カロスの灯火   作:切断厨

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カロスの灯火

ヒャッコクシティ


ジュカイン(俺はジュカイン、探偵だ。カロス地方の事件を解決後少しカロスを回ろうと思ったのだが......)


歩いているジュカイン。
その周りを三匹の雌ポケモンが囲んでいる。


ファイアロー「ねぇ~まってよぉ」

スピアー「ちょっと~」

ゲッコウガ「わあ痛いおんぶ」

ジュカイン「どうしてこうなった......いい加減俺から離れろ!」

ファイアロー「いやだ~乙女の恋心は止められないのよ!」

スピアー「そうよ!」

ゲッコウガ「ダーリン」

ジュカイン(俺はここまで落ちぶれたのか......)

ファイアロー「どこが不満なの?」

スピアー「そうよ! いってくれなきゃわかんない~」

ゲッコウガ「容姿には自信しかない」

ファイアロー「あら? 一番かわいいのは私よ!」

スピアー「え? 私に決まっているじゃない~」


ジュカインは歩く速度を上げた。しかし三匹は一向に離れる気配をみせない。


ジュカイン「はぁ......」

ファイアロー「あっ」

スピアー「ちょっとぉ」

ゲッコウガ「まってよ」

ジュカイン(もちろん馴れ馴れしかったり付きまとってくるのも不満だが......)

ジュカイン「なんで全員俺と相性が悪いんだよ!」

ゲッコウガ「あら? 相性はばっちしよ」

スピアー「ベストな組み合わせなのよ!」

ファイアロー「いくよ!」

ジュカイン「......」

     
イライラが限界に達したジュカインは三匹にいわなだれを躊躇なく繰り出した。三匹が岩石の下敷きになっている間に全速力で逃げ出す。


ジュカイン(まったく・・いきなり話しかけてきてそのままついてくるなんて何を考えているんだか......)






ファイアロー「あのジュカインなかなかの手練れね......」

スピアー「まあ3体1なら楽勝だけどね」

ゲッコウガ「しかしこんなキャラでは奴を色仕掛けにはめることは無理ではないか? 高い猫なで声は喉の負担が大きいし」

スピアー「わかってないね! やつはもう術中にはまっているのさ!」

ファイアロー「しかし奴の仲間は一向に姿を見せないね......」

ゲッコウガ「術中?どういうことであるか?」

スピアー「奴の場合どんなに自然でも大抵の場合裏まで読まれてしまう可能性が高い。だが、最初からあのようなキャラで行けば敵とだけ思われてそれ以上詮索されなくなるという高等テクニックさ!」

ファイアロー「それに私たちは共通の目的のために協力しているにすぎない! つまりやつからは見に覚えのない刺客ということだね」

スピアー「私はやつによって殺された同胞のかたき......」

ファイアロー「私も奴のせいで稼ぎが悪くなった......」

ゲッコウガ「私の仕事も......であるな......」

スピアー「だから! なんとしてでも邪魔なアイツを殺す!」

ファイアロー「......仲間が見えないねぇ......」

ゲッコウガ「そうであるな」(さっき無視して申し訳なかった......)


補足
ゲッコウガ・・どんなターゲットも必ず仕留める凄腕殺し屋。裏世界の住人なら誰もが震えるルナシャインの異名を持つ。

スピアー・・同胞をジュカインの仲間に殺された復讐をするため協力した。他の部署にいたため九死に一生を得た。

ファイアロー・・麻薬のバイヤーだがジュカインのせいで売上げが低迷したため協力。


三日後......

ゲッコウガ「キャアー」

スピアー「まって~」

ファイアロー「わぁぁ!」

ジュカイン「しつこい!」

  


       
ジュカイン(くっ......迂闊だった......こんなことならさっさと帰ればよかった......だが帰れるのは明日......切符買ってしまったし......)











