無個性より苦労してます。   作:ソウルゲイン

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関覧された皆さんからよく言われた主人公のテンションについてなんですが、自分で読み直したところ、確かにおかしく見えてしまったので、所々修正を加えます。
勢いで書いていると、どうしてもキャラが振れてしまうので、これから修正が増えると思いますのでご了承ください。


第8話

「「「個性把握テスト!!?」」」

 

 雄英のグラウンドまで連れてこられたクラス一同。

 突然のことに全員が戸惑っているが、担任である相澤先生はそれを気にせず説明を続ける。

 説明を聞くと、中学でも行った体力テストを"個性"を用いて行うそうだ。

 

「爆豪、"個性"を使って投げてみろ。・・・思いっ切りな」

 

 金髪のイガグリ頭の男・・・・爆豪が呼ばれ、相澤先生にソフトボールを手渡さらる。

 ソフトブール投げか・・・

 爆豪が言うは、本人が持つ記録は67メートルとのこと。

 個性を用いればどれだけ飛ぶか・・・

 

「死ねえ!!!」

 

 乱暴な掛け声と共にボールが彼方へと飛んでいき、記録は・・・

 

「『705.2m』」

 

 相澤先生が手にするタブレットに記録が表示される

 

「自分の最大限(・・・)を知る。それがヒーローの素地を形成する合理的手段・・・」

 

「なんだこれ!! すげー面白そう!」

「"個性"思いっきり使えるんだ!! さすがヒーロー科!!」

 

 以上、体力テスト8種目を個性を用いて行う。

 個性を自由に使えることにクラス一同は喜び騒いで楽しんでいるが

 

「ヒーローになる為の3年間、そんな腹づもりで過ごしているのかい?」

「「「!?」」」

 

 当然、相澤先生はそんなクラス全員の状態をよしとしない。

 

「よし、トータル成績最下位の者は見込み無しと判断し除籍処分としよう」

「「「!!?」」」

 

 理不尽な言葉を突きつけてきた。

 あまりの理不尽な言葉にクラス一同は当然騒ぐが、相澤先生は"理不尽(ピンチ)を乗り越えろ"と言い、みんなの言葉をバッサリ切り捨てる。

 

「"Plus Ultra(プルス ウルトラ)"さ、全力で乗り越えて来い」

 

 入学初日でいきなりのふるい落としだな。

 

 ――だが、最下位1人だけを除籍するのは妙だ。

 先日、おれの家に訪ねてきた時、見込み無しは容赦なく切り捨てると言い放っていたし、1人だけでを限定しての除籍はおかしい・・・脅しか何かか?

 ――まあ、深く考えても仕方ないな。

 とりあえず全力で挑むだけだ。

 

 ――――

 

 

 

 

 ◇

 

 第1種目:50m走。

 

「『3秒04!』」

 

 最初の種目、50m走で大記録が出る。

 走っているのは"エンジン"の個性を持つ飯田で、足のエンジンが有り、後ろ側に排気筒がついている。

 走ることに置いてはとても強力な個性だな。

 

「次、瀬呂と造理」

 

 俺の番が回ってくる。

 さて、どうする? 普通に走るか、走らない(・・・・)形で行くか・・・

 

「位置に付け、よーい・・・」

 

 ―――走らない方で行くか。

 俺はしゃがみ、後ろ側の地面に手を付ける。

 

「スタート」

「《錬成》!」

「「「!!?」」」

 

 グラウンドの土を自身を押し出す形で常時生成。

 俺はしゃがむ体制を維持し、ラインに添って突き進んでいきゴールを切る。

 

 ――そして

 

「『3秒38!』」

 

「うわ! 土が盛り上がった!!」

「すげえ個性だな!」

「これじゃ次の人、走れないよ!?」

 

 タイムは3秒38、・・・・飯田には及ばなかったか。

 一緒にスタートした奴も驚いていたが、まあ気にする必要ない。

 

「造理、・・・ちゃんと戻しておけよ?」

「分かりました」

 

 俺はコースを元の形に戻し、クラスメイトのいる場所に戻っていく。

 

