今回、前半がバトルです。
戦闘描写がわかりづらいかもしれませんがアドバイスなどがあればください
Side鏡夜
俺は、白銀の狼に見とれていた。満月をバックに佇む白銀の狼はまるで、一種の芸術のようだった。
(なんて、幻想的なんだ・・・・)
等と考えていると、いきなり白銀の狼は足に力を込め跳び俺の前、大体10mぐらいの地点に飛び降りた。
(どうして、無事なんだ?)
俺は、この狼に対して疑問を抱いていた。何故ならこの白銀の狼は、体長は4~5m、体重は300キロはあるはずなのに崖からここまで20~30mはある距離を一回で跳び、さらに、跳んだ高さは10~15mはあったはずなのに白銀の狼は無傷なのだ。
「なんだ、お前は?」
俺は、人ではないのに、そう声を掛けてしまった。すると、白銀の狼は顔をゆっくりと上げ・・・・・
「っ!?」
俺は、白銀の狼の目を見たとき息を詰まらせてしまった。
(なんだ、あの目は?)
白銀の狼の目は闘争の色があり、そして少しばかり何かを求めている目をしていた。そう考えていると、白銀の狼は、こちらをじっと見て『グルッ』と喉を鳴らした。
「・・・なるほど」
と、呟き少しの間を空けて
「俺と戦いたのか?」
そう言うと、まるで白銀の狼は言葉がわかっているような感じで首を縦に振った。俺は拳を握り、構えをとり
「そうか、じゃあやろうか」
その瞬間、俺と白銀の狼はお互いに向かって飛び出した。
「ふっ!」
まず、仕掛けたのは俺の方だった。
(まだ、なれないせいか全力の5割も出せないな)
などと思い、俺は向かってくる狼の顔面に拳を叩き込もうと右の拳を突き出した。だが、狼はその体の大きさに似合わず俊敏な動きで(俺から見て)右にあった木に向かって跳んだ。そして、三角跳びをし、俺の方向かって左の爪を振り下ろした。
「甘い!!」
そう言い、俺は左回し蹴りをガラ空きの左脇腹に喰らわせた。狼はそれをモロに喰らい、吹き飛んでいった。2、3本と木を折って吹き飛んでいたが、4本目に当たるという所で、体をひねり木に着地し、こちらに跳びかかってきた。俺はそれを迎え撃つように左拳を顔面に突き出したが
「なっ!?」
なんと、狼はその拳を額で喰らい、その反動を使い後ろに回ると同時に足でサマーソルトをしてきた。俺はそれに反応できずモロに顎に当たり、体が3m程浮いたが、空中でバク宙し、地面に四つん這いに着地したと同時に狼の足を払い
「オラァ!!」
の掛け声と共に狼の腹を踏みつけようと足を振り落としたが、足が狼にたどり着く前に狼は横に回転し、俺の腹を蹴り後ろに大きく飛んだ。俺は腹筋に力を込めその場で耐え、狼が離れたことを確認し、息を整えた。そしてすぐに相手に向かい蹴りを放った。それを狼は軽々と避け俺の後ろに回り込み首に噛み付いてきた。
「あっぶね~」
俺は即座に振り返り狼の顎に向かって膝を入れた。次に狼の前足を掴みジャイアントスイングの用量で木に向かって投げた。狼はそのまま飛んでいったが、すぐさま体制を立て直し木に向かって跳んだ。狼はそのまま木々の間を跳び、俺はなんとか見える速さの狼を追い続け、後ろにきたと思い振り返った。が、そこにはなにもなく次の瞬間、俺の右腕に激痛が走り右腕を見ると狼の牙が食い込んでいた。
「ちっ!マジかよ」
俺はそう呟き体を大きく捻り右腕に噛み付いている狼を木にぶつけようとした。だか狼は、木に当たる直前に右腕から離れ俺との距離を取った。俺は唐突に左手を頭に当て・・・・
「・・・フフフ、アーハッハッハッハッハッハッハッハ」
高笑いをした。右腕に傷を負っているはずだがその痛みは一切感じていなかった。
(あ~、なんで戦いとはこんなにも楽しいのだろう・・・)
