IS―兎協奏曲―   作:ミストラル0

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今回は彼らとの邂逅のお話。
また登場人物一気に増えます。特に雪兎と()の出会いはとんでもないことに・・・・


82話 ヒーロー達との邂逅 兎、異世界に行く

広域スキャニングの結果、現在地はデータ上には存在しない場所、即ち未知の場所だと知り困惑する一同。そんな中、一人スキャニングデータを睨んでいる人物がいた。雪兎である。

 

(これは、まさか・・・・だとしたら俺達は)

 

とあるモニターに映された廃墟の映像、そこに映り込んだある存在が雪兎にある仮説を思わせる。

 

(バグシーン(・・・・・)、コイツらが存在するってことはこの世界(・・・・)は・・・・)

 

映り込んでいたのはピンク色の烏賊を彷彿とさせるトパスと呼ばれる機動兵器(バグシーン)。その存在は雪兎の表情を曇らせる。

 

「雪兎?」

 

そんな雪兎の異変に真っ先に気付いたのはやはりシャルロットだった。

 

「シャル、俺達はどうやらかなり突拍子も無い事態に陥ったらしい」

 

「それはどういうことだ?」

 

「織斑先生、これから話すのは普通なら信じられないことです。ですが、話だけでも聞いて下さい」

 

そう言うと、雪兎はクロエに頼んで先程のトパスの映像を拡大表示させる。

 

「これは・・・・」

 

「もしかして、バグシーン?ってことは・・・・」

 

意外にも簪もトパスに見覚えがあったらしく、雪兎の言いたいことを理解したようだ。

 

「ああ、簪の思った通りだと思う。俺達は今、異世界にいる」

 

「い、異世界!?」

 

「あれはトパスというバグシーン。バグシーンとはこの世界で人類を脅かしているとされていた機動兵器の一種だ」

 

当初、バグシーンは突如現れた侵略者だと思われていた。しかし、バグシーンは紛争に満ちた荒れた世界を一つにまとめる手段として意図的に作り出された偽りの侵略者だった。

 

「バグシーンは通常兵器ではダメージを与えられず、それに対抗する為に作られたアムテクノロジーと呼ばれる技術で作られたアムドライバーだけがバグシーンと戦うことが出来た」

 

「なるほど、マッチポンプという訳か」

 

「そうです。その後、その事を公表し政府と対峙したジャスティ・アーミー(以後JA)と連邦政府、それとアムドライバー本来の在り方『市民を守るヒーロー』としての姿勢を貫こうとしたピュアアムドライバーと呼ばれた第三勢力の戦いになったんだ」

 

ピュアアムドライバー。この物語の主人公・ジェナス=ディラ達の少数勢力。だが、その影響力は計り知れないものであった。

 

「ここが異世界だと言うのはとりあえず納得したけどさ。何でそんなに詳しいんだ?」

 

「だってこれ、昔やってたアニメの世界だもん」

 

「はっ?」

 

そう、アムドライバーのアニメはISの世界でも放映されていたのだ。そして、ヒーロー大好きな簪がそれを知らない訳がなかった。

 

「問題はどの時期か、よね」

 

「おそらくだが、今はそのJAが活動し始めた頃だと思う」

 

「根拠は?」

 

「トパスがノーマルタイプかつ他のタイプのバグシーンが見当たらない。廃墟を調べればもう少し詳しい時期が分かると思うんだが・・・・」

 

という訳で一同はまず廃墟を調べることに・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「壊れかけの端末をレストアしてそこからこの辺りの地形データを回収出来た」

 

「流石は雪兎、慣れたものだね」

 

「他にもデータを回収出来たから大体だが時期も特定出来そうだ」

 

回収したのはニュースなどの報道系のデータだ。それに寄ればつい先日ジェナス達がアムエネルギーの輸送列車を守った事件が起こった。ピュアアムドライバーが登場した第二十話から二十二話の辺りだと判った。しかもこの辺りはジェナス達の次の目的地である『ミュネーゼ・タウン』と今彼らがいる『ナムールリバー』の途中にあるらしい。

 

「帰投するか・・・・ん?」

 

そこで雪兎が近付いてくる存在に気付く。

 

