IS―兎協奏曲―   作:ミストラル0

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六章最終話です。
雪兎が楯無のに用意したお仕置きとは?
そして捕まったオータムは・・・・


41話 王冠の行方と雪兎の後始末 兎、お説教(物理)する

「すいませんでした!!」

 

雪兎が舞台に戻ると真っ先に楯無が土下座で謝罪してきた。

 

「反省はしてるみたいですね?」

 

「そ、それはもう!」

 

「なら俺からは一つの罰で許しましょう」

 

罰と聞き、楯無が少し震えるも許してもらえると知り安堵する。だが、安堵するのは少し早かった。

 

「織斑先生と時間無制限試合一回で」

 

「・・・・えっ?」

 

「楯無さんくらいの実力があれば織斑先生と試合しても瞬殺はないでしょう?丁度、参式の稼働データ欲しかったんですよ」

 

そう、千冬クラスになると相手が出来る操者など限られている。その点、楯無ならば十分なデータが取れるだろう。また、その試合のデータからミステリアス・レイディのデータも取れる。雪兎からすれば一石三鳥な提案だった。勿論、楯無にとっては絶望案件なのだが・・・・

 

「さ、参式ってあの大きな剣持ってるISよね?」

 

「はい。先日、織斑先生にお渡ししました」

 

「・・・・」

 

あの規格外ISに元世界最強の組み合わせである。絶望しない方がおかしい。

 

「織斑先生には既にお願いしておきました。「参式の慣らしに丁度いい。失望させるなよ?学園最強」だそうです」

 

(終わった・・・・)

 

いくら学生ながら国家代表に選ばれる実力のある楯無と言えど、この組み合わせは泣きたくもなろう。これ以降、楯無はシャルロットへのちょっかいはしまいと誓うのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一夏の王冠に関しては雪兎への謝罪の際に楯無が全てを自供し、一夏が守り抜いたためにドローとなった。また、オータムの乱入のせいで一般参加が行われなかったために投票権は返却されたのだが、何故か投票で一位になったのは生徒会だった。理由は雪兎とシャルロットの一件である。あれが予測以上に受けたらしく、投票数はダントツだったんだとか。

 

「そんな訳でシャルロットちゃんにはこれを進呈します」

 

そう言って何とか絶望から復帰した楯無はシャルロットにカードキーを手渡した。

 

「こ、これって・・・・」

 

「うん、雪兎君の部屋のカードキーよ」

 

「おいこら、何勝手に人の部屋のカードキー渡しとるんじゃ!」

 

「だって、シャルロットちゃんはちゃんとこれ(ブローチ)取ってきたもの」

 

ユーリが抗議すると楯無は雪兎の胸についていたはずのブローチを取り出す。

 

「はぁ?何でそれが・・・・もしかして!?」

 

「ごめんね、雪兎」

 

実は雪兎に抱きしめられた時にシャルロットはちゃっかりブローチを盗っていたのだ。

 

「なんてこった・・・・」

 

一応ルール通りブローチを手に入れていたとなっては雪兎もこれ以上抗議する訳にもいかず、大人しく決定を受け入れることに。

 

「またよろしくね、雪兎」

 

((((シャルロット恐るべし))))

 

ちゃっかり目標を達成していたシャルロットにその場にいた全員が戦慄していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結局、本当に雪兎とシャルロットは相部屋となった。真耶からは「ふ、不純異性間交遊はいけませんよ!」等と言われもしたが、シャルロットがシャルルと偽っていた頃と大した違いはなく、特に問題は起こってはいない。

 

「今回はシャルにまんまとやられたよ」

 

「恋する乙女を甘く見ちゃ駄目だよ?雪兎」

 

「よく思い知ったよ」

 

原作通りとはいけなかったものの学園祭の投票で一位となった生徒会に所属することになった一夏。しかし、副会長の席は雪兎が既におり、一夏は庶務として生徒会に加わることとなった。

 

「それにしても一夏だけでなくシャルまで生徒会に引き込むとはな」

 

「僕が雪兎の手伝いがしたいって言ったんだよ」

 

さらに、副会長補佐という名目でシャルロットも生徒会に入ることとなり、生徒会は布陣はある意味で万全なものとなったと言える。また、原作のような手段ではなく正当な投票結果であったため、各部活動もそこまで文句を言うことはなかったらしい。

