ブラックコーヒーの備蓄は十分か!
という訳でシンデレラの続きでございます。この話に別のサブタイをつけるなら「裏切りと怒りのシャルロット」ですかね?
楯無side
『謀ったなぁ!更識楯無ぃいいいいい!!』
舞台上で雪兎君の絶叫が響く。すると、本音ちゃんが少し青ざめた表情でこちらを見る。
「かいちょー、ちょっと今回はマズイかもよー」
「・・・・もしかして、私、彼の逆鱗に触れちゃった?」
「うん、前におりむーやりんりんに聞いたんだけど・・・・」
そこで私は「顔面ウシガエル事件」と呼ばれる事件の顛末を聞かされた。
「・・・・マズイわね」
更に集めた情報では一夏君に想いを寄せる専用機持ちの娘達がクラスで問題行動を起こすと雪兎君は罰として時間無制限試合(メタ装備)×十数回というえげつないメニューで心を折りにくるらしく、気の強い彼女達でも雪兎君には逆らわないそうだ。私に対しても簡単には負けないと言っていたので私の
「か、かいちょー・・・・あまあまから伝言。「後で覚えておけよ、更識楯無」だそうです」
コアネットワーク経由で連絡がきたらしく、本音ちゃんのIS【ナインテイル】の待機状態であるカチューシャに狐耳が生えている。
(ヤバい、間違いなく彼は怒ってる)
「お嬢様、ここは変に誤魔化さずに謝った方が賢明かと」
虚の言う通り普通に謝るのが最善だろう。
「うん、今回の件は後でちゃんと謝ります」
そう誓い、私は舞台上を映すモニターに視線を戻した。
side out
「雪兎、そのブローチを渡して!そうすればまた二人一緒(の部屋)にいられるんだよ!」
楯無の甘言に唆されたシャルロットは雪兎にダガーとハンドガンを手に雪兎に言う。
「シャル、なんでそんな甘言に乗ったんだ!」
「仕方ないじゃないか!僕は雪兎とずっと一緒にいたいんだもの!」
始まった二人の戦いは互いに学生とは思えないガチ戦闘で閃光から回復した一夏や雪兎の絶叫を聞いて駆けつけた箒達も介入出来ないものだった。また、一夏はその二人のど真ん中に位置しており、そこに突入する勇気は箒達にはなかった。
「雪兎は僕と一緒(の部屋)は嫌なの!?」
「そんなこと言ってねぇだろっ!俺が気に食わないのはその為にこんなことしてることだよ!」
下手に突入すれば間違いなく二人の銃弾の雨と投擲された刃の餌食になるだろう。一夏に当たらないのは単に彼らが一夏に当たらないように配慮して攻撃しているからだ。この二人の技量が他と隔絶しているのがよくわかる。
「僕には
「そんなことしなくたって俺はお前と(恋人として)いられる!だからもうそんなことはやめろ!」
「ゆ、雪兎・・・・僕、僕はっ!」
雪兎が必死に説得するもシャルロットは今さら止める訳にはいかず涙を流しながらも雪兎のブローチを狙うべく雪兎に突撃する。
「この馬鹿がっ!」
それを雪兎は二丁のハンドガンでシャルロットの武器を射ち落とし抱き締める。
「雪兎、僕・・・・」
「何も言うな。悪いのはこんなことをお前に命じた
「うわぁあああん!」
雪兎は優しく抱き締められシャルロットはとうとう泣き出してしまう。
(シャルを泣かせてただで済むと思うなよ?更識楯無・・・・)
実はこの演劇、観客席や学園のモニターなどで観られており、今までの一夏を巡る騒動より雪兎とシャルロットの一幕の方が観客受けしていた。特に文芸部などは「この一幕を切り取って物語書けないかしら?」などと考えていたくらいだ。しかし、ここで一つの問題が発生した。
「あれ?一夏は?」
そう、一夏が消えていたのだ。
「あの弾幕の中でどこへ・・・・」
「シャル」
「うん」
そして、泣き止んだシャルロットは雪兎の言いたいことを理解すると行動を開始した。
その一夏はというと巻上礼子ことオータムに連れられて雪兎の仕掛けが施された更衣室にいた。
「ここまで来れば大丈夫だろう」
「貴女は・・・・あの時の」
ちゃんと自己紹介出来ていないため巻上礼子という偽名すら知らない。まあ、キレかけのオータムは巻上ではなくオータムとしての素の話し方をしているため一夏もすぐには気付けなかった。
「何で俺を?」
「なんだ、お前は気付いてなかったのか・・・・私はな、お前の白式をいただきにきた悪の組織の美女だよ!」
そう言うとオータムの背中からアラクネの特徴でもある蜘蛛の脚ようなサブアームがスーツを突き破って現れる。
「くそっ!」
白式を展開して対抗しようとするが・・・・
「下がってて、一夏。彼女の相手は僕がするから」
そこにシャルロットが姿を現す。
