IS―兎協奏曲―   作:ミストラル0

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順番が前後しましたが、今回は原作七巻のエピソードです。
雪兎は取材で何を語るのか?

活動報告のアンケートの方もご協力ください。


58話 代表候補生のお仕事 兎、取材を受ける

「「雑誌の取材?」」

 

名も無き兵達の襲撃から数日経ったある日、一夏と箒それと雪兎に新聞部の薫子から姉の勤める出版社の雑誌に三人の独占インタビューを掲載したいというのだ。

 

「でも、この雑誌ってあんまりIS関係無いんじゃ・・・・」

 

「国家代表や代表候補生ってのはある意味国の顔でもあるからな。アイドルみたいにこういう仕事もあるんだよ」

 

疑問を抱く一夏と箒に雪兎が説明する。

 

「ちなみに俺はこの取材受けるぞ」

 

「「えっ!?」」

 

普段ならば「面倒だから」と言って断りそうな雪兎であるが、今回は乗り気らしい。

 

「私は見世物は主義にーー」

 

「報酬は豪華一流ホテルのディナー招待券なんだけどなぁ」

 

「受けましょう」

 

雪兎に続き箒も報酬に釣られて承諾する。

 

「織斑君はどうする?」

 

「受けとけ、何事も経験だ」

 

「雪兎がそう言うんだったら・・・・」

 

雪兎にそう言われ一夏も取材を承諾する。

 

「それじゃあ三人共OKってことでいいわね?」

 

「あっ、黛先輩。招待券、もう一枚なんとかなりません?」

 

「うん?大丈夫だと思うけど・・・・ああ、デュノアさんね?」

 

「はい」

 

シャルロットを誘いたいというのも理由の一つだが、雪兎は一夏と薫子にばれないよう箒にウインクし、箒も雪兎の意図を知る。

 

(ディナーには一夏と二人で行けと?雪兎、この礼は何れ必ず!)

 

そう、原作通り二人でディナーに行かせるべく、一夏と箒とは別行動する理由を作るためでもあり、雪兎は幼馴染である箒が一歩踏み出せるよう手を打ったのだ。

 

「じゃあ、三人共、明後日の日曜日にこの住所にお昼の二時までに来てね」

 

こうして、雪兎達三人は揃って取材を受けることになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、日曜日。薫子に渡されたメモの住所へと三人は向かっていた。当然のことながら三人共私服である。

 

「そういえば雪兎はどうしてこの取材を受けたんだ?」

 

そう言う一夏の私服はグレーのジーンズにシャツと黒のジャケット。

 

「ああ、ちょっと宣伝しときたいことがあってな。あの出版社なら丁度いいと思って」

 

雪兎は茶色のカーゴパンツに黒いシャツ、そして白い上着姿だ。

 

「宣伝?また何かやらかす気か?」

 

そんな雪兎に呆れ気味の箒は黒のミニスカートに白いブラウス。そして秋物の蒲公英色をしたパーカーコートを着ている。

 

「やらかすとは失礼な!束さんや俺の夢に関してのことだよ」

 

「姉さんや雪兎の夢?」

 

「ああ、白騎士事件で色々とおかしなことになってるISの本来の使用用途、宇宙開発。これに関して少し進展があってな」

 

「そういや棗先輩の実家の棗宇宙開発局にちょくちょく出入りしてんだっけ?」

 

世間一般では既にIS=兵器という印象が強いが、一部では雪兎や棗局長のように宇宙開発にも力を入れている人達もいる。

 

「詳しくは取材の時にな」

 

その後は一夏が箒の私服を誉めて箒が上機嫌になったりしつつも三人は出版社へと辿り着いた。

 

「どうも、私は『インフィニット・ストライプス』の編集長をやっている黛渚子よ。今日はよろしく」

 

「あ、どうも。織斑一夏です」

 

「篠ノ之箒です」

 

「天野雪兎です。本日はよろしくお願いします」

 

インタビューの後に写真撮影ということで最初にインタビューを受けることに。

 

「それじゃあ最初の質問ね。織斑君に天野君、女子校に入学した感想は?」

 

「いきなりそれですか・・・・」

 

「まあ、世間一般から見たら気になりますよねぇ」

 

「そういうことよ。読者アンケートでも一番多かった質問だしね」

 

「えーと・・・・使えるトイレが少なくて困ります」

 

「ぷっ!あは、あははは!妹が言ってたこと、本当なのね!異性に興味の無いハーレム・キングって」

 

「黛先輩、的射て過ぎだろ・・・・」

 

これには渚子や雪兎も思わず吹き出して笑ってしまう。

 

「いいわねえ。そのキングダム、入国許可証ないの?」

 

「あなたは弾ですか!」

 

「あっ、弾ってのは俺と一夏の友人の五反田弾ってやつのことです」

 

