ふと思った。常時飛べるISに対してアムドライバーってかなり不利じゃね?パフ達どうしよ・・・・
「厄介な事になったな・・・・」
雪兎達の報告を受け、ニルギースは作戦の修正を余儀なくされていた。一方、雪兎とジョイはニルギース、シェシェのもの以外の一同のアムジャケットの改修作業を行っていた。
「とりあえず急ぎはシーンのやつだな」
「そうッスね、ロシェットはシーンをつけ狙ってるみたいッスからね」
手始めに取り掛かったのはシーンのアムジャケット。これからの戦いを考えれば主力級のアムドライバーの戦力アップは急務と言える。
「問題は次の襲撃までに作業が終わるかってとこだな・・・・」
「そうッスよね」
正直な話、JAのネオアムジャケットは想像以上に強力だった。前回は雪兎と改修済みのジェナスとラグナがいたが、未改修のアムジャケットではいてもいなくても大差は無いレベルだ。それにアムマテリアルにも限りがある為、改修作業は残っているアムジャケット全機同時に行っている。それ故に残ったジェナスとラグナ、雪兎以外のISチームで迎撃を行わねばならない。
「多分、今夜が勝負だ。やるぜ、ジョイ!」
「合点承知ッス!」
「シシーちゃんが捕まった!?」
それは情報を漁っていたマリーが見つけたもので、アムドライバーの公認サポーターをしているシシー=クロフトという少女がミュネーゼ・タウンにて連邦アムドライバーを応援、JAを批判したとしてJAに捕まったというのだ。
「まず間違いなく罠だろうな」
「貴女もそう思いますか、織斑女史」
「ああ、このような放送を流したということは十中八九我々を誘き出す為だろう。だが、我々が行かなければ・・・・」
「ピュアアムドライバー、それに連邦政府は彼女を見捨てたと報道して非難を集めるでしょうね」
「くそっ!あの野郎どもめ・・・・」
彼女の大ファンであるラグナは悔しそうにディスクを叩く。
「だがどうする?俺達のアムジャケットはジェナスとラグナのものを除いて改修中だ。ISもネオアムジャケットに何処まで通用するかわからん」
「今はまだ様子を見る他無いな。だが、我々が懸念していた事が一つ減ったな」
「なるほど、シシー救出を隠れ蓑に工作員と接触するのか」
「それなら大義名分が立つという訳ね?」
ニルギースの言い分に千冬とマリーが納得していると。
「そんなのは関係無い!」
「シシーちゃんは俺達のサポーターなんだぜ?」
「ああ、シシーが、いや、俺達の力を必要としている人がいるのなら」
「「助け出すのがアムドライバーだ(ぜ)!」」
ジェナスとラグナはアムドライバーとしての在り方を貫く姿勢を示す。すると、ブリッジのクロエから通信が入る。
『皆様、前方にアムエネルギー反応を検知しました。固有波数から見て前回雪兎兄様達と交戦した三名かと。更にバグシーンと思われる反応も多数有ります』
「早速おいでなすったか!」
「ディラとラウレリアは出られるな?」
「ああ!」
「任せとけって!」
「今回はこちらからもISを出す。だが、決して無理はするな!」
「「「「はいっ!」」」」
こうしてISとアムドライバーの混成部隊がロシェット達JAを迎え撃つ為出撃するのであった。
「またその変なパワードスーツか!」
「まだそんなにいたんだね」
「トパスⅡを持って来て正解だったな」
ロシェット達は原作と違いジェナス達がネオアムジャケットを装備している事を知っていた為に連れて来たトパスⅡを展開する。
「すまない一夏、お前達の力を貸してくれ!」
「ああ、俺達もここでやられる訳にはいかないんだ。やるぞ、皆!」
「「「「おう!!」」」」
ロシェット達ネオアムジャケット装備に対するはジェナス、ラグナ、一夏の三人。残りのメンバーはシャルロットの指揮の元でトパスⅡの掃討を開始する。
「はっ!」
「くっ!」
ロシェットと対峙するのはジェナス。今回は早々にヴァリアブルソードを使用してロシェットのシザースブレードを押し返す。
「お前なんかに!」
ロシェットは何処か焦ったようにグラップルブレードとシザースブレードを合体させナイトメアブレードにするとジェナスに斬りかかる。
「シーンは何処だ!」
「教えるかよ!それにお前の相手はこの俺だ!」
シーンに拘るロシェットは明らかに目の前のジェナスを見ていない。それ故にジェナスに対して有効な攻撃が出来ないでいた。
「ババババババーン!」
「くっ、コイツらやはりあの頃とは違う!」
「当たり前だろ!俺達がどれだけ修羅場潜ってきたと思ってるんだ!」
KKもパワーアップしたラグナの攻撃に押され気味だ。
「な、何なんだよコイツらは!?」
「遅い!」
