無個性より苦労してます。   作:ソウルゲイン

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更新が遅れました。
最近は、どうも気乗りしなくて、これから更新はもっと遅くなるかも知れません。


第17話

 ◇

 

 ‐オールマイト視点‐

 

「嫌な予感がしてね・・・校長のお話を振り切りやってきたよ」

 

 来る途中で飯田少年とすれ違って何が起きているか、あらまし聞いた・・・。

 

 ――まったく己に腹が立つ!!

 子供らがどれだけ恐怖に怯えていたか、・・・後輩らがどれだけ頑張ったか・・・。

 しかし、だからこそ胸を張って言わなければならんのだ!!

 

「もう大丈夫」

 

 この場に居る全ての者たちに伝えよう・・・・!!

 

「私 が 来 た!!」

 

 ――――

 

 

 

 ◇

 

「オールマイトォォ!!!」

 

 水辺に居る峰田が泣き叫んでいた・・・・まあ無理もない、命の危機に晒されているこの状況で希望とも言える存在が現れたのだから・・・。

 

「あ――・・・コンティニューだ。待ってたよヒーロー、社会のごみめ・・・」

 

 俺と緑谷の目の前に居る死柄木が待ち望んでいたかのように笑顔を見せている。

 気色の悪い奴だ、オールマイトに恨みがあるのか・・・?

 ――だが、スキを見せたなヴィラン!

 

「《錬成・射出分解!!》

「!? 脳無!」

 

地面を伝って分解エネルギーを一定の方向に射出し、死柄木に向かって放ったが、脳無が邪魔をする。

 だが、これをくらえば超再生を持つ脳無でもしばらく身動きはとれず案の定、脳無は脚を破壊され膝をついていた。

 

「緑谷! 一時離脱だ!

「!? うん!」

「させませんよ!」

 

 俺と緑谷はその場を離れようとするが、黒霧がそれを阻む・・・。

 

 ――だが、

 

「生徒に手を出すな!!」

「「「!!?」」」

 

 出入り口付近に居たはずのオールマイトがいつの間にか中央広場・・・相澤先生を担ぎながら現れた。

 

「皆は入口へ、相澤くんを頼んだ。意識がない! 早く!!」

「「「!!!?」」」

「え!? え!? あれ!? 速え・・・!!」

 

オールマイトは一瞬の内に俺と緑谷、水辺に居た蛙吹と峰田を回収し、ヴィラン達と距離を取った。

 ――全く見えなかった! 凄まじい速さだ!

 

「早い早い、殆ど見えなかったよ・・・けれど思った程早くなかったな・・・やはり本当だったのかな・・・弱ってるって話・・・」

 

 死柄木は不気味な笑みをこちらに向けてくる。

 

「オールマイトだめです!! あの脳みそヴィラン、ワン・・・っ僕の腕が折れないくらいの力だけどビクともしなかった!! きっとあいつ・・・」

「緑谷少年、大丈夫!」

 

 オールマイトは指でVサインをしながら余裕の笑みを浮かべる。

 ――だが、伝えなければいけないことはある。

 

「オールマイト、あの脳みそヴィラン・・・脳無をよく見てください!」

「? 造理少年どうし・・・む!?」

 

 俺の言葉に疑問を浮かべたが、脳無の方に目を向けると言葉を詰まらせた。

 

「脚が再生している!?」

「あの脳無とか言うヴィランは“ショック吸収”と”超再生”の二つの個性を持っています。唯の攻撃は通用しません!」

「個性が二つだと!?・・・なるほど」

「それとあの黒いモヤのヴィランに気を付けてください。”ワープ”の個性を持ち、自分が繰り出した攻撃が利用されます・・・」

「貴重な情報をありがとう! 造理少年!・・・後は任せたまえ!」

 

オールマイトは再びVサインをし、ヴィランに向かって行った。

俺は緑谷、蛙水、峰田と共に意識の無い相澤先生を連れ避難を開始する。

 

「すげえ強いぜオールマイト! やっぱだんちだぜ!」

「授業はカンペ見ながらの新人さんなのに・・・」

「・・・・・」

 

 俺を含めた全員がひっきりなしにオールマイトとヴィランの戦闘を見つめている・・・・確かに凄まじい戦闘だ。

 相澤先生をいとも簡単に倒してしまったあの脳無を見事にあしらっていて、更に他の二人のヴィランに対しても隙を見せていない。

 蛙水も峰田も安心の笑みを浮かべているが、緑谷だけが心配そうな顔をし、オールマイトを見つめていた。

 

