群狼戦記〜ブリッツ・フリート〜   作:ヨシフ書記長

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お久しぶりです。皆さん!
今回は飛行船についてです。
次からはフランソワ海軍との戦いです。



浪漫飛行

クレッチマーは目の前にある大きな飛行船を見ながら

口をあんぐりと開けたまま固まっていた。

すると、所長は笑いながらクレッチマーに近づいてきた。

 

「どうです?素晴らしい物でしょう?ツェッペリン伯爵閣下の最後の作品です。」

 

所長はクレッチマーに笑いかけながら言うと少し悲しそうな顔をしながら言った。

 

「しかし…とても悲しい事ですが。魔導師の技術発達や飛行機の発達でこれも時代遅れの産物と化してしまいました。」

 

所長はクレッチマーに下に降りる階段に案内した。

クレッチマーは更に飛行船の近くに近づくと目をパチクリさせた。

 

(ティルピッツ元帥が俺に見せたかったものはコレか!確かに飛行船なら船の上に留まる事も出来る…!

しかし…飛行船には弱点がありすぎる…。速度の遅さ、離着陸の困難さ、被弾性能の悪さ、内部のガスの引火性、天候にも弱い…etcこれらを考えると衰退するのは分かるが…。

しかし!飛行船にもまだやれる事がある!この世界の飛行機の発達はすごく遅れている!陸は回転砲塔の戦車を使っているに対して…空は未だに複葉機だ!海軍にも未だに空母という艦艇は無いからな!航空魔導師というものおかげでだ…飛行船ならこの時代の爆撃機の載せれる倍の爆弾を搭載できる…!)

 

クレッチマーはニヤリと笑うと所長を見て言った。

 

「所長…この飛行船のエンジンを先程のエンジンに換装する事は可能か?」

 

所長はクレッチマーの言葉に少しギョッとしながら言った

 

「ええ…。可能ですが…それが何か?」

 

「この飛行船をまた空を飛べる様にして欲しい…!離着陸の困難さを改善する為…エンジンを上や下、後ろや前に向けるように頼む。」

 

「…!!!す…少しお待ちください!」

 

所長は慌ててポケットからメモ帳と書くものを出すと、クレッチマーの言葉を書き記し始めた。

 

「装甲は…海軍が最近開発したジュラルミンかアルミ合金で頼む。武装は…40ミリ機関砲と20ミリ2連機関銃だ。中身のガスは…水素ではないもので安全性の高いもので頼む。」

 

「こんな感じで宜しいですか?」

 

所長はクレッチマーの言葉通りにスケッチを取るとクレッチマーに見せた。クレッチマーはそれを見ると言った。

 

「うむ…。これでいい。」

「し…しかし!これほどの改造するにはどれだけの資材と金がいるか…」

 

所長はクレッチマーに不安そうな顔をした。クレッチマーは飛行船を眺めながら言った。

 

「安心したまえ…。これを改造費は軍の予算でどうにかしてもらう様にティルピッツ元帥に進言しておく。」

「は…はぁ」

「カナリス提督にも相談はするつもりだよ?この飛行船は海軍の航空戦力が整うまでのものにしたいと思っている。」

 

クレッチマーは所長を見ながらそう言った。そして、腕時計を見ると言った。

 

「済まないが…所長。知っての通り…今わが国はフランソワに宣戦布告されたばかりだ。私は明日にはカール軍港に帰らなければならない。

この飛行船の案件は新型機開発と同時並行で進めて欲しい。頼んだよ?」

 

クレッチマーは所長を見上げながら、可愛く首を少しかしげるとそう言った

所長は嬉しそうに笑いながらこう言った。

 

「ええ!了解致しました!指令が出たらすぐにでも取り掛かります!」

 

クレッチマー達は階段を登り、格納庫の外に出ようとした時!

バイクに乗った兵士が慌てて近づいてきた!

 

「…!!!クレッチマー少尉殿でありますか?」

「ん…?確かにそうだが?」

「緊急電報であります!」

 

バイクに乗った兵士はクレッチマーを見ると口早にそう言った。

クレッチマーは怪訝そうな顔をしながらこう言った。

 

「緊急電報だと?」

「ハッ!北方艦隊司令本部よりであります!」

「…!?電報をくれ。」

「ハッ!これであります!」

 

クレッチマーは北方艦隊司令本部からの緊急電報という言葉に驚きつつも電報を受け取って見た。

 

「フランソワ オスロ二 ムケテ コウコウチュウ…!?

オスロフィヨルドにフランソワ海軍だと!?まさか!帝国海軍を港からフランソワ沖合にまで出さないつもりか!機雷原でも仕掛けられたら厄介だぞ!」

 

クレッチマーは叫びながら電報を見た。クレッチマーは伝令兵を睨むと言った。

 

「何故だ?北方に出てくる前に西方艦隊は何をしていた!」

 

「それが…西方艦隊は戦力温存で未だに軍港に停泊しています…。

今回の緊急電報を打ったのは北方艦隊側です…。」

 

伝令兵の言葉に更にクレッチマーは眉間にシワを寄せて怒った!

 

「何が!戦力温存だ!戦艦が出撃しないで何をしている!戦艦はこのような時のためにあるのだろうが!フランソワは陸軍だけの国だと思っているのか!奴らは協商の比にはならんほどの艦艇を持っているんだ!どれだけ舐めているんだ!」

 

クレッチマーは電報を握り潰すと怒気を篭った声でそう言った。

 

「もういい…!急いで参謀本部にこう伝えろ!"フランソワ海軍は何処なりや?西方艦隊は知らんと欲す!"それと北方艦隊にはこう伝えてくれ!"出撃可能の高速艇を準備されたし!"以上だ!急いで伝えろ!」

 

クレッチマーはそう叫ぶと伝令兵は慌ててバイクに跨り帰っていった

所長は慌てた様子でこういった。

 

「クレッチマー少尉殿…?大丈夫ですか?」

「まずい事態になってしまったよ…。所長…何か列車よりも早くカールに向かえるものはないかね?」

 

クレッチマーはそう言うと所長は少し考えこういった。

 

「…!。クレッチマー少尉!私についてきて下さい!」

 

小走りで走る所長について行くと滑走路の近くには一機の飛行機があった。クレッチマーはそれを見ると言った。

 

コウノトリ(シュトルヒ)…。」

 

クレッチマーの知っている史実ではある独裁者の救出作戦にも使われた飛行機があった。

所長は飛行帽を被り飛行機に乗り込むと言った!

 

「この飛行機は私が運転します!早く乗って!」

 

クレッチマーは所長を見ながら少し笑うと慌ててシュトルヒに乗り込んだ!




はい…次はフランソワ海軍との戦いです。
残念ながら潜水艦では追いつかないのでSボードでの活躍となります。



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