今回はほぼオリジナルとなる章なので色々不安ですがお付き合いよろしくお願いします。
また、前章でマドカがやられてサイレント・ゼフィルスはボロボロなため福音強奪未遂事件は発生しておらず、ナターシャさんとイーリスさんの出番は延期です。
今回、誕生日の話題が出て、原作の設定が確認できてないメンバーは勝手に誕生日を設定しています。原作で誕生日が確認でき次第書き直す予定です。
という訳でISー兎協奏曲ー第7幕開演です。
42話 キャノンボールと英中独三人娘の頼み 兎、三人娘から依頼を受ける
学園祭も終わり、9月も後半に差し掛かったある日。
「一夏の誕生日って9月だったんだ」
「ああ、今月の27日だ」
いつものように食堂で昼食をとっていると、セシリアとラウラの二人には聞き捨てならない話題が飛び出した。
「何だ、話してなかったのか?一夏」
「ああ、別に大した話題でもないだろ?」
「はぁー、お前はもう少し視野を拡げろ。一応、今年も弾達とお前ん家で祝う予定なんだからいつものメンバーくらいには連絡しとけよ」
相変わらずの唐変木っぷりである。
「助かったぞ。雪兎にシャルロット。お前達夫妻に話を聞かねば私とオルコットは当日近くになって慌てるところだった」
「「夫妻っ!?」」
「恋人同士で同室。その上、保護者も既に公認なのだろう?夫妻と変わらんではないか」
「そんなことより一夏さんの誕生日のことですわ!」
「そんなことって・・・・」
学園祭以来、どうも雪兎とシャルロットは最早学園一のカップル扱いされており、料理部で一緒に料理する姿など仲睦まじい夫妻にしか見えないと言われている。
「嫁の誕生日を知っていて黙っていた二人よ。何か弁明はあるか?」
そう言われ幼馴染故に当然一夏の誕生日を知っていた箒と鈴は目を逸らす。
「どうせ抜け駆けするつもりだったんだろ?器の小さいやつめ」
「「うぐっ」」
雪兎の言葉が深く箒と鈴に突き刺さる。
「そういえば、あまあまの誕生日は?」
「俺か?俺は2月3日だ。鈴は11月6日だったよな?」
「よく覚えてたわね」
「僕は10月4日だよ」
「わたくしは12月24日ですわ」
「あっ、セシリアも12月なんだ。私も7日なんだ」
「私は3月1日だったはずだ」
「私は6月2日だよー」
「私は1月20日」
「へぇー、皆バラバラなんだな。まとめると・・・・」
布仏本音 6月2日
篠ノ之箒 7月7日
織斑一夏 9月27日
シャルロット・デュノア 10月4日
凰鈴音 11月6日
宮本聖 12月7日
セシリア・オルコット 12月24日
更識簪 1月20日
天野雪兎 2月3日
ラウラ・ボーデヴィッヒ 3月1日
「って感じか?」
「だね。本音はもう過ぎちゃってるけど、他の皆はお祝い出来そうだね」
簪の提案に全員が賛成し、誕生日の話はここまでにして一夏の誕生日の日に行われるもう一つの催し【キャノンボール・ファスト】へと話題は変わる。
「一夏の誕生日の話もいいが、お前らはキャノンボールの準備してんのか?」
【キャノンボール・ファスト】ISで行われる何でもありのレース競技のことだ。昔はキャノンボールと言えば公道を用いた走り屋達の非合法のレースのことを差すが、今ではこの競技のことを差す単語となっている。
「僕と雪兎は高機動パックがあるし、一夏と箒は調整だけだけど、皆は?」
「私はこの前雪兎に貰ったパッケージに高機動パッケージがあったからそれを使う予定」
「【暴風】か、あれはキャノンボール用に用意したパッケージだし、妥当だな」
そう、簪には雪兎がリヴァイヴのお披露目の時に渡したstorageに【白雷】【剣山】【暴風】という三種のパッケージが渡されており、簪はその中の高機動仕様である【暴風】を使う予定だった。
「私のライダーは高機動バイザーを使えばいいのかな?」
「ただでさえあんたのライダーは速いのに高機動仕様なんてのもあんの?」
「うん、まだ使ったことないけど。スペックデータなら紅椿クラスだよ」
「またとんでもない伏兵がいたな」
聖のウェーブ・ライダーは元々高機動戦仕様なのだが、更に速度特化したバイザーボード【ソニックレイダー】が存在する。そのトップスピードは通常のアリーナでは使い所がなく、今までお蔵入りしていたらしい。
「私のナインテイルはキャノンボールには向いてないんだけどがんばるよ」
一方で本音のナインテイルは専用装備【九尾】に拡張領域をほとんど食われており、武装が追加出来ない仕様であるためキャノンボールは不向きと言っていい。武装は入らないも残っている拡張領域はお菓子などの入れ場になっているそうだ。そして・・・・
「わたくしには一応、ストライク・ガンナーがありますけれど」
「私も一応本国から高機動仕様パッケージ【風】が来る予定よ」
「私は姉妹機の高機動パッケージを借りることになっている」
セシリア、鈴、ラウラの三人はそれぞれ専用パッケージを使う予定だったのだが、ナインテイルを除くメンバーのISと比べると力不足であると感じていた。
(この前本国には一応許可貰ったし、駄目元で聞いてみようかしら?)