「て、てめえ!どうやってここへ!?」
「ああ、雪兎っていつもこんな気分だったんだ・・・・学園祭には外部の人間が来るんだよ?君達
「そんな馬鹿なっ!?ってことはあの邪魔も全部・・・・」
「ご名答。全部僕らの妨害だよ。そこで君が怒り心頭でこんな手荒な真似することも全部雪兎と楯無さんの手の平の上さ」
「あ、相変わらずえげつねぇ・・・・」
敵対するものへの容赦の無さは尋常ではない。だが、その肝心な雪兎の姿が見えないことに一夏は疑問を持つ。
「あれ?雪兎は?」
「ああ、雪兎ならもう一人来るだろうお仲間の相手をしに行ったよ。こっちは僕に任せてね」
「た、たかが一人で何ができる!」
援軍がシャルロット一人だと知り、侮られていると感じたオータムが吼えるが彼女はまだ理解していなかった。
「たかが一人?一人で十分だよ。そのIS、アラクネの対策はちゃんとしてきてるから」
「な、何だと・・・・?」
ここでオータムは漸く事態の深刻さに気付いた。相手は自分達亡国機業が動くのを知っていた。更に自分の行動まで完全に先読みされ、使用するISすらバレている。つまり、
「言ったよね?全部雪兎と楯無さんの手の平の上って」
そう言ってシャルロットはリヴァイヴⅡSを展開する。
「ラファール・リヴァイヴ?いや、違う、そのISは一体・・・・」
オータムは未知のISを目にし硬直してしまう。対してシャルロットは手始めに【G:ガンナー】を展開し、シャルロットはシールドガトリングとリヴァイヴⅡ用のソードアサルトライフル【グリフォン】を両手に構える。
「さあ、蹂躙を始めようか?」
学園祭デートという雪兎との一時を邪魔された乙女の怒りがここに炸裂する。
「簡単にやられないでね?歓迎の準備はしっかりしてきたから」
そう笑顔で言うシャルロットだが、眼が笑っていない。そして、オータムに更衣室のことなど考えていない鉄の豪雨が襲いかかった。
ズガガガガガ!!
「くそがぁあああああ!!」
これには堪らずオータムはアラクネを動かし回避行動に移る。途中、サブアームからレーザーを放とうとするも、サブアームを攻撃態勢にした瞬間にサブアームが射たれていく。それが繰り返されアラクネは最大の特徴であるサブアームを削られていく。
「う、嘘だろ!?」
「何度言わせるのかな?僕はちゃんと対策してきたって言ったよね?」
そのままアラクネはどんどんサブアームを失っていく。
(やべぇ、シャルロットがキレてる・・・・)
いつになくシャルロットの攻撃のキレがよく、見ているだけの一夏にもシャルロットがガチギレしているのがわかった。
「こ、こんなはずじゃ・・・・」
サブアームを全て失い、アラクネはオータム自身の手足以外残っていなかった。
「くそっ!」
そこでオータムは撤退することを決めるが、シャルロットが逃がすはずもなく【J:イェーガー】に換装するとオータムの前に先回りし【グリフォン】のソードを突き付ける。
「逃げられるとでも?」
「戦闘中にパッケージ換装だと!?まさかそのISはフランスで開発された新型の・・・・」
「
現行の機体を凌駕するとさえ言われているフランスの新型の原型であるISに第2世代機であるアラクネで勝てるはずもなかったのだ。
「チクショウ!!」
そして追い詰められたオータムはアラクネからコアを抜き取りアラクネの自爆シーケンスを起動させ、アラクネを乗り捨てる。
「シャルロット!」
「大丈夫!これも想定済みだから」
一夏はアラクネが自爆シーケンスに入ったことを知り、シャルロットに警告するが、それすらも雪兎達には読まれていた。今度は【W:ウィザード】に換装し、グラスパービットでアラクネを囲い、アラクネのシステムを支配して自爆シーケンスを停止させ、オータム本人もディフェンサーで囲い逃げ場を奪う。
「チェックメイト、だね」
シャルロット対オータムの戦いは完全にメタを張っていたシャルロットの圧勝にて終わり、オータムは
シャルロット圧勝・・・・
正直な話、アラクネって雪華とリヴァイヴⅡSは天敵レベルで相性悪いです。そしてオータムどころかアラクネまで確保してしまいました。
恋する乙女やべぇー・・・・
会長「・・・・私、出番なかった」(しゅん)
次は雪兎対マドカの戦いです。
次回予告
オータムはシャルロットにより捕らえられ、それを知ったサイレント・ゼフィルスを纏うマドカは仕方なく救助に向かおうとするも、そこに学園最凶の男・雪兎が立ち塞がる。あれ?どっちが悪役だ?
次回
「雪兎VSエム 兎、マドカと戦う」