無個性より苦労してます。   作:ソウルゲイン

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気が続いたのでまた投稿しました。
かなり短い文です。


第20話

「うおおお・・・・何ごとだあ!!?」

 

 ――と、麗日が叫ぶ。

 

 場所は雄英学校の1-Aクラスの教室の前。

 ヴィランの襲撃から二日目の放課後、1-Aの教室前に生徒がごった返していた。 

 二週間後に雄英体育祭を控えているが為に他のクラスの生徒達が視察目的で訪れて来たようだ。

 特に1-Aクラスはヴィランの襲撃に耐え抜いたこともあって余計に注目を浴びてしまっている。

 

「意味ねェからどけ、モブ共」

 

 そんな彼らに対して爆豪は失礼な物言いをする。

 クラスメイト達も思わず突っ込んでしまうが・・・・

 

「どんなもんかと見に来たが、ずいぶん偉そうだなぁ・・・」

 

 それに反応する奴もいた。

 

「こういうの見ちゃうとちょっと幻滅するなぁ・・・」

 

 人込みの中から爆豪とはタイプが違った目つきの悪い生徒が前に出てくる。

 

「普通科とか他の科ってヒーロー科に落ちたから入ったって奴がけっこういるんだ・・・知ってた?」

 

 ふてぶてしい態度でAクラスのメンバーにそう告げる普通科の生徒。

 

「敵情視察?・・・少なくとも俺は、調子のってっと足元ゴッソリ掬っちゃうぞって、宣戦布告しに来たつもり」

 

 大胆不敵にそう告げる・・・・さらに

 

「隣のBクラスのモンだけどよぅ!! ヴィランと戦ったっつーから話聞こうと思ったんだがよぅ!! エラく調子づいちゃってんなオイ!!! 本番で恥ずかしい事んなっぞ!!」

 

 またしても不敵な奴が人込みを押しのけて現れる。

 それに対して爆豪は涼しい顔をして無言を貫き、周りのクラスメイト達は顔に汗をたらしながらじっと爆豪を見つめていた・・・・。

 

 

 

 

 ――――だが、その時

 

「邪魔だ通れないだろう!」

 

「なっ!?」

「のあっ!?」

「「「「!!?」」」」

 

 突然、前に出てきた生徒達が押しのけられた。

 そこには・・・

 

「ドアの前に群がるんじゃない、人の迷惑を考えろ!」

「造理くん!?」

 

 "造理 錬"の姿が合った・・・。

 

 ――――

 

 

 

 

◇◇

 

「何だあの人込みは?」

 

 ヴィランの襲撃から二日目のお昼過ぎ、俺は無事に退院することが出来、現在は雄英高校1-Aクラスの教室の近くにいる。

 本来なら退院してそのまま家に帰るつもりだったが、教材やら着替えなどを学校に置きっぱなしにしてしまっていた為、こうして学校まで足を運んだのだが、いざ来てみると教室の前に人込みが出来てしまっている。

 

「意味ねェからどけ、モブ共」

「どんなもんかと見に来たが、ずいぶん偉そうだなぁ・・・」

 

 何やら変なやり取りが聞こえてきた。

 声からすると爆豪か? 他は分からないが、どうやらこの人だかりは雄英体育祭に向けての敵情視察のようだ。

 Aクラスはヴィランの襲撃もあってBクラスからも注目を浴びてしまってるようだな。

 

 ――だが、教室に入ろうとする俺からしたら迷惑でしかない。

 俺はさっさと人込みを掻き分けて・・・

 

「邪魔だ通れないだろう!」

「なっ!?」

「のあっ!?」

「「「「!!?」」」」

「ドアの前に群がるんじゃない、人の迷惑を考えろ!」

「造理くん!?」

 

 教室に入った。

 

「造理くん! 入院してたんじゃないの!?」

「今日の昼過ぎに退院したんだ。ここには荷物を取りに来ただけだ」

「造理! 無事だったんだな!」

「心配したよ!」

「・・・生きてやがったか」

 

 クラスのみんなが寄ってくる・・・爆豪、最後の言葉は失礼だぞ?

