IS―兎協奏曲―   作:ミストラル0

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また少し空きましたが、今年最後の更新になります。

来年もISー兎協奏曲ーをよろしくお願いいたします。


91話 凶弾の行方と目覚めた獣 兎、逃走中

JAとのカーチェイスは町中ということもあって銃器は使わず車体を使った体当たりが主になったが、そこに雪兎が雪華で割り込んだためにJAの乗る車が一方的にダメージを追っていた。しかし、町を出るとJAは増援を呼び寄せたため、雪兎とイヴァンは目眩ましをしている間にジェナスとシャシャを車から下ろし囮になることに。ジェナス達には光学迷彩マントを装備させたので無事に逃げおおせただろう。

 

「熱烈な歓迎だな、イヴァン」

 

「そうだな。しかし、良かったのか?」

 

「何がだ?」

 

「わざわざこちらに残らずジェナス達と先に戻っても良かったのだぞ?」

 

どうやらイヴァンは囮に雪兎を付き合わせた事を悔いているようだ。

 

「それに、お前に何かあったらデュノアに何と言われるか・・・・」

 

「・・・・埋め合わせはするさ」

 

雪兎もそこまでは考えていなかったようだ。二人がこんな会話をする余裕があるのは雪兎が使っている装備が【NF:ネオフォートレス】と【NW:ネオウィザード】であるからだ。バグシーンはグラスパーで無力化。JAの攻撃は【NF:ネオフォートレス】の装甲の前には無力。というか、雪兎が反撃すれば一瞬で片付きそうなのだがジェナス達を逃がす囮の為に反撃していないだけだ。

 

「で?どうするよ、イヴァン」

 

「できればもう少し引寄せておきたいものだが・・・・せめて、私にもアムジャケットがあれば」

 

「・・・・アムジャケットがあればいいんだな?」

 

そう言うと、雪兎は竜が剣を抱える意匠のペンダントを取り出す。

 

「それは?」

 

「こんなこともあろうかと、ってやつだ。ISの技術を流用して作ったイヴァン用のネオアムジャケットさ。この前、シーンとラグナが話してたのを参考に作ってみた瞬間装着仕様」

 

「・・・・お前というやつはこちらの想像を容易く凌駕するな」

 

()常識とはよく言われる。使い方は判るな?」

 

「ああ」

 

「そんじゃあ」

 

「派手にいくとしようか」

 

車を乗り捨てネオアムジャケットを纏ったイヴァンと【NB:ネオブレイド】+【NJ:ネオイェーガー】に装甲切換した雪兎の反撃が始まる。この時出動したJAの面々は後にこう語る・・・・

 

「あれは人ではない・・・・災害か何かだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、襲撃を受けていたフライング・ラビットはロシェット達が無断で持ち出した旧型を含めた大量のバグシーンの軍勢に追われていた。

 

「敵も必死だな」

 

どうやらディグラーズの復帰と度重なる失態で彼らも追い込まれているようだ。

 

「いくら数を揃えてもこっちには対物量装備があるもんね!」

 

「リーダー機は任せなさい」

 

エリカがリーダー機を超遠距離狙撃用電磁投射式オーバーレンジライフル【アルテミス】で狙撃し、聖がガトリングガンを乱射して動きの鈍ったバグシーンを蜂の巣に変えていく。

 

「もう少しで一夏君達が合流するそうよ」

 

「合流する前に片付けてしまっても構わんだろう?」

 

一夏達から通信を受けた楯無がそう言うと、撃ち漏らしたバグシーンを蹴散らしながら晶が「やってしまっても構わんのだろう?」と獰猛な笑みを浮かべる。

 

「晶、それフラグだから・・・・」

 

簪がそう呟くと今度は地下水路で遭遇したトパスⅢがフライング・ラビットの進路上に出現する。

 

「げっ!?」

 

慌てて晶が迎撃に行こうとするが、その前にトパスⅢが光の雨に貫かれて撃破されていく。

 

「頭上がお留守でしてよ?」

 

「セシリア!」

 

トパスⅢを撃破したのは進化したブルー・ティアーズ・ガブリエルのビットのレーザーだった。

 

「一夏さん達もすぐにいらっしゃいますわ」

 

セシリアの言う通りフライング・ラビットの進路上に隠れていたバグシーンを撃破しながら一夏達が合流する。

 

「皆、無事か?」

 

「ああ、こっちは何とかってとこだが、シーン達があの噛ませ犬野郎達とやってる」

 

「そうか・・・・あっちは彼らに任せてこっちは船の防衛に専念しよう」

 

「俺らも一度船に戻ってーー」

 