ファイアロー「仲間来ないんですがそれは......」

ゲッコウガ「そうであるな......」

スピアー「くっ......恐らく仲間は他の場所にいるのか......とりあえず殺そう! あいつがいなくなればまたもとの生活に戻れると思う!」

ファイアロー「行こう!」


ファイアロー「まってよぉ~!」


ファイアローのブレイブバードがジュカインに当たった。
威力を加減したのか瀕死とまではいかなかったが、殺意を見せつけるのには充分だ。


ジュカイン「何!?」

ゲッコウガ「何をふざけておる? もう元に戻るである」

ジュカイン「貴様等......!」

スピアー「喰らえ!」


放たれたミサイルバリを紙一重で避けていくジュカイン。


ジュカイン「俺を狙う刺客か。だがここで倒れるわけにはいかん!」  

ゲッコウガ「何があるかは知らぬがこちらにも生活がかかってはいるからな......ここで......殺す!」


ジュカインはゲッコウガ目掛けてきあいだまを撃つが、簡単に避けられる。


ゲッコウガ「遅い、邪魔である!」


瞬時に発射されたれいとうビームは勢いそのままにジュカインに直撃。


スピアー「いまだ手を緩めるな!」


倒れたジュカインに対してスピアー、ファイアローはそれぞれミサイルバリ、オーバーヒートを上から浴びせる。
しばらくすると完全にジュカインの動きが止まった。


スピアー「やった! 遂に目の上のたんこぶを消せた!」

ゲッコウガ「これでまた元のように暮らせるであるな」 

ファイアロー「じゃあこの同盟は解散ということで! また邪魔者が現れたら協力して居場所を守ろう!」

三匹「おぉー!」


3日後、ポケモンセンター


ジュカイン(俺はあのあと救急車に運ばれ、なんとか一命をとりとめることができた。意識を取り戻したのは2日ほど前だ。しかし......)


左腕だった場所に目を移すジュカイン。そこにはかつての面影はまるでなく肩がかろうじて確認できる程度だ。


ジュカイン「もう廃業か......」

ラッキー「お薬変えますね。気分はいかがですか?」

ジュカイン「あまり悪くはない......」


もちろん嘘だ。このあとの生活に関わる問題だからだ。
仕事柄覚悟は出来ていたが、いざ起こると不安にかられるのは仕方のないことだろう。


ジュカイン「俺のやって来たことは間違いだったのだろうか?」

ラッキー「あなたがどのようなポケモンかはわかりませんがあなたは自分の信念を貫き通すことができる方だと思います」

ジュカイン「......すまなかったな......余計な気遣いをさせてしまって......」

ラッキー「いえ! 患者さんの心のケアも医者の大事な勤めですから! 特にあなたのような大事なものをなくされた方は......」

ジュカイン「大事なものか......確かにそうだな......」

ラッキー「確かに左腕はとっても大事なものとは思いますが、それ以上に大事なものをあなたは失っていると思います」

ジュカイン「それはなんだ? 何とかしてくれないか?」

ラッキー「そこまではわかりませんよ。わたしはメンタリズムはわかりませんから。ただそれは医術ではどうにもならないことだとはわかります」

ジュカイン「どういうことだ......」

ラッキー「では私はこの辺で!」 

ジュカイン「すまなかったな......」

ジュカイン「あの日からあと4日で1年か......ジュカインナイト......あのあと回収したものだが結局使うことはなかった」


2日後


ラッキー「もう大丈夫みたいですね。お大事に」

ジュカイン「世話になったな礼を言う」


ジュカイン(今日帰れば間に合うか......結局切符を買い直すはめになってしまったが......)

ジュカイン(だがあの三匹はこの地方の悪......手配書も出回っているほどの。見過ごす訳にはいかん)

ジュカイン(しかし片手では満足に戦えない......距離感が掴めず、命中精度も悪くなるだろう)

ジュカイン(戦わずして負けるか、戦って死ぬか......)


