無個性より苦労してます。   作:ソウルゲイン

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第21話

『群がれマスメディア! 今年もお前らが大好きな高校生たちの青春暴れ馬・・・雄英体育祭が始まディエビバディアァユレディ!!??』

 

 プレゼント・マイクの実況と共に大量の花火が打ち上がる。

 ヴィランの襲撃から二週間・・・時間はあっという間に過ぎ去り、俺たちA組は無事に雄英体育祭 本番当日を迎えた。

 

『1年ステージ! 生徒の入場だ!! ヒーローの卵たちが我こそはとシノギを削る年に一度の大バトル!!・・・どうせてめーらのお目当てはこいつらだろ!? ヴィランの襲撃を受けたにも拘わらず鋼の精神で乗り越えた奇跡の新星!!! ヒーロー科!!・・・一年A組だろぉぉ!!?』

 

 最初に入場したのは俺たちA組、会場に入ると何万にもの観客であふれ返っていた。

 一般客からサポート会社の役員、そして何人ものプロヒーローがスカウト目的でやって来ており、俺たちA組はヴィランの襲撃を乗り越えたこともあって大注目を受けている。

 クラスのみんなを見てみると緊張でソワソワしている者も居れば冷静さを保っている者もおり、闘志を燃やす者などもいる。

 続いて入場してきたのは同じヒーロー科のB組、それに続いて普通科、サポート科、経営科と続々と入場を果たすが、A組の引き立て役のような雰囲気になっており、何人かは気怠そうな顔をして愚痴を垂れていた。

 

「選手宣誓!!」

 

 1年の主審である18禁ヒーロー"ミッドナイト"が手に持った鞭を鳴らしながらそう叫ぶ。

 SM的なコスチュームを身に纏いグラマーなボディを見せつけるかのようなそのしぐさは男子生徒の注目を浴びていた。

 ―――しかし、高校なのに18禁と言うのは有りなのか? 俺と同じような事を考えていた奴が思わず声に出しているが、ミッドナイトが鞭を鳴らし黙らせていた。

 

「選手代表!! 1-A・・・爆豪 勝己!!」

 

 選手代表として爆豪の名が挙げられた。

 何でも雄英体育祭の宣誓は入試試験で1位を取った者が行うことになっているらしく、入試1位通過の爆豪が宣誓をすることになったらしい・・・。

 名前を呼ばれた爆豪は歩き出しステージ台に立ち・・・。

 

『せんせー・・・・』

 

 マイクに向かって宣誓を始める・・・・だが

 

『俺が一位になる』

 

「調子のんなよA組オラァ!!」

「ヘドロヤロー」

 

 大勢の生徒と観客の前で堂々と優勝宣言をする爆豪。

 あまりの自意識過剰な言葉に生徒達からブーイングの嵐が飛び交うが、当の本人はまったく気にしていない様子・・・。

 ステージ台から降りこちらに戻ってくる爆豪・・・途中、挑発するかのように緑谷に肩をぶつけるがそれでも顔は変わらない。

 

 ――そのまま元の位置に戻るかと思ったが・・・

 

「何かようか?」

「・・・・」

 

 俺の横で立ち止まり、俺を睨みつけてくる爆豪・・・そして

 

「てめーは俺がぶっ殺す!」

 

 俺に向かって宣戦布告をしてきた。

 そう言い残して爆豪は元の位置に戻っていったが、どうも目の敵にされているようだ・・・と言うよりも、今現在で俺に対するA組の反応は余り良くない。

 何人かは俺に対してあまりいい顔をしておらず、特に轟は爆豪同様に俺を睨みつけている。

 何故このようなことに成っているかには事情がある・・・。

 

 ――――

 

 

 

 

 ◇

 

 ~雄英体育祭・開始前~

 

「皆! 準備はできているか!? もうじき入場だ!!」

 

 大きな声で皆に言い渡す飯田・・・。

 場所は1-A組の控室、クラスのみんなは雑談などを交わしリラックスをしていた。

 何人かは本番前で緊張をしているが、精神統一なり何なりをして気持ちを整理している。

 対する俺も眼を瞑り精神を集中させていた。

 

 

