二人の吸血鬼に恋した転生者   作:gbliht

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今回、キャラの崩壊(主に鏡夜)が激しくなりました。

多分、万人向けのキャラ崩壊じゃないと思いますが、それでもいいなら見ていってください。

では、第十三話をどうぞ。


第十三話 さて、楽しもうか!

Side鏡夜

 

「まさか、俺が人間相手に本気になるとはな!!!!!」

 

その瞬間、レビリアルの妖力が膨らむ。俺はそれに合わせるようにして、魔力を会場に放つ。実はこの魔力には、一分間幻覚を見せる術式が組み込まれている。

 

そして、レビリアルは腕を前に出して空間を歪めるがそんな事は放っておいて、取れた左腕を取りに行った。

 

「はあ~、まさか左腕を犠牲にしなきゃ何ないとは・・・全力ではないとは言え、まだまだだな、俺も」

 

俺は左腕の傷と、胴体の傷口をくっつける。すると、傷口部分が治っていく。

 

「ふ~、これでよしっと・・・さて、何かレビリアルが笑っているがけど気にしないでいっか」

 

レビリアルが、ゲハハハハハと笑っているが気にせず、お嬢様達の近くに行く。

 

「鏡夜・・・鏡夜・・・」

 

レミリアお嬢様は、俺の名前を呟き。フランお嬢様は声を出さずに泣いている。一体どんな幻覚を見ているのだろうか?

 

実は、ここにいる全員に掛けた幻覚は、レビリアルが最も望んでいる幻覚を全員に見せると言う幻覚だ。

 

だから、幻覚に掛かっていない俺はどんな幻覚を見ているのか分からないのだ。

 

「どう・・・してよ・・・死なないって・・・約束したじゃない」

 

俺がそんな事を考えていると、レミリアお嬢様は泣き出してしまった。

 

「お嬢様・・・・・・」

 

俺はお嬢様達に申し訳ない気持ちになりながら、そっと二人の間に立つ。

 

「お嬢様、すみません」

 

聞こえないくらいの小声で謝り、手持ちの銀時計を見る。時計を見ると、幻覚を見せてから丁度一分が経とうとしていた。そして、時間が来た。俺は顔を笑顔にしながら、幻覚から覚めたレビリアルに言う。

 

「ジャスト一分だ。夢は見れたか?レビリアル」

 

俺がそう言うと、会場のお嬢様達以外がこっちを見てきた。こっちを見たレビリアルは、驚愕の表情になっているが気にせず、俺はその場に屈みお嬢様達を抱き寄せた。

 

「お嬢様方、心配をかけました」

 

お嬢様達を抱き寄せると、涙目の二人がこっちを見てきた。

 

「鏡夜・・・?」

 

「鏡夜なの?」

 

「そうですよ。お嬢様」

 

「ああ・・・鏡夜!鏡夜!!!」

 

「鏡夜!!!」

 

二人は俺だとわかると、抱きついてきた。

 

「よかった!生きてたのね!!」

 

「ええ・・・死なないと約束しましたからね」

 

「鏡夜!左腕は大丈夫なの!?」

 

「大丈夫ですよ。フランお嬢様」

 

二人は俺に抱きつきながら、また泣き始めた。一方、レビリアルは、驚愕の表情から怒りの表情になって、こちらを睨んでくる。

 

「お嬢様、もう少しこのままでいたいのですが、この続きはまた後でしましょう」

 

俺は立ち上ってレビリアルに向かおうとするが、お嬢様達にしがみつかれてしまった。

 

「だ、ダメだよ。いっちゃダメ」

 

「そう・・・よ。折角、生きてたんだから、もう戦いは諦めて・・・」

 

「お嬢様」

 

俺は二人の頭を優しく撫でた。

 

「私なら大丈夫です」

 

「で、でも・・・」

 

「しかし、問題があります」

 

「な、何?」

 

