IS―兎協奏曲―   作:ミストラル0

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待たせ棚!リアルが忙しくて更新できませんでした。

やっぱりアムドライバーの知名度はそんなもんか・・・・ちょっとしたあらすじとキャラ紹介いる?

アムドライバーが気になった人はあまりレンタルビデオ店に無いので動画で見る事をオススメします。

今回は29話~31話の各前半にあたるお話です。


89話 頑固親父とニルギースの過去 兎、ガン=ザルディに会う

ディグラーズを退け、何とかフライング・ラビットに合流した雪兎達。ナムールリバー周辺で補給物資は受け取ったが、ムーロンに向かう前にもう一度街に寄っておこうということでフライング・ラビットを別の場所に待機させ、買い出し班が中型のトラックで食糧等を買いに行く事になった。そして、肝心なフライング・ラビットの待機場所を探している時に雪兎は辺りの地形を見てある事に気付いた。

 

(あれ?この辺りって29話のワット=ジョバンニがいる町の辺じゃ・・・・)

 

ワット=ジョバンニ。道具を大事にしないシティのアムドライバーを嫌い、娘と共に人気の少ない町に工場を構える頑固親父なのだが、その腕前は第一級戦略兵器技術者という資格を持つ超一流と言っていい技術者だ。原作ではダークとタクトの二人が彼に気に入られてモノクルバイザーを譲渡されるのだが・・・・

 

「なあ、この町はどうだ?」

 

「うむ、JAの侵攻で人気の無くなった町か・・・・確かに隠れるのには打ってつけだな」

 

隠し場所も見つかり、買い出し班の一夏、箒、鈴、セシリア、ラウラ、ラグナ、シシーと分かれた雪兎達は早速その町に向かう事に。だが、そんな中、浮かない顔をしている人物がいた。

 

「どうしたんだ、ニルギース」

 

「・・・・少し、気になる事があってな」

 

(そういや、ガン=ザルディに疑問を持ち始めたのってこの頃か。となると、そろそろ・・・・)

 

そう、ニルギースはピースが三つに分けられていた事などガン=ザルディが伏せていた情報からガン=ザルディの目的を疑問視し始めていた。

 

「すまないが私達もしばらく別行動をさせてもらう」

 

「えっ?一体何処へ?」

 

「ガン=ザルディのところだ」

 

故にニルギースはガン=ザルディの真意を確かめるべく彼に会いに行く事にしたのだ。

 

「ジェナス、お前も来るか?」

 

「えっ?」

 

「ジェナス、カオニカイテアル」

 

シャシャの言う通りジェナスの顔は「俺も行きたい!」と書いてあると思えるくらい分かり易かった。

 

「あと、雪兎。お前にも来てもらいたい」

 

「俺も?」

 

「ああ。少し気掛かりな事があってな。付いて来てもらえると助かる」

 

どうやら先日の一件で雪兎はニルギースの信用を得たようだ。それにガン=ザルディに対して第三者からの意見も欲しいのだろう。

 

「・・・・そうだな。俺も一度会っておきたいとは思ってたから同行させてもらうよ」

 

一技師としてワット=ジョバンニに会えないのは少し残念ではあったが、敵対(・・)する前のガン=ザルディと接触出来る貴重な機会を逃すまいと、雪兎はニルギースの要請を承諾するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「雪兎、気を付けてね」

 

「ああ、ちょっとラスボスの面を拝んでくるわ」

 

ガン=ザルディとは後にゼアムの利用法でジェナス達は対立することになり、アムドライバーという物語のラスボスポジションとなる存在だ。それを雪兎や簪から聞かされたシャルロットは「自分も付いて行く」と言ったのだが、もう一つこの後に起こる出来事への備えとしてシャルロットには残ってほしいと雪兎は言う。その出来事とは先日仲間になったシシーがロシェットの凶弾に倒れるというもの。また、死を免れたエーリックが物語の修正力で原作と同じくセラに殺される可能性もある。それらを回避するにはシャルロット達の力が必要になると雪兎は踏んでいた。

 

「マドカ達もセラとシシーを頼む」

 

「任せてくれ、兄さん」

 

