「『はぁ……。僕なんかに叶う恋はないよきっと』か……。あの時は奈緒にああやって言われたけど、実際僕が叶えられる恋って、ないんだろうな……」
僕の沈んだ声に康多が口を出す。
「お前。この間から落ち込みすぎな。あ、あと今から言うことはトップシークレットな」
僕は小さく頷く。
「紗理奈、お前のこと好きみたいだぞ」
──へっ!?紗理奈が?
「康多はどこからその情報を?」
「この間の夏祭りの時かなりうちのクラスの女子がいたろ」
僕は頷く。
確かにあの時半数近くが来ていたのではなかろうか。
「そいつらが話してた」
──ってことは……。
「盗み聞きかい!!」
康多は慌てて首を振る。
「いやいや。たまたま聞こえてきただけだから」
「ふぅ〜ん」
僕は疑わしそうに康多を見る。
「そんな目で見るなって。」
「まあ、いいや。でも紗理奈と結ばれるつもりはない。ただ香里が好きで苦しいんだよ」
僕が言ったことに対して康多がしみじみ答える。
「それにしてもさあ。この八角関係+紗理奈ってさあ、誰かの恋が叶う=誰かの恋が叶わない、ってことだもんな」
「ってことは全員の願いが叶わないというのが公平なわけだ……。あ〜あ、恋なんかしたくなかったなぁ」
康多が僕の頭を小突く。
「今頃言うな。それに人が恋に落ちるのって、偶然じゃなくて必然なんだから今更嘆いた所で未来が変わるわけじゃない」
あーもう。
「最近、康多がめっちゃいいことばっか言ってて置いてかれそうな気がしてならないんだが」
「早く乗り込まないと発車しちまうぞ」
夏の夕方っぽい涼しさを含む熱風が辺りを夜の空気に変える。
「僕が告白した時さ……香里ってどう思ったんだろうね。そして今はどう思っているんだろうね。康多とか奈緒がどう思ってるかはこの間教えてもらったけどさ。はっきり言っていいとこなしの僕を香里はどう思ってるんだろうな、っていう。それだけが不安なんだよ」
「じゃあ、俺が聞こうか?」
僕はこっそりため息をつく。
「前、それで失敗したでしょ。多分あの時に勇気がない奴だと思われただろうし、うざいとも思っただろうし」
また康多が僕をパカンと叩く。
「最初にも言ったけど高城はネガティブになりすぎ。ってか高城ってネガティブな時とポジティブな時の言動やら行動やらが違いすぎだよな」
当たり前だ。
「そりゃそうでしょ。精神面はかなり影響するよ。特に僕のようなメンタル弱い系はね」
「だったらまず心を鍛えなきゃな。そしたら告白の時ちゃんと言えるしそんなネガティブ思考にもならないぜ」
「あのさあ、そんな簡単に言うけどさ、メンタル鍛えるって相当大変だと思うよ」
「そうだな……」
なんか会話文しかねえ(汗)