 俺は適当に話した後、荷物をまとめて教室を出ようとするが

 

「ヒーロー科に在籍する奴は皆こんなやつなのかい? 本当幻滅するなぁ」

 

 俺の前に腐った眼をした生徒が現れる。

 この声からすると爆豪と言い争っていた奴か? 動きや体つきを見たところ平凡以下のように思えるが・・・これで本気でヒーローを目指しているのか? だとしたらかなりの愚か者だな。

 

「おうおう! よくも 俺を押しのけてくれたなぁオイ!! お前もヴィランと戦ったからって調子づいちゃってじゃないか!?」

 

 そしてまたうるさいのが現れた。

 Bクラスの生徒のようだが言ってることが滅茶苦茶だ。

 敵情視察なら別に気にはしないが、いちゃもんをつけられるのは本当に迷惑だ。

 

 俺はポケットからボールペンを取り出し・・・

 

「お前も調子のってっと足元掬っちゃう「黙れ!」っ!!?」

「「「「!!!?」」」」

 

 この目が腐った奴の眼にボールペンを突き付けた。

 ボールペンは眼の数ミリの所で止まり、ボールペンを突き付けられた本人は尻餅をついた。

 周りで見ていた連中はあまりの出来事に驚き押し黙ってしまい、尻餅をついてしまっているこいつも何も言えないでいる。

 

「つ、造理くん!・・・何を!?」

 

 緑谷が思わず声を掛けて来たが俺はそれを無視し、この尻餅をついてヘタレ混んでいる奴に声をかける。

 

「・・・そんなに怖かったか? ヒーロー志望?」

「!?」

「もしヒーローになったらこんな恐怖は日常茶飯事だろうなあ・・・」

「「「「!!?」」」」

 

 俺の言葉にその場にいた全員が驚きの顔を見せる。

 

「まったく、そろいもそろってめでたい奴らだな? ヒーローの大前提は殺し合いであって、A組の連中はそれを乗り切ったんだぞ。死の恐怖を乗り切った連中が、この程度で怯える奴に遅れをとると思ってるのか?」

「うっ!!?」

「くっ!!?」

 

 俺の言葉にうるさかった二人・・・B組の奴もすっかり押し黙ってしまった。

 他の連中も静まり返っているが、野次馬同然のこいつらにはいい刺激になるだろう。

 

「わざわざヒーロ科を偵察してるということは、ここにいるほぼ全員がヒーロー科試験に落ちたんだろうな? 個性の相性ゆえに落ちた奴もいるだろうが、その程度のハンデならクリアをしてる奴らはザラにいる。……つまり、そんなハンデさえ乗り越えられないお前たちは、無能か間抜けというわけだ。……そんな間抜けになにができると言うんだ? ご機嫌とりか、腹芸か?」

「「「「・・・・・・」」」」

 

 その場に居た全員が俺の言葉に耳を傾けていた。

 後ろで控えているクラスメイト達も、真剣な面持ちを見せる。

 

「力も知恵もないヒーローなんて、飾りにすらならないんだよ。ヒーローを目指すのは勝手だが、何事においても征するのは『力』だ。力無きものは何も得られないし、何も与えられない。弱さは悪ではないが、……『罪』だ」

「「「・・・・・」」」

「もし、少しでも弱さに抗う気があるなら、せいぜい悪知恵でも働かせていろ。口先だけのスカタンなんかに死んでも遅れとったりはしないし、なんなら、食事の毒でも持って夜襲でもかけてこい。……以上だ。」

 

 俺はそう言い残し、教室を後にした。

 要らぬことをしたかもしれないが、これ以上教室の前に群がられても迷惑なだけだ。

 体育祭まで後、二週間・・・・理由はともあれ、勝ちに行くと決めている以上、しっかりと自身を練り上げなければならない。

 俺は学校を後にし、家への帰路をたどった。

 

 ――――




心操に対してかなりアンチ的になってしまいましたが、個人的にはあまり好きではないキャラだったのでちょっといじめてみました。


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