物陰


「助けて!」

ルチャブル「へっへっへ! 誰も来ねえよ!」

「やめて......」

ルチャブル「ん? 嬉しいのか? そうか」

ジュカイン「その手を離せ」


ジュカインは無意識に声がする方へ走り出していた。そこではルチャブルがペロッパフを襲っていた。


ルチャブル「なんだ貴様? 俺の楽しみを奪うな!」

ペロッパフ「うっ......」

ルチャブル「それに隻腕......代わりに襲われに来たってことか?」

ジュカイン「貴様など右腕だけで充分。この場を速やかに去るか抵抗するか選べ」

ルチャブル「口だけは達者だな! まさかお前裏社会の探偵のジュカインか? 今の自分の現状をよく見てみろ!」

ルチャブル「はぁぁぁぁぁ......!」


光に覆われるルチャブル。


ジュカイン「......」


ジュカインはいわなだれを繰り出した。それはルチャブルと自分を遮るようにそびえ立っている。


ルチャブル「はああぁぁぁぁぁ!!!!」


ルチャブルのゴッドバード。岩を破壊しつつ高速で突っ込んでいく。


ルチャブル「岩をも砕くこの破壊力!」

ジュカイン「......当たっていれば一撃だった......」

ルチャブル「何!?」

      
リーフブレードを上空から斬りつけるジュカイン。
油断したルチャブルはそれをかわす術を持たず、直撃して倒れた。


ルチャブル「貴様......!」

ジュカイン「あのいわなだれは防御じゃない......」

ルチャブル「半減でも......この威力......なんて威力だ......」

ジュカイン「高度を稼ぎ威力を上げ、またかわされにくくする要......!」

ルチャブル「この先も......続けるつもりか......? 片腕で......」

ジュカイン「もちろんだ。俺はもう迷わん」

ルチャブル「......ふふふ......」

ジュカイン「......」 

ペロッパフ「......」


近づいてくるジュカイン。反対にペロッパフは恐怖から震えている。


ペロッパフ「怖い......」

ジュカイン「......」

ペロッパフ「はぁ......はぁ......」

ジュカイン「ありがとう......」 

ペロッパフ「?」


1週間後


ニュースキャスター「さて。次のニュースです。ポケ知れず闇を切り裂き邪悪を刻む隻腕の剣士がまたもや犯罪者を獄中にいざないました! この方はいったい何者なのでしょうか? 番組では彼への情報を引き続き大募集しています!」

「スゲー」「まじぱねー」「ありえねー」「誰なんだ?」「なあー」


スラム街


ファイアロー「お前なんて!」

ジュカイン「そこでブレバ......ならば!」
        

ジュカインはファイアローのブレイブバードをりゅうのはどうを地面に撃ったことで生まれた反作用でかわす。


ファイアロー「上を取られた......!」

      
上空から放たれるリーフブレードはファイアローの身を真っ二つに切り刻んだ。


ファイアロー「どうして......私の......邪魔ばかり......」

ジュカイン「......」

ジュカイン「......ん?」

スピアー「ファイアロー! 」

スピアー「そんな.....ファイアロー......」

ジュカイン「偶然だな。次は貴様を殺す」

スピアー「これ以上大事なものは失いたくない......どうして......次々と奪っていくの......?」

スピアー「自分の正義のために......他のポケモンを殺してもいいの? お前を嫌う者たちはみんな好きで犯罪に手を染めている訳じゃない......そうしないと生きることすらできない......」

スピアー「そんなポケモンの気持ちがお前にわかるかぁぁぁぁ!!!」

ジュカイン「御託は充分か? 死ね」


言い終えるとリーフブレードでそ胴体に斬りつけた。


ジュカイン「貴様らの気持ちなど理解できなくて結構だ」

スピアー「あ......ぐ......死ねない......絶対に......」

ジュカイン「ならもう一発!」


再度スピアーに襲いかかる刃。だがそれは何者かの手に掴まれ防がれた。


ゲッコウガ「やめろ」

ジュカイン「貴様を探す手間が省けた。死ね」

ゲッコウガ「正義を履き違えたか......」

スピアー「ゲッコウガ!?......どうしてここに?」

ゲッコウガ「隻腕の剣士を殺す依頼が来たのでな、こいつを仕留めに来たのである」

ゲッコウガ「スピアー、あんたはさっさと逃げるである!」

スピアー「ゴメン......」


素早く飛び逃げるスピアー。ジュカインはそれを放置すると新たな強敵に対し殺意を向けた。


ジュカイン(スピアーなどこいつを殺してから探し出せばいいだけだ)