 ――その時

 

「お前には勝つぞ、緑谷」

「轟くん・・・」

 

 轟が緑谷に対して宣戦布告をしていた。

 話の内容からするとオールマイトに目を掛けられている緑谷が気に入らなかったのか、少しケンカ腰のようにも思え、切島が止めようとするが・・・

 

「皆・・・他の科の人も本気でトップを狙ってるんだ・・・」

 

 緑谷が真剣な面持ちで言葉を発した。

 

「僕も本気で獲りに行く!」

 

 轟に向かってそう宣言する緑谷。

 何が合ったのかは分からないが、あれは覚悟を決めた人間がする顔だ。

 

 ――本気のようだな緑谷。

 

 緑谷の言葉を受けて轟も上等だと言わんばかりの顔をして返事をし、それを見ていた爆豪は二人を睨みつけていた。

 他の皆もそのやり取りを静かに見守っていたが、俺は一人席を立ち控室から出ようとする。

 

 

 

 ――だが、

 

「まて造理」

「?」

 

 控室から出ようとしたら轟が俺を呼び止める。

 

「何だ、轟?」

「お前にも言っておく・・・・お前にも勝つぞ」

 

 俺にも向かって宣戦布告をしてきた。

 どうやら戦闘訓練やヴィラン襲撃の時のことで俺のことも気に入らなかったようだ・・・。

 

 ――この際、ハッキリ言っておくべきだな・・・。

 

「お前じゃ無理だ」

「何っ!?」

「ハッキリ言って今のお前じゃ俺には勝てない」

「「「!?」」」

 

 轟に向かってそう言い放ち、俺はさらに言葉を続ける。

 

「正直、今このクラスで俺が注意すべき相手は緑谷と飯田、後は麗日くらいだな。・・・他は取るに足らない」

「「「「!!?」」」」

「・・・て、おい造理!」

「失礼だぞ造理くん!」

 

 俺の言葉にクラス全員が驚きの顔を見せ、何人かは俺を睨みつけて来た。

 まあ当然だな、言い方を変えればクラスのほぼ全員に"お前らは雑魚だ"と言っているようなものだからな。

 だが、今回の雄英体育祭は俺も本気で獲りに行くと決めている以上、遠慮はしない。

 俺は控室のドアを開き・・・

 

「優勝は俺がするよ。・・・負ける確率は一割未満だ」

「「「「!!?」」」」

 

 去り際にそう言い渡し、控室を後にした。

 

 ――――

 

 

 

 ◇

 

 ~現在~

 

 ――と、言うことが合ったが為にクラス皆の俺に対する態度はあまり良くない。

 かなり失礼なことをしたと言うことは理解しているが、これは俺の目的を達成する為の布石に過ぎない。

 これだけ挑発すればあいつらは躍起になって俺に張り合って来るはずだ、その中で実力を示し活躍すればテレビの向こうで野束っているヴィラン達に対していい牽制になる。

 クラスの皆には悪いが、いい踏台に成ってもらおう・・・。

 

『さーて早速第一種目に行きましょう! 最初の種目は・・・・コレ!!!』

 

 "障害物競争"

 

 会場の巨大モニターに映し出されたのは種目は"障害物競争"・・・。

 ミッドナイトの説明によると計11クラスでの総当たりレースであり、コースはこのスタジアムの外周で約4キロとのことだ。

 

『我が校は自由さが売り文句! ウフフフ・・・コースさえ守れば何をしたって構わないわ!』

 

 話を聞く限りではこれはいわゆる予選であり、この第一種目で一気に振るい落としを掛けるのが目的のようだ・・・。

 

 

 ―――ならばやる事は簡単だな。

 

『さあさあ位置につきまくりなさい・・・』

 

 スタート地点の出入り口が開き、三つあるランプが徐々に点滅していき全員が身構える。

 

「「「「・・・・・・」」」」

 

 最初に仕掛けるのは・・・

 

 

 

 

 

『スタ―――――――ト!!』

 

 

 スタート開始直後!!

 

 

 




今回は主人公が少し嫌な奴になってしまいました。
変な事ばかり書いてて中々話しが進みませんがご了承ください。





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