俺は両腕をダラリと下げ、ゆらゆらと左右にゆれ狂ったような笑顔を浮かべていた。そんな様子に狼は、不気味だったのか二、三歩後ろに下がり睨んできた。そんなことを無視しつつ俺は、狼に向かって走り出した。狼もそれに釣られたようにこちらに向かって走り出した。
「楽しいなぁぁぁ!!!!」
俺は狼との戦いを再開した。
「はぁ、はぁ」
「グ・・ル・・・」
それから数分間、俺と狼は激しい攻防を繰り広げていた。俺は、頬とに爪での切り傷が数箇所、右腕には狼の噛み傷、狼は全身に青アザが何個かある状態だった。
「そろそろ、決着つけようぜ!!」
「ガルッ!!」
俺は狼にそう言い、狼もそれに応えるように声を出した。俺と狼は次の一撃に勝負を賭けるためお互いに最大の一撃を出せる構えをとった。
「楽しかったぜ、狼」
「グルッ」
そうして、俺と狼は最初と同じように互いに向かっていった。勝負はほんの一瞬で終わった。狼は右手の爪を振り下ろしてきたが、俺は狼の爪が届く前に左の拳を狼の顔面に入れた。狼はその場でなんとか耐えたが
「グ・・・ル・・・・」
そう言い、狼はよろよろと後ろに下がりバタンとその場に倒れた。
「ふぅ、楽しかった」
俺はそう言い、チラッと狼を見た。そして、さっき狩った猪を洞窟まで運ぼうとしたのだが・・・・
「あれ、どこら辺だっけ?」
狼との戦いに夢中になっていたせいで、さっき狩った猪が何処にいるのかわからなくなってしまった。
「・・・・・・・・」
俺は無言で、倒れている狼に近づきその巨大な体を担いだ。
「さて、じゃあぼちぼち探しますか」
そう呟き、猪を探しに行った。木が折れているところや、地面が抉れているところを辿ってみると猪は見つかった。野犬や妖怪などに食べられておらず無事だった。
「じゃあ、帰りますか」
そう言い、両肩に猪と狼を担いで紫ちゃんのいる洞窟に向かった。そしてまた数分後、生えている草や木の間等を通って洞窟の前まで行くと何故か紫ちゃんが立っていた。
(なんで洞窟の前にいるのだろう?)
と思いつつ、紫ちゃんの前に行こうとすると、紫ちゃんはいきなり警戒するような顔でこちらを見た。が、俺だとわかって安心したのか、ホッとした顔でこちらを見たが今度は顔が青ざめ、指をプルプルと震わしながらこちらを指差してきた。そんな紫ちゃんを置いときつつ俺は
「ただいま、紫ちゃん」
とだけ言っておいた。
Side紫
私が洞窟の外に出てから数分がたった。あの後私は結局、不安を取り除くことができずにいた。鏡夜さんを探そうにもどこに行ったか分からず、私は洞窟の前で立ち尽くしていた。
(これからどうしましょうか?)
と、考えていると、森の奥の方からガサッという音と共に人影が見えた。私は妖怪かと思い、森の奥の方を警戒しながら見た。が、そこに居たのは鏡夜さんだった。私はホッとしつつ、また鏡夜さんを見たが・・・・・・
(え?!)
そこにいたのは、右腕が真っ赤に染まり頬には切り傷がある鏡夜さんだった。私は震えつつ鏡夜さんに指を指すと鏡夜さんはまるで何もなかったような顔で
「ただいま、紫ちゃん」
と言ってきた。私はそんな挨拶を無視して鏡夜さんに駆け寄った。
「ちょっと、鏡夜さんどうしたんですかこの傷!?」
「いや~ちょっと狼と戦ってね」
そう鏡夜さんは言うと担いでいた猪と狼を地面においた。
「狼ってまさか今置いた狼ではないですよね?」
「いや?そのまさかだけど?」
私は内心呆れつつ、鏡夜さんの右腕が血まみれという事を思いだした。
「それよりも鏡夜さん、早く傷の止血を・・・・」
「う~ん、俺の傷よりそこの狼の傷を見てあげて」
「何言ってるんですか、早く止血しないと!!傷見ますよ」
そう言い私は鏡夜さんの袖を捲り傷を見ようとしたのだが・・・・
(傷が無い?)
