ソードアート・オンライン ~時を越えた青薔薇の剣士~ 作:クロス・アラベル
クロス・アラベルです。
ということで、全ての始まりと同じ時間に続きを投稿しました。
ああ、自分ってキリト君より8つも年上なんだなぁ…と白目で感じました。ほぼクラインと変わらないことに恐怖を覚えました()
今回はタイトル通りになります。戦闘に関しては次次回になるかと思います。
では、どうぞ〜
翌日。
ユージオは病院での定期検査がある日でティーゼのリハビリの手伝いもあり、午前午後共にALOにログイン出来なかった。
ログイン出来たのは夕食もシャワーも済み、2日前に借りた本を読み現実世界について学んだ後____9時過ぎだった。
日中、キリトから電話があり、ALOでのフレンド登録に必要なフレンドコードを伝えあって向こうでも連絡がとりあえるようになった。
キリトによると、アルンに着くまでかなり時間がかかり、日付が変わるまでに行けるかどうかになる、とメッセージがあった。
ユージオはそれまでの時間潰しにアルンで幾つかのクエストをこなしながらキリト達を待った。
「……」
24時を過ぎてから40分弱。ユージオはアルンから離れた草原地帯の上空にてキリトを待っていた。
キリトは地図的に見るとシルフ領にある山脈、そこの洞窟から出てくるようなので、そちらに近いところで待機中だった。
クエストを3つばかりクリアし、空中戦闘や魔法の使用にも少し慣れたユージオは高いところが苦手な弱点を克服する為に少し高めに飛行していた。
真っ直ぐ進んだり、バックしたり空中でバク転したり、ホバリングしたりと、空中での動作にも慣れてきていた。
日付は既に変わっている。キリトの言っていた予定よりも遅い。
「遅いな、迷ってる訳じゃないよね…?」
キリトも既に案内人をどうにか確保出来たらしいので、迷っているとは考えずらい。モンスターに絡まれて時間がかかっているのか。
「うーん……あんまり夜中までログインすると明日に堪えるんだけどなぁ」
明日もまたティーゼのリハビリに付き合いたいので、夜更かしは避けたいユージオであったが、それも叶わなさそうだ。
「_____あ、誰か飛んで来る」
その時、南東方角からこちらへと向かってくる2人組が見えた。咄嗟にシステムがユージオの無意識の注視に反応して飛んで来る2人に視界がズームされる。
引き伸ばされて見えたのは______黒髪の妖精と金髪の妖精。
「黒………キリトかな」
隣にいる金髪の妖精は見たことがないが、黒い方は何故かすぐ分かった。
「おーい、キリトー!」
手を振って呼んでみる。すると黒髪の妖精はこちらを見て手を振り返してきた。
見つけてからほんの数秒でユージオのもとまでたどり着こうとしている。
「__________ユージオ、着いてきてくれ!!」
「_____分かった」
すれ違いざまにそう言ったキリト。ユージオは訳が分からなかった。
しかし、一瞬見えたキリトの真剣な表情にユージオは即座に2人に追随した。
「キリト、で、合ってるんだよね!」
「ああ、ユージオだな!?」
「うん、そうだよ!君ってば真っ黒な所は変わらないね!」
全速力で空を駆ける3人の妖精。ユージオは黒髪の妖精____キリトに話しかけた。
いつものように軽口を叩きあって、パンッ、とタッチする2人。
「あの、キリト君!この人は誰_____?」
「こっちで会うって約束してた奴だよ!
