二人の吸血鬼に恋した転生者   作:gbliht

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いやはや、今回の話は視点変更がやけに多いです。全員の目線で書きたかったものですから。そこんとこは多めにみててください。

では、第四十話をどうぞ。


第四十話 紅魔異変終結

Side霊夢

「破!」

 

「っく!」

 

あの馬鹿げた量の弾幕を躱してから、数分ほどが経つ。あれから弾幕を撃ち続けているが、私とレミリアはどちらも、残機は一個も減っていない。

 

「スペルカード宣言!」

 

「来なさい!」

 

私はこの状況を打破するために、スペルカード宣言をする。スペルカード宣言をすると、レミリアは弾幕を放つのをやめて、身構えた。

 

「霊符『夢想封印』」

 

毎度お馴染みのスペルカードを発動し、私の周りに四つの虹色の珠を出す。

 

「行って!」

 

軽く腕を振り下ろしながら言うと、四つの虹色の珠はレミリアに向かって飛んでいった。これで、一つは削れるといいんだけど。

 

「ふふ」

 

レミリアは私の弾幕が迫ってるというのに、その顔に微笑を浮かべる。そして、私の弾幕がレミリアに当たる瞬間、レミリアの姿が無数の蝙蝠になった。

 

「な!?」

 

四つの虹色の珠は追尾式だが、レミリアの姿が無数の蝙蝠になってしまった為、どれを追えばいいか分からずその場に留まってしまった。

 

全く、夢想封印の弱点をついてくるなんてね。

 

「ふふ、こういう避け方もあるのよ」

 

「!?」

 

レミリアの姿を探していると突如、後ろからレミリアの声が聞こえると同時に、背中に衝撃が走った。その、衝撃のせいで、お札を落としてしまったが、そんな事は気にせずすぐさま後ろを振り返った。

 

後ろを振り返ると、レミリアは余裕そうな顔をしていた。

 

「まずは一つね」

 

「っ! たく! あんたといい鏡夜といい、後ろを取るのが好きなのね」

 

「ええ、後ろを取るのは基本でしょ」

 

「そうね。でも、あんたと鏡夜は油断しすぎよ」

 

「何を・・・!?」

 

余裕そうにしていたレミリアの顔が、突然驚愕の表情になる。それはそうだろ、突然自分の周りに結界なんて張られればね。

 

私がしたことは、先ほどの鏡夜との戦いでやったように、レミリアを結界に閉じ込めたのだ。

 

「お返しよ」

 

レミリアは結界から逃れようと、結界を破壊しにかかるがそんな事はさせない。結界に更に霊力を注ぎ、より強固なものとする。

 

「この!」

 

「まず一つ!」

 

結界に向かい、お札を投げる。レミリアは飛んでくるお札を結界の中で躱そうとするが、徐々に逃げ道がなくなり当たった。

 

「く!」

 

レミリアにお札が当たったと同時に、結界は壊れてしまった。まあ、ここまで持てば上等ね。

 

「人間の癖に・・・やるじゃない」

 

「人間をあまり舐めないほうがいいわよ、吸血鬼さん」

 

「ええ、そうね。忘れえたわ、人間が強いこと」

 

私はゆっくりと、お札と退魔の針を構え、レミリアは妖力弾を周りに展開する。

 

「さあ、行くわよ、人間!」

 

「来なさい、吸血鬼!」

 

そうして、再びお互いに弾幕を放ち始めた。

 

 

 

Sideフラン

 

「アッハッハッハッハッハッハッハ!!!!!!!」

 

楽しい。私の心の中には、ただその言葉だけがあった。最近、ろくに戦闘もしてなかったし、遊びとは言え、やはり久々の戦闘は楽しい。

 

「く! よく笑ってられるな」

 

「だって楽しいいじゃない! ねえ、魔理沙?」

 

「まあ、そうだけど・・・とッ!」

 

魔理沙に弾幕を放ってから数分が経つ。赤い弾幕を放っているのだが、その弾幕はことごとく、魔理沙の魔力によって作られたミサイルに相殺されてしまう。

 

「魔理沙、貴方って本当に人間なの?」

 

「一応そのつもりだぜっと!」

 

無数の弾幕が魔理沙に向かうが、やはり相殺されるか、紙一重で躱されてしまう。

 

「く! スペルカード発動!」

 

この状況に痺れを切らしたのか、魔理沙はスペルカード宣言をする。私はある考えを実行するために、左手で魔理沙に見えないようにスペルカードを握っておく。

 

「恋符『マスタースパーク』」

 

魔理沙は服のポケットから六角形の何かを取り出すと、その六角形から虹色の強大な魔力の砲撃が放たれる。

 

魔理沙はその砲撃を放った時に口元に笑みを浮かべる。多分確実に当たったと思っているのだろう。でも、本当は罠にかかってるんだよ、魔理沙!

