IS―兎協奏曲―   作:ミストラル0

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自重無しパッケージ襲来(詳しくはオリジナル・改修系IS一覧をどうぞ)
三つとも中々のパッケージになった思っています。個人的には鈴用のがお気に入りです。三機ともこれで二次移行したら・・・・

そして、雪兎が遭遇した人物とは?


43話 新パッケージと思わぬ再会 兎、街で○○○と出会う

三人の依頼から三日が経ち、三人のパッケージが完成した。その日の放課後、雪兎は早速三人をアリーナに集めた。

 

「もう出来たの!?」

 

「パッケージだけだからな。丸々一機作るよりは簡単だったぞ?」

 

「いや、普通は一人でIS作ったりしないから」

 

「それはともかく。ほれ、お前らのstorageだ」

 

それぞれ専用機と同じカラーのstorageを鈴、セシリア、ラウラの三人に渡す雪兎。

 

「今回もいい仕事をしたと自負してる。材料費と依頼料は国に請求すればいいんだよな?」

 

雪兎が三国に要求したのは材料費と依頼料、そしてそれぞれのISと作られたパッケージの運用データの収集許可であった。作成する段階でどうしても各機のデータが必要になったので要求したのだが、完成パッケージのデータを提出する代わりに三国はそれを許可した。その程度で最先端技術のデータが手に入るなら安いものだと判断したのだろう。

 

「はい。国からはそう聞いていますわ」

 

「どれどれ、どんなパッケージになったのかしら・・・・えっ?何よこれ」

 

「ほう、こうきたか・・・・気に入った」

 

「この装備は・・・・わたくし、試されていますの?」

 

それぞれパッケージのデータを見て鈴は驚き、ラウラは笑みを浮かべ、セシリアは自身の技量を問われていると察する。

 

「そんじゃ、早速試してみてくれ」

 

そう言われ三人はパッケージをインストールさせISを展開する。

 

鈴の甲龍は肩の衝撃砲が小型化され左右三基ずつになっており、両腕に龍の頭を模したアンカークローの付いた籠手が追加されていた。

 

「衝撃砲の小型化とか本国でもまだできないっていうのに・・・・」

 

セシリアのブルー・ティアーズは天使のような翼が与えられ、ビットが二基、シールドブースタービットが二基増設。そして、BTレーザーと実弾と馬上槍を融合したランチャー。更に偏向射撃を補助する強化型ハイパーセンサーなど大幅なアップデートがされていた。

 

「これはわたくしの技量を問われる装備ですわね」

 

ラウラのシュヴァルツェア・レーゲンは肩の大型レールキャノンを外し、左右に大型のシールドブースターキャノンを装備し、背面にサブアームで固定された大型ガトリングガンを装備していた。しかも、シールドブースターキャノンには眼帯をした黒兎のマークまでついている。

 

「いいぞ。特にこの兎のマークが気に入った」

 

それぞれ新しくなった装備を確かめ、その想像以上のスペックに驚いていた。

 

「何、あの六基連動衝撃砲【覇龍咆哮】って・・・・あれ、本当に龍咆の威力?」

 

試しに放った左右の六基を連動させて放つ衝撃砲【覇龍咆哮】の威力に唖然とする鈴。

 

「これだけの装備を高機動中に制御するのは難しいですわね・・・・ハイパーセンサーが強化されてなかったらできませんわ」

 

強化されたハイパーセンサーと今までの特訓のおかげでセシリアも増えたビットの制御ができた。また、ビットを制御していない時であれば偏向射撃も僅かながら行えるようになっていた。

 

「これが雪兎謹製装備か・・・・雪兎とシャルロットはこんなクセの強い武装を切り換えながら戦っているのか。それは強いはずだ」

 

ラウラも雪兎の作った装備を使うことで雪兎とシャルロットの強さの一端を知る。

 

「どうだ?どっか不備はなかったか?」

 

「無いわよ。でも、これはちょっと凄すぎだわ」

 

「ええ、問題ありませんわ。扱うのが少し大変になりましたが、これは雪兎さんがわたくしなら扱えると考えて作成された装備。必ずや使いこなしてみせますわ!」

 

