ソードアート・オンライン ~時を越えた青薔薇の剣士~   作:クロス・アラベル

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お久しぶりです!クロス・アラベルです!

では今回は憎まれ役のあの人登場です。戦闘描写の方はありませんが、書かせていただきました。
では、どぞ〜!


不穏

 

 

 

74層の主街区でキリト達一行は待っていた。

久しぶりにアスナとパーティを組んで攻略に行くことになったのだ。

昨日、ラグーラビットのシチューをみんなで食べた日。エギルが「明日に向けて準備があるから早めに帰るぜ」と一足先に帰った後の事。

 

「ねぇ。明日、久しぶりにみんなでパーティ組まない?」

「え?珍しいね、アスナ」

「確かに、いつもKoBの副団長の仕事で忙しいって聞いてるぞ?」

「別に、そこまで大変なことなんてないわよ?仕事量も多い訳じゃないし…」

「でも、どこ行くんですか?」

「…まぁ、迷宮区よね」

「74層のですか?」

「えー……今日行ってきたんだぜー?明日は休みたいんだけd」(๑¯ㅁ¯๑)

「良いじゃない、減るものじゃないんだし」

「俺の精神が減るぞ…」( ー̀дー́ )

「へー…逃げるんだ」( ˉ ˘ ˉ )ハン

「適度な休みが必要なんだよ。逃げるとか言うなよ」( ー̀εー́ )

「適度ぉ…?へぇ…ロニエちゃんがいなかったら今より半分くらい休んでる癖に…」( ◉ ω ◉)

「……ロニエ、俺って結構勤勉d」( ˊᵕˋ ; )

「確かに、言えてるね。アスナ」純粋悪気なしsmile

「なん…だと…」((( ;゚Д゚)))ウラギッタナァユージオ!!

「あはは…」( ̄▽ ̄; )

「……俺には決定権があr」(´д`; )

「無いわよ?」ナイフカマエ( º言º)╋━─

「ヒェッ…」:( ;´꒳`;):

「まぁ、アスナさん程々に…でも、ホントに珍しいですよね」( ´・ω・)ノ(;ω;`)ヨシヨシ

「うん。腕が鈍ってないか、見ておこうかなって」

「へぇ…言うな、アスナ」

「鈍ってるかどうかはさておき、久しぶりにみんなでって言うのは賛成だよ。ユウキ達はどうする?」

「ユウキとランは他に用事あるって言ってたわ。ナギちゃんも明日は攻略講義の当番らしいし」

「…じゃあ、明日空いてるのは僕らだけか。ならいいんじゃないかな」

「なら、シリカちゃんにちょっとメッセージを送りますね。シャロの事をお願いしたいので、予定があうかどうかを確認しておかないと」

「おかあさん、でかけるの?」

「ええ。ちょっと寂しいかしら?」

「ううん!だいじょうぶ!おかあさん、おしごとでしょ?あたし、おるすばんできるよ!」

「シャロ…!ありがとう。帰ってきたら美味しいご飯作ってあげるからね!」

「うん!」

「シャロちゃんの許可も降りたし…」

「俺は別にいいぜ」

「私もキリト先輩が行くなら…!」

「じゃあ、ティーゼちゃん。シリカちゃんの予定が合い次第みんなに連絡してくれる?」

「はい、分かりました!」

 

という具合にアスナと約束をした。

「…遅いな、アスナ」

「ですね…」

「準備に時間かかってるんじゃないかな」

「このアインクラッドでは準備って一瞬で済むと思うけど…?」

約束の時間から10分経っている。時間や約束にうるさいアスナにしては珍しい。

「1回、メッセ送っとくか」

キリトが痺れを切らしてメッセージを送ろうとメインメニューを呼び出した、その時、5m先にあった転移門が光を宿す。誰かが転移してきたようだ。

『なんなのよあれっ!そのせいで遅れちゃったじゃない…!』

 

「アスナ、ようやく到着か」

「あ、キリト君!ロニエちゃん達も揃ってるわね!ササッと迷宮区に行きましょっ!」

アスナの到着である。だが、妙に焦っている。

「何かあったの?アスナ」

「えっと、それはまた後で話すから……って来たぁ!?」

アスナの早口な説得を聞いているとまた転移門に光が灯る。

「___アスナ様!!」

転移してきたのはアスナと同じ紅と白を基調とした軽鎧の中年の男。

「アスナ様、困ります!」

アスナと同じ、血盟騎士団のメンバーだった。

「護衛も無しに何処かへ行かれてはいけないと、会議で決まったことではありませんか!」

「あの会議は誰もストーカーしていいなんてこと決めてないわよっ!!」

「ストーカーなどではありません!これは護衛d」

「どこが護衛よ!四六時中ついて回って、私のホームにまで上がろうとした癖に!?」

かなりアスナもご乱心のようで、怒鳴り散らしている。こんなアスナはキリト達も初めて見た。

「今日も朝から家の前で張り込んで!普通なら警察行きよ!?」

「ふふ…こんなこともあろうかと一ヶ月前から護衛の任を果たす為、セルムブルグにて早朝から護衛の任務を…」

これはおかしすぎる。

流石に心配性の度を超えている。

「………聞いておくけど、それは団長の指示じゃ無いでしょうね…?」

「私の任務はアスナ様の護衛です!それには当然ご自宅の監視も……!」

「含まれないわよっ‼︎馬鹿っ‼︎変態‼︎」

話を聞くごとにキリト達_おもにロニエとティーぜの視線に青薔薇の剣の武装完全支配術(エンハンス・アーマメント)の如く絶対零度並みの冷たいものが帯びていく。

「さぁ、アスナ様!我儘は辞めて、早く本部へ…!」

「っ!」

その男、血盟騎士団の団員であるクラディールはアスナの腕をつかもうと手を伸ばす。一瞬アスナの表情が恐怖のそれに変わる。

 

