ソードアート・オンライン ~時を越えた青薔薇の剣士~   作:クロス・アラベル

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こんにちは!クロス・アラベルです!
今回はただの女子会になります。そして、劇場版のあの人も出てきます。
それでは、どうぞ!



姫達のティータイム

 

 

 

 

3月1日、3層の主街区《ズムフト》喫茶店《セレーノ》。

 

そこで女子会が開かれていた。1ヶ月に1回開く、定期集会だ。

「………ふぅ。落ち着くわね。こんな仮想世界で落ち着けることなんて無いと思ってたけど、こんなに心が安らかになるなんて」

上品に紅茶を飲むのはギルド《血盟騎士団》副団長のアスナ。この女子会の日は毎回団長に休みをもらい来ている。

「そうだよね。私も、前まではずっと怯えてきたけど、最近になってそれが無くなったよ」

「落ち着ける場所があるって大切ですよね。私も一時期は宿から出られませんでしたけど、勇気を出して良かったです。まあ、それはこの子のおかげなんですけどね……ね?ピナ」

「きゅるっ♪」

ギルド《月夜の黒猫団》の紅一点、サチとビーストテイマーであるシリカが頷く。シリカは攻略組ではないが、キリト達にピナ蘇生を手伝ってもらったその1ヶ月後にサチと知り合い、その時にこの女子会に誘われたのがきっかけでずっとこの女子会に参加している。

「うーん……みんな飲んでるからボクも飲もうって言ったけど、やっぱり紅茶よりジュースの方がボクはいいなぁ」

「ユウキはコーヒーも飲めないのにどうして頼んだの?」

「何言ってるのさ、姉ちゃん!コーヒー牛乳なら飲めるから!」

「ここにはそんなものありませんし、あれは子供用よ」

「ええー……」

微妙な顔でコーヒーを啜るユウキにランが溜息をつく。

攻略組の中でも指折りの実力者であるユウキとラン。ユウキは《絶剣》、ランは《流星》という2つ名を持つ彼女達は戦闘の時は見せない年相応の姿があった。

「……ホント、ここにいるほとんどが最前線で鬼のように活躍してる攻略組のトッププレイヤーだと思うと、なんか拍子抜けっていうか……」

鍛冶屋であるリズベットがコーヒーを啜りながら感慨深そうに言う。リズベットは今回の女子会が初参加で、攻略組の女子メンツが集まると聞いていた。アスナからは親睦会みたいなものだと言われて来たが、やはり攻略組が集まるのだ、何か重要な話の1つでもするのではないかと楽しみにしていた。そして、攻略組のトッププレイヤーだからやはり他の人達とは違うとばかり思っていた。が、蓋を開けてみれば現実世界でもある単なる女子会と同じだと言うことに気付き、安心したような、ガッカリしたような表情を見せた。因みにキリトとユージオとはまだ会っておらず、顔は知らない。

「まあ、攻略組の前に女の子ですからね。戦闘の時はしっかり切り替えますけど、今ぐらいオフしてもいいじゃないですか」

「59層の攻略組はつい最近終わったばっかりだから…丁度女子会の日だったし、この日だけはみんな休むの。攻略の事は一切忘れて、ね?」

ロニエとティーゼはこの女子会の初期メンバーだ。この女子会はロニエとティーゼが2人だけで始めたもので、その後にアスナとユウキ、ナギ、ランが参加し、女子会と呼ばれるようになった。時間が経つほどにメンバーは増え、サチやシリカ、リズベット、フルプレート女子のリーテンも参加していた。だが、今日は参加していない。

「リーテン達、上手くいってるかしら?あれから4日経つけど……」

「今頃幸せの絶頂ですヨ、何せ同居してるんですカラ。でもとても遅いゴールインでしたネ」

ナギがニヤニヤしながら言った。

「このアインクラッドじゃ結婚してる人は多いわけじゃないし、それに攻略組の中じゃ初めてだったのよ?あの二人なら仲良くやってる……もといイチャイチャしてるわよ、多分」

何故リーテンが来ていないか、それはつい四日前、攻略組のメンバーであるシヴァタと結婚し、もちろんホームは買ったみたいだが、ハネムーンとしていろんな所へ行っているからだ。そして、三日前攻略組総出で結婚式を執り行い、盛大に祝った。