「緑谷、どうした?」

「!? つ、造理くん!・・・何でもないよ」

 

 明らかに動揺しているな。

 何か心配事でもあるのか? 確かにあのヴィラン達は強敵だが、伝えられる限りのヴィランの情報は伝えたから心配は無いはずだ。

 現にオールマイとは優勢に戦っているし、仮に時間が掛かっても一足先に脱出した飯田が学校側にヴィラン襲撃を伝えに行っているはずだから、時期に先生方達が到着するはず・・・。

 

「おい黒霧・・・あれを出せ」

「!? あれを使うのですか?」

「オールマイトは俺達に対して全く隙を見せない。このままだとプロヒーロー達が到着しちまう」

「・・・・かしこまりました」

 

 黒霧が個性を発動し、ワープゲートを開いた。

 

 

 

 

 ――すると

 

「「「!!?」」」

「な、何だありゃ!?」

「甲冑!?」

 

 ワープゲートから甲冑を身につけた人間が現れだした。

 

「行け、ガラクタ共」

 

死柄木の号令でガラクタと言われた奴らが一斉に動き出した。

 

 

「何だこいつらは!?・・・・はあっ!!」

 

 甲冑達はオールマイトに襲いかかるが、オールマイトはそれをものともせずになぎ倒していく。

 

「姿は不気味だが、動きが遅い上に戦術もなっていない! こんな連中に遅れはとらんぞ!?」

「狙いはあんただけじゃないよ? オールマイト・・・」

「何?・・・・!? しまった!」

 

 甲冑ヴィラン達の大半がこちらに・・・・俺達に向かってきた。

 ヴィランの狙いは俺達生徒か!?

 

「ぎゃあああ!! こっちに来るぞ!!」

 

 峰田が思わず悲鳴を挙げ、緑谷、蛙吹も慌てた様子を見せる・・・このままではマズイな。

 

「お前達、先に行け! 俺が食い止める!」

「造理くん!」

「造理ちゃん!」

「造理!!」

 

 俺は甲冑ヴィラン達に向かい個性で拳岩を大量生成し相手を吹き飛ばしてく・・・だが

 

「何!? くっ!《錬成!!》」

 

 吹き飛ばされた甲冑ヴィランは直ぐに起き上がり向かってきた。

 再び個性を発動し何度も攻撃を繰り出すが、甲冑共はそれをものともせずに向かってくる。

 こいつらダメージを受けていないのか!? 動きも全く鈍らないぞ!

 

「造理少年!? 今助けるぞ!」

「させないよ? オールマイト!」

「生徒を気にしながら戦えるかな? 平和の象徴?」

「くっ!」

 

 オールマイトは脳無と死柄木、黒霧に邪魔をされ身動きが取れずにいる。

 こいつら力は全然大したことはないが、数が多いい上に恐れが全くない!

 腹に受けたダメージも大きい為、思うように戦えない・・・・このままじゃキリが無い。

 

「造理くん!! SMASH!!」

「!? 緑谷!」

 

 緑谷がやって来て甲冑達に攻撃を繰り出した・・・・やっぱり来てしまったか、緑谷。

 だが二人になったところで、ピンチであることには変わりない。

 

 ――せめて後2~3人味方がいてくれたら・・・

 

「デク! 邪魔だ! どけっ!!」

「!? かっちゃん!!」

 

 緑谷に迫って来ていた甲冑ヴィランが爆破で吹き飛ばされていった。

 爆豪!? 避難せずに中央広場にやって来たのか!

 ――さらに

 

「気色の悪い奴らだな・・・」

 

 甲冑ヴィラン達が氷漬けにされていく。

 ・・・・轟、お前もやって来たのか・・・。

 

「造理! 緑谷! 無事か!?」

「切島くん!」

 

 切島までやって来た。

 

「お前たち、逃げなかったのか?」

「あっ!? ふざけんな! 何で俺が逃げなきゃいけねえんだ!!」

「爆豪! 喧嘩腰に成るなって・・・」

「ヴィラン共からオールマイト殺しを実行する奴らを聞いてきた」

 

 どうやらこいつらは遭遇したヴィラン共を一掃してきたようだな、爆豪と轟は実力派だからそれが出来てもおかしくないか・・・。

 

「おい! こいつら氷漬けになってるのに向かってくるぞ!?」

「!? 何だこいつら!?」

 

 切島と轟が驚く。

 氷漬けにされているにも関わらずに向かってくるだと?