(何処の誰が俺達をこの世界に招いたかは知らないが、俺が関わる以上、ジェナス達は誰一人欠けさせねぇ)

 

そんな事を考えつつも雪兎はニルギース、シャシャ、ジェナスと共にガン=ザルディが潜伏している街へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「う~ん!」

 

フライング・ラビットが目的の町に到着すると、これまで異世界転移した原因と帰る方法を探るべく食事時以外研究室に引きこもっていた束が珍しく研究室から出てきた。

 

「束か、何か判ったのか?」

 

「あっ、ちーちゃん。うん、やっぱり原因はあの重力場で間違い無いよ。というか、重力場はどちらかと言うと副産物って言った方が正しいね」

 

「どういうことだ?」

 

「あの重力場の中心部の空間が歪んでててね。その歪みってのがどうも世界の境界線に穴を開けちゃってたんだ。それで、その歪みに世界の修正力が働いて直そうとして出来たのがあの重力場だったのさ!私達はその直そうとする修正力に巻き込まれたってことだね」

 

「巻き込まれた、か・・・・しかし、あれは明らかに我々を吸い寄せていたように思えたが」

 

(それに関してはおおよそ見当がついてるんだけどねぇ~、ゆーくんも多分気付いてるよね?)

 

その時束が思い浮かべたのは興味深く理解のある弟子の存在だ。

 

「あっ、元の世界に帰る方法だけど、もう一度あの重力場みたいな歪みに飛び込めば私達が本来いるはずの世界に帰してくれるはずだよ」

 

「それも修正力とやらの力か・・・・しかし、その歪みとやらはそんな簡単に発生するものなのか?」

 

「それに関しては心配要らないと思うよ?ゼアムとか言ったっけ?その膨大なエネルギーと束さんにかかれば歪みの一つや二つ簡単に作れるよ」

 

「つまりはこのまま彼らに協力し続ける事が帰還への最善策という訳か」

 

さらりととんでもないことを呟く束に呆れつつも色々とやらかさないよう見張ろうと決意する千冬だったが・・・・

 

「嬢ちゃんは話が判るじゃねぇか!」

 

「ワットさんこそ、この束さんについてこれる人が我が弟子以外にいるとは思わなかったよ」

 

何故か意気投合してしまった(天災)ワット(頑固親父)を止めるのは千冬(世界最強)をもってしても困難な事であった。

 

「まさかあのバカ()と会話が成立する人間がいるとはな・・・・」

 

「お姉さんも苦労してんらな」

 

苦労する友人()(ワット)を持つ者同士として千冬はワットの娘のビスに同情されるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここにザルディさんが・・・・」

 

ニルギースに連れられて雪兎達がやってきたのはとある港町。その一角にあるホテルが待ち合わせの場所らしく、そのホテルのフロントでガン=ザルディを待つ事に。しかし、一時間程待ったがガン=ザルディは一向に姿を見せない。すると、ニルギースの持つ端末が鳴る。

 

『私だ』

 

「ガン=ザルディ!」

 

連絡してきたのは待ち人であるガン=ザルディだった。

 

『待ち合わせの場所には着いたようだな。では、次は町外れの工場跡に向かってくれ』

 

それだけ言うとガン=ザルディは通信を切ってしまった。

 

「随分と疑り深いみたいだな、ガン=ザルディは」

 

「ガン=ザルディ、オビエテル」

 

「怯える、か・・・・評議会やJAを警戒するのは判るが、俺達すら完全には信用してないって感じだな」

 

「・・・・」

 

雪兎がそう呟くとニルギースは無言でホテルを出ていく。

 

「ニルギース?」

 

