私のヒーロー道(休載)   作:ヘイ!タクシー!

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この鬼!悪魔!槍トリア!大好き!天使!でももうちょっと難易度抑えて!!

それと『この頃移動してばっか』の人質を捕られたシーンを一部変えました。今後の内容のためモモの活躍を無くしましたがご了承下さい。


力の差は歴然です。

 黒いモヤから出てきた男は私達の目の前で立つと、私を睨んできた。

 

「嗚呼痛い痛い………死にそうなほど痛い。あばら骨が何本か折れちゃったじゃないか。殺す。絶対に殺す」

 

「なんで……手加減、しすぎた……?」

 

 しくじった。その一言だろう。

 まさかそこまで重症を負って立ち上がってくるとは。私の慢心が生んだ結果だ。完全に、私のミス。

 ただでさえ脳無という強敵がいるのに、更に敵が増えてしまった。

 

「まったく………なんて酷い世の中なんだ。同じ暴力なのに俺達はヴィランと罵られ、そこの女はヒーローとしてモテ囃される」

 

 だが、彼は戦闘を始めず対話を望んでいるらしい。私に目を向けていた死柄木弔は、そこで言葉を句切りオールマイトの方に向いた。

 

「俺はな、オールマイト! 怒ってるんだ! 同じ暴力がヒーローとヴィランでカテゴライズされ、善し悪しが決まる、この世の中に!!」

 

 あの男の言っているが意味が私には理解できなかった。

 そもそも彼等が勝手に敷地に侵入してきた挙げ句、戦闘の意思を見せてきたのだ。

 先に暴力を用いたのは私達だけど、刃物などを所持して人の敷地に無断侵入してきた彼等の自己責任だ。正当防衛も知らないのか彼等は。

 

 そんな私の思いとは裏腹に、彼の演技かかった演説が続く。

 

「何が平和の象徴! 所詮、抑圧のための暴力装置だお前は! 暴力は暴力しか生まないのだと、お前を殺すことで世に知らしめるのさ!」

 

 本当に本気で言っているのだとしたら私は彼の頭が心配になるほどだ。

 どうしてそこで殺害が出てくるのか理解に苦しむ。

 だがオールマイトは敵の本質を理解したようだ。

 

「むちゃくちゃだな………そう言う思想犯の目は、静かに燃ゆるもの。自分が楽しみたいだけだろ、嘘つきめ」

 

「バレるの……早………」

 

 オールマイトに嘘つき宣言された弔は、それを否定せず認めた。

 その顔を覆っている手の下には、ニタリと嗤っている表情を張り付けて、こちらを馬鹿にしている様に見える。

 

「………」

 

「敵が一人増えたからってこっちでは数で圧倒してるんだ。悪いが全員倒させてもらう」

 

「それにかっちゃんがモヤの弱点を暴いた………!」

 

「とんでもねえ奴等だが、俺達がオールマイトをサポートすりゃー撃退できる!」

 

 皆もどうやらヤル気充分なようだ。

 そう言えば爆豪君はあの黒いモヤを捕まえてたね。確か実態の部分をあの黒いモヤのゲートで覆っていたと、爆豪君が暴いていたな。私の突きを避けていたのもあのゲートのせいか。

 

 だけど、いくら敵の一人の弱点がわかったとは言え、私は皆の意見に反対だった。なにせあちらには脳無と言う圧倒的化物がいるのだから。

 パワー、スピード、耐久力共に劣っている私達が戦闘に参加しても、邪魔なだけだろう。残りの二人と戦うにしても、その隙に爆豪君の様に脳無に襲われては堪らない。

 

 オールマイトもそう考えたのか私達に逃げるように促した。

 

「駄目だ!逃げなさい!!」

 

「…………さっきのは俺がサポートしなきゃヤバかったでしょ」

 

「待って轟君。私はオールマイトの言葉に従った方が良いと思うわ」

 

「邦枝……」

 

「でもオールマイト血が…………それに時間だってないはずじゃ…………!」

 

 轟君は私に真意を確かめようと反応してくれたけど、緑谷君に私の忠告が無視されてしまった。

 

 …いいよ別に。オールマイトの言葉の方が大事だもんね。ただ言っておくけど、そういう女の子を無下にする男の子ほどモテないからね。そこんとこ宜しく。

 

 と言うか……時間って?

 

「それはそれだ轟少年!ありがとな!邦枝少女も説得ありがとう!そして大丈夫だ!!プロの本気を見ていなさい!!」

 

 そう私達にお礼を述べると、オールマイトは臨戦態勢を取った。

 ヴィラン側も弔以外はオールマイトを相手にするようで、弔だけが此方に向かってくる。それを見て撤退戦に移行しようと私が構えた時だ。

 

 

 オールマイトから圧倒的な、それこそ絶対的存在とも言えるオーラを感じ取った。

 普段気配を探る行いをしているから尚更その脅威を感じ取れた。

 

 あれは象徴だ。強さではなく象徴。

 人々を、平和を守らんとする在り方を体現した、君臨者であり絶対の象徴。

 その在り方に、その迫力に、その壮絶さに。

 ヴィラン側だけでなく私達でさえ気圧されてしまった。

 

 だが脳無と呼ばれる異形だけはオールマイトに襲いかかった。オールマイトもそれに呼応するように脳無へと迫り、二人の拳がぶつかった。

 

 不利なのはオールマイトだろう。何故なら相手はオールマイトの力が効いていないのだから。

 それを見た死柄木弔は、気圧された負け惜しみなのかオールマイトを煽る。

 

「ッ………さっき自分でショック吸収って言ってたじゃん」

 

「そうだな!」

 

