初恋は叶わない   作:音槌和史

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 皆さん、おとつちわ!毎度お馴染み……お久しぶりの音槌政旨です!まあブログをご覧になっている方はお久しぶりではないと思いますが。
 さて、なんと年が明けて初の投稿です(遅い遅い)というわけで皆さん、明けましておめでとうございますっ。本年は更新ペースが激落ちする(してる)と思いますが、よろしくお願いします!
 というわけで今日からいよいよ小説投稿再開です!
 それでは本編……レッツゴーー☆


part2 “広樹なんか”じゃない“広樹だから”

 12月21日金曜日、12時10分頃。2学期最後の学校が終わった教室で僕は立ちすくんでいた。思わず半開きになった口から「えっ……?」という言葉が零れ、目の前に立っている人は静かに目を伏せた。

 なぜこんなことになっているかというと、4時間ほど時を戻さなければならない。

 

 

 

 12月21日金曜日、7時50分頃。

 教室で座ってボーッとしていた僕はいつものように「おはよ」と声をかけられた。彼女は「ああ、うん」と生返事を返した僕に「ん、寝ぼけてる?」と顔の前で手を振りながら言った。僕は「まあ、色々とありまして」と誤魔化す。──まあ、色々とあるのは事実だが。

 すると彼女は急に満面の笑みになって、それから真顔になって、また慌てて笑顔になって「ちょっと、今日の放課後残っといてくれない?」と言った。

「まあ、別にいいけど?」

 僕がそう返すと彼女は「ありがとー!!」と両手を挙げて跳んだ。何がそんなに嬉しいのか分からなくて、僕が聞こうとするとすでに彼女は女友達の方へ向かっていた。

 僕は、まあいいか、と思い、またしばらく終わらないであろう考え事を再開した。

 

 

 12月21日金曜日、11時55分頃。

「広樹ー、覚えてる?」

 彼女がそう言って駆け寄ってきたのは帰りの挨拶が終わってすぐのことだった。僕はコンマ1秒で「もちろん」と返す。彼女は「じゃあちょっと帰る用意先にしてくるから」と言ってまたすぐに戻っていった。なので僕も同じようにカバンに少ない荷物を入れる。軽い。

 顔を上げるとちょうど香里が教室を出ていくところだった。僕は無意識のうちに顔を伏せ、彼女の方を見た。同じ部活の仲間と喋っている。その間に僕は隣のクラスに向かう。康多に、今日は帰れないことを伝えるためである。

 それをすぐにすませ、いつの間にやら人気のなくなった教室に戻ってくると、彼女が僕の名を呼んだ。

「広樹……」

 僕は彼女に近づく。そこではたと気づく。顔が赤い。

「ん、なんか顔赤いけど熱でもある?」

 そう聞くと彼女は慌てて首と手を横に振る。僕は本題に入ってもらうことにした。

「で、何?」

 僕がそう聞くと彼女は僕の目を見た。

「実は私、好きな人がいるの」

 僕はそのまま彼女の目を見続ける。

「その好きな人が……」

 彼女は目を合わせたまま、僕に近寄ってくる。彼女が僕に触れそうになって、立ち止まる。斜め上を向いた彼女の口からは熱い吐息が出て、僕の首に当たる。目は少し潤んでいる。

「広樹」

 唐突に彼女は僕の名を呼んだ。思わず僕は「ん?」と返す。彼女は少し戸惑っていたが何かに気づき再び口を開いた。

「私は、広樹を、好きなの……」

 僕は立ちすくんだまま、口が半開きになる。その口から反射的に「えっ?」という言葉が零れた。彼女は少し目を伏せて続きを言った。

「広樹が香里ちゃんを好きなのも知ってる。香里ちゃんと康多が付き合ってて、広樹が苦しんでるのも分かってる」

 いや、別れたんだけどね、そう思ったが口には出さなかった。どこかでこの状況を楽しんでる僕がいた。

「でも、私は広樹が好き。それに変わりは無いの。誰よりも広樹のことを好きなの。だから……私と付き合ってくれない……?」

「紗理奈……」

 気がつくと彼女は、紗理奈は僕に触れていた。

「だめ……?」

 紗理奈は一瞬下を向きかけ、また僕の目を見る。僕はこんな時どう言えばいいのか分からない。これまでにそんな経験がなかったからだ。

 僕は脳の半分で必死に考えた。けどまとまらなかった。だからひとまず聞いてみることにした。別に恋愛感情を持っていない相手だからといって、ばっさり切り捨てるのはあまりにも非情だと思った。

「どうして僕なんかを……?」

 紗理奈もまた言いたいことがまとまらないようでしばし中空を見つめていたが僕の目に焦点を戻し、言った。

「広樹なんか、じゃない。広樹だから」

 僕は思わずこの細目を見開いた。頭の中で“広樹だから”という言葉が反芻する。

 

 

続く




 というわけで、いかがだったでしょうか!しばらくの間に下手になっていないといいのですが、それを自分で判断することはできないんですよね。良かったら皆さん、感想をお寄せください!
 さて、意外にも文字数が増えてしまい、今回だけでは終わりませんでした。次回がいつになるかは分かりませんが、良かったら次回もご覧ください。
 それではまた次回の小説、またはブログでお会いしましょう、サラダバーー☆

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