IS―兎協奏曲―   作:ミストラル0

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早速ですが、戦闘パートです。弾?余裕があれば戦闘後にでも出します・・・・需要があるかは知らないけど。


74話 復讐の蜘蛛と狂える獅子 兎、襲撃される

一夏side

 

視察二日目の朝。別のホテルに宿泊しているという件の協力者を迎えに行った雪兎達や別行動の楯無先輩達と別れた俺達は囮役として箒達と京都を散策することに。

 

「さてと、そろそろ俺達も行くか」

 

今回は亡国機業に対する囮役ということもあって箒達がいつものように言い争ったりすることはなかった。というか前日に雪兎からその辺りを徹底的に言い含められている。仮にもしそんなことをすれば後日雪兎のOHNASHIが待っているとわかっているので箒達も自重している。その代わり、京都でデートするならば定番というコースを教えて貰っており、俺達はそのデートコースを回ることになっていた。まずは皆で人気の老舗和菓子屋で各々好きな和菓子を食べ・・・・

 

「これは旨いな」

 

「思っていたより上品な甘さなのですわね」

 

「ティナ達にもお土産で買っていこうかしら?」

 

「私も隊に買っていこう」

 

着物の体験をしてみたり・・・・

 

「うむ、やはり着物は良いものだ」

 

「あっ!?鈴さん!帯を引っ張らないでくださいまし!」

 

「良いではないか!良いではないか!」

 

「ほぅ、それが有名な・・・・」

 

「いや、普通に体験してくれ・・・・」

 

そんなこんなを終え、次の場所へと向かっている時だった。

 

「一夏!」

 

突然ラウラが俺を突飛ばし、ISを部分展開させてAISを発動させ俺を狙っていたと思われる弾丸を受け止めた。

 

「狙撃!?一体何処から!?」

 

俺を囲うように箒達が隊列を組むと犯人はあっさりと姿を現した。

 

「久しぶりだな、織斑一夏」

 

「お、お前は、オータム!?」

 

それは以前に学園祭で俺を襲ってきた亡国機業の構成員の一人オータムだった。

 

「あ、あんた生きてたのね!」

 

そう、オータムは学園祭の時にシャルロットに惨敗し捕らえられたものの、護送車が爆破され行方不明になっていたはずなのだ。

 

「あのくらいでこのオータム様がくたばるかよ!ん?あの糞兎とフランスのガキは一緒じゃないんだな」

 

どうも前回の(学園祭)時のことを未だに根に持っているようで、雪兎とシャルロットがいないのを見るとオータムの表情は誰から見ても悪人面な笑みを浮かべている。

 

「おいおい、私のことを忘れていないか、オータム?」

 

そこにもう一人、オータムの背後から別の女性が姿を現す。その姿を見て再び俺達は驚愕する。

 

「あ、貴女は・・・・」

 

「し、シルヴィア・メルクーリ!?」

 

「ギリシャの国家代表が何故亡国機業と一緒に!?」

 

その人物はシルヴィア・メルクーリ。ギリシャの国家代表だった人物で千冬姉や二代目ブリュンヒルデと呼ばれるアリーシャ・ジョセスターフに並ぶとすら言われた現世界二位の実力者だった。そして・・・・

 

「そんなの決まっているだろう?織斑一夏、お前の姉織斑千冬と再戦する為さ!そして、亡国機業【闇夜の星座(ゾディアック・ノワール)】のレグルス。今はそう名乗らせてもらっているよ」

 

彼女こそ雪兎が警戒していた亡国機業から派遣された新たな戦力【闇夜の星座】の一人、獅子座のレグルスだったのだ。

 

「世界第二位が亡国機業に加担してるなんて・・・・」

 

「っう訳で、私らにとっちゃお前らは前座なんだよ。だからさっさとくたばりな!」

 

そう言ってオータムは以前押収したアラクネに酷似したISを展開した。

 

「そのISは・・・・アラクネ?いや、細部が異なる」

 

「コイツの名前はアラクネⅡ【アトラク・ナクア】さ!前のアラクネと一緒だと思ってると痛い目みるぜ!」

 

「私達も行こうか、【混沌の獅子(ハオス・リョダリ)】」

 

続けてレグルスも大剣を持つ黒い獅子を模したISを展開する。

 

「やるしかないか。いくぞ、皆!こい、白式!」

 

「ああ!紅椿!」

 

「私達の力を見せる時ですわ!ブルー・ティアーズ!」

 

「来なさい、甲龍!」

 

「ゆくぞ、シュヴァルティア・レーゲン!」

 

俺達もISを展開し迎撃態勢を取り、戦いの幕が切って落とされる。

 