「これから私は戦闘中、性格と言うか、話し方が変わります。なので、嫌いにならないでくださいね」

 

二人がポカンとしている内に、俺は二人から抜け出す。俺は二人の前に立ち、グッと親指を立て、ニコッと笑う。

 

「・・・嫌いになんて・・・ならないよ」

 

「ええ、嫌いになんてならないわ・・・・・・いいわ、鏡夜、戦ってきなさい」

 

お嬢様達は涙を袖で拭うと、笑顔で言っていた。俺はその言葉と共に、レビリアルがいる所まで跳んだ。

 

「やあ、レビリアル」

 

「テメエ、何しやがった!!!!」

 

「教えるかよ、バーカ」

 

レビリアルは額に血管を浮かべて睨んできた。

 

「上等じゃねえか!!!もう一回、ぶっ殺してやるよ!!!!!!」

 

レビリアルは突っ込んでくる。俺は突っ込んでくるレビリアルの顔面に向かって拳を放つ。

 

「だから、無駄だと・・・!?」

 

拳はレビリアルに当たる前に曲がった。だが、それがどうした?俺はすぐさま曲がった方とは逆に魔力をジェット噴射のようにだす。そのおかげで、拳は元の位置に戻り、レビリアルの顔面を捉える。

 

「グハ!!!!」

 

拳を食らったレビリアルは吹き飛び、そのまま壁にぶつかった。

 

「・・・キヒ・・・キヒャヒャヒャ!!!!!どうした、レビリアル!その程度か!!」

 

久しぶりにテンションが上がってきた為、下品な笑い方になってしまったぜ。

 

 

Sideレビリアル

 

「クソ!舐めるな!!!」

 

俺はすぐさま飛び上がり、空中から妖力弾を放つ。その数は数十発を超え、一発、一発が必殺の威力を持っている。これなら、殺れると思った、だが・・・

 

「はっ!これぐらいはやってみろや!!!」

 

「はっ?」

 

俺は絶句した。自らの妖力弾は数十を超えている上に、一発、一発は必殺の威力を持っている。だが、奴は・・・俺以上の威力を秘めた魔力弾を、数百発放ってきた。

 

俺はその数と威力に、一瞬動きを止めた。しかし、それがいけなかった。魔力弾はありえない速度で迫り、既に俺の目の前まできていた。俺は咄嗟に能力を発動して魔力弾を曲げる。

 

「ウ、ウォォオオオオオオオオオオ!!!!!!!!!!!!」

 

迫り来る妖力弾を曲げて、曲げて、曲げて、曲げ続けるが、一行に終わりが見えない。

 

「キヒャヒャヒャヒャ!!!!!そうら、行くぞ!!!!」

 

俺が魔力弾をひたすら曲げ続けていると、魔力弾の中から、奴が突っ込んできた。

 

「ク・・・舐めるな!!!!」

 

俺は魔力弾を曲げつつ、奴に向かって妖力弾を放つ。が、妖力弾は奴に当たる前に曲がった。

 

「なんだと!?」

 

「キヒャヒャ!!!効かねえ効かねえ!!!!」

 

奴は拳を放ってくる。俺は能力で拳の向きを曲げようとするが、奴の拳の向きは曲がらなかった。

 

「だから!効かねんだよ!!!」

 

俺は奴の拳が腹に当たり、上空に吹き飛ぶ。そして、すぐさま背中に衝撃が走り、地面に向かって吹き飛んだ。

 

「グッ!?」

 

「どうした?反応が鈍いぞ!!!」

 

地面に向かっている中、背後を確認すると、そこには凶悪な笑みを浮かべる奴の姿があった。

 

俺は地面に当たる瞬間、地面に向かっている向きを右に曲げた。そして、すぐさままた右に曲がり、奴に向かって突っ込んでいった。

 

「ほう、中々やるな」

 

奴は何か言っているが、無視して殴りかかる。奴も同様に殴りかかってきた。

 