さりげなく一夏の発言にフォローを入れる雪兎。弾は哀れ。

 

「で、天野君は?」

 

「そうですね・・・・外から見れば羨ましいかもしれない光景ですが、実際は結構辛いですね。興味本意の視線もあれば明らかに敵視してくる視線とかもあって居場所があまり無いと言いますか・・・・今は大分マシにはなりましたけどね」

 

「なるほどなるほど・・・・ところで天野君には彼女がいるって聞いたんだけど?」

 

「黛先輩め・・・・」

 

「結構噂になってるわよ?」

 

聞けばデートの目撃例がいくつかアンケートにあったらしい。

 

「まあ、隠すつもりはありませんが・・・・」

 

「へえ、このことは記事にしても?」

 

「変に噂になるくらいなら公表した方がいいですね」

 

「さて、それじゃあ今度は篠ノ之さんと天野君に篠ノ之さんのお姉さんの話をーー」

 

束の話題になると箒はガタッと席を立ち、立ち去ろうとする。しかし・・・・

 

「ディナー券あげないわよ?」

 

その一言で箒は大人しく席に座り直す。

 

「いい子ね。うふふ、素直な子は大好きよ。ーーまずは篠ノ之さんから・・・・お姉さんから専用機をもらった感想は?どこかの国家代表候補生になる気はないの?日本は嫌い?」

 

「紅椿は、感謝しています。・・・・今のところ代表候補生には興味はありません。勧誘は多いですが。日本は、生まれ育った国ですから、嫌いではないですけど」

 

矢継ぎ早の質問だったが、箒はしっかりと全ての問いに答える。

 

「次に天野君。篠ノ之博士の弟子ということだけど実際篠ノ之博士ってどんな人?何機かISを設計したって聞いてるけど本当?最後に今後の目標とかはある?」

 

「束さんは興味のあることと無いことへの温度差の激しい人、ですかね?間違いなく天才ではあるのですが、どこか興味の無いことへの配慮が無いので誤解されやすいと言いますか・・・・IS設計したのは本当です。自分の使ってる雪華も俺の設計したものを束さんが完成させたものですし、あと何機か学園の生徒にデータ取りを兼ねて使ってもらってます。今後の目標はISの本来の使用用途である宇宙開発への参加ですかね?」

 

「ということは将来は棗宇宙開発局に?」

 

「いえ、今はプロジェクト段階なんですが、いくつかの企業から国際事業としてISを使った宇宙開発事業を立ち上げる計画がありまして、そこに参加しようかと」

 

「「えっ!?」」

 

それを聞き、一夏と箒は二人揃って驚いた顔をする。

 

「その情報は公開してもいいの?」

 

「ええ、実は今回取材を受けたのもこのプロジェクトについて公表することが目的でして」

 

そう、雪兎が取材を受けたのはこのプロジェクトのことを一般公開する先触れだったのだ。

 

「なるほどね。ということは君はプロジェクトからの橋渡し役ってことかしら?」

 

「ええ、この話はまた後日」

 

「了解よ」

 

その後、インタビューを終え、写真撮影では編集部が用意した服に着替えた三人がそれぞれ一人ずつ、二人、三人の集合写真などを撮った。ちなみに写真撮影用の服はそれぞれ持ち帰ってよいとのことだったので三人はもらっていくことに。

 

「今日はお疲れ様。ディナー券は後日端末に今日の写真と一緒にデータ転送してあげるから帰る前にアドレス教えてね?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

取材を終えた帰り道、三人は五反田食堂に寄って食事をすることに(本当は箒は一夏と二人でレストランに行きたかったのだが、雪兎に予約していないと二時間以上待たされると聞き断念した)。

 

「よっ、弾」

 

「おっ、一夏に雪兎じゃねぇか。後ろの娘は前に誕生会で会ったもう一人幼馴染か?」

 

店に入ると丁度店の手伝いをしていた弾と遭遇し、席に案内される。

 

「あんときはちゃんと自己紹介出来なかったな。俺は五反田弾だ」

 

「篠ノ之箒だ。よろしく」

 

「おう。それじゃあ注文が決まったら呼んでくれ」

 

その後、蘭が店に出てきて箒と一悶着あったりしたが、平和な日曜日であった。寮へ帰宅後、五反田食堂に寄ったのを知ったシャルロットが蘭に会いたかったと拗ねて機嫌を直すのに雪兎は一苦労することになったんだとか。




という訳で取材回でした。

雪兎の目標はISの原点である「宇宙開発への利用」です。
今後もこのプロジェクト関係でオリジナルの展開をしていこうと思っています。


次回予告

取材の報酬として貰った豪華一流ホテルディナー招待券でシャルロットをディナーに誘う雪兎。一方、束に協力を依頼すべく別のレストランへと誘い出された束は・・・・

次回

「ディナーデートと亡国の思惑 兎、ディナーデートする」

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