「さあ、愉しいお遊戯を始めようか!」

 

side out

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一夏達がオータムとレグルスの両名と交戦を始めた頃、雪兎達の前にも亡国機業の刺客が立ち塞がっていた。

 

「へぇ~、兎さんだけかと思ったらもう一人面白い人がいるじゃんか」

 

「「当たり?私達当たりだった?」」

 

一人は血のような真紅の髪を伸ばし放題にしている軽装の女性。その背後には髪色が白と黒、髪型が左と右のサイドテール以外が瓜二つのゴスロリを着た双子の少女。一見観光客にも見えなくもない三人ではあるが、雪兎とアリーシャは彼女らが敵であることを一目で見抜いた。何故なら、彼女らから漂う血の気配と赤毛の女性の眼が獲物を前にした獣のソレであったからだ。

 

「お前ら、亡国機業か」

 

「うん、そうだよ。私は亡国機業【闇夜の星座】蠍座のアンタレス。そっちの双子は黒いのがカスト、白いのがポルクスだよ」

 

雪兎の問いに赤毛の女性・アンタレスはあっさりと自分達の正体を明かす。

 

「カストにポルクス・・・・カストールとポルックス、あんたが蠍座ということはそっちは双子座。なるほど闇夜の星座の星座ってのは黄道十二星座か」

 

「へぇ~、よくわかったね」

 

「こんなもん今時の中学生でも思い至ると思うぜ?んで、その闇夜の星座とやらが俺達に何の用だ?こっちは急いでるんだが」

 

「とぼけなくてもいいよ?分かってるんでしょ?私達が来た理由くらい」

 

そう言うとアンタレスは血のように紅い蠍型のISを展開し、双子も白と黒のISを展開する。

 

「ちっ、狙いは俺達の足止めか」

 

「覚悟を決めるサ、アレ(アンタレス)は間違いなく戦闘狂サ」

 

「最悪だな・・・・シャル、俺とアリーシャさんでここは抑える。だからシャル達は一夏達の援護に向かってくれ」

 

「で、でも・・・・」

 

「私達三人をたった二人で?」

 

「「それ、本気?」」

 

雪兎がシャルロット達だけでも一夏達の元へ向かわせようとするが、アンタレスと双子にそんなことをさせるつもりはない。だが、雪兎には勝算があった。

 

「二人?コッチは四人サ」

 

すると、いつの間にやらISを展開していたアリーシャがテンペスタの単一仕様能力を発動させ二人の分身を出現させていた。

 

「と、いう訳だ。それとアンタレスとかいったな?シャル達を見逃してくれんだったら俺も奥の手使ってやるよ」

 

雪兎がそう言うとアンタレスの表情が一変し獰猛な笑みを浮かべる。

 

「いいよ、君のその提案受けたげる」

 

「雪兎!?」

 

雪兎の思わぬ提案とそれを即答するアンタレスにシャルロットは不安そうな表情をするが、雪兎は安心させるようにシャルロットの頭を撫でながら微笑む。

 

「安心しろ、シャル。俺がそう簡単に負けっかよ。すいません、アリーシャさん。アリーシャさんにはそっちの双子をお願いします」

 

「了解サ」

 

「シャル、一夏達を頼む」

 

「・・・・帰ったら1日付き合ってもらうからね」

 

「御安い御用だ。簪達も頼む」

 

甘い空気になりかけたところで雪兎は他のメンバーにも一夏達のことを託す。

 

「雪兎、無理はしないでね」

 

「雪兎さんもアーリィ姉も無茶しないでね」

 

「かしこまり!」

 

「うん」

 

そして、シャルロット達が一夏達の元へと向かうと雪兎はアンタレス達に向き直る。

 

「待たせたな」

 

「それじゃあ、始めよっか!」

 

アンタレスはもう待ちきれないとばかりにチェーンソーのような武器を構え臨戦態勢を取る。

 

「さぁ、見せてよ・・・・私とこの血染めの蠍(ブラッディ・スコーピオン)に!」

 

「見せてやるよ・・・・俺の正真正銘の奥の手ってやつをな!」




アラクネⅡ【アトラク・ナクア】はsyouiさんの意見を採用させていただきました。ありがとうございます。

次はもう1つの班と教師陣営の様子、それから一夏達の戦闘模様かな?


次回予告

亡国機業と交戦状態となった雪兎と一夏達。一方で楯無や聖達の班にも亡国機業の刺客の魔の手が伸びる。そして、ついに最()の世代と呼ばれた彼女達も動き出す。

次回

「動き出す姉達と楯の意地 兎、戦闘狂と戯れる」

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