確かに服には血がついているのだが、鏡夜さんの腕には一切傷がなかった。
「ね?紫ちゃん、俺は大丈夫だから狼の傷を見てあげてね」
「いいですけど、鏡夜さんあの狼と戦ったんですよね?なんで狼の傷を治すんですか?」
私はそう言うと鏡夜さんは少し考え
「・・・仲間にしようかなと思って」
と言った。
「なぜですか?」
「寂しそうな目をしていたからかな」
鏡夜さんは悲しそうな顔をして言った。しかし、鏡夜さんはすぐにいつもの笑顔になり
「じゃあ紫ちゃん、俺は猪を川で捌いてくるから。でもその前にっと」
鏡夜さんは洞窟の前に行き、枝で立体の三角形を作り中に枯葉などをいれ、周りを石で囲んでいた。
「紫ちゃん、火打石ある?」
「はい、ありますよ」
私はスキマから火打石を取り出し鏡夜さんに渡した。
「ありがとう紫ちゃん」
すると、鏡夜さんは火打石を受け取り枯葉に向かって火打石を擦ると、枯葉に火がつき枝まで燃えていった。そして鏡夜さんは焚き火を作ると狼をに連れて行った。
「じゃあ行ってくるから狼の傷見といてね」
そう言うと鏡夜さんは川のある方に向かって歩いて行った。私は狼の近くに行き傷の具合を見た。
(青アザ以外は特に目立った傷はないようですね。それにさっきは鏡夜さんに集中して気づきませんでしたが、この狼結構な妖力を持ってますね)
そう考え、私はスキマから青アザに効くような薬草を探し、取り出した。
(とりあえず、これを傷の部分に貼って、後は妖力が少ないので、私も少ないですが少しこの狼に渡しときますか)
そして一通りの事が終わった。私は狼の傷の対処が終わるとなんだか眠くなってしまった。
(ふわ~、なんだか安心したら眠くなってしまいました)
私はそう思い、狼の胴体をなでた。
(以外と良い毛並みですね・・・・)
狼の毛は意外にも柔らかかった。そして、とうとう私は狼の胴体に頭を乗せて眠ってしまった。
Side鏡夜
「ふ~、何とかごまかせた」
俺はそんなことを言いつつ右腕を見た。俺は狼と戦った後、右腕の自然治癒力の限界を無くし傷を直していた。
(さて、明日紫ちゃんにどう言い訳をしようかな・・・・)
と考えていると目的の川までついた。俺は担いでいた猪を川の近くに置き、なにか切れるものがないか探した。
(なにか切れるものないかな?・・・・これでいいや)
俺はよく切れそうな石を見つけ猪の所に向かった。
それから数分後、俺は猪を捌き終え猪の肉を毛皮にくるみ紫ちゃんの居る場所まで戻った。
なんとそこには、狼の胴体に頭を乗せて寝ている紫ちゃんがいた。
(狼の事、気にいってくれたのかな?)
などと考え焚き火の近くに腰を下ろすと狼の目がゆっくりと開いた。狼は首を左右に動かし俺のことを見つけると驚いた顔をし、立ち上がろうとした。
「立つのは待ってくれ狼、お前の胴体で女の子が寝ているんだ。」
そう言うと狼は器用に首だけ動かし、紫ちゃんの方を見た。すると狼は穏やかな笑顔をみせゆっくりと自分の尻尾を紫ちゃんの体の部分に乗せた。
「お前も疲れているんだ、今日はもう寝ろ」
と言うと狼は渋々といった感じで瞼を閉じた。俺はそれを確認しつつゆっくりと息を吐いた。
「さて、明日からは修行かな?」
俺はそう呟きつつ空に浮かんでいる満月を見た。
どうだったでしょうか?
戦闘描写のアドバイスなどがあればください。
後、ヒロイン達ですが二、三話後に出てきます。