 

「そういえば文芸部の人達には驚かされたよね」

 

「あれか・・・・確かにびびったわ」

 

そう、あの演劇での一幕を小説にしたいから許可をくれと文芸部の部長と副部長が揃って頭を下げにきた時のことだ。名前等はちゃんと変えると言っていたため雪兎達はそれを承諾したが、その時の喜びようは凄かった。何でも部長は最近スランプ気味だったらしく、あの一幕を見たおかげでスランプを脱せそうだと言っていた。

 

「驚いたといえば虚さんもだがな」

 

虚はやはり原作通り弾のことが気になっているらしく、雪兎や一夏に弾のことを色々聞いていた。普段はあまり表情を変えない虚が恋する乙女のような顔をしていたのは幼馴染更識姉妹や妹の本音も驚く事態だった。

 

「弾も良い人だし、上手くいくといいね」

 

「だな。一友人としても応援したいとこだな」

 

この短い期間に実に色々なことがあったものである。

 

(捕らえたオータムからアラクネのコアは回収したが、まさか護送中にオータムに逃げられるとはな)

 

あの後、学園から護送される際に護送車が襲撃を受けオータムは脱走したと千冬から報告を受けている。

 

(まあ、アラクネはこっちにあるから当面は何も出来ないだろうがな)

 

アラクネはアメリカとしては返して欲しいが、返却を要求すると強奪されたことが露見してしまうため言い出すことが出来ず、修理という名目で現在は雪兎が保管している。

 

(千冬さんは返却するつもりないみたいだし、参式も作ったし今度はアレ作ってみるか・・・・)

 

こうしてアラクネだったISは雪兎によって新たな形を与えられることになるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

逃げ出したオータムは何とかスコール達と合流に成功し、隠れ家に戻ることが出来た。

 

「くそっ!何なんだよ、あのガキ共はっ!!」

 

「落ち着きなさい、オータム」

 

「だけどよぉ!」

 

「今回の件で貴女の顔はあちら側に知られてしまったわ。それにエムのサイレント・ゼフィルスはボロボロ、貴女のアラクネは取られてしまった。しばらくは大人しくせざるえないの」

 

しかし、亡国機業が受けた今回の損害は酷いものだった。スコールの言う通り、サイレント・ゼフィルスは雪兎によりこっぴどくやられ、オータムは助け出せたもののアラクネを失ってしまったのだ。

 

(彼には借りが出来てしまったわね)

 

ある意味で雪兎が出した条件が亡国機業には救いだったとも言える。雪兎はやろうと思えばスコール達の隠れ家を襲撃できた。しかし、雪兎は次のキャノンボール・ファストを邪魔しない限り手は出さないと言った。つまり見逃されたのだ。

 

(エムの様子も少しおかしいようだし、しばらくは大人しくしていましょうかしら)

 

そう考えるとスコールはまだ荒れているオータムを宥めるべく、彼女を自室へと誘うのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(天野、雪兎・・・・あいつは一体何なんだ?)

 

マドカは天野雪兎という人物のことがよくわからなかった。そして、最後に投げかけられられ言葉が耳を離れない。

 

『・・・・・織斑マドカ、お前が本当に成したいことがあるのならそんな借り物のISなんざ使わず自身の力で成すんだな』

 

(あれはどういう意味だったのだろうか?それにやつは私の願いも知っているような感じだった)

 

マドカにはわからなかった。何故彼は敵であるはずの自分にそのようなことを告げたのか?次に会ったら答えてくれるのだろうか?そんなことばかり考えていた。

 

(こ、これではまるで私が彼に会いたいと思っているようではないか!?)

 

結局、答えはわからずマドカはらしくもなくベッドの上でのたうち回るのであった。




という訳で六章閉幕です。

マドカが若干キャラ崩壊中、オータムもアラクネをコアごと失い亡国大打撃でございます。

次章はキャノンボール・ファストのお話ですが、主役はまさかのマドカ!?
お楽しみに・・・・


次回予告

学園祭も終わり、次に控えるキャノンボール・ファストに向けてそれぞれ準備を始める一同。そんな中、セシリアと鈴、そしてラウラは雪兎にある頼みをする。

次回

「キャノンボールと英中独三人娘の頼み 兎、三人娘から依頼を受ける」

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