IS―兎協奏曲―   作:ミストラル0

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今度こそ戦闘パートじゃあ!




76話 狂える獅子対白き刃 兎、奥の手発動!

オータムと彼女が引き連れてきた機械戦乙女によって箒達と引き離された一夏は一人でレグルスの相手をすることに。だが、レグルスの計算違いは一夏が想定外にレグルスに食い付いてきたことだった。その原因は一夏が雪兎に懇願して受けてきたある特訓にあった。とある世界では「東方剣術の極み」とすら言われた【八葉一刀流】。雪兎から教わったこの剣術が思った以上に一夏に合っていたのか【紅葉切り】の習得以降も雪兎は幾つかの技を一夏に伝授しており、今や【零落白夜】無しでも他のメンバーと渡り合える実力を身に付けていた。また、剣術に至っては既に箒を凌駕する実力になっており、それに焦った箒までもが雪兎に教えを乞うてきたぐらいだ。

 

「これも凌ぐか・・・・アイツ(千冬)の弟だからと相手に選んでみれば思わぬ掘り出し物に出会ったものだ」

 

「ぐっ・・・・これが世界二位の実力か」

 

レグルスがまだ本気ではないのか、それとも雪兎のアドヴァンスドによるシゴキよりマシだったのか、一夏は何とかレグルスと戦えていた。それでも少しでも気を抜けば殺られるという予感が一夏にはあった。

 

「それでも、負ける訳にはいかないんだ!!」

 

だが、一夏は雪片を手にレグルスに挑み続ける。

 

「その意気やよし!だが、まだまだ私には届かんよ!」

 

すると、レグルスは手に持つ大剣を縦に二分割し二振りの剣に変形させ今までの剛剣による一撃ではなく双剣による乱舞に切り替わる。しかし、一夏に動揺した様子はなく、瞬時に左腕の雪羅をソードモードにして乱舞を捌く。

 

「ほう、これも耐えるか」

 

「その戦い方はアイツ(マドカ)との模擬戦で散々やってきたんだ!」

 

「こいつは本当に殺すのが惜しいな!」

 

更にスピードと威力が増し、一夏は再び劣勢に。そして・・・・

 

ピシッ

 

一夏だけでなく、白式も徐々にダメージを負って限界に近付いていく。特にレグルスの攻撃を一身に受け続けてきた雪片弐型に至っては既に限界間近といったところだ。

 

(もう少し、もう少しだけ耐えてくれ雪片・・・・)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、オータムと対峙する箒達はというと。

 

「その程度か・・・・はっ、やっぱあのクソ兎と金髪のガキ(シャルロット)以外は大したことねぇな」

 

「うぐ・・・・」

 

以前、シャルロットに完封されたことから多くの機械戦乙女の連れて挑んだが、思いの外箒達は機械戦乙女達とオータムを突破出来ずにいたことに拍子抜けといったところだ。

 

「くっ、このままでは一夏が・・・・」

 

「でも、こいつらを抜けれないっ!」

 

一夏のピンチを知りつつも駆けつけることが出来ず、苦しい思いをする箒達。

 

「これが亡国機業の本気・・・・」

 

「でも、負けられない!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これが・・・・最凶の世代」

 

その頃、スコール達の襲撃受けた千冬達は・・・・

 

「その程度か、亡国機業」

 

既に機械戦乙女の姿はなく、スコール、サダル、ストレアの三名は満身創痍だった。

 

「ホント、この程度なんて拍子抜けだよねぇ~」

 

ほとんどの機械戦乙女を重力圧で圧壊させた束。

 

「ゆーくんが言ってた程強くなかったかな?」

 

圧倒的なスピードと反射反応装甲というチート装備でサダルを翻弄した雪菜。

 

「この装備のお蔭ですね。天野君にお礼を言わなくてはいけませんね」

 

雪兎の調整したリヴァイヴⅡ改でかつての異名通りの蹂躙劇でストレアを制した真耶。

 

「またつまらんものを斬ってしまったな」

 

放たれた炎弾等も全て斬艦刀で斬り伏せてしまった千冬。こいつら、チート過ぎる・・・・

 

「くっ・・・・しかし、もう私達の目的は果たしましたわ」

 

