IS―兎協奏曲―   作:ミストラル0

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遅くなりましたが前回の続きの中編です。


アーキタイプ・ブレイカー始めました。ユーザー名は天野雪兎です。


連絡事項
・各設定を更新しました。
・各話のサブタイトルに話数を付けました。


90話 真実の行方と恋の行方 兎、ガン=ザルディと話す

ガン=ザルディ。ファーストアムドライバーと呼ばれ、数多くのバグシーンを葬ってきた伝説のアムドライバー。そして、アムドライバーとバグシーンの真実を知る男。

 

「おや?見慣れない顔がいるようだが?」

 

ニルギースやジェナスを見回し、雪兎の姿を見つけるとガン=ザルディはニルギースに訊ねる。

 

「雪兎、我々の協力者だ」

 

「なるほど、彼が例の未知のパワードスーツを使う者達か」

 

「随分と通る耳をお持ちで」

 

「そうでなければ今の今まで生き長らえていないさ」

 

雪兎の言葉にそう皮肉で返すとガン=ザルディはニルギースへと向き直る。

 

「それで、聞きたいこととは何だね?」

 

「もういい!何故ピースが三つある事を黙っていたのか?完成させたゼアムをどう使うつもりなのか?聞くつもりだったがーー」

 

「そんじゃあ、俺に質問させてくれ」

 

ニルギースが会話を断とうとしたその時、雪兎がニルギースの言葉を遮る。

 

「雪兎?」

 

「何かね?」

 

そんな雪兎に興味を持ったのかガン=ザルディは質問を許した。

 

「ガン=ザルディ、あんたにとってアムドライバーとは何だ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

所変わって買い出しに出た一夏達はというと・・・・

 

「え~っと、ここで買う物はっと・・・・」

 

「一夏、これはいくつ買うんだったか?」

 

「箒、それは五つだ」

 

ラグナ・シシーの二人とは別々に買い物をしていた。シシーにお熱なラグナに一夏達が気を利かせたのだ。分担は食品の目利きが出来る一夏がいる一夏達が食品関係、その他の雑貨系をラグナ達にという感じだ。なお、セシリアは一夏の監視下の元カートの荷物番だ。これまでのあれこれでこと料理については食べられるレベルにはなったものの、一夏達の信頼は勝ち得ていないのだ。

 

「セシリア、今回は予算が決まってるから余計な物は一切買わないからな?」

 

「わ、わかっていますわ、一夏さん。私だってそれくらいは弁えていますわ!」

 

「信じてあげたいけど、あんたは実績がね・・・・一夏、これでよかった?」

 

「流石だな、鈴。うん、これなら満足いく料理が出来そうだ」

 

失った信頼は簡単には取り戻せない。セシリアはこの時程その言葉の意味を実感した事がなかった。そして改めてもっとちゃんとした料理を作れるようになろうと涙ながら決意するのだった。

 

「ところでラウレリア達は上手くいっているのだろうか?」

 

「大丈夫なんじゃないかな?シシーもラグナの事は気になってるみたいだったし」

 

ラグナはその性格とは裏腹にシシーに対しては真剣に想っているようで、シシー加入後は何かと彼女を気にかけたりしており、そんなラグナにシシーも惹かれているような感じを一夏達は感じ取っていた。

 

「割と似た者同士って感じもするし、あの二人が仲良くしてるのを見ても嫌な感じはしないからな・・・・」

 

「確かに・・・・あの二人はそんな感じがするな」

 

「聖に聞いた話ではあの二人は両想いだそうだ」

 

「そうなのか?」

 

「ああ、だが・・・・」

 

その後、シシーがどうなったのかはラウラの表情を見れば想像は容易だろう。

 

「なるほど、雪兎があの二人を気にかけてくれと言っていたのはそういう事か」

 

「それにしても何でそれを聖が知ってたわけ?」

 

「うむ、どうもウェーブライダーのバイザーボードはジェナス達の使っているバイザーがモデルなんだとか。それでその扱いを学ぶ教材としてDVDを貸してもらったらしい」

 

まさかアムドライバーの世界に跳ばされるとは雪兎も思っていなかっただろう。しかし、この情報は非常に有益だ。

 

「ってことは、雪兎がニルギース達と行く前に大急ぎで完成させてたアレって・・・・」

 

「おそらくはその展開を打破する為の何かだろう」

 

「確かにアイツがそんなシナリオ通りの展開なんて認める訳無いわよね・・・・」

 

「絶対にそんな展開ぶち壊しますわね、雪兎さんなら」

 

「姉さんと一緒に亡国機業もあれだけ手玉に取っていたアイツならやりかねん・・・・というか、今までもそういう事をやっていたと聞かされても私はもう驚かんぞ」

 

