同着一位レミリア、フラン。
一位が同着なんで、第三位ルナサ、プリズムリバー
ってことで、今回は三姉妹の登場です!
では、第五十二話をどうぞ
Side鏡夜
「もう、心配したんですからね!」
「ごめんごめん」
現在、紫ちゃんのスキマ空間を飛びながら、咲夜ちゃんに説教されてます。どうやら、先ほどの戦闘で、俺の怪我が心配だったらしい。
「もう・・・全くもう」
「ごめんごめん」
実際先ほどの戦いでは、余裕こきすぎた。まさか、本気の一割も出させられるとは思はなかったよ。そろそろ俺も、修行しなおさないといけないかな・・・
そんなことを考え、咲夜ちゃんに謝りながら飛んでいると、スキマの出口らしきものが見えてきた。
出口らしきスキマを潜ると、太陽が煌々と照っている、空の上に飛び出した。
「よっと・・・さて、無事外に戻れたことだし、黒幕のところに行きますか・・・」
「・・・はい」
若干不貞腐れたように、咲夜ちゃんは頬をぷっくりと膨らませて、そっぽを向きながら返事をした。その行動に、苦笑いを浮かべつつ、俺と咲夜ちゃんは黒幕がいるであろう場所に飛び始めた。
飛び始めてから数分後。前方から変な声が聞こえてきた。いや、変な声というか、変な言葉? が聞こえてきた。
「は~るで~すよ~」
「・・・咲夜ちゃん、あれ誰?」
「・・・さあ?」
ふよふよといった効果音が似合いそうな飛び方で、前方から赤いラインの入った白いワンピースを着て、白い翼を生やした女性・・・いや、妖精が飛んできた。
「は~るで~すよっ!」
「ガッ!?」
「鏡夜さん!?」
妖精はふよふよと飛んできていたのだが、突然、その姿が消えた。どこに行ったのかと思ったら、今度は突然俺の腹部の前に現れ、思いっきり腹部に頭突きしてきた。
丁度よく鳩尾に入ったので痛い。単純に腹筋だったらまだ耐えれたが、鳩尾に入れられたら、流石の俺でも痛い。まあ、痛いだけだが。
「は~るで~すよ~」
腹部に頭突きをかました妖精は、何事も無かったかのように、ふよふよとどこかに飛んでいってしまった。
「・・・・・・何アレ?」
「・・・さあ?」
「「・・・は~」」
さて、わけわからん妖精に頭突きされて若干疲れたが、俺と咲夜ちゃんは気を取り直して、黒幕のいる所へと向かった。
「ん? あれは・・・」
「門と・・・人・・・でしょうか?」
しばらく飛んでいると、突然空中に巨大な門のようなものが現れた。空中にあるとは言ったものの、その門はまるで幻のようで、この世にないような気がする。
「あら、お客さんみたいね」
「・・・誰?」
「お姉ちゃん、最初からそんなテンションじゃやってけないよ!」
その透明な門の前には、楽器を持って、これから演奏でもしにいくかのような格好をした少女達がいた。
一番最初に声を出した子は白い服を身に纏い、大人しいというか、大人の貫禄のようなものがある、トランペットを持った女の子。二人に、可愛らしい顔をしているのに、黒い服を着ているせいかちょっと雰囲気が暗い、バイオリンを持った女の子。三人目は、この二人より、赤い服も着ているせいか元気ハツラツといった感じにテンションが高い、キーボードを持った女の子。
「こんにちは、可愛らしいお嬢さんたち。私は時成鏡夜、よろしく」
「まあ、可愛らしいだなんて、本当の事を」
「か、可愛い? ・・・っ~~~~~!!!!!」
「うおー! 可愛いだって! お姉ちゃんやったね!」
頬に手を当て、腹の中真っ黒のような事を言う白い女の子。驚き、顔を真っ赤にして俯いてしまった黒い女の子。そして、自分の事を言われてると思ってないのか、黒い女の子に詰め寄って喜ぶ赤い女の子。
「え~っといいでしょうか? 私は十六夜咲夜、よろしくお願いします」
三者三様の反応をしている中、若干ハブられ気味だった咲夜ちゃんが、困った顔をしながら自分の名前を言った。
「あら、ごめんなさいね。私は次女のメルラン・プリズムリバー。よろしくね」
「私は三女のリリカ・プリズムリバー! よろしくね!」
三人のうち、白い女の子メルランと、赤い女の子リリカは自己紹介してくれたのだが、黒い女の子が未だに顔を真っ赤にして俯いている。
「可愛い、私が可愛い・・・ふふ」
よほど可愛いと言われたのが嬉しかったのか、黒い女の子は頬を両手で抑えて、笑い始めた。その表情は俯いているためよくわからないが、若干口元が笑っている気がする。
「お姉ちゃん、お姉ちゃん!」
「え、あ、なに? どうしたの?」
「自己紹介ですよ姉さん、貴方がトリップしている間に、私達は終わりましたよ」