(わたくしのストライク・ガンナーも以前調整していただきましたし、本国から許可も得ましたから雪兎さんにお力添えをお願いできないでしょうか・・・・)
(あのパッケージはクラリッサの物だしな・・・・ここは本国の許可もあることではあるし、雪兎に頼むのも一手か)
そこで、以前から考えていた雪兎の助力を得られないかと、三人は同じことを考えていた。何せこの雪兎はあの束の弟子である。その技術の一端でも手に入るならイギリス、中国、ドイツの三国も許可くらい出すというものだ。問題は交換条件に何を要求されるかということと、雪兎が作成する以上は雪兎にスペックデータを把握されるということだが、二つ目はメンバーの過半数が雪兎の手が加わったISであるためあまり関係ないかもしれない。
「ねぇ、雪兎。ちょっとお願いがあるんだけど」
そんな中、初めに話を切り出したのは幼馴染である鈴だった。
「お願い?」
「うん。私の甲龍のパッケージの件なんだけど・・・・私にも何か作ってもらえない?」
「ず、狡いですわ、鈴さん!雪兎さん、私にもお願いできませんか!?」
「ついでで申し訳ないのだが、私もお願いできないだろうか?」
「いや、本国の許可とかはーー」
「「「既に取ってあるわ/ありますわ/ある!」」」
「ならいいんだが・・・・どんなパッケージにするかは俺の一存で構わないか?要望があれば予め言っておいてくれ」
幸いにも雪兎は乗り気のようで三人は一安心する。
「とりあえず鈴からな」
「私は高機動って縛りはいらないからもう少し衝撃砲の扱いを何とかしたいわ」
鈴は雪兎に以前から言われている衝撃砲の扱いについてもう少し使い勝手をよくしたいらしい。
「衝撃砲か、なるほど丁度考えてた装備があったからそれを応用したパッケージにしてみるよ」
「ありがとね、雪兎」
「次はセシリアだな」
「わたくしはストライク・ガンナーをベースにビットも扱えるパッケージがいいですわ」
一方のセシリアは元々ストライク・ガンナーというパッケージがあるため、その発展型を依頼する。ストライク・ガンナーはビットをスカート部分に固定することでビットを封印する代わりに機動力を得るパッケージだ(アニメでは何故かビットを使っていたが)。そのためセシリアは高機動とビットの両立を求めたようだ。
「ストライク・ガンナーは確かにブルー・ティアーズの特色を殺すパッケージだからな・・・・考えてみるよ」
「よろしくお願いしますわ」
「次はラウラか」
「私は借り物というのが少しな・・・・停止結界も高機動戦では扱うのが難しいから無視してくれて構わない」
ラウラはクラリッサのシュヴァルツェア・ツヴァイクのパッケージを借りるというところに思うところがあるようで、専用であることが条件のようだ。AICに関しては高機動下で一つのことに集中するというのが危険なことを理解しているため考慮しないようだ。
「AICは変なとこに欠点あるからな・・・・じゃあ、ラウラの戦闘スタイルに合わせてってことでいいな?」
「すまない。お前も自分の準備があるだろうに我ら三人のパッケージまで頼んでしまって」
「水くさいこと言うなよ。俺達は仲間だろ?それに俺はもう大体調整終わってるし、三人のパッケージももう大体の構想はまとまったからな」
「「「「早っ!?」」」」
これには一同も驚きである。
「鈴に関しては元々丁度いい装備があったし、セシリアは前にストライク・ガンナー調整した時のデータもある。ラウラのもちょっと面白い装備を思い付いたからそれを使う予定だ」
やはり天災の弟子は伊達ではなかった。すると。
「雪兎、面白そうな話をしてる」
「忍先輩?」
そこに棗忍が通りかかった。
「実は私も雪兎にお願いがあった」
「忍先輩もですか?」
「そこの宮本聖の使うバイザーボード。あれを一つ私にも作って欲しい。無理そうなら基礎データだけでもいい」
そう、元々バイザーボードは忍とサーフィンをしていて思い付いた武装だ。忍が興味を持ったのも不思議では無い。
「展開装甲を積んでない試作品なら一つ余ってますけど・・・・」
「それでいい。譲って」
「いいですよ。元々局に提出するつもりでしたし、忍先輩とサーフィンして思い付いた武装なんでお礼に差し上げますよ」
「感謝するわ」
こうしてセシリア、鈴、ラウラはそれぞれ専用パッケージの作成を。忍は試作品のバイザーボードを譲ってもらうこととなったのだった。
再び魔改造フラグオン。今回はパッケージですが、今回も雪兎は自重しません。技術流出?再現できるならやってみろよ。ってな感じですのでまたとんでも装備が・・・・
ついでに忍にも試作品とはいえバイザーボードが・・・・
次回予告
三人の依頼で新たなパッケージを作成することになった雪兎。そんな中、一人で街に出掛けると思わぬ人物と遭遇することに・・・・
次回
「新パッケージと思わぬ再会 兎、街で○○○と出会う」