箒がさりげに核心をついていたが他の面々も「雪兎なら・・・・」と思っている。案外雪兎が真実を打ち明ける日も早く訪れるかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、別行動をしていたラグナとシシーは買い物を終えた後、シシーの夢が学校の先生だったことを打ち明けられたり、子供達に混ざってサッカーをしたり、二人でボートに乗ったり、公園のブランコに乗ってラグナがシシーと同じ夢を見たいと語ったり、といい雰囲気だったが、そこに突然ジョイからの通信が入る。

 

「はぁ?合流ポイントの変更?」

 

『はいッス。どこから嗅ぎ付けたのか町にディグラーズが攻めてきて応戦。その場はダークさん達や千冬さん達が何とかしてくれたんスけど、潜伏先を変えなきゃいけなくなって・・・・』

 

聞けば例によって雪兎と離れ離れになってしまった事でストレスの溜まっていたシャルロットとたまには運動しなくてはと出撃した千冬が獅子奮迅の活躍だったらしい。

 

『今度はロシェット達が大量のバグッチを連れて追ってきてて』

 

「わかった。一夏達と合流してすぐに戻る!」

 

楽しい一時は終わり、新たなる戦いの幕が上がる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私にとってアムドライバーとは何か?か・・・・私にとってアムドライバーとは【道化】だよ」

 

雪兎の問いにガン=ザルディは少し間を空けてそう答えた。

 

「【道化】か・・・・なるほど、バグシーンとの茶番にウィルコットとジノベゼの対立。確かに市民と共に踊らされ続けていたアムドライバーを皮肉った表現をするならその言葉が適切だな」

 

ガン=ザルディの言葉に納得する雪兎だったが、「だが」と言葉を続ける。

 

「俺がこいつらを見てきて思ったのは【希望】だ。確かにバグシーンとアムドライバーはウィルコットの操り人形だった。だけど、最初にあんたの活躍を目にした人々がアムドライバーの活躍に【希望】を持ったのは嘘偽りの無い事実だろ?それと同じように俺はジェナス達ならこの終わりの見えない戦いに決着をつけてくれる。俺はそんな人々の【希望】を見た」

 

「雪兎・・・・」

 

「俺達が使うISも元々は見果てぬ宇宙を夢見て作られた【希望】だ。あんたやカペリって人も人同士の争いの無い世界っていう【希望】をアムドライバーに託してたんじゃなかったのか?」

 

「・・・・」

 

雪兎の思いがけない言葉にガン=ザルディは口を閉ざす。

 

「雪兎が私の言いたかった事をほとんど言ってくれた。だからこれだけ言っておく・・・・ゼアムの使い道は私と彼らで決める」

 

「・・・・ゼアムのピースの半分は私が持っていることを忘れない事だ。それと雪兎といったかな?君と話せて良かった」

 

「そりゃあ光栄だな」

 

「ジェナス君も使命を忘れないでくれたまえ」

 

そう告げるとガン=ザルディは小型のプライベートジェットで飛び立っていった。

 

「よかったのか?あんなこと言って」

 

「構わんさ、帰るべき場所を失っただけだ」

 

「そんなこと無いさ。俺達はもう仲間なんだから」

 

「アムドライバー、アムドライバーヲホロボスノトナカマ。オカシイ」

 

かつては敵対していたジェナスとニルギース。それを疑問に思いながらも嬉しそうにするシャシャ。

 

「行く場所がなけりゃ全部終わってから俺達の世界に来るか?ちょっと人手がいる事してるもんでな、イヴァンなら歓迎するぜ」

 

「イヴァン?どうしていきなり名前呼びに?」

 

突然イヴァンの呼び方を改めた雪兎にジェナスが訊ねると。

 

「仲間なのにいつまでもファミリーネーム呼びってのもおかしいだろ?」

 

と、割と真面目な答えが返ってきた。

 

「なるほどな・・・・では行く当てがなくなったら頼らせてもらうとしよう」

 

「それじゃあ、お喋りはこの辺で終わりにするとしようか・・・・JAの連中が近付いてきてる」

 

「ちっ!全員車に乗れ!」

 

イヴァンの指示で車に乗り込むジェナスとシャシャ。しかし、雪兎は乗ろうとしない。

 

「雪兎は乗らないのか!?」

 

「一人くらい迎撃に出る必要あるだろう?今満足な装備が使えるのは俺一人。なら俺が担当するのも当然だろ?」

 

そう言って雪兎は雪華を展開する。

 

「すまない、頼む」

 

「任せろ」

 

「いたぞ!」

 

丁度その時、JAのアムドライバー達か雪兎達の元へと殺到してきた。

 

「さてと、ド派手なカーチェイスといこうか!」




もう少しだけ続きます。

スマホの画面が割れて書き難い・・・・


次回予告

雪兎達がJAとカーチェイスを繰り広げる一方で、フライング・ラビットをロシェット達が襲撃する。一夏達と合流したラグナとシシーも現場に駆けつけ応戦するが・・・・

次回

「凶弾の行方と目覚めた獣 兎、逃走中」

今回はメカコーナーはお休みです。

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