「あれはトパスⅡα!?」

 

それは十九話辺りから登場したバグシーンでαとβの二種同時に運用している。それと遭遇したのだ。

 

「アレがいるってことは近くにJAの連中も・・・・」

 

見つかる訳にはいかないと廃墟に隠れる雪兎とシャルロット。すると、アムジャケットを身に纏ったJAが姿を現す。

 

「・・・・例の反応があったのはこの辺りなんだな?」

 

「はい、近くにピュアアムドライバーが来ているという情報もあります。何かあるのは間違い無いかと」

 

どうやらフライング・ラビットが転移した時のエネルギーを感知し調査に来たJAが雪兎のレストアした端末から情報を抜き取ったのに気付かれたらしい。

 

(ちっ、俺としたことがへましたか・・・・)

 

「どうするの?雪兎」

 

「とりあえず皆と合流しないと・・・・」

 

その時、二人の傍にいたJAが何かを発見する。

 

「この端末はレストアされた跡がある!近くにいるはずだ!捜せ!」

 

見つけたのは先程雪兎がレストアした端末。それを見つけたJAはトパスⅡ達に指示を出す。

 

「見つかるのは時間の問題か・・・・なら一か八かだ!来い、雪華!」

 

「いくよ、リヴァイヴⅡ!」

 

逃げ場は無いと察した雪兎とシャルロットはそれぞれISを展開し打って出る事に。

 

「何っ!?」

 

「はっ!」

 

幸いな事にISの装備はバグシーンに通用する様で、【B:ブレイド】を展開した雪兎はバルムンクでトパスⅡαを両断する。

 

「シャル!ISの武器ならコイツらにも通用するぞ!」

 

「了解!」

 

一方のシャルロットは【G:ガンナー】を展開し、一斉掃射でトパスⅡ達を撃ち抜く。

 

「な、何だその装備は!?」

 

初めてISを目にし困惑するJA達。

 

「やられてばかりいるものか!やれ、トパスⅡ!」

 

だが、すぐに立ち直るとトパスⅡをけしかけてくる。

 

「くっ、数が多い・・・・」

 

攻撃は通用するも流石に数が多く劣勢に陥る雪兎とシャルロット。そんな時だった。

 

「やっちゃるぜ!」

 

「アロンジー!」

 

「えっ?」

 

そこに現れたのは青と赤の装甲を持つアムジャケットを着用したアムドライバー。

 

「まさか・・・・彼らは!?」

 

「ちっ、ピュアアムドライバーか!」

 

そう、そこに現れたのはピュアアムドライバー・ジェナス=ディラとラグナ=ラウレリアの二名だった。

 

「どこの誰かは知らないが助太刀させてもらうぜ!」

 

「ジェナス=ディラ・・・・マジかよ」

 

「俺様もいるぜ!」

 

「雪兎、この二人が?」

 

「ああ、ピュアアムドライバーだ」

 

ジェナス達と邂逅した雪兎とシャルロットはそのまま彼らと共闘しJAを追い払うことに成功した。

 

「助かった。しかし、まさかピュアアムドライバーに助けられるとはな」

 

「へっへ~、俺達も有名になったもんだぜ!」

 

礼を言う雪兎にジェナスは戦闘中気になっても聞けなかったことを訊ねる。

 

「それはそうと、君らは一体何者なんだ?それにそのアーマーはアムジャケットとは違うみたいだが・・・・」

 

「詳しく話すと長くなる。だから俺達のところに来ないか?お仲間も連れて来てもらって構わない。ついでに助けられた礼に飯も出すよ」

 

「マジで!?」

 

「うん、雪兎のご飯は美味しいから期待していいよ」

 

「本当にいいのか?」

 

「命に比べたら飯の一つや二つ安いもんだ」

 

その後、一夏達とも合流し、ジェナス達ピュアアムドライバー達を迎え入れた一同はフライング・ラビットへと帰投するのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やっべー、何この飯!?旨すぎるんですけど!」

 

「本当だ、美味しい・・・・」

 

まずは腹ごしらえとフライング・ラビットの食堂にて腕を振るうは雪兎と一夏に弾の三名。この三名は男子ながら料理の腕は主婦顔負け。ピュアアムドライバーの面々も彼らの料理には手が止まらないようだ。大絶賛しているのはラグナで、驚いているのはセラ=メイ。