ゲッコウガ「変わったな......もはやただの殺人鬼だ。獄中に送った犯罪者などごく一部であり大半は殺害したことなど調べはついておる!」

ジュカイン「......俺は変わってねえよ、今も昔も。犯罪ポケはぶち殺す!......それだけだ」

ジュカイン「こいつを使うのは貴様が始めてだ」


するとジュカインは以前クチバシティでの事件の際に回収していたジュカイナイトを取りだし、空高く掲げた。


ジュカイン「あれ?」


しかし石が光ることはなく、メガシンカを行うこともできない。


ゲッコウガ「今の貴様にメガシンカなど使いこなせるものか!」

ジュカイン「なんだと!? そんなはずはない! 俺が正義だ! 俺が正しい! 俺の信念、やって来たことは間違いなんかじゃない!!」

ゲッコウガ「......これ以上話しても無駄か......」


リーフブレードとれいとうパンチがものすごい早さで衝突。両者は一歩も退くことなくそれぞれの右腕に力を込める。


ジュカイン「貴様を殺して俺が正しいことを証明するため......」

ゲッコウガ「私の同胞たちのため......殺されていった者たちのため......そして私のため......!」

ジュカイン・ゲッコウガ「「絶対に負けられない!」」


いわなだれを生み出しゲッコウガの頭上に放つジュカイン。


ゲッコウガ(岩を足場にするつもりであるか......つまり奴は上!)


ゲッコウガはジュカインの戦闘スタイルを熟知していたため、ジュカインの次の行動を予測、上空につじぎりで突っ込んだ。
その刃はジュカインの腹部を捉えたが一方で零距離からのきあいだまを受けてしまう。
両者とも地面に落下した。
          

ゲッコウガ「うぐっ......ハアハア......」

ジュカイン「おのれ......!」


全力で撃ち放ったジュカインのリーフストームとゲッコウガのふぶきが激突。
互角の力はしばらく拮抗したあとに総殺された。


ペロッパフ「おじさーん!」


こう叫びながら駆けてきたのはペロッパフだった。
どうやら彼はジュカインのあとを追って来てしまったらしい。


ジュカイン「ハアハア......」

ゲッコウガ「ぜぇ......はあ......」

ペロッパフ「やめてよ!! おじさん!!」


ジュカインの側に辿り着いたペロッパフは息を切らしながらこう叫ぶ。


ジュカイン「お前はあのときのガキか......あのときは世話になったな......礼を言う。ここは危険だ......早く離れろ!」

ペロッパフ「どういうことかはわからないけど......こんなことよくないよ!」

ジュカイン「勘違いするな......やつは殺し屋......悪。俺は正義だ」

ペロッパフ「でも......」

ジュカイン「俺が正しいんだぁぁぁぁぁぁ!!!」

ペロッパフ「うぅ......」ビクッ

ゲッコウガ「いい加減にしろ! 貴様はもう伝説の探偵でも隻腕の剣士でもない! ただの凶悪な犯罪者......まあ私が言えた口ではないないことは承知しておるが」

ジュカイン「ふざけるなぁぁぁぁ! メガシンカだ! メガシンカメガシンカメガシンカメガシンカ......」

ペロッパフ「おじさん......」

ゲッコウガ「子供よ......速やかに立ち去れ......君にはこんなこと......見せるべきではないからな......」

ペロッパフ「嫌だ......」

ゲッコウガ「そうか......覚悟!」


ゲッコウガは右拳に冷気を纏わせると狂ったジュカインにゆっくり近づいた。
刹那、抵抗する素振りを見せないジュカインの顔面目掛けてれいとうパンチが襲いかかる。


ジュカイン「どうした? ガキの前じゃできないのか?」


ゲッコウガの拳はすれすれで止まっていた。


ゲッコウガ(子どもの前でこんなこと出来るか......)

