ちなみに、このコラボは、五話……いくかな? まあ、それくらい書く予定です。
ではでは、コラボ回をどうぞ。
Side鏡夜
ある日のこと。一枚の手紙が俺宛にどこからかやって来た。
いや本当にね。どこからやってきたんだろう、この封筒に入った手紙。庭の洗濯物を取り入れながら歩いてたら急に上から降ってきたんだけど……文のかな?
宛先は俺だから、あけてもいいんだろうけど……文に伝えたほうが良いかな? でも、ま、開けてもいいでしょう。ダメだったら、あとから返せばいいし。
洗濯物をとりあえず室内に入れて片付けたあと、再び庭に出て、封筒を太陽に掲げて中身を透かす。
中には普通の手紙が一枚……開けますか。
手紙の上を破り、中から手紙を取り出す。普通の手紙だ。
「ええ、なになに……」
『拝啓、時成鏡夜様。昨今は色々な……書くのめんどくさい。前置きは置いといて、そっちの世界にある人が行くようだから、ちゃんとお世話してあげて。いびったりしてもいいけど、泣かさないように。そんじゃ、よろしく』
「差出人は……無しか。さて、どうしたものか」
誰かが来るようだけど、一体誰だ? 晴夢でもないし、大夢くんでもないだろうし……誰だ?
ま、新しい子なんだろうけど。男かな? 女の子だろうか? どっちでもいいけど。
とりあえず、いつ、どこで、どのようにして来るかは分からないけど――――――
「夕食の準備しよ」
日もそろそろ傾いてきてる頃だし、夕食の用意しなきゃ。
別にいつ来たって問題ないし。それに、来るときは気配でわかる。だから、今は夕飯の用意だ。
手紙を四つ折りにし、内ポケットに仕舞って館の中に入っていく。
はてさて、一体いつ来るのだろうか? 楽しみだな。
そんなこんなで次の日。
いやはや、まさか昨日の内に来ないなんてね。予想外だったよ。
「はぁ……」
「どうしたんですか、鏡夜さん?」
「いや、ちょっと肩すかしを喰らってね」
「?」
厨房で昼食の時に使った食器類を咲夜ちゃんと一緒に洗いながら答える。
本当、肩すかしを喰らったよ。なんで昨日手紙来たのに、昨日来ないんだよ! そもそも、手紙だした奴、来る日付くらい書いとけや!
……ま、怒ったところでしょうがない。気長に来客さんをお待ちしますかね。
「さあ、咲夜ちゃん。洗濯物でも干しに行きますか」
「はい」
食器を全て洗い、厨房を出て洗濯物が山積みになっている場所へと行く。
あ~あ、なんでまあこんなに洗濯物が出るんでしょうかねえ。女の子の服だからいいけど、コレ男のだったら、絶対に洗濯なんかしてやらないね。
今度来る子が男だったら、紅魔館の手伝いをさせよう。うん、そうしよう。
「よっこらせっと」
洗濯物を庭まで運び、物干し竿に干していく。
太陽も顔を出してるし、風も強いから……一、二時間くらいで乾くかな。それじゃあ、その間、優雅に咲夜ちゃんとティータイムにでも洒落こもうかね。
「咲夜ちゃん、仕事終わったから、少し休憩しようか」
「そうですね。じゃあ、紅茶のセット持ってきますね」
「ああ、いいよ。ここにあるから」
スキマを開き、中からティーセットを取り出しながら、庭にある、パラソルが刺さっているテーブルの近くにある椅子に座る。
「ふ~風が気持ちいいねえ」
「そうですねえ」
脚を組み、空を見上げながら紅茶を飲む。
いやあ、いい空だ。風は強いけど、寒いわけでもないし。寝るには絶好の天気だなあ。
「ガル」
「ん? カロ、どうしたの?」
空を見上げていると、美鈴を口に咥えてカロがやってきた。……門番の仕事はどうしたのだろうか? ……いいか、こんないい天気だし。この紅魔館を襲うなんて馬鹿な考えを持ってる人物はいないしな。
美鈴は近くの芝生に寝させられ、カロは俺の横にうつ伏せで伏せる。
椅子に座っている俺だが、カロの体は五メートル近いので、目をカロの方に移せばカロの胴体しか視界に入らない。
……カロ、最初あった時より成長してないか? なんか、また一回り大きくなったような気がするんだけど。
「まあ、カロも成長はするか」
「ガルル」
カロの体をそっと撫でると、気持ちよさそうな声を上げながら、カロはゆっくりと目を瞑った。
「ス~ス~」
「あらら、咲夜ちゃんまで」
カロを撫でながら隣を見れば、咲夜ちゃんも日頃の疲れが出たのか、腕を枕にして眠ってしまった。
そんな微笑ましい光景に、俺はスキマを開いて、咲夜ちゃんにそっとタオルをかけてあげる。風邪ひいちゃうと大変だからね。
「さて、暇だな」
やることがなくなってしまった。
