Fate / 「さぁ、プリズマ☆イリヤを始めよう」   作:必殺遊び人

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初めての作品なので汚い文かもしれませんが良くなるように頑張ります。

一話平均7000文字を目安に書こうと思っています。

次回から本格的にストーリーに入り、今回はプロローグです

それではどうぞよろしくお願いします。


1話目とかとか〜 ♪プロローグ

 

 ――夢を見た。

 

 ――それは小さな・・・・・・本当にどこにでもいる少年だった。

 

 ――夢を見た。

 

 ――それは衛宮士郎、『正義の味方』の姿だった。

 

 ――夢を見た。

 

 ――それは道化、仮面をかぶったピエロそのものだった。

 

 

 

 そして道化は目を覚ます。

 

 

 

 鋭い光が顔にさす。それと同時に衛宮士郎は目を開けた。普段から目覚ましを使わないその男は、あえてカーテンの隙間を開けることによって、朝日の光を目覚まし代わりに使っている。

「・・・・・・・・・・・・(イヤな夢だった)」

 軽く一日が憂鬱になりそうな気分で身体を起こすと、起きる時間がわかっていたように一人の女性が部屋の扉を開けた。

「シロウ、朝ですよ。そろそろ起きたほうが良いのではないですか?」

「・・・・・。――っ! ごめんっすぐ起きる!」

 一時の沈黙の後、士郎は飛び起きるように自身の意識を覚醒させる。

 普段彼は目覚ましを使わない。自然の光で目を覚ますそれは健康的で素晴らしいものだろう。しかし、ただ一つ問題があるとするなら、それは起きたい時間に朝日が昇ってきてくれないことだった。

 結果。彼は朝からイライラ状態のセラと対面することになった。

 

 セラが士郎を起こしに来た。言葉にすればそれだけなのだが、士郎の手際が幾分か悪い。言うまでもなくセラの存在が原因である。

 普段なら問題ない。だが今日はダメだった。 

 今日の朝食の担当は士郎が行う日なのだ。

 寝坊したの失敗したな、と士郎は軽く後悔を顔に出す。

 準備を整え、セラに謝罪と朝の挨拶を済ませると、光の速度で朝食の準備にとりかかった。 

 唐突だが、セラは士郎が家事をすることを快く思っていない。

 

『この家の家事は家政婦である私の仕事です。家主の息子である士郎がする必要などありません』

 

 聞き飽きた。

 士郎が家事をやるたびにセラは反射のようにこの言葉を口にする。セラの強情さには、もはや感嘆の声すらあげたい。

 めんどくさい性格、そう思われても仕方がないのだが、それもセラの魅力なのだから仕方ない。それほどこの仕事に誇りを持っているのだろう。

 ただ、セラが断る回数分、士郎も交渉を行っているのだから士郎も士郎で頑固ではあるのだが・・・・・・。

 だが、士郎にも譲れないものがある。士郎にとって家事はもはや趣味みたいなものだ。それを取り上げられては堪ったものではない。さらに言えば、料理のような毎日行っていたものは、時間が空けばあくほどに腕がなまる。 

 今でこそ士郎とセラの料理は当番制だが、それまではキッチンに入ることも許されなかったのだ。

 何とか一回。必死に頼み込むことで、一度だけ料理する機会をもらったのだ。

 その時の士郎は、大人げなさ全開だった。得意としている和食だけにとどまらず、家族それぞれの好みまで考え作り上げた。

 『今後は士郎にも作ってほしい』、周りからの援護をもらえるのは確定だった。

 それでもあまりいい思いはしなかったのか、文句たらたらだったセラを、

 

『まさか・・・・・・そんな、これは私よりも・・・・・・・・・・・・』

 

 と、料理で黙らせたのはまだ記憶に新しい。泣き崩れてしまったセラには少し悪いことをしたと思っている。 

 そんなこんなで、料理だけは何日かおきに士郎が担当している。

 

「あるのは鮭と野菜が少しか・・・」

 食材を確認するとすぐさま調理にとりかかる。士郎が考えたメニューはそれほど難しくはない焼き魚と、なんてことないサラダだ。それでも、ちょっとしたひと手間と、オリジナルのドレッシングで、お店レベルまでにその料理を昇華させるのだからその実力は図りしれない。

 どこかのスパルタ調理学校でもトップレベルに入るであろうその実力は、あのセラが敗北感を得るほどなのだから。

 

 これが今の衛宮士郎の日常。

 『あのころ』とは似ても似つかない平和な日常。

 

 

 少しばかり過去の話をしよう。士郎が・・・・・・いや、ごく普通の少年が"この世界"で衛宮士郎になるまでの物語を少しだけ――。

 

 

 衛宮士郎は転生者だ、憑依と言い換えても良いかもしれない。

 今では自分本来の名前すら忘れたその少年が初めてこちらの世界で目を開けた時、そこは――――

 

 『地獄の中』だった。

 