「さすがね、あなた」

「?」

「蛙水 梅雨よ。梅雨ちゃんと呼んで」

 

 戻ると、蛙の少女・・・蛙水 梅雨が声を掛けてきた。

 

「入試試験の時にも思ったけど、あなたの個性すごいわ」

「鍛錬の賜物だ。まあ所詮、小細工だから大したことじゃない」

「2位のタイムで大したことないの?」

 

 実際タイムで飯田に負けている。

 あいつは足でブーストしているため、歩幅と距離が噛み合っていないし、トップスピードはもっと早いだろう。

 スピードでは完全に負けている。

 

「お互い頑張りましょうね、造理ちゃん」

「・・・・ああ」

 

 ちゃん付けで呼ばれるのは初めてだ・・・・。違和感だらけだな。

 彼女と話した後、全員走り終えたが、3秒台を出したのは俺と飯田だけ。

 俺は50m走を2位で終えた。

 

 

 

 ◇

 

 第二種目:握力

 

「540キロて!! あんたゴリラか!? タコか!!」

「タコって、エロいよね・・・・」

「・・・・・・・・」

 

 触手の大男、"障子"が握力テストで大記録を出した。

 見たところ個性で腕を無数に作りその腕全部で握力計を握ったみたいだ。

 他にもポニーテールの女、"八百万"が小型の電動式機械アームを作り、300キロを叩き出す。

 どうやら彼女の個性は俺の上位種のようだな。

 しかも自分の体から元素に関係なく物を造る・・・いや、生み出していると言った方が正しい。

 俺の場合はあくまで製造だが、彼女の場合は創造か? ・・・・とても強力な個性だ。

 

 ――そして俺の記録は

 

「『151キロ』」

 

 俺は工作代用のクランプを造り、記録を伸ばした。

 残念ながら俺には、精密な電動式機械を造ることはできないため、手動の動かす工作代用のクランプ(強化版)で記録を伸ばした。

 結果は3位で終わった。

 まあ、普通にやってもりんごを握り潰すぐらいの握力はあるんだが・・・・。

 

 

 

 ◇

 

 その後色々、種目は続いた。

 

 "立ち幅跳び"

 

 これは意外と接戦であり、俺と爆豪、それとナルシストの男"青山"で上位を争った。

 青山は腹から出るレーザーを利用して後ろ向きに跳び、爆豪は爆風を利用して飛び、俺はスタートラインで柱を斜めに向かうように造り、その柱の先に乗り、大幅に記録を伸ばす。

 他にも蛙水が蛙の脚力を利用して距離を伸ばし、八百万は手の平から棒を創造し棒高跳びの要領で距離を伸ばしたが、俺を含めた3人には及ばず。

 俺は上位に入ることが出来た。

 

 "反復横跳び"

 

 これは個性を使う必要は無い・・・・と言うよりも、使いようが無かったと言ったほうが正しいな。

 ブドウ頭の男"峰田"が頭に付いた玉をもぎ取り、それを左右に置いて弾みを利用して大記録を出していた。

 他の奴らも個性を使っていない奴がほとんどで、唯一、爆豪が両手を左右に向け爆破を利用して挑んでいたが、疲れが見えたのか途中で失速。

 俺も普通にやったが、それでも上位に入ることが出来た。

 そして次は"ソフトボール投げ"。

 ここで物凄い記録が生まれる。

 

「『記録∞』・・・・。」

 

 "麗日 お茶子"、彼女は触れたものを浮かすことが出来るみたいで、投げたボールは落ちること無く、天高く舞い上がって行き、結果∞と成った。

 ――この記録は誰も抜くことはできないな。

 

「次、造理」

「ハイ」

 

 俺の番・・・。

 

「彼の番か? 次はどんなことをするんだ?」

「造理ちゃんはこれまで種目全部、上位にはいってるわ」

「50m走の時、すげーことやってたからなあ」

「同じ、物を造り出す個性をお持ちの為、興味がありますわ」

「何やるのか楽しみ!」

「・・・・ケッ!!」

「・・・・・・・」

 

 いつの間にか興味の対象になってしまったが、まあ、気にする必要はない。

 さて、どうやって記録を延ばすか?

