込みか?)
…………いていて、なぜ追われているのか考えていた。が
「ま、いっか。最悪
そう結論づけて昨日の夜にラ・ピュセルに来いと言われていた鉄塔、すなわち電波塔がある建物の方へ歩き出した。
直感で。
「………迷った。」
当然一度も電波塔のほうには行ったことがないので、その数十分後に迷子になって道を聞くためにコンビニに駆け込んでいたが。
感想、評価を楽しみにしています。
(昨日寝る時間削って書いたので最初から6000字ぐらいの間は誤字脱字あるかもしれません。一応チェックはしてますが……)
………忙しい中で4時間で10000字何て書くもんじゃねーわ。
執筆がどれくらい進んでいるかの進捗や、他のサイトでのアカウントの情報もぽろぽろ出してます。
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