俺以外寝ちゃったし、お嬢様たちも睡眠中。ここを離れるわけにも行かないし、かといって一人できるような事もないし、どうしたものか。
「なら、私達と会話でもすればいいと思いますよ、兄さん」
「そうだぞ、一体何のための俺たちなんだよ」
「あらら、いつの間に」
カロを撫でながら後ろを向くと、そこには鏡華と卿夜が椅子に座って優雅に紅茶を飲んでいた。
勝手に出てくるなんて……まあ、そういう風に人格を作ったんですけどね。ちなみに、他の五人は今の所俺の中で眠っている。
「しかし、手紙に書いていた客とは誰なんだろうな」
二人ともティーカップをテーブルに置くと、いきなり卿夜はそんな事を言ってきた。
確かに気になるけど、今のところじゃあ手がかりが少なすぎて分からん。
「さあ、分からん」
「私的には、男だと思いますよ」
「そうか? なんでそう思うんだ?」
卿夜が鏡華に聞くと、鏡華は手のひらに昨日来た手紙を出す。
「だって、女の子には基本的に優しい鏡夜に対して、手紙ではいびってもいいって書いてあるんですよ? これは、男確定じゃないですか?」
「ああ、確かになあ」
「なるほどね、確かに、女の子に優しい俺に対して、いびっていいなんて書かないもんな」
「でしょ?」
「ああ……!」
そこで、話は一旦終わった。何故なら、例の客人が来たからだ。
別に、姿が見えたってわけじゃない。ただなんとなく、感覚的に来たって感じがしただけ。
「へ~、ようやく来た」
俺達は三人とも同時に立ち上がり、空を見上げる。そこには、大きなスキマが開いていた。
「さて、はて、一体誰が出てくるやら」
三人でスキマを見上げ、件のお客人を待つ。そして、数秒後――――――
「また、落下ああああああああああ!?」
「おお、あれは」
「成程、お客人は彼だったのか」
「おーい、生きてるかー」
スキマから吐き出されるように落ちてきたのは、蒼翼龍君。前に、紫ちゃんの提案で彼の方の世界に行かせてもらった時にであった少年だ。彼的には、少年じゃないつもりだが、俺から見たら少年だ。
そんな龍君は、空中に突如吐き出されたせいか、あたふたと慌てて何か叫んでいる。多分、悲鳴とか?
大声で叫んで聞いてみるが、何か言い返してきてるな……え~っと……うん、聞こえない。
「助けてとか、聞こえないですね」
「まあ、あれぐらいの高さなら、大丈夫だろ」
「雲突き抜けてるけどね」
パラシュート無しのスカイダイビングのように落ちてくる龍君を放置して、三人で椅子を持ってきて、落ちてくる龍君を眺める。
おお、怒ってる怒ってる。怒りむき出しで、こっち睨んできてるよ。
「頑張れ~」
「助けてくれ―――――!!」
本気で助けを求めてくる龍君。仕方ない、助けてあげるか。
「ほら、そのスキマに飛び込めー」
落下してくる龍君の通る場所に大きなスキマを開く。その中に、龍君は飛び込んだ。
さて、ここで考えてみましょう。手紙には、ちょっとならいびってもいいっと書いてありました。そこで、友達兼弄られ役の龍君に少しだけ悪戯をしましょう。
そのいたずらは―――――
「さ、第二回。ノーパラシュートスカイダイビング。行ってみよう!」
スキマの出口をこっちに来た時のスキマに繋げる。すると、俺のスキマに入った龍君は、またこっちに来た時のスキマから落っこちてくる。
これぞ、時成鏡夜のいじり、その一! 落下、永遠ループ!
男子たるもの、これぐらいは平然とやらないとね。
「いやー、見事に叫んでんな」
「おお、怖い。こっちにさっき向けてきてますよ」
「まあ、大丈夫でしょう。それよりも、さっきのティータイムの続きをするか」
龍君の絶叫を聞きながら、三人で再び紅茶を飲む。
気分的に、あと三回くらい繰り返したら、龍君を地上に下ろすよ。それまでは、紅茶を飲んで、ゆっくりしましょう。龍君も楽しんでるようだし。
ちなみに、寝ている皆の周りには、防音用の魔法を展開してあるから、龍君の悲鳴は一切聞こえません。なので、龍君。君はあと、三回スカイダイビングを楽しみましょうか。
「さてはて、どうやって弄り倒そうかなあ」
「ええ、本当にどう弄りましょうかねえ」
「とりあえず、何か色々としようや」
三人優雅に紅茶を一気に飲む。そして、二人を顔を合わせると同時に……ニヤリと俺らは笑う。
さて、龍君の弄られ生活は、こっからだぜ。どうやって弄ってこうかな―――――楽しみだ。
「頑張れー」
「助けてえええええええええええ!」
今回はちょっと短かったですね。すいません、まだプロローグですから。
感想、批判、アドバイス、訂正、お待ちしております。