 

「それにしてもこの設備といい、ISといい、普通ではないな」

 

「そうッスよ!さっき見せてもらったISとかいうパワードスーツもそうだったッスけど、このフライング・ラビットって船も僕らからして見ればオーバーテクノロジーの塊ッス!」

 

フライング・ラビットやISに興味を示したのは協力者のイヴァン=ニルギースとジェナス達のローディ(アムドライバーのサポート技師のこと)のジョイ=レオンだ。

 

「メシだ!メシだ!メシだ!」

 

「すまんな、お前さん達も大変だろうに・・・・」

 

メシだと繰り返し叫びながら食べているのはタフト=クレマーで、気を使ってくれているのがダーク=カルホール。

 

「それにしても随分と男女比が女性寄りなんだな」

 

「何でも、あのISってパワードスーツは基本的に女性しか使えないそうよ」

 

「なるほど、だが、雪兎と一夏という少年二人は例外みたいだな」

 

そう考察するはシーン=ピアース、専属ジャーナリストのマリー=ファスティアとニック=キーオの三名。

 

「ジェナス、モットタベル」

 

「い、いや、シャシャは自分のを食べなって」

 

そしてジェナスに絡んでいるシャシャ。これが現在のピュアアムドライバーのメンバーだ。

 

「楽しんで貰えてるなら作った甲斐があったな」

 

「ああ、しかし物語の中心人物達と接触出来たのは幸運だよな」

 

聞けばジェナス達はナムールリバーを出てからJAと戦いつつもデポトレーラー・プロメテウスでミュネーゼ・タウンに向かう途中らしい。

 

「さてと、腹ごしらえも済んだことだし、今度は俺達の話だな」

 

食事の後、雪兎はジェナス達に自分達が別の世界からやって来た異邦人であることを告げ、元の世界に帰れる目処がつくまで同行したいと申し出た。何故同行を申し出たかと言うと、このままでは何れJAや連邦政府に見つかり利用される恐れがある。であれば、何者にも縛られないピュアアムドライバーに同行した方が身の安全を確保出来ると考えたからだ。その事も雪兎は隠さずジェナス達に伝える。

 

「確かに君達の戦力と物資は役に立つ。それに我々に与する理由ももっともだ。私は賛成だ」

 

最初に言葉を発したのはニルギースだった。彼は彼なりに雪兎達の言葉とメリット・デメリットを精査した上で雪兎の提案に賛成する。

 

「俺も良いと思うぜ。少なくともアイツらが嘘をついてるようには見えねえ」

 

ダークも雪兎は信用していいと思ったようで賛成のようだ。

 

「僕も賛成ッス。それに、雪兎とはもう少し色々と話してみたかったんスよ」

 

「お前の場合、そっちが本命なんじゃね?まあ、俺も旨い飯が食えるなら反対する理由もねぇけどよ」

 

ジョイは技師としての興味から、ラグナは旨い飯を理由に賛成。

 

「決めるのはジェナスだ。俺はお前の決定に従う」

 

「私もシーンと同じ。ジェナスに任せる」

 

今まで彼らを率いてきた信頼からシーンとセラはジェナスに決定を委ねるようだ。他のメンバーもジェナスに一任するらしい。

 

「それじゃあ・・・・」

 

ジェナスはしばらく考えた上で結論を出す。

 

「よろしく頼む、雪兎」

 

「ああ、こちらこそよろしく頼むよ、ジェナス」

 

こうしてピュアアムドライバーと異世界からやってきたIS学園チームの同盟が結ばれることとなった。




とりあえずピュアアムドライバーと合流。
遭遇したJA?奴らは踏み台になったのさ。
やっぱりシャシャとタフトが書き難い・・・・


次回予告

ジェナス達と共に行動する事となった雪兎達IS学園の面々。そして次の目的地であるミュネーゼ・タウンに向かうのだが、JAに与したキャシー率いるネオアムジャケットを纏うロシェット達と交戦となり・・・・

次回

「ネオアムジャケットと新たなる力 兎、ジョイとやらかす」

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