ジュカイン「よく見ておけ! これが正義だ!」


リーフブレードを発動したジュカイン。


ペロッパフ「......!」 

ジュカイン「......」

ゲッコウガ「貴様も......完全に地に堕ちたわけではないようだな......」


横凪ぎに振られた緑の刀もゲッコウガに当たることはなかった。残り少しの場所でそれより先にいかない。


ゲッコウガ「今回は手を引いてやる。クライアントには逃げられたことにしておいてやる。......それに私はただの凶悪犯でなく伝説の探偵としての貴様を殺したいからな」

ジュカイン「......」

ペロッパフ「おじさん......」


その場に座るように倒れこんだジュカインはそれから微動だにしなかった。
それは数日間続き、徐々に弱っていく。


リザードン「久しぶりだな」


そこにかつて共に戦ったリザードンが現れた。


ジュカイン「誰......だ......」

リザードン「忘れちまったのか? ジュカイン」

ジュカイン「なぜ......ここ......にいる」

リザードン「話はあとだ! とりあえず来い!」

ジュカイン「まて......」

リザードン(こいつ...信じられないくらい軽い......何があったんだ!?)トビタツ


リザードンはジュカインを担ぐと猛スピードで飛び上がった。


ポケモンセンター


リザードン「よろしくお願いします」

ラッキー「わかりました」

ラッキー(あのジュカイン......あのときのよね......全然違う)


病室


ジュカイン(俺は正義だ俺は正しい俺は正義だ俺は正しい俺は正義だ俺は正しい俺は正義だ俺は正しい俺は正義だ俺は正しい俺は正義だ俺は正しい俺は正義だ俺は正しい俺は正義だ俺は正しい俺は正義だ俺は正しい俺は正義だ俺は正しい俺は正義だ俺は正しい俺は正義だ...)


別室ではリザードンとラッキーが椅子に座り向かい合って話している。


リザードン「何とかできないんですか?」

ラッキー「残念ながら、我々では対処のしようが....」

リザードン「そんな......じゃああいつは一生あのまま......」

リザードン「あなたは先程、以前にもジュカインを診たことがあるとおっしゃっていましたが左腕がないことと何か関係があったりしますか?」

ラッキー「それはわかりませんが以前はその事でひどく心が沈んでいました......」

リザードン「そうですか......」

ラッキー「すみませんが私はこれで失礼します」

リザードン「あ......はい......ありがとうございました」

ジュカイン「俺は正しいんだ!!」


病室の扉を蹴り破ったジュカインがリザードンの元にやってくる。


リザードン「どうした?」

ジュカイン「はあはあ......俺は正義だ! 俺にたてつくものは悪なんだ! 悪はすべて滅びるべきなんだ!! 理由なんて関係ない! 存在が罪だ! 俺がそいつらを殺すんだ!!」

リザードン「いい加減にしろ!」

リザードン「お前は間違っている! すべてにおいてな!」

ジュカイン「そんなはずはない! 俺は正義だ!」

リザードン「確かにお前からすれば正義だろうな。だがそれは間違っている!」

ジュカイン「どういうことだ!」

リザードン「お前は今までなんのために悪を打ち払ってきた? 悪を倒したいからか? 金がほしいからか? 世間の名誉?」

ジュカイン「黙れぇぇぇぇぇ!!!!!!」

ジュカイン「俺はただ......」

ジュカイン(ホウエンのために調査したり、改造ポケモンたちと戦ったり、造られたポケモンを相手したり......助けることが出来なかった者もいる......勝てなかったことも数知れずあった....でも......)

ジュカイン「俺は守りたかっただけなんだ......不当に奪われる命を......救いたかっただけなんだ......」

リザードン「それだけで充分じゃねーか」

ジュカイン「すまない......俺は大事なことを忘れていた」

ジュカイン(どうして忘れていたんだろうか、俺の原点を....)