エーリックも二度目のIS戦で一夏に翻弄されるばかりで手も足も出ない。無論、戦ったのが雪兎や一夏と三次移行済みのISである為それは当然と言える。だが、そんな彼らに援軍が到着する。
「何っ!?」
突如の狙撃を何とか回避したジェナス達だが、現れたのはセラと同じエアバイザーにジャイロバイザー、そして未知の飛行型バイザーを纏った三人。その三人は一度崖の上に着陸するとそのヘルメットを外す。
「パフ!?」
「それにジュリ、ジュネまで!?お前達もジノベゼ側に寝返ったのかよ!?」
それは以前セラが所属していたパフユニットのパフにジュリ、ジュネの双子だった。言葉を交わそうとするも、パフ達は問答無用とジェナス達に襲いかかる。
「ちょっと!あんた達は仲間だったんじゃないの!?」
「これは戦争なのよ!」
そんなパフに激昂した鈴が仕掛ける。
「戦争?知ったことじゃないわ!!信頼していた相手に裏切られるのがどんな気持ちか!あんた考えたことあるの!?」
「珍しく同意だ。貴様の事はセラから聞いていたが、そんな女だったとはな。セラが聞いたら悲しむぞ!」
更にマドカもセラと仲良くなったが故にそんなパフが許せないらしい。
「私もお手伝いしますわ!」
「上空はむしろ私達の戦場よ?」
どうやらトパスⅡを片付け終わった女性陣はパフ達の言動に思うところがあるようで全員がパフ、ジュリ、ジュネを包囲する。パフが使う新型バイザー・ストームバイザーといえど、彼女達からすれば未知の能力を持つISに囲まれては流石に不利というもの。しかし、パフも歴戦のアムドライバーの一人。そう簡単にはいかない。
「貴女達に何が判るっていうの!」
ストームバイザーをブリガンディ・モードに変形させ、機首部分であったキャノンと翼が変形したブーメラン状のブレードを用いて攻撃してくる。
「私達だって!」
「やってみせるんだから!」
それに合わせて双子だからこそのコンビネーションで攻撃してくるジュリとジュネ。
「なんと厄介な!」
ストームバイザーは勿論、ジュリとジュネが使うエアバイザーやジャイロバイザーもネオアムジャケット対応になっている為か楯無やシャルロットでもパフ達を追い込み切れない。そんな時だった。
「甲龍!私達の意地、何としてでもアイツらに思い知らせるわよ!」
「私達も負けていられませんわ!」
「我らシュヴァルツェ・ハーゼの誇り!今こそ示す時!」
そんな三人の気持ちに応えるかのように甲龍、ブルー・ティアーズ、シュヴァルツェア・レーゲンが光り輝く。
「これってまさか!?」
光が消えると、三機のISはその姿を大きく変貌させていた。まずは甲龍だが、兎印のパッケージを取り込んでおり、左右の小型龍咆【龍玉】が三つから四つに増え、背面には龍の翼を模した大型スラスターを得た。更に二本の大型青龍刀だった双天牙月は刀身が少し細身の刀刃になり鋭さを増していた。
「私に応えてくれたんだ、甲龍・・・・」
続いてはブルー・ティアーズ。エンジェルフェザーで追加された翼状のビットマウントが大型化し、それに伴いビットも大型化。火力も当然上昇しており、かつてのスターライトmk.Ⅲに匹敵する。また、刃も備えて斬撃も行えるようになった。ランパードランチャーも槍の部分が大型化し、【LA:ライトニング・アサルト】のガングニールと同様に複数砲門を使った拡散攻撃も可能に(偏向射撃も可)。
「私達も二次移行を?」
最後にシュヴァルツェア・レーゲンだが、両肩のシールドブースターキャノンに大型レールガンが融合して大型化。眼帯の部分にスカウターのようなものが追加され、ヴォータン・ルージェ発動時に限るが、ワイヤーブレードの先からAICを展開出来るようになっている。更にそのワイヤーブレードに高周波振動を加えることで切断能力までも付与している。
「三機同時とは因果なものだな」
三機共に同時期に雪兎から専用パッケージを与えられたISだ。それが同時に移行するというのはラウラの言う通り因果なものだ。
「ジュリ、ジュネ、退くわよ」
この異常事態には流石のパフも危険を感じ、撤退を指示する。ロシェット達もどさくさ紛れに撤退したらしく、月夜の戦いは引き分けという形で幕を閉じた。
ちょっと中途半端になりましたが、この後のセラのイベントの為に戦闘は切り上げに・・・・
鈴達の二次移行したISはまた今度データを上げておきます。
次回予告
ロシェット達の他にパフ達までもジノベゼ側についたことに動揺するジェナス達。中でも同じユニットだったセラの精神的ダメージは大きく、セラは一人パフの真意を探るべくミュネーゼ・タウンへと潜入する。しかし、そんなセラを追って蘭とマドカのスニーキングミッションが幕を開ける。
次回
「セラの心とパフの真意 兎、妹分に隠し玉を与える」