IS―兎協奏曲―   作:ミストラル0

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キャノンボール・ファスト開幕!
雪兎の用意した新装備アドヴァンスドパック【LA:ライトニング・アサルト】の実力とは?


45話 開幕!キャノンボール・ファスト! 兎、やはり自重しない

9月27日、キャノンボール・ファスト当日。

 

マドカside

 

キャノンボール・ファスト当日。私は天野雪兎の言う通りカジュアル系の物を着て髪型をポニーテールにし、帽子を被って会場を訪れた。

 

「賑わっているようだな」

 

このチケットは普通に入手しようものならかなりの値段がするらしい。しかも今年は織斑一夏と天野雪兎という男性操者がいるとあってか抽選の倍率もはね上がったらしい。

 

(確か、入り口で端末のチケットを見せればいいのだったな)

 

招待客用の入り口に向かうとそこには私と同じくらいの歳と思われる赤髪の少女がいた。

 

「えっと、どうすればいいんだっけ?」

 

どうやら私と同じ招待客のようだが、招待者がちゃんと説明しなかったのか、あたふたしている。

 

「貸してみろ」

 

「ふえ?」

 

見ていられなかった私は彼女の端末を操作しチケットを表示させる。

 

「これを見せればいい。ではな」

 

少女に端末を返すと私は自分の端末でチケットを見せて指定された席へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれ?貴女はさっきの・・・・」

 

席に座って開幕を待っていると、先程の少女が私の隣にやってきた。どうやら彼女の席は私の隣だったようだ。

 

「さっきはありがとうございました」

 

「かしこまらなくていい、見たところ同い年だろう」

 

「うん、そうさせてもらうね。私は蘭、貴女は?」

 

「・・・・マドカだ」

 

別に名乗る必要はなかったのだが、私はこの蘭という少女に気付けば名前を教えていた。この出会いが後の私の運命を大きく変えることになるとは、まだ私は気付いていなかった。

 

side out

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

訓練機を使った一般生徒の部門が終わり、とうとう専用機持ち出番が来た。今年は一夏や雪兎の影響で専用機持ちが多く十人もいるのだ。それ故に多くの観客がこのレースに注目していた。

 

「そういえば今日はあの人(父親)も来るんだったっけ・・・・」

 

「そうなのか?」

 

「うん、僕のリヴァイヴⅡSと雪兎を見に来るって連絡があったよ」

 

「そうか」

 

「雪兎はだれか招待したの?一夏は蘭ちゃんを招待したみたいだけど」

 

「俺は最近知り合ったやつだな」

 

そう雪兎が言うとシャルロットの目が途端に鋭くなる。

 

「女の子でしょ?」

 

「何でわかった?」

 

「なんとなく、女の勘かな?」

 

「マジか・・・・でも、そいつはどっちかっていうと妹分みたいなやつだから安心しろ。俺が好きなのはシャルだけだから」

 

「も、もうっ!雪兎ったら・・・・」

 

今度は顔を真っ赤にして照れるシャルロット。

 

「あー、はいはい。そこのバカップルはところ構わず見せつけないの!」

 

「雪兎、本当に変わったよなぁ・・・・」

 

「そうだな。私が知る雪兎はあまり女性にあんな甘い言葉は使わない男だったのだが・・・・」

 

「女の子よりメカ!って感じだったもんね・・・・どうしてこうなったのやら」

 

雪兎をよく知る幼馴染三人は昔の雪兎を知っているだけに今の雪兎の姿は想像できなかった。

 

「さて、今日は私も本気で勝ち狙いに行きます!」

 

レース競技ということもあってか聖も珍しくやる気に満ちている。

 

「私も新しいパッケージを手に入れたからな。負けんぞ 、聖」

 

ラウラも気合十分のようだ。

 

「本音は結局どうするの?」

 

「私とナイちゃんは適当に頑張るよ~」

 

「まあ、布仏さんは仕方ありませんわね」

 

「それでは皆さんISの展開をお願いします」

 

係員の誘導し従いそれぞれISを展開する。

 