リザードン「それからお前の隣で倒れてた子供に一言言っとけ」

ジュカイン「倒れてたガキ? まさかペロッパフか?」

リザードン「そうだ。お前のことをひどく心配していた。お前と同様に数日間何も食べていないようだったし」

ジュカイン「わかった......」


リザードンから病室を聞き出したジュカインは病院内でかつ自分の身体も回復していないのにも関わらず全速力で向かった。


ジュカイン「ペロッパフ!」

ペロッパフ「おじさん......やっと名前で読んでくれたね......」

ジュカイン「すまなかった......俺がどうかしていた。何が正しいなんてわからない......だけどやはり決着はつけないといけないと思う」

ペロッパフ「頑張ってね......おじさん!」

ジュカイン(いまが俺の再出発だ...)


ラッキーに見つかると、安静にしているように言われると思ったジュカインはこっそり窓から逃げ出した。


裏路地


ジュカイン「この辺りにいればやつに会えるか?」

ゲッコウガ「正解である。目を見るにどうやら伝説の探偵に戻れたようだな。それでこそ殺しがいがある」

ジュカイン「俺はお前を倒しにきたわけじゃない。以前にいってたよな? やりたくてやってる訳じゃない。生きるために仕方がないと」

ゲッコウガ「確かにそうだがそれを言い訳にしようとは思わん。日々死を覚悟している」

ゲッコウガ「それに生きるためにお前が邪魔なのは変わらないである。あのときは偉そうにいったが私は殺し屋だからな......お前を殺す!」

ジュカイン「ならば俺も容赦はしない。お前を倒す!」


放たれたハイドロポンプとエナジーボール。二匹は二つの技をお互いに紙一重でかわしつつ、進撃していく。


ジュカイン「やるな。では見せてやる。これが俺の新たなる力。メガシンカだだ」

ゲッコウガ「ほう。これだ、これを待っていたである!」

ジュカイン「はあぁぁぁぁ......」

ゲッコウガ「来い......」

ジュカイン「!!!!!!」


ジュカインが精神を整えると彼は緑の殻のようなものに包まれる。
その殻はハイドロポンプの連射を防ぎきると役目を終えたように粉々に割れた。
そこから現れたのはより狂暴な姿へ変化した竜だ。



メガジュカイン「遂になれた......これが......」

ゲッコウガ「それで勝ったつもりであるか? ここからが本当の戦いであろう」


メガジュカイン「そうだな」

 
リーフブレードを発動し、構える。


ゲッコウガ「この刃で答えてやろう」

      
ゲッコウガもつじぎりの体勢に入った。更に生み出した刃には冷気が纏われていた。


二匹は地上、中空、建物の上など、あらゆる場所に一瞬で移動しながらお互いの刀を交わした。
素早さ、威力、キレ、読み、ありとあらゆる能力がまったくの互角である両者であるため、しばらくの間打ち合いが続く。



ゲッコウガ「はあはあ......」

メガジュカイン「奥義......これで終わりだ」


メガジュカインが渾身の力で地面を尻尾で叩きつけるとそこから巨大なツタが何本も、ジュカインをの姿が見えなくなるほど現れた。
それらはまるで意志を持つかのようにゲッコウガに襲いかかる。


ゲッコウガ「ハードプラントであるか......甘いわ!」


しかしそれらはゲッコウガの目からは明らかに遅く見えた。容易にかわされ、切り刻まれてしまう。


ゲッコウガ(奥義を破られたことでジュカインは動揺するはず。その隙をついて殺す!)


ゲッコウガのつじぎりによってすべてのツタが切断された。だがそこにメガジュカインの姿はない。


メガジュカイン「奥義はそう簡単に破られないから奥義って言うんだ」


メガジュカインはゲッコウガの遥か頭上から指導するように言った。


ゲッコウガ(まさか......ハードプラントは囮? そしてあの高さからリーフブレードを喰らわされたら......)