そこから、不可思議な事が起きた。奴の拳は俺様の能力で向きを曲げる。だが、何故か俺の拳も奴に当たらず、曲がってしまう。

 

そんな攻防を続けている間に、俺と奴の足が地面に着いた。すぐさま、奴との距離を開け、呼吸を整える。

 

「はあ、はあ・・・クソ、なんで俺の拳が曲がるんだよ!!」

 

俺がそう叫ぶと、奴は気味の悪い笑い声を挙げながら話してくる。

 

「キヒャヒャヒャ!!なんだ、教えて欲しいのか?だったら、教えてやるよ。俺は唯、テメエの拳を曲げる能力を使っただけだ!!」

 

「どう・・・言うことだよ!!まさか、テメエの能力は相手の能力を真似る能力か!?」

 

「さあて、どうだろうね」

 

不気味な笑みを見せている奴に俺は恐怖した。俺より数倍速く、俺より強い魔力弾、それに加えて相手の能力を真似る能力だと?ふざけるな!勝てるわけがない。

 

俺は無意識の内に、一歩下がってしまった。

 

「おっ!?どうした、どうした!怯えちまったか!!レビリアル!」

 

「誰が怯えるものか!!」

 

俺は必死に奴に向かって走ろうとする。だが、足は一行に動かない。

 

「動けないんだろ?だったらお仲間でも呼んだらどうだ!」

 

吸血鬼の決闘では、受ける側の増援が許可されている。

 

「ちっ!!クソ、誰かこいや!!」

 

俺は観客の所に立っている奴らに向かって叫ぶが、誰も来ない。

 

「来いって言ってんだろうが!!」

 

俺は再び叫ぶが、やはり誰も反応しなかった。

 

「キヒャヒャヒャ!!!嫌われてんな~レビリアル!」

 

「黙れ、黙れえええええええええええ!!!!!」

 

俺は叫びながら奴に向かって飛び出した。

 

「キヒャヒャヒャヒャ!!!そうだ、それで良い!!さあ、レビリアル。全身全霊をかけて掛かってこい!!!」

 

俺は全力で奴に殴り掛かった瞬間、目の前が真っ白になった。

 

 

 

Side 鏡夜

 

「ふ~、スッキリした」

 

レビリアルが殴りかかってきた瞬間、俺は奴の能力を発動した。奴は気づいてないと言うか、知らないから使えなかったが、実はこの能力、因果をねじ曲げれるのだ。

 

因果がわからない人に、簡単に説明すると、殴ったからレビリアルに当たった。になるはずが、俺はそれをねじ曲げて、当たったからレビリアルを殴ったにしたのだ。要は不可避の一撃だ。

 

「てか、顎にクリーンヒットしただけで、気絶するとは・・・なんとも情けない」

 

俺は地面に倒れているレビリアルに呆れながら、その場を後にした。

 

 

 

「お嬢様、ただいま戻りました・・・・・・お嬢様?」

 

俺は二人の元に戻ると、二人は口を開け、目を開いたまま固まっていた。

 

「お嬢様~?」

 

俺は二人の目の前で手を振るが反応がない。

 

「ふむ」

 

手を振っても反応がないので、正面から二人を思いっきり抱きしめてみた。すると・・・

 

「ふえ!?鏡、鏡夜?」

 

「どどど、どうしたのかしら?」

 

何かお嬢様達が急に顔を赤くして、慌て始めた。俺は可愛らしいく顔を赤くした二人を、さらにギュッと抱きしめる。

 

「いや~二人があまりにも可愛らしいので、つい」

 

「つい、じゃないわよ!は、速く放しなさい!」

 

「嫌です」

 

俺が即答すると、諦めたのか、お嬢様達は大人しくなった。俺がお嬢様達にそんな事をしていると、ビリエルがやって来た。

 

「鏡夜さん、此度の勝利、おめでとうございます」

 

ビリエルは俺に向かって手を差し出してくる。俺はお嬢様達を離し、その手をガッチリ握る。

 