 

「死ね! 糞が!!」

 

 爆豪は何度も爆破で吹き飛ばしていくが、吹き飛ばされた甲冑ヴィランはまるでダメージが無いかのように起き上がり向かってくる・・・。

 ――おかしい、いくらなんでも異常だ、爆破ならともかく氷漬けにされたら生物ならかならず動きを止めるはず・・・・? 生物なら?・・・まさか!

 

「試すしかないか、《錬成》」

 

 俺は甲冑ヴィランの一人に向かってニードルを生成した・・・顔に刺さるように

 

「!? な、何やってんだよ造理!! いくらヴィランだからって殺しちまったら・・・・え!?」

「「「!!?」」」

 

 甲冑ヴィランの顔を吹き飛ばしたがそこに中身・・・顔がなかった。

 ――やはりそうか!

 

「こいつら人間じゃ無い! 恐らく個性で操作されている人形だ!!」

「人形!? マジかよ!」

「ダメージを受けない訳だ!」

 

 個性で操られている無人の鎧兵団・・・それがこいつらの正体だ! 生物では無いから痛みを感じなければ体力を消耗することも無い、場合によってはそのへんにたむろしているヴィランなんかよりよっぽど厄介だ。

 オールマイトも俺達生徒の事が気になっていて、手をこまねいてしまっている・・・・。

 

 ――ならば時間はかけられないな!

 

「全員聞いてくれ、こいつらを一掃出来る作戦を思いついた」

「!? 造理くん、本当に!」

「ああ、その為には全員の協力が必要だ」

「何するんだ!?」

 

 緑谷と切島が素直に聞いてくれるが

 

「あ!? ふざけんな! こんな弱い奴らオレ1人で十分だあ!!」

「動きが遅い上に戦術も成ってねえ、こんな奴らに遅れは取らねえ・・・」

 

 爆豪と轟は聞く耳を持たない。

 こいつら実力は高いが、状況把握が出来てないな・・・。

 

「俺に協力してくれ、あまり時間は掛けられないんだ」

「うるせえ! 必要ねえって言ってんだよ!」

「自信が無いなら下がってろ、戦えない奴は邪魔だ」

 

 ――こいつら、完全に自惚れていやがるな。

 これじゃあダメだ・・・・挑発するか。

 

「お前ら揃いも揃って阿呆か!!?」

「「!?」」

「オールマイトが俺達生徒の事が気になって思うように戦えないでいるんだ! 少しは視野を広げて状況を理解しやがれ! 大馬鹿野郎共!!」

「「!!?」」

 

 爆豪と轟、そして緑谷と切島もオールマイトに方に目をやると、そこには苦戦を強いられているオールマイトの姿があった。

 あの脳無は確かに強く、死柄木と黒霧は厄介だが、オールマイトが全力を出せば倒せない相手では無いはずだ。

 それが出来ないで居ると言うことは、襲われている俺達の事が気になって攻め辛く成っているに違いない。

 

「俺達が協力してさっさとこいつらを片付ければオールマイトは思いっきり戦えるんだ! だから大人しく協力しろ!!」

「くっ!・・・・」

「・・・・・・・・」

 

 爆豪も轟も押し黙る・・・そして

 

「・・・・作戦は何だ?」

「さっさと言いやがれえ!」

 

 二人とも大人しく聞き入れてくれた。

 流石に自分達が原因でオールマイトが困っていると言うことが解かれば、少しは自分達が置かれている状況を理解出来るはずだ。

 

「全員でこいつらを可能な限り一箇所に集まるように引き付けるんだ。その後、轟の凍結で相手の動きを止めて、俺の個性で止めを刺す!」

「出来るのか?」

「可能だ、むしろ相手が無人なら、やりやすい」

「分かったよ造理くん! 君を信じる!」

「いよっしゃあ! 行くぜえ!!」

「速攻で片付けてやらああ!!」

 

 全員が行動を開始する。

 

 さっさと片付けてオールマイトの不安要素を取り除かなけらばな!

 

 ――――

 




ここで力尽きました。USJ編はまだ続きます。
甲冑ヴィラン。・・・モデルはもちろんハガレンのアルやバリー、ザ・チョッパーです。
オリジナル展開をずっと考えていて最初はマネキンソルジャーのパチもんでも出そうかと思っていたのですが、倒し方がどうしても考えつかなかったので、アルもどきを出しました。


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