メガジュカイン「とどめだ!」


剣を構え、防御の体勢を作るゲッコウガだが、メガジュカインの放ったソーラービームの前にはまったくの無力。
メガジュカインは生み出したハードプラントで自分の身を隠しつつ、ゲッコウガがそれの対処に追われている間に切られていくツタの破片を足場にして上へ登りながら反動の時間とソーラービームのチャージ時間を稼いでいたのだ。


ポケモンセンター


リザードン「ジュカイン大丈夫ですかね......」

ラッキー「そう願いたいものですね」

ペロッパフ「おじさんは絶対に勝って帰ってくるんだ!」
 
リザードン「そうだよな。あいつは帰って来てくれる......」

リザードン「......」

ラッキー「......」

ペロッパフ「......」

ペロッパフ「お願い......」


ジュカイン「すまない。遅くなった」


全身傷だらけで帰ってきたジュカイン。その右腕には青いポケモンが持たれていた。


ペロッパフ「おじさーん!」


喜びからジュカインの足目掛けて駆けていく。
ジュカインもそれを拒むことはしない。


リザードン「ジュカイン!」

ジュカイン「早速で悪いがこいつを頼み」

ラッキー「この方は?」 

ジュカイン「巻き込んでしまっただけのただの一般ポケモンだ。任せた」

ラッキー「はい! わかりました!」

ゲッコウガ「ジュカイン......私は......」

ジュカイン「黙ってろ......」

ラッキー「大丈夫ですか? こちらです!」


ラッキーはゲッコウガを受け取ると急いで奥へ消えていく。


リザードン「今のってまさか......」

ジュカイン「なんのことだ? 何も知らないである」

リザードン「まあべつにどうでもいいけどさ。てゆうか"知らないである"ってなんだよ」ワライナガラ

ジュカイン「あ.....いや......別に何でもない!」(移ってしまったのか......)

ジュカイン「じゃあ俺は行く。縁があったらまた会おう」

ペロッパフ「そんな......おじさん!」

ジュカイン「世話になったなペロッパフ。ありがとな。お前のことは絶対に忘れん」

ペロッパフ「......」

ジュカイン「......大きくなったらいつでもこい......」

ペロッパフ「うん! 僕もっともっと強くなったら必ず会いに行くよ! じゃあね! おじ...... ジュカインさん!」

ジュカイン「まあ俺がどこにいるか教える気はないがな」


そのまま振り替えることなくジュカインは去っていった。
その後ろ姿に感化された一匹の少年の新たなる目標が掲げ上げられた瞬間でもある。


病室にはゲッコウガがベッドに寝かされていて、横にラッキーがいる。


ゲッコウガ「ジュカイン......」


そこにリザードンが現れる。


リザードン「ジュカインが帰りましたよ。俺もそろそろ出ますね」

ラッキー「そうですか。ありがとうございます。ではお気をつけてくださいね」

ゲッコウガ「ジュカインはどこにいった!?」

リザードン「さあな。俺もわからん」

ゲッコウガ「私も行くである!」


リザードン「である......か」

ラッキー「そんな。ダメですよ!」

リザードン「行かせてやってくださいよ。恋する乙女は止められませんよ」

ゲッコウガ「べ......べつにそんなんじゃないんだからね!」

        
ラッキー「あ!......いっちゃった......」

リザードン「じゃあ俺はこれで」(やはりあいつがジュカインと戦っていた者か。やつも粋なことをするぜ)  


リザードンは窓を開けるとそこから飛び去った。


ラッキー「わっ!」

ラッキー「忙しいポケモンたちでしたね......」


空を飛びながら誰かと通話しているリザードン。


リザードン「あぁ。ヒャッコクにもあったぜ。キンセツ、クチバで回収された奴も含めてこれで三着、残り二着だな」

リザードン「それにしても本当にこんな布切れに世界をどうにかしちまうほどの力が込められているのか? 俺にはとてもそうには見えないが......」

リザードン「わかったよ......とにかく持っていく。それで文句はないだろ? ラティオス......」


おわり



今回はジュカインに視点を置いたスピンオフでした。ご観覧ありがとうございました。






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