 

「罠にはまってくれてありがとう魔理沙! スペルカード宣言!」

 

虹色の砲撃が目の前まで向かってくる。が、その砲撃は私に当たらない。

 

「禁忌『レーヴァテイン』」

 

私のスペルカード宣言が終わると同時に、右手に炎の剣が握られる。そして、炎の剣を縦に真っ直ぐに振り下ろし、魔理沙の砲撃を叩き切る。

 

「な、なんだって!?」

 

「ほら、よそみしちゃいやよ。魔理沙」

 

「!? くっ!」

 

砲撃を叩き切った後に、その炎の剣からは赤い弾幕が放たれていた。魔理沙はその弾幕に気づくが、気づくのが遅く弾幕にあたってしまう。

 

「まずは一つね」

 

「ててて、全く、炎の剣とかありかよ」

 

「ありみたいだよ。基本飛び道具だから」

 

「そうかい!」

 

魔理沙はそう言うと、何を思ったのかこちらに突っ込んできた。

 

「そんな突進・・・」

 

私はレーヴァテインを構え、魔理沙を迎撃する姿勢になる。魔理沙が目の前まで迫り、レーヴァテインを振ろうとしたとき―――

 

「!?」

 

魔理沙の帽子が私の視界を覆った。しかし、箒が上に向かったのを見たため上空を見る。だが、そこには魔理沙の姿はなかった。

 

「え!? 一体どこに・・・」

 

「こっちだぜ、フラン」

 

「な!? っ!」

 

下から魔理沙の声が聞こえ向くと、魔理沙はその体を落下させながら魔力で作った弾幕を放ってきた。咄嗟のことで反応できなかった私は、モロにその弾幕をくらってしまった。

 

「よっと、フラン忘れてたけど、私は別に箒に跨がんなくても空を飛べんだぜ」

 

「魔法使いは箒で飛ぶものだとばかり思ってたのに、騙された気分」

 

「はっはっは、先入観だけで物事を考えちゃダメだぜ」

 

「そうね、これから参考にさせてもらうよ」

 

軽口を言いながら、魔理沙はいつの間にか回収した箒にまたがっていた。

 

「じゃあ、二回戦だぜ!」

 

「望むところよ!」

 

そして、再び、私と魔理沙の弾幕が放たれた。

 

 

 

Sideレミリア

 

「はあ、はあ、はあ、はあ」

 

「はあ、はあ、はあ、はあ、」

 

私と霊夢は互いに息を切らしていた。かれこれ数十分間ぶっ続けで弾幕を放ち続けてたのだから、息は切れるだろうけど、まさか私も息を切らすとはね。ちなみに互いにスペルカードは二枚残っている。

 

そして、私と霊夢の残機は、互いに二つとなっていた。

 

「はあ、はあ、やっぱり、人間は、はあ、面白いわね」

 

「はあ、はあ、それは、はあ、どうも」

 

ふと気になり、フランの方を見ると、フランも同様に息を切らして疲れていた。

 

「はあ、はあ、そろそろ、再開と行きましょうか」

 

「はあ、はあ、望むところよ。掛かってきなさい」

 

霊夢の言葉が終わると同時に、背後へと回り込む。が、霊夢は気づいてるのか、瞬時に針とお札を投げてくる。

 

「同じ手はそう何度も喰らはないわよ!」

 

「どうやら、そのようね!」

 

すぐさま飛んでくる針とお札を、私の弾幕で叩き落とし、スペルカードを握った。

 

「スペルカード宣言!」

 

霊夢は私から距離を取り、身構える。

 

「天罰『スターオブダビデ』」

 

スペルカードの宣言が終わると、霊夢の周りにレーザーが六芒星に展開される。そして、所々に六つの妖力弾が放たれる、強大な弾幕も設置される。

 

「さあ、博麗の巫女霊夢! この弾幕かわせるかしら?」

 

「これぐらい、余裕、よ!」

 

次々放たれる妖力弾を躱しながら、霊夢はお札を投げてくる。

 

「ほらほら! それじゃあ勝てないわよ!」

 

「く、仕方ない、一か八か!」

 

霊夢は何を思ったのか、スペルカードを握り突っ込んできた。

 

「何を・・・」

 

「スペルカード宣言!」

 

霊夢はギリギリ全ての弾幕を交わすが、一発だけ弾幕にあたっていしまった。しかし、それすら無視して、霊夢は突っ込んできた。

 

あれ? もしかしてこれ、私不味くない?