「こんにちは、ユージオです!キリトがお世話になってます!」
「い、いえいえ、ご丁寧に…」
「お前は俺の親か!?」
「私、リーファっていいます!キリト君をアルンに案内することになりました!」
パッと端的に自己紹介を済ませて、ユージオは本題に入った。
「______で、どういう状況なの!?」
○
「_________成程、種族間での同盟……その会談を襲うサラマンダー、ね」
「ああ、リーファの知り合いもいるし、ほっとけなくてな!」
数分後、説明を聞いたユージオ。
同盟、というのもアンダーワールドでは無かったが、現実世界での歴史などの本にて学んでいた。表面上、単語の意味ではあるが。
「サラマンダー部隊が会談を強襲する前に2種族の人達を逃がすか、ケットシーとシルフと結託してサラマンダーを返り討ちにする……どっちかだね。出来れば、話し合いでことが済めばいいんだけどさ!」
「相手の数にもよるし、状況を見て見ないと分からないな」
「____パパ!前方に大人数のプレイヤー反応があります!」
「あ、ユイ!無事だったんだね」
「はい、ユージオさん!」
「久しぶり、ユイちゃん!」
キリトの胸ポケットから顔を出すユイとユージオの胸ポケットから顔を出すシャル。
キリトの方でもユイが無事でいたらしい。
「ユイ、数は?」
「前方に大集団61人_____恐らくこちらがサラマンダーの強襲部隊だと思われます!」
「61人…1レイド越えだね。随分と力を入れてるみたいだ」
「ああ。知ってるか、ユージオ。各種族の領主をほかの種族が打ち倒すと、打ち倒された種族の貯めてる金が3割持っていかれて、しかも10日間も倒された方の領内の町から好きに税金がかけられるらしいぜ」
「そうなの!今サラマンダーが最大勢力になってるのもその打倒領主に成功したからなの……しかも、シルフの」
初の領主殺しがあったのは少し前_____初代シルフ領主がサラマンダーに討たれた。
もとより領主は滅多に中立域に出ることは無い。自らの領地、しかもその街の中であれば完全に安全なのだが、その当時は訳あって中立域に出ていた。そこを強襲したサラマンダー達によって領主殺しは成された。
その時の被害は凄まじいもので、シルフ全体の立て直しにはかなり時間をかけたらしい。
一方討った側のサラマンダーは均等だった勢力関係をその領主殺しの利益で覆した。今や、1番力を持っているのがサラマンダーだ。
「_____味を占めて、またやろうって魂胆なのかな。しかも、今そこには領主が2人いる」
「そこを襲うってなると、もう最悪の事態だな」
2種族の領主が一気に倒されれば、2種族からサラマンダーは金も領地の税金も奪えるし付けられる。被害は初代シルフ領主討伐の比ではない。
「続けます!60人弱の更に向こう側にプレイヤーが14人_____こちらが消去法で同盟を結ぶ予定の2種族のようです!」
「領主を連れていくには護衛が少な過ぎるな。不用心にも程があるぜ」
キリトの意見は最もだ。領主が中立域に出るのはかなりリスキーであり、普通ならもっと護衛を連れてくるべきである。例え極秘の協定交渉の機会であってもだ。
「両団体がぶつかるまで______残り51秒!」
「_____間に合わなかった」
リーファは悔しげに顔を顰めた。
既に数で負けているシルフとケットシーには逃げるしか策はなく、しかも逃げ切れる保証は無い。スピードで勝っていても、
「キリト、突っ込むかい?」
「ああ、領主達を逃がすのはほぼ無理だろうしな。とりあえず、アイツらにとって完全に予想外の
「……え?待って、2人ともまさか突っ込むの!?」
が、キリトとユージオはお構い無しに首を突っ込むらしい。早く世界樹に挑むのなら厄介事は避けて通ればいいと言うのに。
「世界樹に行くならこんな所で時間使わなくても…!」
「_____ここで逃げるっていうのは、性分じゃないんでね。トコトン付き合うぜ」
「話を聞いたからにな、最後まで……ね?」
2人はリーファの提案を断り、前方______今にも襲われようとしているシルフとケットシーと、空から睥睨するサラマンダーの間に狙いをつける。
「ユイ、引っ込んでろよ」
「はい!」
「シャル、胸ポケットでじっとしててね」
「うん、分かった!」
二人はユイとシャルを胸ポケットに避難させて、空中で加速体勢に入る。
もうすぐ、一方的戦いが始まる。それを止める為に。
「_____君の交渉に合わせる、自由にやって」
「____ああ」
二人は短くそう言葉を交わしてドン、と空気を蹴るようにして加速した。
シルフとケットシー達がサラマンダーの存在に気付き、双方武器をとって構えるが、その戦力差に圧倒されている。
赤い妖精の大部隊の先頭で指揮を取っていたであろう一人がスっ、と手を挙げる。それと同時にサラマンダー部隊全員が武器を構えた。
挙げられた手の意味は突撃用意。次に出る指示は_____ただ一つ。
緊張感張りつめる台地。
サラマンダーの指揮官であろう男の手が振り下ろされる_____その直前。
二人は両種族の間にギリギリで辿り着いた。
轟音を響かせて土煙が舞う。
サラマンダーにとっては予想していなかったハプニングに部隊全員の動きが止まり、シルフとケットシー達は次から次に目まぐるしく起きる予想外に混乱冷めやらぬ中_______その土煙から二人が姿を現す。
キリトはサラマンダーに、ユージオはシルフとケットシーに向かって_____叫んだ。
『双方、剣を引け_______!!』
ALO編に突入致しました。このALO編にて特別ゲストとしてテレビゲーム版のキャラクターを登場させる予定です。もし登場させるなら…?
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