東方桃玉魔 〜ピンクの悪魔が跳ねる時、幻想郷は恐怖に慄く〜   作:糖分99%

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二日も更新を遅らせてすみません。

え? 何をしていたのか、ですか?







SCP財団日本支部への加入申請をしておりました。

晴れて私はSCP財団日本支部メンバーです。
もしかしたら報告書の下書きをこちらへ投稿するかもしれません。


巨槌と桃色玉

 剣を振りかぶり、再三突貫するカービィ。

 

 次にその剣が変化したのは、人をはるかに超える大きさの……マグロ。

 しかしただの巨大マグロと侮ることなかれ。かの剣が変化した姿なのだ。凍っているのかは不明だが、とにかく尋常ではない強度を持つ。

 さらに、すでに生きているものではないために、豊姫の持つ扇子の効果も望めないし、そもそもまだチャージ中である。

 

 だが、一度技を見切った依姫の行動は早かった。

 腕に纏うは炎。

 見た所、なんの変哲も無い炎。

 その炎を纏った腕で、振り下ろされる巨大マグロを受け止めた。

 途端、マグロは炭化し、崩れ落ちた。

 

 愛宕の炎。

 地上にこれ以上熱い炎はないという。

 その地上がどこまでの範囲を示すか不明ではあるが、もし仮に地球の内核よりも熱いというならば、その温度は摂氏六千度に達するだろう。

 八咫烏の力を宿したお空の炎よりも熱いというならば、その温度は一億度を超えるだろう。

 いずれにせよ、巨大マグロの炭化には十分な温度だ。

 

 触れる前に炭化したマグロは、依姫に大したダメージを与えることは叶わなかった。

 そして、背後で豊姫が動いた。

 空間を割って出てくるかのように、様々な武器が現れたのだ。

 数多の剣や槍、槌……その種類は多岐にわたる。

 それだけではない。信じられないことにそれら全てには確かな神力が宿っていたのだ。

 

 そう、これら全ては神の使いし神器。

 一つ一つが強大な力を秘めた物。

 それを直接カービィへぶち当てた。

 

 直感的にその攻撃を察したカービィはドラグーンによる退避を試みる。

 がしかし、一つの刀がドラグーンに衝突。そのままバランスを崩し、落下してしまう。

 

 今まで攻撃を回避できたのはドラグーンの機動力が大きい。

 故に落下直後を狙われ、ダメージを受けてしまう。

 すぐにドラグーンの自動操縦で再び乗り込み、後の攻撃はかわしたものの、やはり体の小さなカービィの受けたダメージはバカにはできず、コピーロストも起こしていた。

 

 しかしそれでも容赦なく行われる追撃、追撃、また追撃。

 飛来する神器の数は恐ろしく多く、隙間もない。

 また、それだけではない。

 

天宇受売命(アメノウズメ)よ!」

 

 天照大神が岩戸に隠れた時、舞を踊り、引きつけ、天照大神を引きずり出す一助になった芸能の神。

 その力をもって、舞うように豊姫の神器の雨を躱す。

 更に躱しながらその刀で斬りつけるという恐ろしく器用なことをやってのける。

 

 ドラグーンを盾にして受け止めるも、最早余裕もない。

 やがて一つの金砕棒がカービィに迫りつつあった。

 それは鬼が持つかのような、巨大な金砕棒。

 しかし、その金砕棒からは確かな神力が漏れていた。

 名もなき武神の持つ武器であったのだろうか。

 その金砕棒はカービィに迫る。

 だがその重量を生かした打撃を与える前に、その金砕棒はカービィの胃の腑に落ちた。

 

 再び、カービィの体は光り輝く。

 そして、現れたのは赤と青の長いねじり鉢巻と、巨大な木槌を構えたカービィの姿。

 その突如として圧力を伴った姿の変化に気がついたのだろう。すぐさま依姫は退避を試みる。

 

 しかし、それは若干遅かった。

 

 カービィの手には余るほど大きな木槌。

 しかしそれは突如として更に巨大でカラフルな、恵比寿様が持つような形状の槌へ変化し、更に次は黄金の輝きを持つ、スパイク付きの槌へと変化した。

 その大きさは人を超える。

 人には不可能な膂力でそれを素早く持ち上げ、そして叩きつけた。

 

 初撃は依姫の降ろした神の力で避ける。

 がしかし、その槌から発せられた衝撃波を躱す事は叶わなかった。

 

「ぐっ!」

 

 大きく吹き飛ばされる依姫。

 地面に叩きつけられればより大きな損傷を負うだろう。

 がしかし、豊姫はそれを許さない。

 能力を行使し、豊姫を自分の腕で受け止める。

 それと同時に、空間の裂け目から光線を放ち、カービィを牽制する。

 

「依姫、大丈夫?」

「大丈夫です、姉上」

 

 一つ依姫は頷き、豊姫の腕の中から抜ける。

 そして正眼に刀を構える。

 

「なるほど、次は槌か……姉上、物質的な攻撃は避けた方が良いかもしれません」

「そうね。……空間干渉が防がれているとやりにくいわね」

『なに、それくらいのハンデは許してもらっても良いだろう?』

 

 無線機からメタナイトの声が聞こえてくる。

 

 確実に挑発だ。しかし乗らねばならない。

 カービィは一筋縄で行くような相手ではない。カービィを無視して連中の“探索”を妨害できるほど柔な敵ではない。

 ならば少しでも早く、討ち取らねばなるまい。

 

「最後のは金属だったけど、他の二つは金属ではなさそうね」

「おそらくかの者も私が金属を塵に帰せることを理解しているはず。ならば他の二つでの攻撃が主体になるでしょう」

 

 カービィはドラグーンに騎乗し直し、その槌を振り下ろす。

 その威力は尋常なものではない。

 しかも、金属対策として恵比寿様の小槌型の巨大な木槌を振り下ろしてくる。

 

 衝撃波への警戒から、豊姫による転移で避難を行う。

 と同時に、豊姫の放つ神器、更にはチャージの終えた扇子型の兵器での浄化を行う。

 

 ドラグーンの機動力は凄まじい。それは認めよう。

 がしかし、隙間ない攻撃に対して全て避けられるとは思えない。

 強行突破はそれなりのリスクがある。

 その時にもダメージは負うだろうし、それに迫る神器によって視界も良好とは言い難いだろう。

 

 そこを、叩く。

 

 依姫は神を呼び、降ろす。

 呼び出したるは……

 

炎雷大神(ホノイカヅチノオオカミ)よ!」

 

 雷の神。稲妻の畏れの具現。

 辺りは稲妻と、豪雨が降り始めた。

 

 そしてそれは具現する。

 古来より人が畏れ、崇め、奉ったもの。

 恐怖、脅威を収めるために、形を与えられたもの。

 

 それは……炎の龍であった。

 

 具現した炎の龍は、大量の神器に辟易するカービィへと飛び立った。

 カービィを胃の腑へ落とさんと。

 カービィをその業火で焼き尽くさんと。


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