無個性より苦労してます。   作:ソウルゲイン

7 / 34
気がついたらランキングに入っていてビックリしました。初作品でここまで評価を頂けるとは感激です。


第7話

「・・・・・ドアがデカイな」

 

 入学式当日、現在俺は雄英高校の校舎内にて大きなドアを目の前にしている。

 毎年300の倍率を超える、雄英高校ヒーロー科。

 一般入試の定員36名、2クラスで分けられる狭き門。

 俺は特待生で入ったから関係ないが、そのヒーロー科の1-Aと書かれた俺の3倍はデカイであろうドアの前に立っている。

 ――そしてドアを開けると

 

「誰もいないな・・・・」

 

 始業まで、まだ後40分。

 流石にこんな早くに登校する者は居なかったのか、教室内には誰もいない。

 実は俺は始業1時間前には雄英の門を潜っており、先日訪ねて来た雄英校長から渡されたパンフレットを頼りに、校舎内を探索していた。

 受付、職員室、普通科、サポート科、経営科・・・・後、食堂にトイレ。

 生徒が行ける場所を、出来るだけ探索する。

 何事にも警戒してしまう為、自分が生活する環境は出来る限り知っておきたいだ。

 ある程度校舎内の構造を理解した後、俺は自分のクラスに成る1-Aの教室をやって来た。

 

「席に座るか・・・」

 

 席は全部で21席、俺は指定された席に座る。

 本来、推薦入学者も含めて1クラス20人なのだが、俺が特例になってしまった為、今年は21人なっている。

 俺以外の20人・・・・一番に登校したおかげで全員を1人ずつ観察出来るな。

 俺は指定された席に座り、バックから本を取り出す。

 

 ―――しばらくして

 

「ここがヒーロー科のクラスだな!!」

 

 始業30前、2番目の登校者がやってきた。

 声が大きく、メガネを掛けた真面目な顔をしたインテリ系。

 ――こいつは入試説明会の時、俺に言いがかりを付けて来た男だ。

 

「おや? 君はあの時の!」

 

 俺の存在に気がついて声を挙げる。

 俺をしばらく見た後、近づいてきて俺の席の前に立つ。

 ―――そして

 

「あの時は、失礼をした!」

 

 俺に頭を下げてきた。

 

「入試試験が終わった後、色々考えたのだけれど、あの時の僕はどうかしていた。自分が言ったことを翌々思い出してみたら、言い掛かりもいいところだった!」

 

 自分の不適切な言動を反省して謝罪するメガネの男。

 どうやらこいつは、ただ律儀なだけの人間だったようだな。

 少し潔癖な所も見えるが、十分、善人の部類に入る人間だろう・・・。

 

「僕は飯田 天哉だ! よろしく!」

「・・・・造理 錬だ」

「ありがとう造理君! これから同じヒーロー科としてよろしく頼む!」

 

 握手を求め、手を差し出して来たので、その手を握り握手を交わす。

 ――社交辞令はしておかないとな。

 握手を交わした後、飯田は自分の指定された席に行き、俺は再び本を開く。

 

 ――すると

 

「ハハ!! ここがヒーロー科かあ!!!」

 

 乱暴にドアが開けられれ、口うるさい声が鳴り響く。

 入ってきたのは、人相の悪いイガグリような金髪の男。

 ――こいつは実技試験で同じ会場だった失礼な男だな。

 

「ハハ!・・・!!?」

 

 笑い声を上げていたが、おれの存在に気づいて黙り込む。

 そしてズカズカと俺に近づき

 

「・・・・・・・・・」

 

 無言で俺を睨みつけて来た。

 俺に助けられたのが気に入らなかったのか、唯々俺に口答えされたのが気に入らないのか・・・・

 

「・・・・フンッ!!」

 

 しばらく睨みつけた後、鼻息を荒らげ自分の席に向かっていく。

 あれは気に入らないことは起きればとことん文句を言ってきそうだな。

 まあ、突っかかってくるようなら、適当にあしらうだけだが・・・。

 俺は再び本を開く。

 

