IS―兎協奏曲―   作:ミストラル0

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セラ一次離脱回です。
そして、今回は蘭とマドカがやらかします。

コラボしてから地味に文字数増えてきました・・・・


85話 セラの心とパフの真意 兎、妹分に隠し玉を与える

パフユニットの裏切り。これはジェナス達に思った以上の衝撃を与えていた。中でもセラは話し合いにも応じてくれないパフ達の姿を見て部屋に引きこもってしまった程だ。

 

「セラ・・・・」

 

そんなセラを心配する蘭。

 

その夜、セラはエアバイザーを持ち出しミュネーゼ・タウンへと姿を消した。それと同時に蘭とマドカも・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日の朝、セラが抜け出した事と同時に蘭とマドカも姿を消している事が発覚。その事で弾が雪兎の胸ぐらを掴んで問い質す。

 

「はぁ!?蘭のやつを一人で行かせただと!?」

 

「だからマドカに監視を頼んだんだが、まさか一緒に行くと予想外だった。一応保険は持たせてあるし位置も把握してるんだが・・・・マドカのやつ、通信まで切りやがって」

 

この行動は流石の雪兎も予想外だったらしい。

 

「マドカちゃんが一緒ならとりあえずは大丈夫か・・・・お前もマドカちゃんが心配だよな、すまん」

 

ついカッとなってしまったと謝る弾だが、雪兎はあまりマドカの心配はしていなかった。

 

「大丈夫さ、マドカは単独で基地一つ襲撃して脱出出来るやつだからな」

 

元亡国の工作員だったマドカ。故の信頼なのだが・・・・

 

「それ、別の意味で大丈夫なのか?」

 

ジェナス達は別の意味で心配になるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ミュネーゼ・タウンの近郊にある森にエアバイザーを隠したセラ。そこから単身ミュネーゼ・タウンに向かう。だが、セラは気付いていなかった。その背後に蘭とマドカがいる事に。

 

「き、気付かれてないよね?マドカ」

 

「この光学迷彩マントを羽織っているんだ。プロでもなければ気付きはせんさ・・・・だが、帰ったら兄さん達からのお説教は覚悟せねばな」

 

「うっ・・・・」

 

実はセラが抜け出した夜。それに気付いていたのはジェナスだけではなかった。蘭とマドカもセラを心配していたからこそ気付いたというべきか。そして、気付いてからの行動は迅速だった。アムジャケットの改修作業でヘトヘトな雪兎の目を盗み、蘭の分の光学迷彩マントを持ち出したマドカはフッケバインのステルスモードでこっそりセラの後をつけていたのだ。ちなみに蘭はマドカにお姫様抱っこされていた。

 

「せっかく敵陣に潜り込んだんだ。手土産は多いに越したことは無いだろう」

 

「そうだよね、私だった役に立つところ見せるんだから!」

 

こうして、二人の少女のスニーキングミッションが幕を開けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ミュネーゼ・タウンに入ったセラはパフユニットのローディであるジャックに導かれパフ達のところへと案内される。ジャックは警備態勢は万全と言っていたが、兎印の潜入装備とマドカの前には無力であった。素人の蘭が問題無く潜入出来た事からもお察しだろう。

 

「ここが奴らの本拠地か・・・・随分と杜撰な警備だ」

 

「うん、私もマドカが元工作員だったって改めて実感してるよ」

 

その後、セラを追ってパフ達の屋敷に辿り着くと、パフとセラの会話を盗み聞く。パフはセラの兄・ジョナサン=メイナードとかつて同じユニットであり、セラの事はお見通しだったとの事。そして、キャンプリトルウイング崩壊後、怪我を負ったジュリと共にジノベゼに助けられ彼に与したそうだ。そしてジョナサンとの約束の為にセラを守ろうとしている。

 

「なるほど、そういう事か・・・・」

 

「セラ、敵ならないよね?」

 

「それはないだろう。だが、この後の選択次第ではセラは辛い思いをするかもしれん」

 

見たところ、セラの中には既に結論は出ているのだろう。それをどうパフに伝えるのか、それを迷っているようにマドカは思えた。

 

「さて、ついでにシシー=クロフトとやらの居場所も探っておくか」

 

「おー」

 

少女達のスニーキングミッションは続く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

蘭やマドカが潜入している間にも雪兎達はアムジャケットの改修を終え、ロシェット達の罠を潜り抜けてランドバイザーを回収していた。

 

「何だろう、あの咬ませ犬・・・・本気で何がしたいのかわからん」

 