その瞬間、キリトは動いた。

「おっと、あんまり無理矢理ってのは頂けないな」

クラディールの手を弾き、アスナを後ろに遠ざける。

「さっきから聞いてたけど、ほとんど君に非があるようにしか聞こえないんだ。だから、今は引いてくれないかな?」

ユージオがアスナの前に出て守り、ロニエとティーゼは無言でアスナの横につく。

「き、貴様ら…!」

「もちろん、いきなりボス戦をやろうっていう訳じゃない。アンタのとこの副団長さんの安全は保証するぜ」

「それに…周りの目も気にするといいよ。全部聞こえてたみたいだし」

ユージオの一言でクラディールが周りを見渡す。すると、周りには軽蔑の目を向けるプレイヤー達で溢れかえっていた。

「っ…!」

「さて、お引き取り願おうか」

「貴様…誉ある血盟騎士団の私に…!」

「護衛なら…()()()()()()()()()()()()()()()

最後のキリトの一言。それが___

「…貴様ァ…そこまで言うのなら覚悟があるんだろうな…!!」

彼のプライドに火を付けた。

直後、クラディールがメインメニューを出し、何か操作している。するとキリトの前にシステムウィンドウが現れる。

「……」

あれは、おおよそ決闘の申請だろう。この状況でやることといえばそれくらいしかない。

ユージオ達は思った。

この男はキリトの事を知っていてこんなことをしているのだろうか、と。

キリトやユージオの実力は攻略組だけでなく、アインクラッドでもかなりのもの。それこそ今ここにいる全員の名がアインクラッドに知れ渡っている。

クラディールは確かに攻略組トップクラスの血盟騎士団の団員だ。だが、団員なだけでそこまで目立った実力がある訳では無い。確かに攻略組に入るだけの実力はあるが。

相当血が上っているのだろう。もうユージオ達もツッコミたいが、我慢してキリトにお灸をすえてもらうことにした。そうすれば、一応理解してもらえる筈だ。彼も馬鹿ではない。

何より____ユージオはこの決闘の結果を知っている。もう既にキリトの記憶の断片を見たのだ。

故に______

結果は言うまでもないだろう。

 

 

 

 

 

 

「でも、本当に良かったの?アスナ」

「ええ。あとで本部に報告しておくわ」

10分後、キリト達一行は迷宮区へと辿り着いた。

「ありがとね、キリト君、ユージオ君。それに、ロニエちゃんとティーゼちゃんも。あの時、私の手を握ってくれてたでしょう?」

「いえ、その……私達に出来たことなんて、これくらいでしたから」

「気にしないでくださいね、アスナさん」

「困った時はお互い様だろ?」

「気にしなくていいよ。いつも助けて貰ってるから」

「…ありがと」

 

「いやぁ…それにしても見事だったね、キリト」

「ああ、直感を信じてよかった。こればかりは絶対、とは言えないからな」

武器破壊(アームディストラクション)、ですよね。キリト先輩、どうしてあんなこと出来るんですか…?私じゃなかなか…」

「あんなことできる方がおかしいのよ」

「あれが出来るのはキリトくらいだよ。あれを試すのもいちいち武器を破壊する為に実験台に武器を壊してくれない?なんて…言えるわけないし、グレードが低いものだと基準にならないから同クラスで撃ちあおうとしても最前線で使うような剣と同レベルとなると…進んでやろうとは思わないよね。割に合わないし」

「てか、お前もモンスター相手にやってなかったか?」

「モンスターの武器は、大抵損傷してたりするし、やりやすいんだよ。でも、余裕があったらの話だよ?」

「……両方ヤバかったのね」

 

血盟騎士団の誉ある団員(笑)のクラディールとの決闘にキリトは片手剣単発突進技ソードスキル《ソニックリープ》をクラディールの放った両手剣突進技上位ソードスキル《アバランシュ》を使った彼の両手剣の横腹に一瞬早く叩き込み、両手剣を刀身の半ばからへし折った。

クラディールはその後降参したもののまだ諦めていなかったのかキリトを睨みつけていた。

殺す、と呪いじみたセリフを吐いた直後。アスナはギルド本部への待機命令____はっきり言えば謹慎処分をクラディールに下した。彼は一瞬震えて、憎悪とも言うべき形相を一瞬見せたが、引き下がっていった。

あまりいい気分ではなかったが、彼の為だ。我慢してもらうしか無いだろう。

 

流石に血盟騎士団も厳重注意はするだろう。彼は人としては出来ている。

 

「ちょっと嫌な空気になっちゃったけど、気を取り直して引き締めていきましょう!最前線だから、油断しないようにね」

「はい!」

「さて、頑張ろうか」

「ああ、キリト」

「無理はせず行きましょう!」


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