 

「夢符『封魔陣』」

 

スペルカード宣言が終わると同時に、私の体を光が包み込んだ。全く、痛いわね。でもこれで・・・ラストスペルカードが使えるわ。

 

 

 

Side魔理沙

 

「せい!」

 

「何の!」

 

フランと弾幕を打ち合ってから、数十分ほどが経った。何とかフランの残機を一まで削り、私はニ残っている。ちなみにスペルカードは互いに二枚残っている。

 

「く! あと一つが削れない」

 

「そう簡単には削らせないよ。スペルカード宣言!」

 

フランは懐からスペルカードを取り出した。

 

「禁忌『スターボウブレイク』」

 

スペルカード宣言が終わると、上空から色とりどりの弾幕が雨の用意降ってきた。

 

「さあ、魔理沙。貴方はよけられるかな?」

 

「く!」

何とかフランの弾幕を交わしていくが、徐々に密度を濃くしていった弾幕に、当たってしまった。

 

「くそ~あとすこしなのに」

 

「まだまだだよ、魔理沙・・・さて、残機は残り一。お姉様の方もこれで一つかな」

 

フランが霊夢の方を見ながら言う。私も同じようにそちら側を見ると、霊夢の封魔陣が発動していた。

 

「うん、これで残り一つだね」

 

「だから、どうしたんだぜ」

 

「こうするの」

 

瞬間、フランは羽を大きく羽ばたかせて、霊夢たちの方へと向かっていた。何をするつもりなんだ?

 

「あ、ちょっ、待て!」

 

私もすぐにフランのあとを追い、霊夢の方へと向かう。よく見ると、霊夢もこちらに向かってきていた。

 

フランは霊夢と戦っていた・・・確かレミリアだったかな? と一緒に、月を背に手を握っていた。

 

「魔理沙」

 

「霊夢、これはどういうこと?」

 

「わからないわ、急にレミリアがそっち側に向かったのよ」

 

どうやら霊夢の私と同じような感じだったらしい。霊夢と隣同士に並び、レミリアとフランを見ると、二人して笑顔を浮かべていた。

 

「ねえ、魔理沙」

 

「霊夢」

 

「次で」

 

「終わりにしましょう」

 

レミリアとフランはこちらを見ながら、交互に言ってくる。私は霊夢と目を合わせ互いに頷いた後、スペルカードを取り出す。

 

「いいぜ」

 

「最後に立っていた方の勝ちよ」

 

「そう、じゃあお姉様」

 

「ええ、フラン」

 

「「「「スペルカード宣言!」」」」

 

私と霊夢は普通に宣言し、レミリアとフランはお互いのスペルカードを合わせて宣言した。

 

「「愛符『OUR LOVE WILL LAST FOREVER』」」

 

「霊符『夢想封印』」

 

「恋符『マスタースパーク』」

 

私からは魔力による砲撃、霊夢からは四つの虹色の珠、そしてレミリアとフランからは、淡いピンク色のハート型の弾幕が五重に放たれた。

 

弾幕はちょうど中間で当たると、その力は拮抗した。

 

「フラン、どうやらここまでのようね」

 

「そうね、お姉様」

 

フランとレミリアは笑顔を浮かべると、先ほどまで拮抗していた弾幕は―――

 

「「ハァァァァアアアアアアアア!!!!!!」」

 

私たちの気合の言葉とともに、競り勝った。

 

 

 

Side鏡夜

 

「ああ、やはり負けちゃったか。いや、それでいいんだけどね」

 

今俺は屋根の上から、四人の弾幕を見続けていたが、やはり最後はお嬢様達が負けてしまった。

 

「いやはや、それにしても、最後のお嬢様達のスペルカード、あれは俺に対して言ったのかね~」

 

あの最後のスペルカードの名前。あれ、日本語にすると色々あるけど、意味的には私達の愛は永遠に・・・って感じの意味になるんだよね。

 

「ふ~お嬢様達も粋なことをするね~まさか、弾幕に愛の言葉を入れてくるなんてね」

 

まあ、俺のお嬢様達を愛する気持ちは永遠に変わらないけどね。

 

「私も永遠に愛してますよ。フラン、レミリア」

 

そう屋根の上で呟いた俺は、気絶したお嬢様達を助けるために、屋根の上から片方を霊力で真っ白い羽を作り、もう片方を魔力で作った真っ黒い羽を羽ばたかせ、お嬢様達の元へと向かった。

 




次回、紅魔郷エピローグ(宴会)! あの懐かしのキャラも出ます。

ちなみに、ここで一応宣言しときます。このあとにある、妖々夢、永夜抄、萃夢想とありますが、結構早く終わります。基本、全員知り合いになるんで。

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