「何?」

 

「織斑一夏の抹殺・・・・きっと今頃レグルスが果たしていますわ」

 

そう、亡国機業の今回の最大の目的は一夏の抹殺。故に最大戦力であったレグルスを一夏の元へと向かわせ、その障害となり得る千冬達の足止めにスコール達自らが出向いたのだ。

 

「くっ」

 

「行かせませんよブリュンヒルデ。それに、機械戦乙女ならまだまだいますよ?」

 

千冬達が一夏の元へと向かおうとするが、再び無数の機械戦乙女とスコール達が立ち塞がる。

 

「もう一踏ん張りいきますよ、【抗議する天秤(プラテストゥ・リブラ)】!」

 

身に纏っていた重装甲と両肩両腕のガトリングシールドをパージし、腰の折り畳まれていたレーザー重斬刀を構えるストレア。

 

「ひび割れても溢れる水は尽きませんわ。【尽きぬ水瓶(イニィグゾォースタァブル・アクエリアス)】!」

 

両肩の水瓶を彷彿とさせるビームカノンをチャージして戦闘続行を示すサダル。

 

「そう、まだ私達は負けていませんわよ?ブリュンヒルデ!」

 

両腕に炎を纏わせ起き上がるスコール。

 

「う~ん、まだやる気なの?束さんとしては早く箒ちゃんやいっくんのとこ行きたいんだけど・・・・」

 

「えっ?この反応は!?」

 

まだまだやる気の亡国機業の三人に対して束がつまらなそうに呟いた時、戦闘と同時に戦場全域をサーチしていた真耶の表情が曇る。

 

「どうした?真耶」

 

「織斑君の反応が・・・・ロストしました」

 

その真耶の一言で千冬達は絶句した。

 

「ふふ、勝負に負けて試合に勝った・・・・勝ったわよ、ブリュンヒルデ!」

 

「これはマズイことになったね・・・・」

 

一夏の反応のロスト、その言葉を聞き勝ち誇るスコール。そして束が珍しく深刻そうな表情で告げる。

 

「紅椿が暴走した」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

少し時間を遡り、シャルロット達を一夏の元へと向かわせる為にアンタレスの足止めをするべく残った雪兎は藍色の装甲を持つ【B:ブレイド】を展開しアンタレスと対峙していた。

 

「うん?それ、アドヴァンスドとかいうやつじゃないよね?もしかして私のこと嘗めてる?」

 

「まあ、落ち着けよ。これで終わりだなんて一言も言ってねぇだろ?」

 

そう言って雪兎が取り出したのは一夏に渡したペンダントによく似た白い飛竜を模したペンダント。

 

「来いよ【白月】」

 

その一言に反応してペンダントが光を放つと雪兎の背後に白い飛竜のようなメカが姿を現す。

 

「無人兵器?いや、違う・・・・それはまさか!?」

 

無人機であれば亡国機業にも既に機械戦乙女が存在する。しかし、その飛竜からはISコア(・・・・)の反応が存在した。更に各所に雪華のようなハードポイントを持つことからアンタレスはその正体を察した。

 

「本邦初公開だ・・・・その眼をかっぽじってよく見とけよ?白月、武装合体」

 

すると、機械の飛竜は甲高い機械音の咆哮をあげ、幾つかのパーツに分離すると雪華へと組み込まれていく。

 

「無人コア内蔵自律型追加補助外装【白月】、そして、それと合体し二つのコアを連動させるデュアルコアシステム搭載IS雪華第三形態【雪月華】。これが俺の切り札(ジョーカー)だ」

 

ここに二つのコアを持つ理不尽の塊たる最凶のISが世界に顕現した。




一夏の生死と紅椿の暴走については次回で・・・・
そして、雪兎の切り札(ジョーカー)登場です。


ストレアの【抗議する天秤(プラテストゥ・リブラ)】は武御雷参型さんに考案いただいたISです。改めてお礼申し上げます。ありがとうございました。

次回予告

雪兎が切り札を切り優位に立ったと思われたが、一夏の反応がロストという最悪の事態に。その時、紅椿が暴走した理由とは?


次回

「折れた白刃と乱れる椿 兎、もう1つの切り札を切る」

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