クレッチマーくん…レルゲンに出会うの巻
この国…。バスタブという物はあれど、帝国では風呂に入るという習慣は無く基本はシャワーかサウナの二択である
それは、参謀本部とて同じであり、参謀本部の大浴場とはシャワー室の事である。そこは、まるで海外の刑務所の様にシャワーヘッドが沢山壁にならんであり、部屋の隅にはサウナ室の扉がある所だった
クレッチマーはシャワーの前に立つと、レバーを捻った。ザァーっとシャワーから熱い湯が出始め、その中でクレッチマーは、久しぶりの熱いシャワーに身体を震わせていた。
(これだよ!これ!潜水艦の中じゃあ!味わえないこの暖かい湯の有り難さ!寒い中、荒波にもまれながら見張りをしても、シャワーは浴びれないからな!嗚呼…。なんて気持ちいいんだろう・・・。でも…欲を言えば、風呂に入りたいな…。湯船につかれればスッキリするだろうなぁ…)
クレッチマーはそう心で思いながら、頭を洗いながら、身体を固形の石鹸を付けたスポンジで洗い出した。
そして、クレッチマーが身体を洗い終わろうとした瞬間…。
シャワー室の扉が開かれた…
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レルゲンside
「ふぅ…。何が足りん…。何かが…!ああー、駄目だ…。何もいい案が浮かばん…。よし!シャワーを浴びよう!浴びれば、スッキリして思いつくかもしれんな」
そう言いながら、私はシャワー室の扉を開けた。大浴場には誰か先客がいたようだ
シャワーの音がするが…眼鏡が曇って何も見えん!
クソ!この湯気のせいか!
私は手探りながらシャワー室に入っていった
「シャワーのレバーはどこだ?曇ってて見えん…。」
私は眼鏡を吹いたりしてみたが、少しマシになっただけで変わりはなかった。すると、湯煙の中から声が聞こえてきた
「こちらですよ…?レバーは」
「済まない」
私は声が聞こえてきた方を向き、霞んだ視界でレバーを見つけた…
熱いシャワーが頭にかかり始め、曇ってた眼鏡が見えるようになり始めた
「ありがとう…。助かっ…?」
私は先程の声の主の方を見た。
そこには、銀色の髪をした少年が立っていた。少年の片目には火傷のあとのような跡があり、見えていないようだったが…もう一つの目は、ひどく綺麗な蒼色をした目だった。すると、少年は私の顔を見ると怪訝そうに言った
「何か?私の顔についていますか?」
「いや…!何でもない…」
「そうですか…。それではごゆっくり…」
少年はそう言うと、シャワー室から立ち去ろうとした。
しかし、私はとっさに声を出した
「まっ!待ちたまえ!」
「はい?」
少年は立ち止まると私の方を向いた
「君!名前は?」
「名前ですか?何故名乗られてもいないのに名乗る必要が?」
「済まない!私の名はレルゲンという者だ!君の名は?」
「ハァ…。僕の名は、クレッチマー…。それでは、レルゲンさんごゆっくり…」
少年は、少し敬礼をするとまた立ち去ろうとした。そして、私はまた声をかけた
「クレッチマー君!君はどこに所属しているんだ?」
クレッチマーは私を見て少し深いため息をつくと言った
「そこまで言わないと行けないでありますか?レルゲンさんそれにはお答えできかねますな…。それでは」
クレッチマーは答えることなく、シャワー室を出ていった。
私は、クレッチマーという少年とあのデグレチャフ少尉を何処と無く
重ねて見てしまっている自分がいた…。シャワーの音が虚しくシャワー室に響いていた
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シャワー室から出たクレッチマーは、軍服着て身だしなみを整えると略帽を深く被り、元帥の部屋の前に立つとドアをノックした
ドアの向こうから声が聞こえてきた
「誰かね?」
「ギュンター・アルノー・クレッチマーであります!」
「おお!遠慮をせずに入りたまえ」
「失礼致します!」
クレッチマーが扉を開けると、整理整頓された部屋の真ん中に大きな机があり、そこの椅子に腰掛けながら、こちらをニコニコしながら見ている。あごひげをたくさん蓄えたこの人こそ…!
この帝国海軍最高指揮官であり、最高司令長官…!
アルフレート・フォン・ティルピッツ元帥である
ティルピッツは椅子から立ち上がると、ニコニコ笑いながら、クレッチマーに近づいてきた。そして、クレッチマーに抱きつくと言った
「今回の作戦は良くやってくれた!!クレッチマー少尉!
いや…我が息子よ…!」
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次回!え?海兵隊を編成?