「あ、そうなの・・・私は長女のルナサ・プリズムリバー・・・よろしく」
先ほどまで、顔を真っ赤にしていたのに、いつもの(といってもさっき会ったばかりだが)無表情になってしまった。
折角の可愛らしい顔なのだからもう少し笑えばいいのに、と内心考えていると、横からいきなり咲夜ちゃんに脇腹を小突かれた。
「ど、どうしたの咲夜ちゃん?」
「・・・別になんでもありません」
あ~これは、嫉妬というか焼いてるっていうのか、その類のあれだ。全く、焼いてる咲夜ちゃんも可愛いんだから。
「・・・それで、貴方たちはなんでここに来たの?」
咲夜ちゃんと戯れ? ていると、ルナサが相変わらずの無表情で言ってきた。
「私達は、その向こう側にいる、この異変の黒幕に会いに行こと思って・・・」
「・・・異変?」
「そ、知らない?」
「・・・知らない」
どうやら、本気で知らないのか、首を傾げながら言ってくるルナサ。これは説明が必要かなと思っていたら、メルランが急になにか思い出したように手をポンと叩いた。
「姉さん、異変ってあれじゃない? あの、冬が過ぎたはずなのに、一向に春が訪れないってやつ」
「あ~そんなのあったね、お姉ちゃん」
「・・・あったっけ?」
心当たりがないのか、二人の姉妹に対して首を傾げながら言うルナサ。
「・・・ま、別にいっか。じゃ、どうぞ、さっさとここを通ってください」
「いやいや、こっちばっかり事情を話すのは不公平じゃないかな? そちらも、なんでこんなところにいるのか、話してくれるとありがたいのだが」
「・・・・・・」
ジ~っとルナサの瞳を見ながら言うが、ルナサは一切何も言わず、黙り込んでしまった。そんな姉に呆れたのか、やれやれといった感じにメルランが話し始めた。
「私達は、この先にいる人に、花見をするから、演奏しに来てちょうだいって言われましたの。それで、今からそこに向かう途中なのだけど・・・」
「だけど?」
「依頼者から、もう少しだけ待ってて、言われましてね。・・・そんなわけで、ここでこうして待っているのです」
「そうなんだ」
ここまでメルランの話しを聞いてわかったことが二つある。まず、一つ目は、今回の黒幕である、春を奪った黒幕がこの門の向こう側にいるということ。これは、メルランの依頼者である人物が、花見をするということでわかる。
で、二つ目だが、やっぱりこの三人は演奏隊だった。いや、これは姿を見てれば解ることか・・・
とまあ、メルランの話しで、以上の二つのことがわかったわけだが、重要なのは、最初だけだったな。
「・・・そうだお姉ちゃん! この人たちに、私達の演奏聴いてもらおうよ! 本番の前の練習ってことで」
「あら、いいわね。姉さん、どうします?」
「・・・別に構わないけど」
唐突にリリカがそんな提案をすると、二人はいい案だとばかりに頷き、各々の楽器を持ち始めた。
「・・・えっと、鏡夜さん・・・私達の演奏、聞いてくれますか?」
「いいよ。頑張って」
「・・・ありがとう」
「いいんですか? 鏡夜さん」
「いいんだよ、咲夜ちゃん。女の子のお願いを断るのは、紳士のやることではないのだよ。覚えておきなさい」
「いえ私、女ですから」
「・・・そうでした」
な~んて咲夜ちゃんと小芝居をしている内に、どうやら三人の準備が完了したようだ。
「では! プリズムリバー三姉妹がおくる、幻想の音色。どうぞお楽しみください!」
リリカの言葉が終わると共に、ルナサがバイオリンを弾き始めた。ゆったりとバイオリンは音を出していき、その途中に、今度はメルランによるトランペットの高い音色が入ってくる。
バイオリンの音にはあまり合わないかと思ったが、以外にもその二つの音は自然と同調し、素晴らしい音色へと変わっていった。
そして最後に、リリカによるキーボードの音色が入ってきた。キーボードの音色といっても、その音色は今まで生きてきた中で聞いたこともないような音だった。なのにも関わらず、その音色は、トランペットと同じく自然と、素晴らしい音色と一体化していった。
「さあ、いくよお姉ちゃん!」
「ええ!」
「うん!」
その言葉とともに、今までゆったりしていたテンポが、急に激しくなった。それでも、それぞれの音色はバラバラにならず、一体化している。
「・・・綺麗だな・・・」
「ええ、綺麗です」
急に早くしたり、遅くしたり。時にはソロで弾いたり、二人だったり。まさに、三人のその姿は、楽しそう、綺麗だという言葉がピッタリだった。