 再び拳がぶつかる。更にもう一度。もう一度。拳がぶつかる回数がどんどん増えていく。

 

 それだけの行いで衝撃波が空間を軋ませる。それだけの余波で地面が割れていく。

 嵐のような突風に立っているのがやっとだった。

 

 

 拳のぶつかり合いだけで超常現象を起こすオールマイトの力だが、それでもダメージが蓄積されていくのはオールマイトだった。彼の身体から血飛沫が舞っている。

 

 だけど彼は退かない。むしろ先程よりも勢いが増している様に見えた。

 事実、脳無はどんどん後方へと押されていくのだ。

 

「"無効"ではなく"吸収"ならばッ!!限度があるんじゃないか!!?」

 

 オールマイトの拳がぶち当たり、脳無が地面を滑っていく。オールマイトの蹴りが炸裂し、脳無が上空へ飛ばされる。

『吸収』がオールマイトの単純な『力』に追い付いてこれなくなっているのがわかる。

 

「私対策!?私の100%を耐えられるならッ!!」

 

 オールマイトは跳躍して空中の脳無を追い抜き、拳を高く掲げ構えた。

 

「更に上からねじ伏せよう!!!」

 

 オールマイトの一撃が脳無の頭を捉えた。

 音速を越えるスピードで脳無が地面に突き刺さり、爆発が起こる。

 

 今日最大の衝撃波と爆発音が辺りに轟いた。

 

 オールマイトがその爆心地へと降りてくる間に、霧が晴れて脳無が起き上がる。が、『吸収』も『再生』も間に合わずその身体はボロボロだ。

 

 オールマイトが脳無の目の前に着地すると、異形である彼はボロボロの身体を物ともせず、オールマイトに襲い掛かった。

 

「ヒーローとは常にピンチをぶち壊していくもの!!」

 

 どちらもまともに動けないほどのダメージを負っているのに倒れず拳を振るう。

 脳無はどんどんスピードが落ちていき、逆にオールマイトの拳の威力が上がっていく。

 

「ヴィランよ!!こんな言葉を知っているか!!!?」

 

 オールマイトのが固く握り締めた拳が、脳無の身体の中心へと突き刺さった。

 

Plus(更に) Ultra(向こうへ)!!!

 

 脳無が吹き飛んで、ドーム前の天井を突き破った。それどころか勢いはなお止まらず、空の彼方まで吹き飛ばしてしまった。

 まるで漫画のワンシーンのような光景だ。デタラメすぎる。

 

「…………コミックかよ。ショック吸収をないことにしちまった……究極の脳筋だぜ」

 

 究極の脳筋。物理法則を嘲笑うかのような力。それができるから彼はトップなのであり、平和の象徴であるのだ。

 

「全盛期なら5発も打てば充分だったろうに。300発も打ってしまった…………。さてと……ヴィランよ。お互い早めに決着つけたいね」

 

「………チートがぁ。まったく衰えていないじゃないかぁ………!?アイツ………俺に嘘を教えたのか!?」

 

「どうした、来ないのか!?クリアとかなんとか言っていたが………出来るものならしてみろよ!!」

 

「ぅうぉぉぉおおおおおお!!」

 

 ヴィラン側は完璧に気圧されているようだ。

 今ならオールマイトに注意が向いているから、縮地で近付けば倒せないことも無いけど………。

 

「流石だ……俺たちの出る幕じゃねぇみたいだな」

 

「ああ……緑谷。俺達はもう退いた方が良いぜ。無理に出て人質にされた方がやべぇ」

 

 その意見に私も賛成だった。

 客観的に見てオールマイトはボロボロだけど、それでも相手側は気圧されているのだ。後はオールマイトに任せた方が無難だろう。

 

 だけど、緑谷君はそう思わなかったらしい。

 その場で独り言をぶつぶつと呟くと、彼は今まさにオールマイトへと苦し紛れの攻撃を仕掛けるヴィラン達に、爆発的スピードで突っ込んでいった。

 

 ____________________

 

 その後は特に緑谷君が何か起こるわけではなく、応援に来た教師達がヴィランを追い返していった。

 本当は捕まえたかったのだろうが、あの黒いモヤのワープゲートのせいで逃げられてしまったのだ。

 

 そして今。私は先生達に集められ、モモと合流し、彼女の家の車で帰路に着いていた。

 

「いやぁ………今日は疲れたねー。まあ、良い経験にもなったけど」

 

「そう………ですわね。ただ相澤先生と13号先生の怪我が心配ですが………」

 

「まあ………ね。私も見たけど、特に相澤先生が酷かったから。それでもモモが無事で私は良かったよ」

 

 本当にだ。

 もし、ヴィラン達がオールマイト狙いではなく私達生徒狙いなら、確実に数人は死んでいただろう。

 そして脳無と呼ばれた異形相手なら、私も危なかったかもしれない。モモを庇わないといけない状況ならば、私は玉砕覚悟で死んでいたかもしれない。

 

 今日の相手はそんな奴だったのだ。

 

 強く………ならなければいけないのかもしれない。これ以上に。

 プロになれば誰かを庇いながら戦うのは当たり前だし、自分の最愛の人を守れないのであればやる価値も無いのだ。

 

 私はチラリと横目で彼女を見る。モモもまた何かに対して物思いに耽っているため、私が見ていることは気付かれてない。

 

 

 私は彼女を絶対に守るのだ。なら、これ以上の強さを求めなくては。

 そして、いつか彼女のためにーーーーーー

 




とうとうバビロニアだじぇ………アサシンだけ☆4持ってないんだけど、マジどうしようと………スカサハが欲しい………

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