 

 ―――始業20前。

 

 この時間になると人がちょくちょく来はじめた。

 まず来たのは、長身でポニーテールの女子。

 ついこの前はで中学生だったとは思えないほど大人びている。

 歩き方に気品があり、おそらく上流社会の人間だろう。

 

 次に来たのは髪の色が二色に分かれている男。

 その顔には焼け跡があり、表情から感情が見えない上、何よりこいつは只者ではない。

 歩き方で分かるが、こいつはかなりの訓練を、それも実戦式の訓練を積んでいる者だ。

 何よりこいつの雰囲気は少し俺と似ている。

 

 その後になると人がゾロゾロ来だした。

 耳がプラグになっているスレンダーな女子に、金髪のチャラい男。

 逆だった赤髪の硬派な男子に、タラコ唇の大柄な男。

 ナルシストを気取ったマヌケそうな男に、肌がピンクの女子。

 腕が触手にマスクの大男に、ブドウ頭の小柄な男。

 鳥顔の男

 しっぽの男

 醤油顔の男

 岩みたいな男

 そして実技試験の時に助けた"蛙"の女子に"透明"の女子も登校してきて、俺に軽く手を振ってきた。

 

 

 ―――始業5分前。

 

 「机に足をかけるな! 雄英の先輩方や机の製作者方に申し訳ないと思わないか!?」

 「思わねーよ! てめーどこ中だよ!? 端役(はやく)が!」

 

 律儀なメガネの男"飯田"と、失礼な金髪イガグリ男が言い争っていた。

 お互い一歩も下がらない・・・と言ってもほとんど子供の言い争いに等しい。

 まあ所詮、この前まで尻が青かった中学生・・・・言動も行動もまだまだ若い所がある。

 

 ――そして言い争っている二人の奥・・・・ドアの入口でヒョンと顔を出す、何故か目をつむりガッカリそうな顔をする縮れ毛でソバカスの男。

 こいつは確か、入試説明会で飯田に言い掛かりを付けられていた男だな。

 ――よく見たらこいつ、試験当日の朝に海浜公園で上半身裸で叫んでいた男じゃないか?

 試験当日にあんなことをやっているなんて、よく分らない男だ。

 その男に気づいた飯田が近づいて行き話しかけ、金髪いが栗は何故かそいつを睨みつけている・・・・・因縁でもあるのか?

 その後すぐ、地味で茶髪の女子が登校し、ソバカスの男と話し込む。

 ソバカス男は照れているのか、両手で顔を覆いタジタジの状態で合った。

 ともかく、これで21人全員揃ったようだな。

 全員一目見ただけだが、大体理解した。

 

 ――ほぼ全員、浮かれているな。

 何よりここにいる奴ら全員、自惚れ感が見える。

 雄英ヒーロー科に入っただけ、有頂天になっている奴もいる。

 おそらく自分がヒーローに成れることを信じて疑ってないんだろう。

 

 ――ナンセンスだ。

 そんな簡単にヒーローに成れるはずないだろうに・・・。

 

 

 そして始業開始時間になった瞬間

 

「お友達ごっこしたいなら他所へ行け、ここはヒーロー科だぞ」

 

 担任がやって来た。

 

「担任の相澤 消太だ、よろしくね」

 

 相澤 消太。

 ヒーロー名"イレイザーヘッド"。

 寝袋を身につけた状態で登場とは随分と斬新だな。

 先日、家に訪ねてきた時よりもくたびれた姿をしているが、動きに隙が無い。

 どんな状態でも警戒を怠らない姿は、まさにプロヒーローだな。

 

 まあそれはそれとして、この後は入学式やガイダンスがあるのだろうが、生徒を先に教室に呼ぶのは少し気がかり・・・

 

「早速だが、体操着(コレ)着てグラウンドに出ろ」

 

 寝袋から体操着を取り出し、そう告げて来た。

 

 ―――いきなり波乱が起きそうだな。

 

 ――――




余計なことばかり書いてて、話しが進まなくなっちゃいました。


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。