「咬ませ犬って・・・・最近のアイツを見てると確かにそんな風に見えなくもないが」

 

かつてのユニットの仲間を咬ませ犬と評され複雑なシーン。ランドバイザー回収作戦でもクレイモアがあると知るや否や雪兎は【NW:ネオウィザード】を用いて飛行しながらコンテナに近付き、ビーム攻撃は全て反射した上にそれで足元を崩されたロシェットはクレイモアの真っ只中に落ちて自爆・・・・咬ませ犬と言われても仕方がなかった。

 

「今一番の問題はあの三人か・・・・」

 

原作ではパフ達がJAを抜ける一因になるからとセラは放置していた雪兎だが、蘭とマドカまで潜入するとは思ってもいなかった。

 

「そういえば保険を持たせたと言っていたが、一体何を持たせたんだ?」

 

「ん?ああ、こっちに来て自衛手段がいると思ってISを一機持たせた」

 

「・・・・」

 

さらっと告げられた言葉にシーンは改めて雪兎は間違いなくジョイの同類だと思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「地下水路?」

 

ミュネーゼ・タウンへ侵入する経路を探っていた時、この古代の地下水路のデータがアップされたんだとか。

 

「罠だろ、絶対・・・・」

 

「ああ、十中八九キャシーの罠だ」

 

それでもじっとしているよりはいいとジェナス達は行動することに。

 

「今回は俺も同行する。妹を迎えに行くのは兄の役目だからな」

 

「なら俺も連れて行ってくれ!」

 

そう願い出たのは弾だった。やはり蘭の事が心配らしい。

 

「だが、お前はアムジャケットもISも無いんだろう?」

 

ただ連れて行くだけなら問題は無いのだが、今回は罠だと分かっている為、戦闘は避けられないだろう。そんなところに民間人を連れて行くのはジェナス達としては出来れば避けたい。しかし、蘭を心配する彼の気持ちもわかるせいか頭ごなしに断ることが出来ない。

 

「なら、装備があればいいんだな?」

 

「えっ?」

 

そう言って雪兎が出してきたのは全身装甲(フルスキン)のISやアムジャケットによく似たメカだった。

 

「なあ、これってもしかしてEOSか?」

 

Expected Operation Seeker(外骨格攻性機動装甲)略してEOS。前に一夏達も使用したことがあるパワードスーツの一種だ。しかし、EOSは稼働可能時間が短い上にパワーアシストがほぼ機能しない為、全身装甲は出来ないはずである。

 

「あんな玩具と一緒にすんなよ。コイツは元々向こうで俺が作ってた試作品をジョイと一緒に改修した特別製さ」

 

大きさ的にはモトバイザーを着けたアムジャケット程で、聞けばISとの違いは単独飛行出来ない事とシールドエネルギーが無いくらいらしく。その辺の問題はアムテクノロジーの応用で克服したんだとか・・・・本当に何作ってんだ、この二人。

 

「こいつを貸してやる。使い方は死ぬ気で覚えろ」

 

「恩に着るぜ、雪兎!」

 

実はこのパワースーツ【アーマードギア】はネオアムジャケット並みの性能があったりするのだが・・・・

 

「突入メンバーは俺、ジェナス、ラグナ、ダーク、タクト、雪兎、弾でいいんだな?」

 

シーンがそう確認した後、メンバーは水路へと足を踏み入れた。しばらくすると広場のような空間に出る。

 

「思ったより広い空間だな」

 

「やな感じだぜ」

 

その時、シーンが何かに気付いた。

 

「ちっ」

 

「ワッツ?」

 

「きたか」

 

すると、あちらこちらにある通路からビームが飛んでくる。

 

「バグッチか?」

 

「きたな!」

 

通路から現れたのはずんぐりとした身体を持つトロワトパス。シーン、ダーク、タクトはそれぞれランドバイザー、ランスバイザー、バーストバイザーをブリガンディモードに変形させ、ジェナスもクロスバイザーを身に纏う。

 

「なるほど、新型バグか!」

 

「てぇええい!」

 

いつものようにジェナスがトロワトパスに向かっていくが、トロワトパスは身体中にある棘のようなものをビットのように展開しそこからマルチレンジ攻撃を仕掛けてきた。

 

「何だ、こいつら!?」

 

「かわせ!」

 

「その必要は無い。【NW:ネオウィザード】展開、いけ!グラスパー!」

 

しかし、すかさず雪兎がグラスパービットを展開し、誘導兵器無効化フィールドを形成する。

 