 身体は動かない。今にも死にそうだったその体は、衛宮切嗣によって助けられ、『僕は魔法使いなんだ』この言葉を聞いた。

 その言葉で、ここがFateの世界であり、自分が『衛宮士郎になった』のだと理解した。

 そこで、少年はある道を選んだ。

 そこが本当にFateの世界であるならば、そこで生き抜くのは至難の技だ。本来衛宮士郎によってこの世界は救われる。それが自分が衛宮士郎となったことでその物語が崩れたのだ。

 だからこそ選ぶしかなかった。

 それは・・・・・・”衛宮士郎と全く同じ道をたどる”こと。

 そうすることで自分の身を守る――

 ――自分の為に・・・・・・生き延びる為に、その世界で自分の心を殺して生きることを・・・・・・。

 

 最初に少年がいたのはプリズマ☆イリヤの世界ではなく――――Fate/stay nightの世界だったのだ。

 

『僕はね、正義の味方になりたかったんだ』

『安心しろよ、その夢なら俺が必ず叶えてやるから』

『そうか、安心した』

 

 衛宮士郎の始まりともとれるセリフを口にして、衛宮士郎と同じように生きてきた。

 第5次聖杯戦争を・・・・・・いや、その人生そのものを衛宮士郎を演じ、生きのび、セイバーと別れ、その後の少年が行き着いた先は・・・・・・またしても『地獄の中』にいる自分だった。

 身体の成長は元に戻り、目の前には記憶にある過去と同じ情景。

 その光景を理解した少年の「これなんて無理ゲーだよ」と思ってしまったのは仕方がないだろう?  なんども同じ世界を繰り返す、それが地獄でなくなんと言うのか。

 少年が絶望するには十分すぎた。

 しかし、時間が進むにつれ、この世界を知った少年は歓喜した。

 切嗣から紹介された妹のイリヤの存在、さらには母親のアイリ。

 それは、もう一つのFateの世界。プリズマイリヤへの転生。

 それは少年の願いへの道・・・・・・そうこれで、『衛宮士郎を辞めることができる』、と。

 少年は、生き延びる為に衛宮士郎として生き、衛宮士郎として考え、衛宮士郎として行動してきた。

 それをとうとう自分として生きることができるようになったのだ。

 衛宮士郎として生きたことで、唯一良かったことといえば、セイバーと出会えたことだろう。

 そもそも全く別の世界から来た少年にっとって、衛宮士郎への憑依などなりたくてなったわけじゃない。

 死にたくない。それだけが、自分にある感情なのだと思っていた。

 しかし、聖杯戦争でセイバー・アルトリアを好きになった。

 英霊となった衛宮士郎と戦い、英雄王ギルガメッシュと戦った。そんな中でのアルトリアとの出会いは、衛宮士郎としての生活を、その人生を・・・・・・幸福と思うのには充分だった。

 セイバーにはもう会えないかもしれない。自分の存在は、衛宮士郎と言う名の別の何かでしかないかもしれない――――それでも、この世界を生きていこう。

 その思いで、この世界を生きて数年。かつて少年だった者は、全く別の衛宮士郎としての生きている。

 

 

 

 料理の盛り付けを終えると、士郎はセラに声をかけた。

「セラ、料理ができたからイリヤを起こして来てくれないか? リズも少し準備手伝ってくれ」

 士郎がセラと共に声を掛けたのは、この家でもう一人の家政婦をしているリズだ。

「準備はセラがするから大丈夫ー、士郎がイリヤ起こしに行きなよー」

 家政婦とは取れないセリフを吐きながら、何を思ってなのかリズが士郎に提案した。

 何も考えていないような発言だが、恐らくこれが一番自分が動かなくてもいい発言だと直感的に理解している。

 それがリズと言う女の子なのだ。

 リズが基本動かないのは過去の経験で承知している。このやり取りはお決まりみたいなものだ。

「いや、イリヤも女の子なんだし男に起こされたくはないだろ」

 かるく呆れながら返答する裏腹、できれば自分が起こしに行きたいと誰よりも思っていたのは士郎だった。

 いや、むしろリズに先ほどのセリフを言わせるためにわざとリズに話を振ったといっても過言ではない。

 簡潔に言うと、この世界を生きた結果士郎はシスコンと言われても仕方のない存在になっていたのだ。

 先ほどのリズの発言は、それを理解した援護だったのかもしれない。いや、そうじゃないな・・・・・・なんとなくこう言ったら自分が動かなくて丸く収まるかなー、とでも思ったのだろう。

 ここら辺の要領の良さはセラとは大違いだ。

 

 士郎は、この世界にそこまで深いかかわりを持つつもりはなかった。衛宮士郎を演じる必要はなく、ただ好きなように生きられればそれでよかった。

 最初は本当にやばそうになったら原作に介入しよう。その程度の思いでいた士郎だが、久しぶりに感じられた家族の愛と、可愛い妹と生活をすることで、家族を助けたい、そう思ったのだ。