演奏が開始してから数時間後(いや、実際は数十分程度なのだが、それほど長く感じるくらい素晴らしい演奏だった)俺と咲夜ちゃんは、自然と三人に向かって拍手していた。
「ありがとうございました!」
三人は綺麗にお辞儀すると、三人とも嬉しそうな笑顔を見せながら頭を上げた。
「素晴らしかったよ。特に、三人の演奏の所と、バイオリンのソロパートのところ」
実際、二人のソロパートのところも素晴らしかったのだが、バイオリンのソロパートのところは、妙に生き生きとした感じで、心のそここら楽しそうに演奏していた。
「・・・ありがとう」
若干頬を赤くして、頬を緩めながらルナサは言ってきた。うん、やっぱり女の子には笑顔が一番だね。
「ふふ、姉さんったら、今日は随分と調子が良かったんじゃない?」
「メ、メルラン!」
「あははー! お姉ちゃん、顔真っ赤だよ!」
「リ、リリカまで・・・」
わたわたと両手を振って、抗議するルナサ。それでも、弄り続ける二人の、仲のいい三姉妹を見ながら、俺は微笑んでいた。
「鏡夜さん、咲夜さんありがとうね! いい練習になったよ!」
「いやいや、私もいいものが聞けてよかったよ」
「私もです。本番も楽しみにしてますよ」
「ふふ、これは、本番はもっと頑張らないといけなくなったわね。ねえ、姉さん?」
「メ、メルラン・・・」
「ふふ、では鏡夜さん、咲夜さん。ここまで、ありがとうございました。この先、危険だと思いますので、お気を付けて」
「ありがとう、メルラン。・・・そういえば、これってどうやって向こう側に行けばいいの?」
門を見るが、一向に開く気配はない。開かないからといって、壊すわけにもいかないし。
「ああ、それはですね。乗り越えればいいのです」
「乗り越える?」
「ええ、この門の一番上まで上がっていただければ、そこから向こう側に行けますので」
「成程、ありがとうね」
向こう側への行き方を教えてもらった俺と咲夜ちゃんは、門を超えるため更に上空へと飛び上がった。がその前に。
「とと、忘れてた」
俺は上空へと上がるのをやめて、ルナサのところに向かった。ルナサのところへ向かうと、若干緊張していた。
「・・・ど、どうしたの?」
声が裏返りながら言うルナサに、俺は何も言わず、ルナサの耳元へ口を近づけた。その際、ルナサの肩がビクッとなったが、気にしない。
「ルナサ、君は笑顔の方が可愛いよ」
「・・・へ、え、あ、か、可愛い?」
「そ、可愛いよ。だから、そんな暗い顔をしないで」
「え、わ、わわ! あう~」
俺が優しく囁くように耳元で言うと、ルナサは顔から湯気でも出るんじゃないかというくらい真っ赤にした。
「ふふ、じゃあね、三人とも、本番を楽しみにしてるよ」
「ええ、本番をお楽しみに」
「勿論だよ!」
「え、あ、その、うん」
メルランとリリカは平然とし、ルナサは真っ赤な顔で首だけを動かして頷いた。
そんな、三人に向かって手を振りながら、咲夜ちゃんの元へと向かった。ちなみにだが、メルランとリリカは普通に手を振ってくれ、ルナサは顔を真っ赤にしながら、胸元に片手を置き、もう片方の手を胸元あたりで小さく振っていった。
だが、俺はまだ気づいてなかった。この時、紅魔館であんな事が起きているとは・・・
Sideルナサ
始めてだった。男の人に可愛いなんて言われたのは。大抵、私を見れば、暗くて何も言われたりしないのだが、彼・・・鏡夜は違かった。鏡夜は、こんな性格の私を可愛いと言ってくれたのだ。
「・・・鏡夜」
「おやおや~? 姉さん、まさか、惚れた?」
「べ、別に、そんなんじゃ・・・」
「お姉ちゃん、わかってるって!」
「う、う~」
惚れてる・・・と聞かれれば、多分答えはyesだろう。でも、私はこんな性格だから、自分の気持ちを素直に口にできない。
でも・・・格好良かったな~鏡夜。
「お姉ちゃん。恋する乙女の瞳になってるよ?」
「え、う、嘘・・・」
「は~姉さんにも、とうとう春が来たのかしらね」
「そ、そんな、私は恋とかは・・・」
「いいのよ、姉さん。惚れちゃったもんは仕方ないわよ」
「う~・・・う~!!!」
私は恥ずかしさのあまり、メルランとリリカを追いかけ始めた。二人は笑いながら私から逃げる。
「あはは! お姉ちゃん、顔真っ赤!」
「ふふ、姉さんにも春がね~」
「う~!!!!」
さて今回は、何かフラグが立ちましたね~
と、あと、月曜日か火曜日に、質問を活動報告に書くので、答えてくれたら嬉しいです
感想、質問、アドバイス、誤字、お待ちしております。