「助かった」

 

「本当にお前のISは何でもありだな・・・・」

 

「よく来てくれたね。歓迎するよ」

 

そこにロシェット達が姿を現す。

 

「やはりロシェット達か・・・・」

 

「フフフ・・・」

 

「またお前らか、咬ませ犬(ロシェット)

 

「か、咬ませ犬だと!?」

 

呆れたように呟く雪兎の言葉に激昂するロシェットだが。

 

「そうやってキャンキャン喚いてるところが犬っぽいってんだよ!」

 

そんなロシェットに雪兎はビームハルパーで斬りかかる。

 

「くっ、相変わらず厄介な・・・・」

 

トロワトパスの最大の特徴であるマルチレンジ攻撃を封じられ焦るロシェット達だが、それは雪兎にとって絶好の隙であった。

 

「シーン!」

 

「オッケー!」

 

グラスパービットのリフレクトモードとランドバイザーの高出力ビームの合わせ技が炸裂し、ロシェット達を無数のビームが四方八方から襲いかかる。

 

「オールレンジ攻撃ってのはこうやるんだよ」

 

「うわぁ、えげつねぇ・・・・」

 

「タクトさん、今のうちに!」

 

「任せろ!ぶっぱなす!ぶっぱなす!ぶっぱな~す!」

 

その隙にバーストバイザーの大型ミサイルをトロワトパス達にぶちこみ撃破していく。

 

「くっ、だがバーストバイザーのミサイルはそれでおしまいだろ?トロワトパスはまだまだ・・・・」

 

エーリックが言葉を続けようとした、その時。バーストバイザーのミサイルコネクタに再びミサイルが装填される。実はバーストバイザーにもISの拡張領域の技術を応用し、すぐさまミサイルを再装填出来るように改修していたのだ。

 

「うそだろ!?」

 

「バーストバイザーはバーストバイザーだが、そいつはバーストバイザー改なのさ!」

 

「どっちが悪役かわかんねぇな・・・・っと!」

 

ダークもランスバイザーの槍の先端をドリルに改修したドリルランスバイザーでトロワトパスを次々撃破していく。

 

「いいねぇ、やはりドリルは漢のロマンだ!」

 

ダークも若干キャラが壊れ始めている気がする。

 

「こいつら、あの短期間でこれだけの戦力を・・・・」

 

「俺も忘れちゃ困るぜ!」

 

「ぐはっ!?」

 

KKを襲ったのは雪兎とジョイのコラボ装備【アーマードギア】を纏った弾の蹴りだ。

 

「音声認識にモーションアシストか・・・・本当にコイツは思った通りに動くぜ」

 

「弾、ついでにアレをお見舞いしてやれ!」

 

「えっ?アレやんの?」

 

「虚さんにカッコいいとこ見せなくていいのか?」

 

「やってやんよ!」

 

(計算通り)

 

「コード・AGK!」

 

『承認!』

 

弾がそのコードを音声認識させると弾のアーマードギアが大きく跳び上がる。

 

「これを使う時はこう叫ぶのがお約束なんだとよ!究極!ゲシュペンスト・キィイイイイック!!」

 

そう、アーマードギアのモデルとなった機体はゲシュペンスト。それ故に当然ながらこの技も搭載していたのだ。※ちなみに叫ばないと発動しません。

 

「がはっ!」

 

その一撃は正に究極!直撃したKKはスーパーボールのように弾かれ水路に倒れ伏す。

 

「「KK!?」」

 

KKがやられたことに動揺するロシェットとエーリック、その隙をジェナス達も見逃さない。

 

「雪兎達ばっかにやらせてたまるか!はぁっ!!」

 

「これでもくらいやがれ!」

 

「「ぐぁあああ!!」」

 

クロスバイザーのクローラートンファーとラグナのマルチジョイントガンの一撃がロシェットとエーリックを襲う。

 

「今のうちに行くぞ!」

 

「「「「おう!」」」」

 

ロシェット達を撃破し、トロワトパスを蹴散らした一同はジョイの見つけたデータを元に地下水路を駆け抜けていった。




ここで一旦切ります。
次はセラ帰還回かな?


次回予告

キャシーの罠を強引に撃ち破り水路を抜けたジェナス達を待ち構えていたのはパフ達とJA製のネオアムジャケットを纏ったセラだった。パフ達は攻撃態勢を取るがセラは・・・・

次回

「妹の決断と姉の選択 兎、お説教再び」

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