そんなニルギースにジェナスはいつもとは違った印象を持った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ニルギースの運転でガン=ザルディの指定した工場跡に向かう雪兎達。そんな中、ニルギースはガン=ザルディへの不信と自身の過去を口にした。イヴァン=ニルギースの兄・カペリ=ニルギースは当時は知らされていなかったがアムテクノロジーの研究者で、ガン=ザルディはその同僚だった。兄の紹介でガン=ザルディと出会ったイヴァンは研究で留守にしがちなカペリに代わって自分の世話をしてくれるガン=ザルディをもう一人の兄のように慕っていた。その後、バグシーンが現れカペリは家に帰ってこなくなった。ガン=ザルディが言うには研究が忙しいのだと。それからしばらくしてガン=ザルディがアムドライバーとして表舞台に登場する。そこでイヴァンはカペリ達の研究がアムテクノロジーに関するものであったと知ったらしい。当然アムドライバーに憧れを抱くイヴァンだったがその一年後、カペリが突然家に帰ってきたところで全ては一変する。当時の政府はアムテクノロジーの独占を考えカペリ達研究者を次々と消しており、カペリもその命を狙われ逃げてきたのだと言う。しかし、すぐに追手が家の外に現れてカペリを射殺。カペリから研究データと逃げ延びた研究者について記されたデータチップを託されたイヴァンは何とか逃げ延び、その前にガン=ザルディが姿を現した。ガン=ザルディも真実を知る者として命を狙われる立場にあり、姿を隠さねばならないと告げ、一緒に連れていって欲しいと頼むイヴァンに「アムドライバーは道化だ」と言い、「ここを頼れ」と何処かの連絡先の書かれたメモを渡して去っていったのだと。

 

「・・・・その後、逃げ延びた研究者達に独自に研究を続けさせジノベゼに接触。そこからはジェナスの知る通りだ」

 

連邦評議会議長・ウィルコットの失脚を狙うジノベゼはイヴァンのもたらした「アムドライバーとバグシーンの戦いはウィルコットの自作自演」という情報を得てJAを組織。しかし、イヴァン達の「アムドライバーが道化であるという真実を公表する」という目的とジノベゼのやり方は食い違い始め、ジノベゼに裏切られたイヴァンはジェナス達に導かれるようにガン=ザルディと再会し、ゼアムの事を知った。

 

「何故ゼアムのピースが三つある事を黙っていたのか?ピースを揃えゼアムが完成した時、ガン=ザルディはどうやって争いを止めるつもりなのか?ガン=ザルディもアムテクノロジーを利用しようとしている一人ではないのか?そんな気がしてならないのだ」

 

「ニルギース・・・・」

 

「いいのか?そんな話をジェナスはともかく俺にまで聞かせて?」

 

「ああ、お前達二人には聞いておいて欲しかった」

 

そうこうしている間に工場跡に到着する。

 

「お待ちしておりました」

 

「オリヴィエさん!」

 

そこで待っていたのはガン=ザルディのローディを務めていたデューク=オリヴィエだった。

 

「お久しぶりですなぁ。そして、そちらの方はお初にお目にかかりますな。私はデューク=オリヴィエと申します」

 

「天野雪兎です」

 

そのオリヴィエの運転で四人はガン=ザルディの待つ空港にあるジェット機の前へと案内された。

 

「私に話とは何かね?」

 

そして、ジェット機の中からガン=ザルディが姿を現した。




少し駆け足になりましたが、今回はここまで。
ガン=ザルディとの対話は次回になります。


次回予告

ついにガン=ザルディと対面した雪兎達。雪兎はニルギースに代わりにガン=ザルディにある事を問う。その一方、ラグナ・シシーと共に買い出しに出た一夏達。箒達はラグナとシシーの仲睦まじい二人に充てられて一夏との距離を縮めようとあの手この手でアピールをするが・・・・

次回

「真実の行方と恋の行方 兎、ガン=ザルディと話す」










ジョイ「今回は・・・・」

ラグナ「今回こそ、俺のネオアムジャケットだよな!?」

ジョイ「仕方ないッスねぇ・・・・今回はラグナのネオアムジャケットにするッス」

ラグナ「やったぜ!」

ジョイ「とはいえ、ジェナス同様基本的なところは変わらず、追加されたハイコートカノンを含めた多彩な銃火器を代わる代わる展開したり、マルチジョイントガンと組み合わせたりする装備ッス」

ラグナ「高速切替だっけ?俺もその適性があるらしくてよ。シャルロットさんと雪兎にしごかれたぜ」

ジョイ「その他の武装はそのうち本編で出ると思うッス」

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