ISがあった一夏達と違い、アムジャケットの無かったラグナが運転する車がフライング・ラビットへと戻ろうとハッチに入ろうとしたその時、倒したと思っていたトパスの一体が再起動し勢いよく開いたハッチ目掛けて飛び出した。

 

「ラグナ!シシー!」

 

皆がそのトパスを迎撃しようとするが、思った以上の速度でハッチに迫るトパスに反応が遅れてしまう。ラグナも咄嗟にシシーを庇うように抱き寄せるが・・・・その瞬間ハッチの中から何かが飛び出す。

 

「・・・・あれ?」

 

ガシッという音がしてラグナが音のする方を向くと、二人に迫っていたトパスはグレーの巨大な狼のようなロボットに咥えられ動きを止めていた。

 

「ワッツ!?な、何なんだコイツ・・・・」

 

その狼型のロボットは咥えたトパスを噛み砕き放り捨てるとラグナを見下ろす。すると、ロボットから聞き覚えのある声が聞こえた。

 

『このメッセージを聞いてるってことはガルムは無事に起動したということだな』

 

「この声は雪兎?ってことはコイツは雪兎が作ってた・・・・」

 

『コイツはビーストバイザーっていう新しいカテゴリーのバイザーでチェイスバイザー・モデル【ガルム】という。ラグナ、お前専用に調整したバイザーだ』

 

「俺、専用・・・・」

 

二人を助けた狼型のロボットは雪兎が開発していた新型バイザーだった。

 

『ビーストバイザーはビークルモードとブリガンディモードの他に自律行動が可能なビーストモードに変形できる。このガルムはお前に合わせてバイク形態に変形できる。詳しい説明はお前のアムジャケットに転送しておいたから確認しといてくれ』

 

メッセージが終わるとガルムはラグナとシシーを守るように周囲を警戒し始める。

 

「ラグナ、無事で良かった・・・・」

 

「ああ、雪兎とコイツのおかげさ」

 

ラグナがガルムに触れるとガルムのグレーの装甲が黒く染まりクリアグレーの部分がラグナのアムジャケットと同じクリアレッドへと変わる。

 

「あんにゃろう、憎い演出しやがって」

 

「フェイズシフト装甲・・・・流石は雪兎、分かってる」

 

その演出に苦笑するラグナ、そして簪は雪兎が何をモデルにしているか察してうんうんと頷く。

 

「シシーちゃん。俺、行ってくるわ」

 

「ラグナ!」

 

ラグナがアムジャケットを身に付けてそう言うとシシーがラグナを呼び止める。

 

「シシーちゃん?」

 

「あ、あのね・・・・ラグナが戻ってきたら伝えたいことがあるの!だから絶対に帰ってきてね!」

 

「オーライだぜ、シシーちゃん!絶対に無事に帰ってくるから待っててくれよ!」

 

シシーの言葉に笑顔でそう答えるラグナ。その後、ガルムをバイク形態に変形させ乗り込みラグナは出撃する。

 

「いくぜ、相棒!アロンジー!!」




という訳で新オリジナルバイザー登場です。


次回予告

新たなバイザー・ガルムの出現で窮地を逃れたラグナとシシー。しかし、新たな力を得ていたのはラグナだけではなかった。

次回

「ロシェットの逆襲 兎、出番無し!?」







ジョイ「今回のメカは雪兎と共同開発した新バイザー!その名もビーストバイザーシリーズ2号機チェイスバイザー・モデル【ガルム】ッス!」

ラグナ「俺の新バイザーだな!って、2号機?」

ジョイ「ビーストバイザーは従来までのバイザーがビークルモードとブリガンディモードの二形態だったのに対し、自律行動形態であるビーストモードを搭載したバイザーッス。チェイスバイザー・モデル【ガルム】以降はガルムはラグナに合わせてバイク形態に変形する狼型のバイザーッス」

ラグナ「1号機は!?」

ジョイ「ビーストモードでは前足のネイルクローや高周波振動するバイブレーションファングによる近接戦闘、背中の大型ビームキャノン【イフリート】やミサイルポットによる射撃も可能なんス!」

ラグナ「スッゲー1号機が気になるんだけど!?」

ジョイ「ブリガンディモードではバイク形態のタイヤがホイールギアという武器になったり、脚部についたランニングスピナーによって高速機動が出来たり、他にも拡張領域に多くの武装を備えたかなりハイスペックなバイザーッス」

ラグナ「無視ですか・・・・」

ジョイ「今後もビーストバイザーは続々登場予定ッス。なので楽しみにしていて欲しいッス」

雪兎「それでは皆さん、良いお年を!」

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