「うむ、問題は無い。正直、ここまでとは思っていなかった」

 

「そうか、満足してくれたなら技術屋冥利に尽きるよ」

 

鈴達も満足したようだ。こうして鈴達三人も雪兎の魔改造装備を手に入れるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その数日後の休日。雪兎は珍しく一人で街にやってきていた。理由は忍の父親が局長の棗宇宙開発局に顔を出すためだった。

 

「ご無沙汰してます、棗局長」

 

「やあ、雪兎君。先日は忍が無理を言ってすまなかったね」

 

「いえ、忍先輩にも言いましたけど元から局にもデータを渡すつもりでしたから」

 

この棗宇宙開発局はISコアを二基所有しており、一基は国内トライアル用、もう一基は当初の開発理由であった宇宙開発用のISに当てられている。

その国内トライアル用のコアは現在打鉄を高機動仕様に改修した【不知火】として局長の娘である忍が使用している。先日の試作バイザーボードはこの不知火に装備される。

 

「いつもすまないね・・・・で、今日は資材の補充かな?」

 

「ええ、ちょっとパッケージやパックに試作機と一度に大量に作ったもので」

 

「相変わらずだねぇ、君は」

 

その後、storageに資材を補充してもらう間、世間話をしつつ開発したいくつかのデータを棗局長に渡し、雪兎は棗宇宙開発局を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さてと、今日はシャル置いて来ちまってたから何かお土産買わないとなぁ」

 

そんなことを考えながら歩いていると、人混みの中に少し浮いた格好をする少女の姿があった。

 

(あれって・・・・マドカ(・・・)?)

 

そう、その少女とは先日交戦したばかりの織斑マドカだった。そんな雪兎の視線に気付いたのかマドカは振り返り雪兎の姿を見つけると目を見開いて驚いていた。

 

「な、何故お前がここに・・・・」

 

「お前、ちょっと馬鹿だろ?」

 

「な、何だと!?」

 

「だってお前さ、前はゼフィルスのバイザー着けてたから顔バレしてないのにそんなこと言ったらバレバレじゃないか」

 

「!?」

 

どうやら本名を知られていたことから顔もバレていると(間違ってはいない)思ったようで、雪兎の指摘を聞いて顔を青くする。

 

「そんな顔すんなって。別に今お前をどうこうするつもりなんざねぇよ」

 

「何故だ?」

 

「お前、まだゼフィルス直ってねぇだろ?そんなやつを一方的にやるほど俺は落ちぶれてねぇぞ」

 

「あれだけ盛大にやってくれてよく言う」

 

「あれは万全の相手を滅多打にして鼻と心を折るからいいのであって、万全でない弱いもの虐めなんぞ俺はせん」

 

「そちらの方がよほど質が悪い気が・・・・」

 

雪兎の言い分を聞きマドカは呆れながらも青くしていた顔色を戻していた。

 

「次に敵対した時はまた全力で相手してやるけど、今はただ街中で知り合いに会った程度だ。何もせんさ」

 

「そうか」

 

「あと、俺の周囲だけジャミング張ってるから監視は気にしなくていいぞ。ジャミングって言っても俺との会話を傍受できんだけだが」

 

「・・・・お前は本当に規格外なのだな」

 

体内のナノマシンのこともバレていたことにマドカはもう驚くより呆れていた。また、こんな会話ではあるが、マドカは楽しんでいるという自覚があった。

 

(やはりこの男は不思議だ。何故かこの男との会話は不快にならない)

 

「立ち話も何だしそこの喫茶店にでも寄るか?」

 

「お前の奢りなら付き合おう」

 

「それくらいは出すさ。誘ったのはこっちだからな」

 

そんなこんなで雪兎とマドカという奇妙な組み合わせで二人は喫茶店へと入っていくのだった。




遭遇したのはマドカでした。

棗局長はナイスミドルのおじさんです。奥さんは年齢不詳の美人だとか・・・・


次回予告

何故かマドカと喫茶店に入ることになった雪兎。そこでマドカは先日の言葉の真意を雪兎に問う。

次回

「喫茶店の雪兎とマドカ 兎、少女と話す」

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