 

 ―――あれ(・・)をやってみるか。

 

「先生、準備のため5分程ください」

「・・・・早く済ませろ」

 

 先生の了承は得た・・・・では

 

「《錬成》」

 

 地面に手を付け、生成を始める。

 さらに・・・。

 

「《錬成》、《錬成》、《錬成》」

 

 次々生成し、ある物が造られていく。

 ――それは

 

「大砲だ」

「大砲だな」

「大砲だね」

「大砲だわ」

「大砲ですわ」

「うわ! 大砲だ!」

「・・・・・・・・」

 

 出来上がったのは大砲。

 それも只の大砲ではなく、長距離砲・・・アームストロング砲(改良版)である。

 この大砲は従来の物とは違い一体型ではなく、いくつものパーツに分かれている為、造るのにどうしても時間が掛かってしまう。

 俺は砲弾となるボールを詰め、発射準備に取り掛かる。

 

「・・・お前たち」

「「「?」」」

 

 俺はクラス一同に声を掛ける。

 

「・・・・耳を塞いだ方が利口だぞ」

「「「!!?」」」

 

 俺は涼しい顔でそう言い放ち、クラス一同全員、耳を塞いだ。

 ――それでは

 

「発射」

 

 発射と同時に耳を塞ぎ、ボールは遥か彼方へと飛んでいく。

 記録は・・・。

 

「『2507.3m』」

「「「おおおおっ!!!」」」

 

 大記録に驚く一同。

 3000mを越えることが出来なかったが、まあ、砲弾がボールだったから仕方がないか。

 戻るとクラスメイト達がすごいだのなんだの言い寄ってきたが、俺はそれを適当にあしらう。

 そして、次に投げたのがソバカスの男子"緑谷 出久"だったが、こいつがどうもおかしい・・・。

 

「『46m』」

 

 緑谷がボールを投げた瞬間、相澤先生が個性を発動し、緑谷の個性を打ち消した。

 相澤先生が緑谷を詰め寄らせ何か指導のようなことをしているが、よく聞き取れない。

 相澤先生が個性を使ってまで打ち消したという事は、緑谷の個性は発動したら何か問題が起こるのだろうか?。

 しかし、クラスメイトの反応もおかしいものがある。

 飯田や麗日は緑谷の個性は凄いと言っているが、爆豪は緑谷は"無個性"と言いう。

 ――情報が滅茶苦茶だ。

 これまでの成績を見ても身体能力は平凡の少し上ぐらい・・・・よく解らない奴だ。

 相澤先生の指導が終わり、再びボールを投げようとする緑谷。

 すると・・・。

 

「SMASH!!」

 

 ボールが遥か彼方に飛んでいく。

 

「『705.3』」

「まだ・・・・・動けます」

 

 大記録を叩き出す。

 よく見るとあいつの人差し指が紫色に変色しているのが分かる。

 あれは確実に骨が折れているな・・・・しかも涙目になっているし。

 個性の副作用か?・・・・いや、骨が折れてしまうほどの大パワーを出す個性か? もしそうなら凄まじい個性だな。

 指一本であれだけのパワーを出せるなら、本気のパワーは一体どれほどのものなのか・・・。

 まるで、"オールマイト"みたいだな。

 その後、何故か爆豪が怒号を挙げ緑谷に向かって行ったが、相澤先生によって捕縛される。

 一体、何なんだこいつら?

 トラブルが多々起きたが、その後もソフトボール投げは続き、八百万が俺と同じような大砲を創り出したが、サイズが小さめで飛距離はあまり伸びずに、記録は1701.7mで終わり、俺は2位で終わった。

 

 その後の競技は続く。

 "上体起こし"に"長座体前屈"、そして"持久走"

 上体起こしと長座体前屈は、個性を無使用で挑戦。

 これは無理に個性を使用すれば体を壊しかねない為、仕方がない。

 女子には敵わなかったが、男子の中ではトップを取ることが出来た。

 

 ――最後に行われたのは"持久走"