 転生してから何年も生きて来た士郎は、原作知識をほとんど失っている。

 それでも、衛宮士郎としての生き方がそう簡単に抜けるわけもなく、そして、聖杯戦争ではイリヤを死なせてしまったという後悔から、この世界では大事な人のための正義の味方になろうと決めたのだ。

 

 ・・・・・・いや、それを願わずにはいられなかった。

 

 何もかも忘れて、好きなように生きよう。そう思うたびに、何かが胸の中できしむ。

 最初からそうだった。

 少年だった者は、人一人の人生を潰して生きている。それならば、その人物が・・・・・・衛宮士郎が納得するような目標で、理解してくれるような生き方で、この世界を歩むべきだろう。

 これが今の士郎の持つべき苦悩。

 

 ――――少年は、未だに何かを演じながら生きているの。

 

「大丈夫、イリヤはシロウが起こした方が喜ぶから」

 だけど、それでも少しだけ、今という時間を楽しんでもいいだろう。

 リズの援護をうまく活用しながら、セラという名の門番を攻略し、士郎はイリヤを起こしに向かう。

 途中、セラが「イリヤに、手を出したら殺します」と、物騒なこと言ってくる。仲が良すぎるのがいけないのか、セラの声は本気だ。

 セラの士郎に対するあたりが最近になって激しい。

 もしかして好きなの? と、過去に冗談で士郎が口走った時には、もう少しで病院行きにされそうだったほどだ。まぁ、その時は士郎が全面的に悪かったのだが・・・・・・。

 セラの凍えそうな視線を一心に受けながら、「妹に手を出すのは千葉の兄妹だけだ」、と頭の中で反論する。

 決して口に出さないのは、口に出すとセラが怖いのだから仕方ない。

 セラが本気で怒ったら怖いのだ。

 以前のことがよほど響いているのか、頭の中で無意識に反論を続けている。

「(いくら妹として愛していても、本当に愛しているのはセイバーだから大丈夫・・・・・・のはずだ。俺はロリコンじゃない・・・・・・と思う。それにイリヤは妹、一人の女性とは見ていない・・・・・・だろう)」

 言い訳の中にある「のはずだ」や、「と思う」や、「だろう」などに引っかかりを覚えるが、士郎はそこに気付いていない。

「イリヤ、起きろ。朝だぞ」

 扉越しで声を掛けてもイリヤは起きず、部屋の中へ入ってく士郎。

 軽く声をかけ、体を揺らすもなかなかイリヤは目を覚まさない。と言っても、イリヤの朝が弱いのはいつもの事なので、士郎もこれには慣れている。

「イリヤ、朝だぞ起きろ・・・・・・朝ご飯なくなるゾ」と、語尾に星マークを付ける、どこぞのレベル5みたいな喋り方で起こそうとしても起きる気配がない・・・・・・。

 それどころか、

「お兄、ちゃん・・・・・・ムリャムリャ」

 と、可愛すぎて抱きしめたくなるような寝言を口にしている。

 その言葉を聞いて・・・・・・あれ? キスで起こす童話ってどっちがキスしたんだっけ? と考え始めている士郎はもうだめだ。早く何とかしたほうが良い。

 あまり長くなるとセラに何を言われるかわからないと思った士郎は、少し強引にイリヤを起こした。

「おはよう、イリヤ。学校間に合わなくなるぞ」

「んっ? えっ?・・・・・・お、おおお兄ちゃん!! なんで部屋に! じゃなくて、すぐ起きるから先にいってて。てゆうかお願いします!」

「えっ、あ、うん?」

 何か慌てたようにするイリヤに疑問を覚えながらも、そも勢いに押され先に食卓へと向かう。

 だが士郎は分かっていない。女の子にとって寝起きの顔は異性に、さらに言うなら好きな人にはあまり見られたくないものだ。

 士郎もイリヤの感情は感じ取っているのだが、勘違いだと思い込むことで無理やり鈍感を作り出している。

 士郎にそこまでさせるのは、やはりセラがいるからだろう。

 妹に手を出しては、その場で社会的にも物理的にも人生が終わってしまう。それだけは、大いにセラに感謝していた。まぁ物理的に終わらしてくるのはセラなのだが・・・・・・。

 

 少しすると、イリヤも二階から降りて来て元気よく挨拶をする。

 いつも通りの食事を終え、二人はいつものように登校する。楽しく会話をしながらの登校。

 その中で士郎は微かに感じ取っていた。 

 

 

 原作開始はすぐそこまで迫っている。

 

 

 ここからが始まりだ。

 

 

 自分の正義を見つけ、それを貫く『衛宮士郎』の物語。

 

 

 偽物ではなく本物の、それでいて全く別の衛宮士郎がこの世界で誕生する。

 

 

『――さぁプリズマイリヤを始めよう――』

 

 




とりあえず始まりはこんな感じでどうでしょうか?

アニメしか見てないから漢字がわからなくて難しいですが、調べながら少しずつやって行こうと思います。

ここまで読んでいただきありがとうございます。

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