「ええ、貴方からお嬢様達を頼まれましたからね」

 

俺が笑ってそう言うと、ビリエルは一歩下がり、笑顔で頭を下げた。そして、俺はお嬢様達を連れて、決闘場の中央に行く。

 

「鏡夜、何をするつもり?」

 

「勝ち名乗りを上げるだけです」

 

決戦場の中央に着くと、俺は息を思いっきり吸い込み、会場にいる吸血鬼に聞こえるように話す。

 

「今回の戦いで、レミリアお嬢様とフランドールお嬢様の婚約の無くなった!!!」

 

会場の吸血鬼達は静かに俺の話を聞いている。

 

「もし、異論がある奴がいるなら降りてこい!!!」

 

吸血鬼達は何の動きも見せない。

 

「・・・・・・いないな!!!ならば、俺達はこれで帰らせてもらう!!」

 

そして、最後に特大の殺気を放ちながら言う。

 

「もし、もう一度俺の惚れた人達と無理矢理結婚しようとしたら・・・本気で殺すからな」

 

俺はお嬢様達を抱きかかえると、コロシアムを出た。コロシアムを出ると、ビリエルが馬車の前で待っていた。

 

「お持ちしておりました。さあ、お乗りください」

 

ビリエルは笑顔で言ってきた。俺はビリエルに軽く頭を下げ、馬車に乗り込んだ。馬車に乗り込むと、レミリアお嬢様とフランドールお嬢様を隣同士で座らせた。

 

「ふ~疲れた」

 

俺がお嬢様達の前に腰を下ろす。そして、お嬢様達を見ると、顔が真っ赤のまま俯いている。

 

「どうしました?」

 

「なんで、あんなこと言ったのよ」

 

「それは・・・お嬢様の為を思って・・・」

 

「別にあんなこと言う必要なんかなかったわ!」

 

レミリアお嬢様は勢いよく顔を上げ言ってくる。

 

「そうだよ。別に、あんなこと言わなくてよかったよ!」

 

フランドールお嬢様も同様に顔を上げて言ってくる。俺はどうすればいいか分からず、あたふたしてしまう。

 

「あの、お嬢様・・・」

 

「「何!!!」」

 

「えっと・・・なんで怒っていらっしゃるのですか?」

 

お嬢様達は少しだけ無言になると、二人で何かコソコソ話し始めた。そして、数秒後、お嬢様達は同時に喋りだした。

 

「「だって・・・」」

 

「だって?」

 

「「私達はもう、鏡夜の元から離れたくないんだもん!!」」

 

その瞬間、お嬢様達は一斉に抱きついてきた。あの、ツンデレだったフランドールお嬢様、クールキャラだったレミリアお嬢様、あの二人が自分のキャラを忘れて、笑顔で抱きついてきたのだ!

 

「どうして、鏡夜はそんなにカッコイイのよ!」

 

「ホント、かっこよすぎよ。鏡夜!」

 

お嬢様達は俺の左右(左がレミリアお嬢様、右がフランドールお嬢様)から抱きついたまま、絶賛の言葉をかけてくる。理解の限界を無くした俺でも、一瞬何が起きたのか理解できなかった。

 

「あの~、お嬢様?」

 

「「ん?な~に?」

 

お嬢様達は、姉妹なだけに同じ言葉を同時に言ってきた。

 

「怒っていたのではないのですか?」

 

「「何言ってるの、そんな訳ないじゃない」」

 

その言葉と同時に、柔らかい感触が俺の両頬からきた。

 

「お、お嬢様!?」

 

「「ご褒美よ、鏡夜!!」」

 

俺は抱きつかれたまま、紅魔館へと帰っていった。

 




ツンデレフランを期待していた人は申し訳ない。

そして皆さん、お忘れでしょうが鏡夜は戦闘大好き人間です。

何か質問があればドンドン、感想に書いてください。

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