 これは、八百万の独走であった。

 八百万は中型の単車を創り、時速80キロ程で独走し、それに続いたのは飯田と俺で、飯田は足のエンジンを吹かし、俺はスピード用のインラインスケートを造って走る。

 こんなものしか造れなかったが、インラインスケートも性能とテクニックが有れば、最高時速60キロは出すことが出来る。

 飯田とデッドヒートを繰り広げていたが、最後に飯田が意地を見せ2位でゴール。

 俺は3位で終わった。

 これで全種目が終了・・・・。

 

「んじゃ、パパっと結果発表」

 

 相澤先生が持つ端末に結果が表示された。

 

  1位:八百万 百

  2位:造理 錬

  3位:轟 焦凍

  4位:爆豪 勝己

  5位:飯田 天哉

  6位:常闇 踏陰

  7位:障子 目蔵

  8位:尾白 猿夫

  9位:切島 鋭児郎

 10位:芦戸 三奈

 11位:麗日 お茶子

 12位:口田 甲司

 13位:砂藤 力道

 14位:蛙吹 梅雨

 15位:青山 優雅

 16位:瀬呂 範太

 17位:上鳴 電気

 18位:耳郎 響香

 19位:葉隠 透

 20位:峰田 実

 21位:緑谷 出久

 

 俺は2位。

 1位の八百万とは僅差だったが、どの種目も1位は取れなかったから、仕方がないか・・・。

 ――そして最下位になったのは緑谷。

 あいつは怪我が影響して、ソフトボール投げ以降の種目は散々であったから仕方がない。

 最下位は除籍との話しだったが・・・。

 

「ちなみに除籍はウソな」

「「「!?」」」

「君らの最大限を引き出す、合理的虚偽」

「「「は――――!!!!??」」」

 

 とのことだった。

 八百万は、それがウソであったと初めから思っていたようだが、俺はウソではないと思った。

 これは結果が悪い者を除籍するものではなく、見込みがない者を選別し除籍するものだと俺は感じた。

 実際、緑谷はかなり危なかっただろう。

 もし、怪我が原因でその後の行動が不能になっていれば間違いなく除籍されたはずだ。

 実際、一つの行動でダウンするような奴はヒーローの現場に置いて、何の役にも立たない。

 ――つまり、執行猶予が付いただけ。

 おそらく緑谷だけじゃなく、見込みの無い奴は全員、除籍されただろう。

 先日、俺に言い放った言葉に嘘は無かったと言うことか・・・・。

 

「これにて終わりだ。教室にカリキュラム等の書類があるから、目ぇ通しとけ」

 

 相澤先生はそう言い、去っていった。

 最初の一難は、クラス全員、無事にクリアした。

 

 

 

 ◇◇◇◇

 

 夕方5時、全てのカリキュラムが終了し、俺は帰宅の準備をする。

 校舎を出て、校門に向かうが

 

「デクです!」

「?」

 

 緑谷、飯田、麗日の3人が校門前で話していた。

 ――どうやら入学初日で仲良くなったようだ。

 緑谷が、何故か顔を赤くし手で顔を隠していた。

 

「ん?・・・造理君!?」

 

 飯田が俺の存在に気づき、2人も振り向く。

 無視しようと思っていたが、3人共こちらに近づいてくる。

 

「君も駅までかい? ならば一緒に「断る」・・・!?」

「「!?」」

 

 飯田は俺と一緒に帰宅することを提案してきたが、俺はそれを拒否した。

 迷いのない拒否に3人は驚きの顔を見せる。

 

「プライベートまでクラスメイトと関わる気はないんだ。・・・・悪いな」

 

 俺はそう言い残し校門を潜っていった。

 3人は棒立ちの状態で俺の姿を見送っていたが、校外で俺といるのは危険な為、こればかりは仕方がない・・・・何より

 

 志を持ってヒーローを目指している者と仲良くなることは気が引けてしまう。

 

 俺は1人、帰り道を進んで行った・・・・。

 

 ――――




アームストロング砲。・・・ちょっと設定に無理があったかもしれませんが、どうしてもやってみたかったので出しました。

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