「来い!白式!!」

 

「いくぞ!紅椿!!」

 

「来なさい!甲龍【嵐龍】!!」

 

「行きますわよ!ブルー・ティアーズ【エンジェル・フェザー】!!」

 

「出るぞ!シュヴァルツェア・レーゲン【アンシュラーク・シルト】!!」

 

「来て!打鉄弐式【暴風】!!」

 

「おいでませ!ナイちゃん!!」

 

「私も!ウェーブ・ライダー!!」

 

「続くよ!ラファール・リヴァイヴⅡS【J:イェーガー】!!」

 

そうして雪兎を覗く九人のISが並ぶ。

 

「それじゃあ、真打ち登場といくか・・・・出ろ、雪華【LA:ライトニング・アサルト】!!」

 

「「「「「「「「えっ?」」」」」」」」

 

てっきり雪兎も【J:イェーガー】と思っていたシャルロットを除く八人は雪兎が纏う新たなパックを見て驚愕する。

 

「ちょっと、あのパックって・・・・」

 

「鈴さんもですか。では、わたくしの見間違いではありませんわね・・・・」

 

「なるほど、通りで我々のパッケージが早く完成した訳だ」

 

その中でも鈴、セシリア、ラウラの三人はそのパックに見覚えがあった。そう、自身が雪兎に依頼したパッケージだ。

 

「そういうこった。三人のパッケージはこの【LA:ライトニング・アサルト】の装備を流用して作ったんだからな」

 

そのパックは、肩にはラウラのリンドヴルムをより大型にしたシールドブースターキャノンが、腰にはセシリアと同じシールドブースタービットを備え、背面のウイングバインダーに四基のブレードガンビットを持ち、推進部は衝撃砲の流用であるエアロスラスター。更にセシリアの持つランパードランチャーのプロトタイプである【ガングニール】まで装備したてんこ盛りパックだった。そのカラーリングは黒と黄色の二色である。

 

「それ、今までのパックと何か違うよね?」

 

「その通りだ簪。こいつはアドヴァンスドパックって言って、従来のパックの複数分の拡張領域を使用するパックだからな。ちなみにこいつは三つ分だ」

 

「またとんでも装備を・・・・」

 

やっぱり雪兎は自重なんてしていなかった。

 

「わたくし達ですらこのパッケージを物にするのに苦労したというのに・・・・」

 

「あれは間違いなく操者を選ぶぞ」

 

「うん、僕にはまだ無理だったよ・・・・」

 

「シャルロット。それ、マジ?」

 

あの器用なシャルロットですら持て余すと聞いて一同は言葉を失う。

 

「あまあま、ガチだ」

 

「当たり前だろ?このキャノンボール・ファストは姉さんの得意種目なんだ。弟の俺が恥ずかしい姿は見せれないからな」

 

(((((((((そういやそうだった!!)))))))))

 

そう、雪兎の姉・雪菜はこのキャノンボール・ファストでは無敗の高速の妖精(ラピッド・フェアリー)の二つ名を持つプロレーサーだ。それ故に雪兎は張り切っているようなのだ。

 

「ヤバい、雪兎が本気とか色々ヤバいって!?」

 

「不幸だよ・・・・」

 

「わたくし達のパッケージの複合型・・・・」

 

「僕は一回だけ稼働テスト付き合ったけど・・・・本気でヤバいよ」

 

「シャルロットがそこまで言うとなると・・・・」

 

「あのパックを運用できる雪兎が異常」

 

「開幕ぶっぱで逃げ切れば・・・・無理ね」

 

「あれ、白式並みに燃費悪そうだよなぁ」

 

「絢爛舞踏が使えれば・・・・」

 

やはり雪兎の本気はとんでもなかったのであった。




という訳で【LA:ライトニング・アサルト】登場です。
かなりオーバースペックなパックです。普通のパック三つ分って・・・・

そして、マドカは蘭と遭遇しました。


次回予告

レースが始まり一同はまず雪兎を狙うのだが・・・・

次回

「レーススタート! 兎、本気出す」

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