「幸せそうでしたね、二人とも」

結婚式で、2人は本当に幸せそうな笑顔を見せた。その笑顔はロニエ達の脳裏に焼き付けられた。女としても結婚式というのは憧れるものだ。

「そうでしタ!ティーゼ、あなたがブーケをキャッチしたんでしたネ」

「へっ?」

「おっとこれは……結婚のフラグかしら?回収できるといいわねー」

「ちょ、ちょっと待ってください!確かにキャッチしましたけどっ//////」

ナギのいきなりの暴露にティーゼが真っ赤になる。それをリズベットがにやけ顔で煽る。

何を隠そう、その結婚式のブーケトスをキャッチしたのはティーゼだったのだ。初めはキャッチして何がいいのか分からなかったが、アスナから話を聞いて顔が赤くなりすぎて頭から煙が出ていたとか。

「まあ、十中八九、相手はユージオ君ね?いつも一緒にいるじゃない」

「あ、アスナさん!?/////」

意中の相手もみんなに知られている。ずっと一緒に行動していればバレることだが。

 

「ごめーん、みんな!ちょっと遅れちゃった」

その時、タイミングよくもう1人の女子会メンバーが現れた。

「ユナ、遅かったですネ。何かあったんですカ?」

「昨日の夜、新曲の歌詞を考えてたらちょっと夜更かししちゃって。でもいい感じの曲ができたよ」

「あんまり遅くまで起きてちゃダメですよ。お肌に悪いですから……」

「ロニエさん、ここじゃそんなに変わらないですよ。ここ、仮想世界ですし」

「ここじゃ肌が荒れるデバフなんて無いし」

彼女の名はユナ。最近有名になりつつあるアインクラッドの歌姫だ。彼女はこのアインクラッドでは珍しい《吟唱》スキルの持ち主だ。スキル《吟唱》は一定範囲内にいる全プレイヤーにバフをかけることが出来る。その効果は絶大で1度ボス攻略に参加した時はそのバフ効果で攻略組をサポートした。が、このスキルには弱点があり、使うと全モンスターのターゲットが使用者に集中してしまうのだ。そのせいで死にかけたことがあるユナ。ダンジョン内のトラップに閉じ込められ、全滅仕掛けているところに助太刀として行ったノーチラスという血盟騎士団の団員とユナ、そして中層上位プレイヤー。だがもやはり多勢に無勢、負けかけていたところをユージオとティーゼ、そして、ギルド風林火山のクライン達が駆けつけ、難を逃れた。

ユナは救助に行く前にほかのプレイヤーに攻略組を呼ぶように言っていたのでユージオ達はその要請に答え、駆けつけた。キリトの記憶にはない事象だったが何故か過去が変わった。これはユージオがいたからではなく、ユナのおかげだ。そう、彼女もまた時を超えてきた、時間超越者の1人だった。

「何の話してたの?」

「リーテンさんとシヴァタさんの結婚式の話ですよ」

「ああ、そういう事ね。あの式は楽しかったなぁ……私もあんな席じゃ初めて歌ったし」

「すごく喜んでましたしね。ユナさんのファンの人が大勢いましたよ、あれ…」

「ファンいすぎでしょ、アンタ」

《歌ちゃん》と呼ばれるユナはますますファンが増えている。非公式ではあるものの、ファンクラブも出来ているようだ。が、それに比例して行き過ぎな行動をするファンも増える。ストーカー行為をする者やパーティ勧誘をしつこくしてくる者など。そのため、ライブ前と後は彼____ノーチラスに護衛をしてもらっている。

「最近はどうなんですか?ノーチラスさんといることが多いですけど」

「え?ノーくん?ノーくんは護衛を頼んでるだけで……////」

「いや、護衛だけの間柄じゃないでしょ、それ」

「ねぇ、ユナちゃん。次のライブはいつなの?」

「四日後を予定してるー、場所は42層の主街区でお昼の1時から始めると思うよ」

「ライブ行けるように早くボス攻略しないと…」

「……無理なスケジュールは止めてくださいね?」

攻略の鬼はこの世界にも健在であった。

「またユナさんのライブ行きたいですもんね。ね!ピナ」

『きゅるっきゅるっ!』

「ですね。またみんなで行きましょう!」

「楽しみにしてるよ!」

この女子会は昼に始まり、夕方まで続くのであった。

 

 

 

 




メモデフでロニエがまた出るそうです。
絶対お迎えしますっ(`・ω・ ´ ) シャキーン
FBユージオもお迎えしたい……(´・ω・`)

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